真琴「全く駄作者の考えることはわからんな」
それほどでも〜
真琴「褒めてないぞ」
そんなバカな!
真琴「はぁ。とりあえずゲームでもするか(精霊戦国伝を取り出しつつ)」
はいどうも。......さて、始めますか!
精霊戦国時代!始まるよ!
......え?こんなことより本編投稿しろ?いいじゃないか〜(目をそらしつつ)
儀式国はシナトが当主となりはやくも7年。
前年に悪魔国が侵攻を開始。そのため月見ヶ原合戦が勃発し、儀式国が辛くも勝利。しかし、儀式国も優秀な部下を何人も失った。
しかし、そんな事で立ち止まらず、周りから攻める事を躊躇わせるほどの強国とするため、間髪入れずに悪魔国に侵攻。侵攻軍を2つに分ける。そして、名だたる城を急速に攻略。悪魔国の国は開戦当初と比べ、5分の4程にまで自領を減らしていた。その現状を打破するため、当主のアバターは動いた
「不死国に使いを出せ!」
「ハッ!」
なんでも同盟先の不死国に使いを出し、同盟による援軍を要請したらしい。そして
「これより軍を引かせる!最低限の兵力だけ残し、他は三沢盆地まで引かせろ!」
「そ、それはっ!」
「これより我が国は縦深防御策を取る!」
「しかし失敗すれば....!」
「そうですぞ!ドレッドルート殿やイレイザー殿がいれば儀式国なぞ一捻りですぞ!」
「いや、そう簡単には勝たせてくれるまい。とにかくこれが決定だ!早く行動を起こせ!」
「「は、ハッ!」」
悪魔国も反撃を開始しようとしていた。
儀式国
「シナト様!」
ドタドタドタと部下の一人がシナトの部屋に来る。
「入れ」
「失礼します!」
少々勢いよく襖を開けると
「ソニックバードとゼラ殿がまた城を落としたそうです!ガルマソードとセンジュゴッド殿の軍も出城を落としたそうです!」
部下の報告にシナトはそうかと頷く。
「しかし月見ヶ原の戦いから連戦連勝!さすがシナト様です!」
部下は機嫌を良くしているが、シナトはこのあまりの手応えの無さに違和感を感じていた。
「報告ご苦労。これより俺もソニックバードらの城に向かう」
「ハッ!」
シナトは嫌な予感がしていた。当たらなければ良いのだがと思っていた。(残念!だが当たる)
ソニックバードらの落とした城にて
「ここら辺一帯は儀式国の領土となりました。暫くは内政に力を入れるべきかと」
「そうだな。治安維持活動と道路の整備は急務だ」
「それに田畑が荒れるのも問題ですし」
「やることは山積みだな」
「ここらでひとつ新しい人員が欲しいものだ」
「そうは言ってられないんですがね(苦笑)」
「全員、ここはもう儀式国のものだ!いつもの通りよろしく頼むぞ!」
「「「「ハッ!」」」」
儀式国は悪魔国よりもかなり小さな国だったために財力が乏しかった。故にアバターが予想していたよりも早くに侵攻を中断し、アバターの計画が頓挫してしまった。しかし、逆に返せば、そこまでしか攻めれなかったとも取れる。悪魔国は儀式国の財力の無さに少しだけ救われたのである。まあ、自領を切り取られている時点でそうでも無いが。
頓挫したものの、不死国との同盟の関係上、援軍を出してもらえたようで、不死国の援軍8千に悪魔国の軍1万6千の合計2万4千の兵力がシナト達のいる城に向かって行軍を開始したとソニックバードのお抱えの忍、黒蠍忍軍よりもたらされた。
すぐさまシナトは腹心であるソニックバードとセンジュゴッドを呼び、軽い軍議を行っていた。
「悪魔国らの連合軍はどこまで来ているのだ?」
「忍の報告による行軍速度だと、山を2つ超えたこの盆地あたりまで来ていると思われます」
「ふむ、およそ1週間と半分程で領内に侵入が可能だな」
「はい。相手の兵力が二万四千に対し、こちらはどんなにかき集めても戦える兵力は一万四千が限度だと思われます」
「やはり流石と言うしかないな。悪魔国の当主、アバターは」
「はい?」
「おそらく最初は縦深防御策を取ろうとしていたんだと思うんだ。これはどんなにやろうとしてもなかなかできることじゃない。決断力と部下に対する信頼がうかがえる」
「はい。それは同意します」
「さらにこちらの息切れと見るや同盟国である不死国と連合を組んですぐさま攻撃に出ることもできる。抜け目の無い奴だ」
「そうですね。戦において、重要なのは天、地、人です。兵力、場所....地と人が既にあちらに取られているので、天....日にちと天候はこちらが取りたいですね」
「ああ、そうだな」
「一筋縄には行かないのもまた戦の妙ですが、これは厳しい戦いになりそうです」
ソニックバードとセンジュゴッドは礼をするとすぐさま部屋を出て、戦のための準備を始めた。慌ただしい城をシナトは歩く。そして一室に着くと、ゼラとガルマソードの2人を呼び寄せた。
「2人にやってもらいたい事がある」
「なんなりとお申し付けください!」
「ああ、お前達2人にそれぞれ500の兵を与える。悪魔国達の進軍してくるであろうこの道とこの道に罠を仕掛けてもらいたい」
「と、言うと?」
「ソニックバードお抱えの忍の報告により、奴らの進軍速を考慮して、おそらくこの盆地にいると思われるからな。そこからならこのふたつの道が1番可能性が高い。たからしてもらいたい」
「「ハッ!」」
「1万4千を集められるとあやつらは言うが、儀式国本拠よりの援軍もあってそれの筈だ。いまのままだと9千を数えるか数えないか程度だろう。だから時間が欲しいのだ。なるべく長い時間が」
「成る程。その時間稼ぎのための罠ですね?」
「そうだ!経験に基づくお前達や冷静さと決断力が頼りだ。よろしく頼む」
「「お任せを!」」
2人は命令を受けてすぐさま出立。儀式国に入られる前に様々な箇所に罠を仕掛け、連合軍の行軍を大きく悩ませた。そして、非常に貴重な4日という日にちを稼ぎだした。
しかし、この9千も嘘。今ある兵力は8千もいない現状だ。
不死国 陣中
「リッチー様!この道での行軍はやめるべきだと思われます!」
「うるさい!いい加減しつこいぞ!お前も!」
「しかし....」
「だいたいなんだ?この道に罠が仕掛けられているからすこし険しい道であるあちらを進むべきだぁ?ふざけるな!ここは悪魔国の領地内だぞ?仕掛ける訳があるまい!」
「しかし、儀式国のシナトはしたたかだという報告も上がっております。用心にこしたことは無いかと」
「イゾルデ!この前の戦で兄であるトリスタンを亡くし、急ぐ気持ちはわかるが、少々言葉が過ぎるぞ!」
不死国の中に小さな自治国を許された王、リッチーが今回の不死国の援軍の軍団長だった。そこに付き従うのは麗人ともっぱらの噂であり、事実美しい女性であるイゾルデ。そのイゾルデの一の部下である不乱健だった。イゾルデは姿が美しいだけでなく、頭の回転が早く、謀にもそこそこ長け、なおかつ軍略を独学ながら収めていた。故に軍師としても申し分なく働けた。さらに部下の不乱健も巨漢の力持ちでその強引なまでの矛の扱いも有名である。伝聞によれば、馬ごと5人をひと振りでぶった切ったと言われるからなおさらである。
そんな優秀な2人を差し置いて大将になっているためか、リッチーはすこし焦っていたのかもしれない。しかし、リッチーだって、十分に将としての才能は持っていた。2人が凄すぎるだけである。
はてさて、イゾルデの話を聞かず、進んだ結果、進行速度が遅くなってしまうのだった。また、悪魔国の方にも話をしなかったので、あちらも大変な事になったようだ。
戦において、最も効果的な攻撃の一つは怪我をさせる事だ。決して殺してはいけない。
なぜなら、その手当をするために人が必要で、さらに連れて帰る人、野戦病院を守る人など、沢山の人が必要になるため、戦闘に参加できる人数が殺すよりも減るからなのだ。それに、殺してしまうと、相手の結束が強まったり、強い復讐心をもたせてしまうのもある。しかし、人間は無意識のうちに痛みを訴え、苦しむ人を見ると尻込みする。だから死なない程度の罠を作れるゼラやガルマソードはこの任務に非常に優秀な人物だったのだ。これにより、連合軍は戦う前から五百人程の怪我人を出してしまい、その手当や、野戦病院のための人員を割かなくてはならなくなった。怪我人をほっといて行軍するわけにもいかず、さらに行軍速度が落ちる。そんな悪循環に陥るのも罠の凶悪な所だ。
さて、そんなことを行ったのですが、儀式国本拠よりの援軍はまだ来ず、連合軍2万4千....怪我人など戦闘可能人数としても2万を超える軍を相手に儀式国は僅か七千五百で迎え撃つこととなってしまった。
しかし、戦況は五分五分だった。連合軍のそれぞれの軍は練度は高いが、それでも共に戦う事はほとんど無い。なので、それぞれの間にズレが生じ、そこを儀式国軍が攻め込み、内側から荒らす。そんな事を行っていたため、撹乱しつつ儀式国は戦う事ができていた。しかし、相手もその事をすぐに理解し、それぞれ、2方面より攻撃を仕掛けるようになった。下手に連動させて動くよりも個々で動く方が良いと判断したのだろう。
しかし、それは好手でもあり、悪手でもあった。
個別に動いた方が動きや戦いは上手く運べる。しかし、それは兵力を少なくしてしまうということでもある。故に
「リッチー様!儀式国の夜襲です!」
「なんだと⁉︎ええい!すぐさま防御陣形を取れ!この喧騒だ!悪魔国の本隊がすぐに気が付くだろ!」
「はっ!」
このように敵の兵力が少なくなるので、局地戦において、兵力が同数程度になる。よって各個撃破を行うことが可能になってしまうのだ。故に、少なくなる局地戦でも油断は禁物。そんな中で
「.......‼︎」
「うわぁぁぁぁ!」
「なんだこいつ!」
「........‼︎」
不乱健は己が矛を振り回し、儀式国の兵を薙ぎ倒す。その姿、まさに暴風。
「健!あまり無茶をするなよ!」
「.......‼︎」
「ふふっ、私も、そうそうやられるつもりは無いさ」
「........」
「ああ、そうだな。全く、夜襲が来る可能性を言っておいたのに、この体たらく。私もまだまだだな」
不乱健とイゾルデは各々の武器を持ち、儀式国軍を迎え撃っていた。
儀式国軍 本隊
「ようやく引いてくれたか」
「電撃戦な以上、これ以上ここに留まるのは危険かと」
「ああ、すぐさま兵を引かせるぞ」
「了解です!」
シナトの隣にいたセンジュゴッドが離れた時を見計らい、イゾルデ率いる500人が儀式国軍に夜闇に紛れ、夜襲で返しをした。
「今だ!やっちゃえ健!」
セイハイイリヤバーサーうっアタマが
それはさておき
突然の急襲に儀式国軍は戸惑いを隠せなかった。そんな中でシナトは
「流石だな!夜襲をこんな形でし返すとはな!」
そう言いながら飛び出した。
「シナト様⁉︎くっ!皆の者!シナト様に続けー!シナト様を殺させるな!」
「「「うぉぉぉぉ!」」」
シナト自ら飛び出し、その後に部下たちが続く。たった一つの挙動だけで全員の戸惑いを払拭とまではいかないが、やることを明確化させ、そのための行動を起こさせたのだ。咄嗟の判断で、正しいこととは言えないが、部下に対する絶対的なまでの信頼関係が築けているからこその暴挙だった。
この返しは流石のイゾルデも予想外で、もう少しだけ混乱が続くと読んでいたために、僅か500の兵力で3000近くを相手にするのは不可能だった。そしてあえなく捕縛されてしまった。
そして、次の日、イゾルデと不乱健は本陣で引き合いにだされていた。
「殺せ」
「断る。なぜ敗者に命令されなければならんのだ」
「シナト。にあってないぞ」
威嚇するイゾルデ達にシナトは傲岸不遜な態度で返す。しかし、言っていることはいちいち最もなのが達の悪い。しかし、センジュゴッドはそんなシナトがにあっていないとズバッと言う。シナトは心の中でしょげていた。
「私の身体でも目当てなのか?」
「ん?まあ、そうだな」
「やはり、男はどいつもこいつもこうなのか!」
「??」
2人の会話は、何処か噛み合っていなかった。
「俺はお前達が欲しい。俺に仕える気は無いか?」
「断る!何が面白くて敵であるきさまらに仕えなければならんのだ!」
「まあ、そうなるわな」
「お前は私の身体が目当てと言った!え⁉︎何をさせるつもりだったんだ⁉︎言ってみろよ!」
その言葉に、周りの者達は顔を少し赤くさせる。が、シナトはこともなげに
「いいだろう、言ってやるよ」
「は?」
「俺はお前に内政を.....主に地域の治安維持活動を行って貰いたいと思っている!」
「え?....え?」
「今の俺たちは領土が広がったのはいいが、それだけ仕事量が増えている。少しでも優秀な人材が欲しいのだ!そこにお前達が来た。欲しくなるのは当然だろう?」
「(体が欲しいと言っていたのはあながち間違いでは無かったが、このような勘違いとは....)しかし、自国があるのに、なぜお前に仕えなければならんのだ!」
「お前らは自国でも閑職についてるんじゃないのか?」
それは一概に正しいとは言い切れないが、イゾルデ程の才能の持ち主ならば、ただの簡単な官職よりももっと上にいけているはずなのに、できていなかった。つまり、シナトはその才能が埋れてしまうことを嘆いていたのでもあるのだ。
「......」
「沈黙は是なり、だぞ?」
「一応、官職にはついているし、他の国の引き抜きからの言葉も同じだった。だが、なぜ私たちにここまでするのだ?」
「決まっているだろう?俺は自国の民だけでなく、全ての民が安心して、帰る所を作ってやりたいだけだ」
「.....どういうことだ?」
「今の世の中、道を歩いていると、追い剥ぎが出る可能性もある。乞食の少年少女がいる可能性もある。山道を通っていると山賊に出くわすこともある。しかし、それではいかんのだ。人間は愚かな生き物だ。平和なぞそう続かない。でもな、平和は、尊いのだ。200、いや、100年でいい!平和にしたいのだ!この札ノ国(日の本的なイメージです)を!子供達が安心して帰れるように!飢えで子供を売り払うことの無いように俺はしたいんだ!」
シナトの魂の叫びはそこにいた諸将達の心に伝わり、己が仕えている主の懐の深さに感動していた。
「しかし、戦を起こせばそれだけ親のいない子が増えるのはどうするのだ?」
「.....それは仕方のないこと.....と、言えばそれまでだが、かと言って戦を起こさず、ほっとく場合、いずれどこかの強国に蹂躙されるだけだ!ならば!悪名の誹りをうけても構わない!批評が数多のごとくきても構わない!今と未来の子供達の安心して暮らせる国を作るためなら、俺は鬼にも悪魔にもなろう!一時的にでも平和になれば、平和の大切さがわかってくれるはずなんだ!」
そのシナトの強い思いにイゾルデは驚きを隠せなかった。本心からの叫びだからこそ、ここまでイゾルデの心に突き刺さった。一応、先代王の息子とは言え、第三子だったため、ほぼ当主の座に着くことは無いと思っていたため、民草と共に生活をしていた故に分かるシナトだからこその願いだった。
「ふふふ、ふはははは!」
「なんだ?何がおかしいんだ⁉︎」
ソニックバード達は、突然笑い出したイゾルデを威嚇する。
「ここまで、民に真摯に向き合っていた将はいたかなぁ?ふふ、民に寄り添うは愚かな事。民は愚かで、愚鈍で、だからこそ、正しい。だからこそ、このような純粋な当主には、私のようなひねくれ者も必要だろうな」
「なら⁉︎」
「このイゾルデ、微力ながらお力になりましょう」
「.......」
イゾルデが頭を下げると、隣でずっと無言でいた不乱健もそれにならって頭を下げる。もとより、イゾルデと共にいるつもりだったこだろう。逃げるなら力添えしただろうし、今でも、縄をぶち破って逃げることもできた。それをしなかったのは、イゾルデがシナトという人間を見極めようとしていたことを理解したからだろう。
こうして2人が儀式国軍に加わった。
それからの戦いは幾分楽になった。不死国の軍師がいなくなったために不死国の戦い方がかなり乱暴になったからだ。しかし、悪魔国の戦い方は用意周到に組まれた戦い方故に、一進一退の攻防が続いていた。しかし、そこに儀式国本拠よりの援軍が到着。これにより、戦闘可能兵力は1万1千を数えるようになった。
しかし、対する連合軍は減ったとは言え、今だに1万8千は残している現状。さらに儀式国は連戦の疲れが見え始めているが、連合軍はまだまだ余力のある状況だ。
本陣の中では、ソニックバード、センジュゴッド、イゾルデの儀式国の軍師達が頭を捻っていた。
「やはり持久戦になるとマズイな」
「かと言って、無理に速攻に入ると、手痛い反撃を喰らいそうですよ」
「ああ、それに悪魔国の大将は人中のドレッドルート、馬中のトロイホースと言われるドレッドルート。さらに悪魔国きっての切れもののイレイザーもいる。勝ちはなかなかみえてこないな」
3人は再び頭を抱えた。
「マンジュゴッドはカオスソルジャーと共に龍皇国に行ってしまっているし、ゾークとモリンフェンは戦士国の挙動に目を光らせているから動けない」
「兵士達の戦意は高いものの、疲労の色が濃い。どうにかして兵達の休憩の時間を稼ぎたいな」
「短期決戦だと、疲労は大敵だからな」
「こんな時にカクタス師匠はどうするんだろう」
ソニックバードとセンジュゴッドはもういない師匠に助けをこうかの如く、空を見上げた。
すると、ソニックバードは何かに気が付いたのか、センジュゴッドを見る。センジュゴッドも気が付いたのか、ソニックバードの方を見ていた。
「兵糧だ!」
「そうだな。おそらく奴らの動き、そして行動範囲から考えると、おそらくこの森の中だろう」
ソニックバードとセンジュゴッドは、雨雲の動きを見て、雨は恵みの雨。と言われるように、草花達に命を与える。そこから連想される米を考え、あれだけの大軍だから、兵糧の用意は大変だ。だから、兵糧を焼き払えば、撤退せざるをえなくなり、戦いが終わると考えた。
「いや、おそらくこっちの崖下だろう」
「え?」
ソニックバードらは起こそうとしていた行動を止めた。イゾルデの指差す先は自分達の考えた場所から少し離れた場所にあった。しかし、そこの可能性も否定ができず、ソニックバードとセンジュゴッドは無言になる。
「ん?なんだ?どうした?」
「おそらくもとはここにあったんだろうが、イゾルデがこちらに来たから移動させた」
「そして、おそらく考え付かないところと見ると、あながち間違いでは無い......か」
2人は頷くと
「チック!クリス!」
「「ハッ!」」
ソニックバードが誰かの名前を言うと、物陰から2人の忍が出てくる。
「こことここの箇所を見て来い。兵糧庫があったならば、帰還せよ。無ければその辺りを散策し、情報を集めよ。わかったなら行け」
「「了解!」」
了承の言葉を残し、音もなく立ち去る姿はまさに忍。
そして、2日ほどの後に、イゾルデの言った崖下に連合軍の兵糧庫を見つけたのだった。
「さて、落ち着いた戦況にはなってきているが、なかなか厳しい状況じゃな」
「そうだな。だからこその、この兵糧庫の強襲だろう?」
「全く、作戦もなにもあったもんじゃないのぅ」
「でも、かなり効果的だな」
「「だれが崖から攻撃を仕掛けるなんて思うかよ(の)」」
ゼラとガルマソードは兵糧庫のある崖下の真上に来ていた。斜度はおよそ50度。足を出せば下が見えない。
しかし、2人は不敵に笑うと
「皆の者!遅れるなよ!」
「儂等について来い!」
そう言うと、空中に身を踊らせた。崖を己が大切に育てた馬と共に駆け抜ける。
兵糧庫は大混乱に陥っていた。そりゃあ、ありえないと思っていた崖からの攻撃だ。驚くのは当たり前だ。
暫くすると、這々の体で守備隊は逃げ去っていった。そして、兵糧を堂々と持ち帰り、残りは火をつけて燃やしてしまった。
この兵糧庫強襲により、最前線に送る兵糧が一時的に不足し、後ろの兵糧庫から運搬を急がせることになり、暫くの行動を阻害する事に成功する。この時間は儀式国に僅かばかりの休息の時間を与えた。
兵糧庫を強襲した夜、イゾルデは陣をそっと離れると、ちょっとした草原に来ていた。
「.......」
そして、無言で空を見ていた。そこに
「眠れないのか?」
「シナト様⁉︎」
シナトがやって来る。
「......あなたは馬鹿なのですか?こちらに参入したばかりの人間に共の一人も付けずついて来るなんて」
「お前はそんな事をしないと分かってるからな。共なんぞ必要ない」
「どうかわかりませんよ?」
「そんな事を言う時点で、考えてないだろ?」
「........」
イゾルデはシナトとの話では、やはり中に隠していた自分が出てくるのを抑えられないと思った。
「貴方はバカですね。それも度が過ぎるほどの」
「そ、それは無いだろ⁉︎言い過ぎだよ⁉︎それに俺は曲がりなりにも当主だぞ⁉︎」
「ふふっ、でもそんな貴方を、私は嫌いじゃ無いですよ」
「ん?」
「貴方は前だけ向いていればいい。私たちは、貴方が前に進むための後押しをする。そのためにいるんですから」
イゾルデはシナトに向かって微笑んだ。
「あ、か、勘違いするなよ?お前がどうこうではなく、お前の想いに同調しただけだ。決して、お前を懸想しているなどというわけでは無いからな!」
「お、おう」
イゾルデは突然顔を真っ赤にし、シナトに詰め寄った。その後、シナトはその必死さに吹き出し、釣られてイゾルデも笑う。そして2人で笑いあった。
そして戦いが再開された。しかも連合軍は一気に決着を付けに来ていた。
「くっ!兵力差がありすぎる!」
「やはりキツイなっ....!」
ソニックバードとセンジュゴッドは一気に攻めて来る連合軍に苦戦をしていた。
3日の間、連戦における連戦のせいで儀式国の防衛軍の戦闘可能人員はかなり減っていた。
そして、だんだんと儀式国は押し込まれていた。
この日、なんとか儀式国が連合軍を押し返し、なんとか今日も耐え凌いだと思った次の瞬間
「た、大変です!これより先に不死国の軍が待ち構えています!」
「さらに、押し返した悪魔国の軍が左右に分かれて再攻撃してきます!」
シナト達はまんまと悪魔国の軍師、イレイザーの策略にはまってしまった。
そして、このままだと囲まれることは必至。さらに悪い事に本隊が進軍しているのも聞いていたため、前後左右、全てに敵がいて、総合兵力差も圧倒的。まさに絶体絶命だった。
「私達が活路を開きます!お逃げ下さい!」
「そうです!シナト様!貴方が死んでは元も子もないのです!」
シナトに付き従う部下達が死を覚悟してシナトに進言する。入ったばかりのイゾルデや、ソニックバードやセンジュゴッド、ゼラにガルマソード.....今いる代表的な部下達がシナトを護ろうと隊を整えていた。
シナトは組んでいた腕を下ろし、全員を見渡す。
「今いる兵力は八千ほど。それを4つに割る」
「「「「「⁉︎」」」」」
シナトの一言に全員に緊張が走る。
「帰りの道の不死国の軍は減りはしたものの、今だに5千はいる。しかし、城にいるクーフーリンとその部下のトランスは優秀な将だ。すでに異変には気が付いているだろう。だからこちらはあまり気にしていない。重要なのは悪魔国の軍だ」
そこで一度切ると、シナトはゆっくりと見回す。
「おそらく残っている戦闘可能な敵兵力の殆どをつぎ込んでいると思う。この展開だと」
「それは同意見です」
シナトの話に軍師達が同意する。周りも納得の表情だった。
「想像の域を出ないが、悪魔国のイレイザーは部隊を細かく割るきらいがある。だから本隊には兵力が少ないだろう。だからおそらく現状戦いを行える悪魔国軍の兵士数を約1万と仮定し、先程の戦いの半数だから左右からは4千といったところか」
「その程度だと思われます」
「なら、ゼラ!ガルマソード!」
「「はっ!」」
「お前達に二千の兵を渡す!左右からの攻撃が来るまでに分かれて攻撃を開始!合流される前に各個撃破!難しい話だろうが、頼むぞ」
「全く、無茶な注文ばかりなさる当主だ」
「しかし、腕が鳴りますわい!」
ゼラとガルマソードは話を聞くや否や飛び出して自分が割り当てられた兵士達を連れてすぐさま別れる。今は一分一秒が惜しいことを、よく理解していた。
「バードマンとジュミナイエルフの2人は二千五百の兵を渡す!不死国の足止めを頼む!」
「「はっ!」」
物語上初登場の2人ですが、割とずっといました。まあ、置いといて、
バードマンとデュミナイエルフの2人は兵士達を取りまとめ、進もうとしていた道を再び進む。
そして、シナト、ソニックバード、センジュゴッド、イゾルデ、不乱健がそこに残された。
「して、我らは如何なさいますか?」
「私のような新参者を最後まで残すのか?他の隊に渡せばよかったのでは?裏切られてもいいように」
「裏切るのか?」
「そのつもりはない」
「ならいいだろ?」
イゾルデはシナトの言葉に頭を抱えるしかなかった。
自分が仕えようと思った主が割とバカだったからだ。まあ、人を馬鹿正直に信じ過ぎるだけで、頭の回転は軍師である自分達を驚かせる程だ。そんなかなり純粋なシナトとともにいることで毒気が抜かれてしまうのだろう。まあ、シナトは人の酸いも甘いも悪意も知っているからこそ、信じたいだけなのだが。
「これより俺たちは本隊を狙う!」
「「「「は?」」」」
シナトの言葉に一同が絶句した。
「本気.....ですか?」
「本気だ」
「足止めしてくれているのだから、逃げればいいじゃない!」
「それはダメだ。根本の解決になってない」
「しかし、シナト様に危険が及ぶ可能性が!」
「これは決定だ。うまくいけばここでこの戦の決着がつく」
「しかし、こちらの敗色が濃厚だぞ!」
「考え直すべきです!」
「こんな所で立ち止まっていると、俺のしたいことは、いつまでたってもできそうにない。だから、俺は行く。この程度の逆境で立ち止まる訳にはいかない!」
シナトは周りの制止の声を振り切って言い放った。
「はぁ、厄介な主に仕えてしまったようだ」
「イゾルデ、諦めた方がいいぞ?」
「全く、あんたがいくなら私達も行くしかないじゃない。あんたは、私達の主なんだから!」
「シナトの無茶振りは今に始まったことじゃ無いしな!」
「ソニックバード、イゾルデ」
「騎兵を残してくれていますね。全く、あの人達ときたら」
「........!」
「センジュゴッド、不乱健」
シナトは周りの部下達が自分の決定に異を唱えないと知り、さらに全員が着いて来るとまで言い放った事に驚きを隠せなかった。こんな死地に赴くようなものだから、逃げてもいいぞと言おうとしたのにこの状況。シナトは自分を信じてくれる部下に感謝した。
連合軍分隊悪魔軍 本陣
「ふふふふふ、この陣容、凌いだと思った所を叩く。気が抜けた瞬間が1番弱いからな。敵兵を1人たりとも逃さぬよ」
「イレイザー、そんなに今までの戦いのせいで鬱憤が溜まっていたのか」
本陣ではイレイザーとドレッドルートが話し合っていた。人中のドレッドルートなどと言われているが、決して武力頼みの人間では無い。策略を巡らせるわけでは無いが、極力筋を通したいと思うし、勝ち目がほとんどないにもかかわらず逃げ出す兵士が殆どいない、儀式国に敬意を払っていた。
しかし、イレイザーは智略を巡らせ、敵を完膚無きまでに叩きのめしたい。そう思う人間だった。いや、彼なりに味方が傷付くのを恐れていることの表れなのだが、何とも言い難い顔芸をしていた。
シナト隊は先程の場所から全力で、しかし、静かに駆け抜けていた。
音を極力出さず、敵本隊の行軍の横に出るために迅速な行動をとっていた。
そして、森の中に身を潜める。そして暫くすると、悪魔国軍の旗が見えた。側にはドレッドルートとイレイザーの旗が見える。
敵兵力はおよそ四千
対するシナト軍の兵力は千五百
そして
その時歴史は動いた(これはあくまで物語です)
シナトの軍は隊を3つに分けて潜んでいた。
第一陣、ソニックバードらが率いる五百人が勢いに乗って悪魔国軍の脇腹に突撃を仕掛ける
「うおおぉぉぉぉぉ!」
「忍忍!」
「キャラ作るのやめろチック」
率いるのはソニックバードと黒蠍忍軍だ。
そして、突撃を仕掛け、楔を打ち込む形となった現状にさらに
「はぁぁぁぁぁ!」
「やっちゃえ健!」
「.......!」
センジュゴッドとイゾルデ、不乱健率いる五百人が傷口を広げる形で突撃。
これにより、外周の防御が割れ、敵の本陣までの道程ができた。そして
「俺に続けぇぇぇぇぇ!」
うぉぉぉぉぉぉ!
シナト率いる最後の部隊が敵の本陣に強襲を仕掛ける三段構えだった。
そしてシナトが本陣にまで到達した。そこには
「お前がシナトか」
「ドレッドルート!」
人中のドレッドルートと言われるおそらく当代最強とまで謳われる奴がいた。
そして、一呼吸を起き、シナトとドレッドルート。2人の大将が激突した。
戦いが始まってから20分。まだ戦いは続いていた。シナトとドレッドルートの戦いは特に熾烈な戦いを極めていた。しかし、どう見てもドレッドルートが一方的に攻撃しているようにしか見えなかった。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
「ぐっ!」
ドレッドルートが方天戟を振るえば、シナトが受け止める。しかし、シナトの身体には無数の傷ができていた。武力に差がありすぎたのだ。
「こんなことなら、もっと剣を振るっとくべきだったな。こんな時にいつもおもうぜ。訓練が足りなかったなって」
「ふん、ならひと思いに逝け!」
ドレッドルートが戟を振るう。シナトはなんとかガードし、後方に吹き飛ぶ。しかし、立ち上がる。
「ここまでされながら立ち上がる奴を始めて見たよ」
「光栄なこって」
「しかし、貴様がオレに勝てる道理などない!」
ドレッドルートは戟を左右に、時に突きを放ったり、シナトをとことん追い詰める。しかし、シナトも左右から来る振りを躱し受け流し、時には吹き飛びながら、それでも喰らいつく。2人の周りからは悲鳴や怨嗟の声が響く。
うぉぉぉぉぉぉ!
こいつ、良いやつだったのに!
死ねぇぇぇぇぇぇ!
僕と契約して満足民になってよ!
死にたくないよぉぉ!
うわぁぁぁぁ!
やーなかーんじー!
はぁぁぁぁぁ!
たすけてくれぇぇぇぇ!
討ち取れぇぇぇぇぇ!
ドレッドルートたシナトが切りあって既に40分が経過していた。こんな命のやり取りを40分も。シナトは極限まで神経を研ぎ澄ませてドレッドルートの攻撃に耐えていた。
「解せんな。援軍など来るわけが無いの言うのに、何故そこまで耐える」
「ハァ、ハァ、何を言っている。来るに決まっているだろう。俺の部下だぜ?」
シナトに問いを発するも、明確な答えを得られず、ドレッドルートは呆れた。
「精神論だけで勝てるほど、勝負は甘くないぞ」
「ああ、そうだな。でもな、勝とうと思わないと、勝てるものも勝てないよ」
ドレッドルートはシナトの発する覇気に一瞬気圧された。しかし、気を取り直し、
「勝とうとしないと勝てないか。言い得て妙だ。でも、戦に出て勝とうとしないやつなんているわけなかろう!」
「戦において、総合的な戦闘能力が似たようなものなら、最後の最後で決まるのはその心だ。俺はそう思ってる。だからこそ!そいつらの主である俺が1番最初に諦めちゃダメなんだよ!」
シナトの叫びに呼応するかのように、シナトの左後方から歓声が巻き起こる
「シナト様ー!儂に続けぇ〜!」
ゼラが千程の兵力を率いて突撃をしてかけてきた。すると、右後方からも
「まだ死んで無いですよね!主!」
ガルマソードも4本の剣を振るって本陣の戦いに乱入する。他にも
「行くぞ!黒蠍ストリームアタックだ!」
「「「「おう!」」」」
黒蠍忍軍の頭領であるザルーグが援軍としてミーネとゴーグを引き連れ参戦。元いたチックとクリスと合流し、戦場を撹乱していた。もちろん
「はぁっ!」
「どりやぁ!」
「......!」
「やぁ!」
ソニックバードとセンジュゴッド、不乱健にイゾルデも奮戦していた。そして、さらに後方から土煙とともに儀式国の城にいたクーフーリンとトランス、そしてバードマンとデュミナイエルフが軍を引き連れてやってきた。
ここに大勢は決した。シナトの周りにはシナトの代表的な部下が立ち並ぶ。いくらドレッドルートも当代最強と謳われようと、この人数を前に戦おうとは思わなかったようだ。
しかし、イレイザーは予想外のようで
「何故ここにいる⁉︎」
「決まっている。倒したからだ!」
「そんな馬鹿な⁉︎」
イレイザーが驚くのも無理は無い。あれだけの戦力差。こんな短時間でひっくり返すのは不可能だしかしこともなげに
「壊滅はできてないが、個別に率いていた分隊長は倒してきた」
つまり、トップがいなくなり、さらに勢いのある儀式国に何もできずに潰走したと言うわけだ
このことを一瞬で理解したイレイザーもかなりの切れ者といえる。
「これが俺達だ!俺は武官みたいに武力があるわけでは無いし、文官みたく謀や政治をうまくできるわけではない!でもな!こんな俺を主としてくれてんだ!だからこそ!俺はみんなと共に!誰よりも前を走り続けて見せる!」
シナトの言葉に周りの部下達は信頼を勝ち得ているということを知り、少し照れ臭そうにしながらも、ドレッドルートを警戒していた。
「やはり、貴様をここで葬ることに失敗したのは大きな痛手となりそうだ」
「ぐっ、しかし現状からの打破はほぼ確実に不可能!撤退です!」
こうして悪魔国と不死国は撤退していった。なんとか勝ちを拾えたが、儀式国は非常に危険な状態だった。
後に枕田峠の戦いと言われるこの戦いから儀式国は急速に力を付けて行くことになる。しかし、このことがわかるのはちょっと先の事になる。
登場人物(新規と改定)
ソニックバード
統率力61、武力75、智謀73、政治力60、人望67
センジュゴッド
統率力60、武力76、智謀74、政治力59、人望67
バードマン
統率力68、武力69、智謀、38、政治力47、人望84
デュミナイエルフ
統率力76、武力42、智謀75、政治力79、人望80
イゾルデ
統率力57、武力38、智謀87、政治力82、人望76
不乱健
統率力88、武力92、智謀11、政治力10、人望68
ドレッドルート
統率力90、武力100、智謀1、政治力1、人望78
イレイザー
統率力84、武力8、智謀90、政治力91、人望71
アバター
統率力100、武力85、智謀85、政治力85、人望85
リッチー
統率力62、武力67、智謀42、政治力73、人望57
オマケ
おそらくこの精霊戦国伝で登場済みの武将達がチョコをあげる時の言葉(作者の妄想)
ノースウェムコ「あ、あの、はい、これ。……返事、今度聞かせて下さい!」
そのまま逃げ去る。
ダンシングソルジャー「ほい。……ん?アタイがチョコをわたしたらおかしいかい?……なんか照れくさいなハハハ。まあ、返事、頼むよ」
頬をかきつつ言ったあとに足早に立ち去る
イゾルデ「はい。あ!ぎ、義理だからね!勘違いしないでよね!……嘘。本命。だからどんなんになっても恨まない。だから返事聞かせてよね」
顔を真っ赤にしつつ言う
うん、無いわ
さて終わった終わった。
真琴「最後のいるのか?」
いや、あくまで作者の妄想だし、問題無いだろ(テキトー)
真琴「さてと、今度から本編だな」
そうですね。真琴くんの活躍に乞うご期待!
真琴「面倒な……」
嘘でもいいから頑張ると言ってくれ!
真琴「zzz」
寝ないで〜!はぁ、ではでは、このへんでさようなら。チョコもらえるかな?とりあえず義理ですが4個既に貰ってます。まあ、幼馴染なんですがね。(彼女いない歴=年齢)
ちなみにこの作品(精霊戦国伝)は存在するメディア、企業は一切関係ございません。ネタは使ってるけどね。あと、カードのストーリーなども関係ありません。リチュアとネクロスがプロットで同居してるくらいですしね。