もう僕疲れたよパトラッシュ……
とのことでそれでは今回も!!
~前回のあらすじ、レミリアと戦いました
全てを運命だと片付ける事は容易いだろう
こんな目にあったのも運命だ、この子と今日会ったのは運命なんだ
だけどそれは全てを運命と片付けて考える事を放棄してしまっていること
こうなってしまった因果を考えずに運命だと一括りでまとめてしまう
昔の者が病を呪いだと言い張った様に、全ての天変地異は神の仕業だと言い張った様に
理由を考えない者はそこで進化を止めてしまう
人間は妖怪と比べ寿命の短い存在、何十年かそこいらで、長生きして何百年で死んでしまう
その短い期間で如何にどうやって進化していくのか
………それが楽しみなんだよね
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薄暗い玉座の間には大量の返り血を浴びた赤色のネグリジェに身を包む少女、青と白のメイド服を着飾った少女と紫と薄紫の縦じまが入ったパジャマの様な物を着飾る少女、そして………血を流しながら息絶えた男性が居た。
ネグリジェに身を包む少女は男をゴミの様に其処らに投げ捨てた。興味をなくしたかのように。
「………結局血付いちゃったわね」
「……お嬢様これはどういう状況ですか、後片付けが大変そうなんですが」
「これはまぁ……随分と暴れたものね」
メイド服を着ている少女は部屋の状態を見るとゲンナリと言った表情で見つめる。それはそうだ部屋の中は以前の面影などないのだから。
地面は抉れ凹凸が激しくベットのスーツは破れ、天井にぶら下がるシャンデリアは今にも大きな音を立て落ちそうに前後と激しく揺れている。
何よりも男の血が其処ら中に飛び散りシミを作ってやると言わんばかりに乾燥し始めていた。
「まぁ色々あったのよ、そこの人間……処分しといて、食事は違う物を食すわ」
承知しました と重い口ぶりで口を開く少女、溜息を今にも吐きそうな表情で男の方に向かいうつ伏せに伏せている男の服を引っ張り乱暴に仰向けに返させるとメイドの少女が驚いた様に声を小さく上げた。
「うわ……お嬢様これ何なんですか?」
「人間の死体よ、見慣れた物なんだから一々聞かなくてもわかるでしょう?」
「これが人間……?そうは見えないんですけど」
訝しげな顔を浮かべて喋るメイドの少女。そこまで酷く殺した筈じゃないけど……と面倒そうに男の方へ向かう。
紫色のパジャマを着た少女も少し興味が沸いたのか小走りで死体を見に行く。身を屈めて男の死体を三人の少女が眺める。
足は特に外傷も無しに黒色のベルトを付けた長ズボンを履いていた、次に胴体へと目を移す、胸はポッカリと向こう側が見渡せる様な大きな穴が空いており水色の服にポツポツと赤い血を混ぜていた。
最後に顔を見ると………のっぺらぼうの様に顔のパーツが何も付いていない、顔面には3と黄色い文字ででかでかと書かれている。
「うわ……何よこれ、レミィどんな人間殺したのよ」
「あれ………?こんな顔じゃなかった筈なんだけど」
おかしいな……?という表情を浮かべるネグリジェの少女、コツン……と小さく後ろから物音が聞こえる。
勢いよく音の発信源である後ろを向くとーーーー
……………倒れ込んでいる人形と同じ服を着た男性が立っていた。
「………貴方まだ生きていたの?往生際が悪いわね」
男を見るなり不快そうな表情を浮かべ立ち上がろうとするが………立ち上がれない。グイと何かに引っ張られるようなそんな感覚。
またも後ろを振り向くと………人形がネグリジェの少女の腕を離さないと言わんばかりに強く握り締めていた。いや、ネグリジェの少女だけではない、もう片方の腕でメイド服の少女と紫色のパジャマの少女を抱き抱える様に掴んでいた。
「ッな!?何よこれ!?私の……力でも離せないなんて……!!」
立っている男はニヤリと口元を弧に描き獲物がかかったと言わんばかりの表情で。
「それじゃあ………バイバイ!!」
パチリと指をならすと大きな音を立てて人形が爆発したーーーーー
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漂う火薬の匂い、漂う血の匂い、そして痛みに呻く少女達。形勢逆転とはまさにこの事か。
レミリアの片腕は爆発に巻き込まれ失われていた、咲夜やパチュリーは全身に痛々しい火傷を負っていた。
「クソッッ……!怪我が治らない………」
「爆発と一緒に銀の破片を飛ばしたんでそう易々と回復は出来ませんよ?」
「銀……!?吸血鬼の弱点を…………知ってたの?」
「はい、退治屋ですから」
思うがままに体が動かないのか伏せたまま立つ事も出来ないレミリア、息も絶え絶えに痛みに呻きながら言葉を紡ぐ。
地面に落ちたステッキを手に取りレミリアの方へとゆったり歩きながら向かう退治屋。一歩一歩近づくに連れて体を震わす様はとても五百歳には見えない、恐怖に怯えてるただの少女だった。
何をされるのかわからない、この場で無様に殺されてしまうのか……意を決した様に強く歯軋りをすると退治屋に向け一本の光り輝くナイフが飛んでくる。
「っと、危な!?」
「………お嬢様に手出しはさせない」
男は危なげに体を後ろに跳ねさせナイフは命中せずに空を切る。
ズルズルと体を這いつくばりながらもレミリアの元へと必死に体を動かす咲夜、男はその光景を悲しそうな顔で見ていた。
パチュリーまでも咳をしながら一歩一歩重い足取りでレミリアの元に向かう。二人は敵を睨むような目つきで男を睨みながら言った。
「お嬢様に手出しはさせない!!」
「親友に手出しはさせない!!」
怪我人とは思えない程の怒声。その言葉は退治屋を怯ませ、倒れている幼い少女を安心させた。
二人は睨むように目を鋭くさせる、咲夜は手元に磨かれた銀色のナイフ、パチュリーは紫色の魔法陣を描く。
後ろに居る当主は感動や悔しさが混じった顔で二人を見据えていた。
第二ラウンドが今にも始まりそうな雰囲気、ピリピリとした空気が肌に突き刺さる。退治屋は手に持ったステッキを強く握り締めーーーー
……………思いっきり地面に投げ捨てた。
ガツンと大きな音を立ててステッキが転がる、退治屋は息を激しく切らし
「こんなんじゃ俺が悪役じゃねぇか!!!!!」
紅魔館全体に轟く様な大きな声、頭を両手で強く挟みながら言った。
まだまだ飽き足らないのか次々と喉が潰れる勢いで大声をあげる。
「なんで俺が悪役みたいになってるんだよ!!! おかしいだろ!? 何が妖怪退治だ!! そんな大義名分捨ててやる!!」
終わらない悲鳴にも似た大声。やっと落ち着いたのか肩で息をしながら言葉を途切ると次は情緒不安定の様に蹲って顔を抑えながら涙を流し始めた。
声を上げながら涙を流す。レミリア達はいきなり過ぎる男の行動に固まった様に静かに眺めるだけだった。
何をしているのかわからないと言った顔で、半ば顔を引きつらせながら。
途端に男が涙でグチャグチャになった顔を上げ、地に落ちたステッキを手に取りレミリア達へと向かう、先程の男がしたインパクトが大きすぎたのか近づいてきても未だ反応出来ずにいた。
ステッキがいきなりナイフへと変形しレミリアの目の前に立つ、やっと我に帰ったのか咲夜とパチュリーがあっと声を上げる。
男が高々とナイフへと構えると…………ナイフで自らの手首を掻っ切った。
五センチ程の切り傷から赤い血が流れ出てくる。その手首を呆然としたレミリアの前まで持っていくとこう言った。
「申し訳ありません………レミリア様がこんな人望のある者なんて……勘違いしていました」
またも涙を流しながら血の出ていない方の手で目元を抑える。二度目の奇妙な行動に最早恐ろしい物を見るような目線を送るレミリア達。
血を流し続ける手首をじっと見てやっとレミリアが口を開く。
「………何の真似?」
「何の真似も何も………血を飲んだらそんな傷治るでしょう……?」
「貴方の血を舐めろと?やだね、貴方の血を飲むぐらいだったら豚の血を舐めた方がいいよ」
顔を逸らしながら毒を吐くレミリア。そんなトゲのある言葉が男の心を抉ったのか更に声を上げ涙を流し始める。
流石にウザったいのか舌打ちをしながらイラつきを含んだ口調で口を開く。
「あーーもううっさい!! これ以上泣いたら殺すよ!?」
「殺してもいいんで………血吸ってください……こんな目に会わせてしまったお詫びがしたいんです……」
「………少しだけだからね」
実際にこんな深手だ、更に朝食も未だ済ませていない、目の前から流れ出る
暫し固まった後傷口に歯を立てて一心に血を啜る。
「お、お嬢様どうしたんですか!?」
「ちょっと…………吸いすぎ…………」
主の変貌ぶりに驚きの声を上げる咲夜、パチュリーも驚いた顔で親友であるレミリアを見る。
吸血鬼に吸われている快楽と血を流し流し過ぎて貧血を起こしているのか男は赤と青が混じった顔で口元を思いっきり噛み締める。
強く噛み締めてしまったのか唇からも赤い血が流れ出る。レミリアはその血に気付いたのか手首から流れ出る血を最後に一度啜ると口元から流れる血をペロリと舐めとった。
男は大きな奇声を上げるとパタリと地面に伏せる。
「…………レミィどうしたの?」
「そうですよお嬢様…………いきなりどうしたんですか?」
満足そうな顔付きでフゥ……と息を吐くレミリア、そんなレミリアを訝しげな顔で尋ねるパチュリーと咲夜。
「…………凄く美味しかった」
「……………え?」
「今まで飲んだことも無いような味だったのよ!!何悪い!?」
「「…………………」」
赤くなった顔で叫ぶレミリアに呆れたかの様な表情を浮かべる咲夜とパチュリー。
ピクピクとしか動かない男をレミリアは一目見るとソワソワと口元へ牙を向かわせると…………扉が大きな音を立て開く。
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扉の前を向くと次々と部屋の中に入ってくる人間達。腰にかけている刀………私を打ち倒そうとしてる連中かしら。
いくら血を飲んだ途端傷が癒える訳でもない……あと持って五分ぐらい経てば治ると思うのだけど、それまでこの連中全員相手にするのは難しいかも………。
傷のダメージに悪魔達まで呼び出したから…………流石に苦戦しそうね。咲夜達もボロボロだし、ここは当主としての威厳を見せないと。
「………貴方達を招いた覚えは無いのだけれど……?」
「俺達は盗賊なもんで………空家に入り込むのが仕事なんだよ!!」
「私達がいるのだけれど」
「だからこれから空家になるんだよ」
頭の悪そうな連中………そこに横たわってる男の方がまだいいわね。というか美鈴は何をしているの…………。
「美鈴は何してるのかしら……?」
「………申し訳ございませんお嬢様、先程人里に買い物に向かわせてしまって………」
「こういう時に限っていないのね」
自分の運の悪さに溜息が溢れてしまう………今日はかなりの厄日ね、霊夢の所にでも行こうかしら。悪魔がお祓いってのも変な話だけれど。
まぁいい、この連中全員殺したらこの男の血何日かけて吸ってやろうかしら………。
そんな下らない事を考えているとグイと服を引っ張られる。後ろを向くとフラフラと男が立ち上がる。
「後は俺に任せて下さい………こんな連中だったら何とかなりそうなんで」
「何言ってるの?貴方やっと立てるって感じじゃない」
「だいじょーぶですって、見てて下さい」
頭をポンポンと叩かれフラフラとした足つきで私の前に立つ男。今日は私の前に立つ奴が多いわね。
仕方なくその場に腰を降ろすと男が武器であろうステッキを手に掴む。
「やっぱりお前等俺を騙してたのか届け屋!!」
「騙される方が悪いに決まってんだろ………お前のお陰で
「どういたしまして!!ったく何回俺は人里の連中に裏切られるんだ………」
どんな関係なのかはわからないけど盗賊の一人と男がいがみ合う。騙されてたのねぇ………
ま、こんな男の事なんて知ったことではないけれど。今はどうやってこの連中を殺すのかが見物だ。
(デデン、バージョンアップ!!出た目は4!!強武器付属、紅色の串刺し処刑具!!)
ステッキからそんな声が聞こえると床が震え始める。地震かしら……………?盗賊達が揺れ始める地面にザワつき始めるとーーーー
途端に床から幾つもの白色の槍が伸びてくる。
予想外の場所からの攻撃に一気に盗賊共が反応できず串刺しになる。
そのまま天井の辺りまで伸び続け辺りに大量の血が飛び散る。血はたらりと白色の槍を段々と赤色に染め上げていく。
悲鳴も上げずに大量の槍に貫かれ手や足をブラリと投げ出している盗賊達。その地獄絵図の様な光景を見て私はこう感じた
ーーーーー美しい、と
まるで私の慕う者、ヴラド・ツェペシュのようだ。容姿も何もかもが違う、だがヴラド公は処刑する時は串刺しにして処刑したのだと言う。
実際に私は写真や絵でしか見たことが無い、だが写真越しにでもわかる、その時の情景が、悲鳴が、笑い声が。
裏切り者や反逆者は必ずと言って許さない。例え自分の国民であろうと貴族であろうと。そこがあの男とヴラド公をかぶらせるのだ。
何よりもーーーー血の雨を降らせながら気怠そうな目でこの光景を眺めている男に新たな感情を抱く。
私の物にしたい、奪いたいーーーーと。
………………決めた、あの男を。
「あの男を執事として仕えさせるわ」
どうでしたでしょうか('ω').。oO(?????????)
後半のネタ不足が少しやばかった………
それはそうとヴラド・ツェペシュかっこいいですよね
ヘル○○グ好きなんでイメージがあの吸血鬼になっちゃいます
まぁ一番好きなのはマクス○ェルなんですがね
目標!!前(ry
それでは次回まで!!ドゥワッチ
(主人公なんだか一撃必殺って感じですよね)