遊戯王世界でばら色人生   作:りるぱ

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 原作での流れ:

 入学したばかりの遊城十代と丸藤翔は、校内探検中に最新設備のデュエルフィールドを見つけ、早速体験(デュエル)しようとする。しかし、そこはオベリスクブルー寮専用のデュエルフィールドであった。
 現れた万丈目準とその取り巻きたちと口論になった遊城十代。続けて現れた天上院明日香と知り合い、お互いの名前を教えあう。
 その晩、万丈目準からアンティデュエルへの誘いのメールが十代の携帯端末に届く。誘いに乗り、夜中に校舎のデュエルフィールドへとやってきた十代と翔。

 取り巻き二人を引き連れた万丈目との、アンティカードを賭けたデュエルを開始する十代。その観戦に天上院明日香も現れる。勝負は十代絶体絶命のピンチに陥るも、偶然校内を巡回していた警備員から逃げるために中断される。
 警備員から逃げ切った十代達。
 十代に、警備員が来て助かったわねと話かける明日香。
 そんな彼女に、十代は最後にドローしたカードを見せ、それが逆転勝利の一手であることを示した。
 


第05話 壁を置こう

 デュエルディスクに先攻のランプが灯る。

 まずは手札を5枚ドローする。

 

 お、このデッキか。

 これなら、うまく行けばすぐに終わるかも。

 

「まずは俺のターンだ。ドロー」

 

 これが、記念すべきアカデミアでの初ドローである。

 それがこんな場面でというのは、いささか残念ではあるが……。

 

「モンスターゾーンにカードを1枚セットし――

 さらに魔法・トラップゾーンにカードを3枚セットする。ターンエンドだ」

 

◇◇

 

「おれのターンだ! ドロー!」

 

 取り巻きその1はドローしたカードを見てほくそ笑む。

 

「ふっ、お前は運がいい! こんなに早くおれのエースモンスターが見られるんだからな! さー! その攻撃力におののけ! ……と言いたいところだが、まずは地雷処理だ」

 

 さすがに3枚の伏せカードを警戒したか。

 どうやら、真っ直ぐ突っ込んでくれるほど猪突猛進ではないようだ。

 

「手札から速攻魔法【サイクロン】を発動! おれから見て左側の伏せカードを破壊する!」

 

 風が渦巻き、つむじ風となる。青い光を帯びたそれは、きっとエーテル的な何らかのファンタジー的要素を含んだものなのだろう。それは俺の伏せカード1枚に向かって迫って来た。

 ――だが、やらせない!

 

「カウンタートラップ、【魔宮の賄賂】だ。

 【サイクロン】の発動を無効にし破壊した後、君はカードを1枚ドローしていいぞ」

 

 つむじ風がかき消される。

 憮然とした表情でカードを1枚ドローする取り巻きその1。

 うん、今そっちのを壊されると、俺の戦術が全部おじゃんになるからね。

 

「後ついでに、今君が壊そうとしたこのカードを発動する。

 【メタル・リフレクト・スライム】!」

 

 何処かから、銀色のスライムが俺のフィールドに落ちて来た。

 絶え間なくぐにぐにと形を変え続けている様は、なんとも気持ちが悪い。

 

「このカードは発動すると同時に、守備表示でモンスターゾーンに特殊召喚される。因みに守備力は3000だ」

 

 

 

 

「すごい! 神君、いきなり守備力3000もあるモンスターを召喚したよ!」

 

「それにしても神のヤツ、初っ端から大量にカードを伏せたな」

 

 どうやら十代と翔はこのままデュエルの観戦を決め込むようである。

 まっ、このままうまくいけば、きっと君らの出番はないさ。

 

 

◇◆◆◆

 

「ふん、おれは【ゴブリン突撃部隊】を召喚! 

 ははっ、さー見ろ! 信じられるか!? 攻撃力2300のレベル4モンスターだ!」

 

(おれの手札には超レアカードの【スキルドレイン】。そして同じく超高攻撃力レベル4モンスター、【不屈戦士レイレイ】もある。

 本来はスキルドレインを発動してからだが、まぁいい。成績だけが優良なぽっと出が! まずそのセットモンスターを破壊し、おれの力を目に焼き付けてやる! お前なんぞが万丈目さんに取り入るのは10年早いってな!)

 

「いくぞ! 【ゴブリン突撃部隊】でセットモンスターに攻撃する! ははははは、これが攻撃力2300の突撃だ!」

 

 

◆◆◆◇

 

「はい、お疲れさん。セットモンスターは【アステカの石像】だ」

 

 レンガブロックを積み上げて作られた、上半身だけのモンスターが出現する。

 ゴーレムとか、ストーンマンとかの上半身だけと言えば、少しは分かりやすいだろうか?

 その全身は緑色に覆われ、苔がびっしりと生えているように見える。

 

「さらに【アステカの石像】の表示形式が表になった瞬間、速攻魔法【結束 UNITY】を発動!」

 

 デュエルディスクの【結束 UNITY】を差し込んだスロット――そのすぐ下についているボタンを押す。

 

「自分フィールドの守備表示モンスター1体を選択する。

 そのモンスターの守備力は、自分フィールドに存在する全ての守備モンスターの守備力を合計した数値となる。選択するのは当然【アステカの石像】だ。

 【アステカの石像】の守備力は2000。それに【メタル・リフレクト・スライム】の守備力3000を足して、5000にアップ!」

 

「くっ、な、なんだとっ!?」

 

 驚いてはいるが、まだまだ表情に余裕が残っているな……。

 ――でも残念ながら、この一手で詰みだ。

 

 前の世界とは違い、この世界ではデュエル中にカードのテキストを見ることはできない。知らないカードに関しては、発動してみないとその効果も分からないのだ。

 つまり、あらかじめ勉強して効果を覚えておかないと――――

 

「さらに【アステカの石像】の効果!

 【アステカの石像】を攻撃した時に受ける反射ダメージは倍になる。

 【ゴブリン突撃部隊】の攻撃力は2300――」

 

 さて、算数の時間だ。

 (5000-2300)×2=?

 

「つまり君が受ける反射ダメージは2700の倍、5400だ!」

 

「な……えっ!? う、うわぁーーーーーー!!」

 

取り巻きその1

     LP4000 → 0

 

 ――――こういう格好悪いことになるっと。

 

 さて、終了終了。

 一撃死。大変分かりやすいデュエルでした。

 

 ほんじゃ、次は万丈目とのデュエルだな。


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