「ここに遊城君が忘れていった漫画本がある。単純に説明するならば、この漫画本は私達にとっての一つの下位世界だ」
畳に無造作に放置されていた漫画を手に取りながら、そう説明する大徳寺先生。
彼はそのまま、手に持った漫画のページをパラパラとめくり始める。
「このように、上位世界の住人である私は下位にあたる漫画の世界を好きなように観察することが出来る」
言い終わるや否や、先生はページをめくる手を止め、視線を俺に向ける。
「ページをめくらなければ、この世界の時間は止まったままだ。そういう意味では、私はこの世界の時間さえ支配していることになる」
そして卓袱台の上にあるマジックを手に取り、流れるような仕草で漫画のひとコマを塗りつぶす。
「下位世界で発生した出来事に不都合があるならば、上位世界の存在にあたる私はこれをなかったことにも出来る。もっと専用の道具を用いれば、違うストーリに改竄することも可能だ」
それ、十代の忘れ物じゃ……。
「乱暴な説明だったが、これが上位世界と下位世界の関係だよ。
下位世界の住人は上位世界の住人に逆らうところが、その存在を認識することすらできない。
一方上位世界に住む者は下位世界を好きなように観察し、改竄することができる」
◇◇◇◇
――約20分前。
「ちょっとそこら辺で遊んでてくれ、終わったら呼ぶよ。
あっ。――それと、あまり遠くに行かないように」
「ウキー!」
レット寮に着いた俺は猿をそこら辺に放し、管理人室の前に足を進めた。
リズミカルに、トントントンと、
「すみません、神です」
ほとんど間を置かずに開かれるドア。
出てきたのは小さな鼻眼鏡をかけた黒い長髪の男性。右手には少々肥満気味な猫が抱えられていた。
「いらっしゃい、神くん。よく来てくれたにゃ」
「よかった、もう帰っていたんですね。
しばらくここで待つことになるかと思ってましたが……」
「私の今日の出番は午前中でおしまい。
だからこうしてファラオとのんびりしてたところにゃ~。ねっ、ファッラオー」
「うにゃー」
はははは、かっわいい~。
「さ、入って入って」
「はい、お邪魔します」
部屋へと上がり、卓袱台の一角に腰を下ろす。管理人室は畳敷きであった。
大徳寺先生はさっそくお茶の用意を始め、座布団に置かれた猫のファラオは大きなあくびをしている。
「それで神君、何が聞きたいのかにゃ? 授業で分かりにくいところでもあったかにゃ~?」
茶を湯飲みに注ぎながらそう聞く大徳寺先生。
さて、どうやって切り出すか……。
――――いや……、ここはさっさと覚悟を決めよう。
姿勢を正す。
「本日は大徳寺先生ではなく、錬金術師アムナエルさんの意見をお聞きしたいと思い、ここに来ました」
急須から落ちるお茶が一瞬その流れを止めた。
しかし、すぐ何もなかったように湯飲みへと茶の湯が注がれる。
「う~ん、神君が誰のことを言ってるのかよく分からないけど、私の知り合いにそんな人はいないにゃ」
湯気立つ湯飲みを俺に差し出しながら、そう返す先生。
「お願いします。その代わり、僕が経験した奇妙な出来事をお話ししましょう。
……これが真理に辿り着く為の手助けに成れればと思います」
頭を下げる。
先生はしばらく黙り込み、そして、糸のように細めていた目を開いた。
「ふむ。その様子だと私が何者なのか、すでに知っているようだね。
――どこで情報が漏れたのやら……」
「いえ、情報漏洩ではありませんよ。
――僕はこれから、ちょっと信じられないようなことをお話しします。先生のことを知っているのもこの事と関係があります……」
俺は自分がこの世界に辿り着き、これまでにしてきたことを出来るだけ詳細に話した。家ごと転移してきたことも、カードのことも、そしてこの世界がアニメであることも……。話しているうちに、残してきた家族や友人の顔が頭の隅をよぎり、涙が出そうになる。
それにしても、こんなに自分のことをぺらぺらと喋るだなんて……。
やはり誰かに聞いて欲しかったのだろうか……? 堰を切ったようにという表現はきっとこんな時に使うのだろう。
"フフ"と内心自分を嘲笑する。自分はあまり寂しさを感じるタイプの人間ではないと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
「ふむ……」
一通り話し終わり、お茶を一口すする。
大徳寺先生は先程から黙したままだ。どうやら、思考の海に没頭しているようである。
――そして、たっぷり5分は経過しただろうか。
先生はようやく
「――神君の話したことを全て本当のことと仮定した上で、私の考えた仮説を述べよう」
「はい、全て本当のことです」
「私にはそれを確認する方法はないがね」
「そう、ですか……。まぁ、そうですよね……」
「実際困惑しているよ。君の表情を見るかぎり、その話は嘘ではないことが分かる。だがどうにも理性や常識の部分が信じられないと叫ぶのだよ。錬金術師にはあるまじきことだがね」
ふぅ、と先生はため息を一つ。
「自分がアニメの登場人物であることを認めねばならない日がこようとは……。今まで紡いできた私自身の歴史はなんだったのかと揺らぎそうになるよ。
正直、今私は自分の真偽を判断する目が間違っているか、もしくは君が誇大妄想狂であることを願っている」
「……」
「……では、私の考えを話そう。
神君は何らかの理由で上位世界から下位世界に落ちてきた。君の状況を一言で説明すると、これが一番正しいように思える」
「上位世界……とは?」
「……そうだね。
ではその概念から説明しよう」
話は冒頭に戻る。
◇◇◇◇
「漫画はあくまでも下位世界の一つの形だ。
下位世界というものはその他にも多くの形で存在する」
十代の忘れ物である漫画本を卓袱台に置き、先生は説明を続ける。
「私の仮説が正しければこの世界はね神君、まさに君が侵入した瞬間に誕生したのだろう」
「え?」
「ただの仮説だよ……。神君、この世界は子供向けのアニメであると君は言ったが、実際にこの世界はアニメのままだったのかね?」
自分の周囲にあった様々な出来事について思い返してみる。確かに、昔見たアニメとは色々と違っている部分はあった。
「私が思うに、子供向けアニメと言うものはどこかしら矛盾点を孕んでいるものだ。それを現実にしてしまうと、社会が成り立たないのではないかね」
「ええ、言われてみると確かに……。
アニメではこの学園はデュエルだけを教えていたと思いますし、……それに、大徳寺先生は錬金術の授業を教えていたはずです」
この世界における大徳寺先生の担当教科は化学と倫理だ。決して錬金術などと言う不思議学問ではない。
「私が錬金術を生徒に? ふふ……それはなんとも面白い」
「ほかにも……細かいものを合わせるときりがないくらいにありますね」
思えば、俺はカードに対する認識以外、ほとんど何の違和感もなくこのアニメの世界で過ごせてきた。
それはとても異常な事ではなかっただろうか?
「それが君がこの世界に来たために起こった、第一の世界規模の変化だよ。
矛盾を孕んだアニメの世界は、現実としても存在できるよう変わったのだろう」
「第一……ですか?」
「そして第二の変化は、とても単純だ――。
神君、先程私は上位世界と下位世界の関係性について話したね。
さて、まず君は元上位世界の人間だ」
「ええっと……。
まさか、僕が神のごとく力を持っている、なんて言わないでしょうね」
「正しくは持っていた、だ。
今の君は間違いなくこの世界の住人だよ。ここに存在していること自体がその証明となる。
……ならば、君の上位世界の住人としての力はどこに消えていったか」
いや、そんな大げさにどこに消えていったか! とか言われても――。
「そもそもそんな力があったこと自体、何一つ実感できませんが……」
「それは君がこの世界に落ちてきた時に、全て使ってしまったからだろう。
いや……使ってしまったと言う表現は正確ではないな。搾り出されたと言い換えよう」
その妙な内容に首を傾げる。
「搾り出されたって、何にですか?」
「世界にだよ。
言わばこれは、上位世界から下位世界へ
「現象……ですか……」
でも……もしそういう事なら――
「…………搾り出された力は、どこに行ったんですか?」
大徳寺先生は「まぁ、ちょっと待て」と手のひらをこちらに向ける。
「私は今年度に入ってからずっと違和感を感じていた――と言うか疑問に思ったことがあってね。いや、大したことではないが、今やっとその謎が解けたよ」
「はあ……」
「今年のアカデミア入試に当たって突然採用された制度がある。その制度はこれまでにはなく、そしてこれから続ける訳でもなく、なぜか今年のみ採用された」
どこに話が飛ぶんだ?
「それはね、特別編入生という名目で、オベリスクブルーへと何人かの成績優秀者を編入させると言うものだ」
ん?
「入試で良い成績をとった受験生が、ブルーへと配属されるんじゃないんですか?」
「なるほど、君はそう思っていた訳だね。
残念ながらそれは違う。オベリスクブルーへ配属されるのは、デュエルアカデミア付属中学校から進級した生徒だけだ。例年ならばね――」
ここでなんとなく先生の言いたいことが分かる。
都合がよすぎるのだ。
俺は入試で好成績をとればブルーに入れるのが当たり前だと思っていた。その俺の知る間違った知識を叶えるように、今年に限り特別編入生という制度が採用された。
「そして先ほど君は言っていたね。元の世界のカードがなぜかこの世界でも使えた。デュエルディスクが認識した。とね」
「――――僕の都合にいいよう、世界が改変された?」
「正しくは君の望む世界へと世界は変化した。おそらくその望みは君の無意識下のものだろうがね。そのために君は上位存在の力を全て使い果たし、この世界の住人としてここにいるのだろう。これが第二の世界変化だよ。こうして全てを巻き込む大きな二つの変化を経て、この世界はアニメと言う創作物から本物の世界へと変わったのだろう。世界が誕生する瞬間だよ」
はは……壮大すぎるな……。いや、アニメと言う小さな世界だから卑小なのか?
「……それじゃあ僕は、何をやってもうまくいく無敵の超人ってことですか?」
「いや――。
さっきも言ったように神君、君は今間違いなくこの世界の住人だよ。何の力も持たない、ね。
確かに世界は君の望むように改変された。実際私が気づいていないだけで、もっと様々なところが変わったのだろう。そういう意味では、この世界において君のしたいことの邪魔となる法や制度は極端に少ないのだろう。だがそれは君が失敗をしないこととはまったく別の話なのだよ」
なるほど。俺に都合のいい舞台に放り込まれた感じかな?
基本設定はかなり有利だが、どうするかは自分したい。
「……そうですか……。
――なら僕は、普通の人間なんですね?」
「普通なのかどうかなど個々人の価値観にもよるだろうが、少なくとも万能ではない」
万能ではない、ね……。
何と言うか……それはなんとも――
「よかった……」
「ほう……。普通ならば、力を失って残念がる場面なのだが……」
「僕は一番が好きでも、全知全能は好きじゃないんですよ。
――望めば全てが叶うのなら、それは自分の努力を全て否定することになりますから……結局何もしなくても、同じことだったと……」
「ふふ……、なるほど。まったく、君は面白い考え方をする。そもそも結果が出るのならば、過程はそれ程に重要ではない。そういう思考こそが一般的だと思うかね」
「そうですか? 人間は過程を楽しむ生き物だと思いますよ。
ゲームなんかだって、開始直後にいきなり魔王が"ぽんっ"と倒せたりしたら面白くないじゃないですか。それと一緒ですよ」
「うにゃ~」
寝ていたファラオが起き上がり、大きな伸びをする。
ずいぶんと長く話をしていたので、この辺で一息入れることにした。
先生は茶菓子に
しばらく二人して無言で饅頭を頬張りながら、スティックと戯れるファラオを眺める。
実に平和である。
「そう言えばもう一つ」
と言うか元々こっちが本命だったんだけど――。
「なぜか僕には、カードの精霊やそれらによる異常現象を感知することがまったく出来ませんでした。これってどうにかなりますか?」
「そうは言うが、普通の人間にはカードの精霊など感知できないものなのだよ」
「いいえ。侵入者事件の時、そこにいる全ての人が精霊を感知できる状況だったらしいんです。なんでも場の精霊の力が強いとか……そんなことを翔の持つブラックマジシャンガールが言ってたそうです。そんな状況でも僕一人だけが何も感知できなかった」
先生は手を顎に当て、少し思考に
「ふむ……。
神君、確か君はこの世界の元となったアニメのストーリーを覚えているのだったね」
「ええっと……、まぁ、大体の流れだけは……。
何しろもう十年以上前のことですので、細かいところまではさすがに……」
実際は見てない回も所々あり、忘れている回も合わせればかなりの量が抜けていることになる。
「それでも君はこの世界の未来を知っていると言うことになる。……もしや未来において、何か精霊にかかわることで命の危険性のある事件、
「……! 確かに……はい。実は」
「いや結構だ。その先は話さないでくれたまえ。
……未来を知ることなど、呪い以外の何物でもない」
「……、」
先生の剣幕に思わず口を噤む。
「話を戻そう。君は超常現象の起きた空間に侵入し、何ら影響を受けず、悠々とタイタンなる侵入者を背負って出てきたと言ったね。
このことから君は精霊が見えないだけでなく、それに類した悪意ある攻撃の影響も受ないことになる」
「そう……なりますよね……。どうしてなんでしょう?」
「単純な話だよ。この世界に来る時、君は無意識に願ったのだ。死の危険性のある事件とは関わりたくないと。そうして君の望みは世界に影響し、この世界で使用する君自身の身体を、精霊の力のまったく及ばないものとして作ったのだろう」
確かにそれなら筋は通る。
命を危険にさらすようなことは今でもしたくない。て言うか、したい人なんているのか?
「……それで」
「ん?」
「それで、見えるようになる方法はあるんですか?」
俺は関わりのあった人達を助けたいと思っている。命を捨てることまでは絶対にしないが、それでも支援くらいはしてやりたい。自分だけ蚊帳の外だなんてイヤである。
「ふむ。なるほどなるほど。君がそういう考え方ならば可能性はある。何しろその肉体は君自身が用意した君にとって最も都合のいい身体だ。……しかし、きっかけは必要か……」
そう言ってまた手を顎に当て、考え込む大徳寺先生。
「えっと……何か、ありますかね? きっかけになるもの」
「私の目的は知っているはずだね」
「はい、一応は」
確かこのアカデミアの理事長が邪道に走ったから、それを止められる生徒を育て上げること。その候補が十代なんだっけ?
「近いうちに、私は十代君を一度精霊界に送ろうと思っている。
その時、君を精霊界で最も精霊の力の濃い土地に送ろう。それが何らかの刺激になるはずだ」
近いうちに十代を精霊界へって……確か墓守達の住処へ送るんだったかな?
「その……そもそもそれ以前に、僕のこと、精霊界へ送れますか? 精霊力オール無効なら行けないような気が……」
「多分大丈夫だろう。次元はズレていても、精霊界は実体の存在する大地。門を通ってそこに入ることだけならば、何とかなるはずだ」
「あ……はい。それでしたら、是非!」
「ああ、日時が決まったら知らせよう」
「はい! よろしくお願いします」
ふぅ、とりあえずこれで全ての聞きたいことは聞いたか。
「それじゃあ先生、今日は相談に乗ってくれて本当にありがとうございます。僕は今日のところはこれで……」
「もう帰るのかね? いや、こちらこそ有意義な話が聞けたよ。最初にも言ったが、今日私が話したことは全ては憶測、ただの仮説だ。実際神君はまったく違う理由でこの世界にいるのかもしれない。君がただの精神の病んだ子である可能性もあるわけだしね」
「はは、まだ信じてないんですか?」
さすがに冗談なのだろう。
とは言え、確かに可能性で言うのであれば、全部俺の妄想という推測は否定できない。
自分が正気であることを証明してくれるものなど、この世のどこにも存在しないのだから。
「それでは、僕はこれから十代達と合流してきます。僕に手伝えることがあるのでしたらなんでも言ってくださいね。全力でお助けしますから」
「ああ、その時はぜひお願いするよ」
湯飲みに半分ほど残っていたお茶を飲み干し、立ち上がる。
「あ、最後に思い出しました。
クロノス先生が使う【アンティーク・ギアゴーレム】ってありますよね。あれの効果に、『攻撃時に相手は魔法・トラップカードを発動できない』って、あります?」
「ふむ……。
今現在、【アンティーク・ギアゴーレム】と言うカードは二種類ある。攻撃時に魔法・トラップを発動させない効果は以前のバージョンにはなかったはずだ。だがいつだったかテキストが改定され、その効果が付くようになった。今はどちらのカードも存在する環境にあり、そのどちらを使っても反則ではない」
「なるほど……」
「もしや、それも世界改変と何か関係があるのかね?」
「ええ。攻撃時に魔法・トラップ無効の効果は僕の世界のもので、この世界の【アンティーク・ギアゴーレム】には付いてなかったはずなんですよ」
「それが両方存在するようになったと……。この分だと、本当に私の気づかない所で様々な変化が起っていそうだね」
「まぁ、変化したことに気づかないのでしたら、それは変化してないのと一緒じゃないですか?」
「気になる性分でね……」
玄関に出て、靴底の大分削れたスニーカーを履く。
う~ん、そろそろこの靴も買い換え時かな……。
「それじゃ神君、また遊びに来てにゃ。ほら、ファラオもバイバイするにゃ」
「うなぁー」
大徳寺先生は寝ているファラオを抱き上げ、手を振らせる。
言葉遣いもいつものに戻したようだ。
「それでは、また来ますね」
「でもね神君。普通、一つ上位の世界の人間が下位世界へ侵入することは不可能にゃ」
扉を開けて半身を外に出している僕に対し、先生は唐突に話をふった。
「え? 先生の話を聞いてると、上位世界は下位世界に対して万能なような気がしますが……。
――なぜですか?」
「神君は漫画の世界へ入れるのかにゃ?」
「あっ……」
「そういうことにゃ」
「じゃあ、なんで僕は」
「う~ん、考えられるのは、神君はさらなる上位存在の干渉でこの世界に落とされた。その可能性が一番高いにゃ」
「さらなる上位存在って……いるんですか? そんなの」
「もちろんいるにゃ。上位世界にはその更に上の上位世界があって、そして上に上にと沢山の上位世界が存在するにゃ。まぁ、どのみち私達には認識できないものだから、あまり気にしてもしようがないけどにゃ~」
「いやいや気にしますよ。もし本当に僕がそんな存在によってここに来たのなら、大迷惑です」
「ふふふ……。
案外この世界は、上位世界の誰かがおふざけ半分で書いた小説なのかもしれないにゃ~」
曇る俺の表情を見て、"してやったり”とばかりに人の悪い笑みを浮かべる先生。
「やめてくださいよ……いやすぎます」
自分のこれまでの行動も、これからの考えも、全て誰かの創作物だなんて……。
「ふふふ、これで神君もこの世界がアニメだと知った時の私の気持ちが、少~しは理解できたかにゃ~」
「……はい……嫌ってほど……」
先生の悪趣味な意趣返しに、げんなりした顔で返す。
まったく……。
世の中、あまり知りたくない事柄も存在するのである。