ラギアクルスのハンター撃退記(仮)   作:ディア

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第6話 沼地の黒王

★★☆☆☆☆★★

 

沼地のモンスターってマズイのが多いし出来ることならとっとと移動したい…ババコンガ、フルフル、ゲリョスなんかはゴムっぽい味がするからマズイし、沼地に来るハンター達はそのモンスターをガン無視して俺を相手に武器を使って捕獲しようとするし…超面倒臭い…

 

とは言え沼地が嫌いかと言えばそうでもない…毒テングダケやマヒダケ、そしてニトロダケなどのキノコ類は最初は身体に異変起こしたけど何度も喰っていれば耐性がつくから普通に旨かったし…ショウグンギザミやグラビモスとかはなんつーかバリバリと歯ごたえがあって旨い。

 

旨いんだが…俺の目の前にいるのがショウグンギザミ亜種だったりするのは何故だろうか?

 

「キシャーッ!」

 

『おい!何見てんだワレェ!』とでも言っているのかわからないが俺に爪を立てて攻撃して来る。

 

「グォゥッ!」

俺は攻撃して来た爪を白刃止めの要領で受け止め、そのまま、その爪を食べた。

 

「シギャ!?」

亜種ギザミが暴れるがもう遅い。根元の部分まで食べてやった…これで攻撃力が半減しただろう。

 

「グァォォオオッ!」

……今のはグラビモスだよな。飯の最中に面倒臭い奴が来やがった。あっ! てめえ逃げんな! この亜種ギザミ! あの蟹野郎、後で見かけたら絶対ミソを吸い付くしてやる。っておいおい、最悪の相手じゃねえか。黒グラビかよ。

 

奴のグラビームは飛竜種の中ではトップクラスの破壊力。やられる前に……殺るしかねえ!

 

ドンッ!!

 

俺は黒グラビの懐に潜り込んで喉に噛み付いた。

「グォォオッ!」

硬えっ! 黒グラビってそういやなんで黒くなっているかわからなかったけどあれって皮膚に炭素とか火山灰とか鉱石が混じった物が付いているんだよな、おかげでマズし堅いし、噛み損だぜ。

 

「ウォォォッ!!」

俺は全力で黒グラビを殴るがキリンとは違って体重の重さのせいか黒グラビは全く動かない。チッ、相性の悪い相手だ!ってヤバッ!

 

「グギャーッ!!」

 

グラビーム発動!この効果はバサルモス、グラビモス、グラビモス亜種が装備することによって火耐性のないモンスターを一体破壊することができる、さらにグラビモスやグラビモス亜種に取り付けた場合はその対象モンスターの周りのモンスターも対象となる!

 

…要するに俺のダメージすげーでけえー!!チートだろ?!この威力、現にとばっちり受けたゲリョスが死んでいるし!

「……」

アン? 黒グラビが去って行ったぞ。もしかしてあいつゲリョスがうざかったのか? とばっちりを受けたのは俺の方? あの黒グラビ、絶対復讐してやる。今やっても敵うはずがないしな。

 

「グオォ……」

 

まるで『もし次俺と戦いたいならもっと強くなれ……俺の期待を裏切るんじゃねえぞ』と黒グラビの声が俺には聞こえた。

 

……かくして俺のはじめての敗北は黒グラビとの戦闘となった。自惚れてたよ。自分が古龍のキリン倒してチートみたいに強いと思っていた結果がこのザマ。あのゲリョスもそうだがあの黒グラビは俺たちのことをなんとも思っていなかった。せいぜい首を噛んだときくらいしか怯ませることが出来なかった…悔しいよな。あんな風に負けるなんて。

 

「ヴォォォォッ!!」

俺はラギアクルスとなってから初めて泣いた。

 

☆☆★★★★☆☆

 

~ギルド~

 

ギルドでは新たな報告があげられた。それはクラビモス亜種が沼地に現れたことである。

通常、クラビモスやクラビモス亜種は火山に住み生活するのだが沼地に現れる時もある。調査委員は恐らくそのクラビモス達は毒袋の毒が切れそうになったのではないかと考えている。

そのため、火山にいる個体よりも毒が切れはじめてある分、沼地にいる個体は弱い……のだが今回は違った。

 

今回報告されたのは火山で黒王と呼ばれるクラビモス亜種(以下黒王)で同じクラビモスやクラビモス亜種の個体のなかでも最大級の体格、生態系を破壊するといわれているイビルジョーですらも裸足で逃げる圧倒的な強さ…そして何よりも一番柔らかい部位とされている腹に攻撃してもほとんどが弾かれる。弾かれなかったとしても人間でいう垢のようなものが外れるだけ。しかも攻撃をある程度すると熱線を発して数多くの上位ハンターやG級モンスター達を焼き殺したことから黒王と呼ばれるようになったのだ。

 

その黒王が沼地に現れたということはどういうことかお分かりだろうか? 現在沼地には黒王ともう一頭、ラギィがいる。片方ですらもG級ハンターの手に余るというのにこの2頭に遭遇したらたまったものではない。そこで流石の脳筋バカギルドも危険を感じ沼地にはいかないようにハンターに命令した。

 

しかし当然ながらそれに逆らう大バカはいる。その大バカは黒王に殺されるかラギィにギリギリの手加減で半殺しにされるか、ギルドからハンターの資格剥奪されるかのどれかを選ぶことになる。

 

かと言ってギルドもこのまま何もしないわけではない。ギルドはG級ハンターのなかでもエリート中のエリート4名に黒王の狩猟を依頼した。しかしラギィの狩猟は禁止されている。それとこれとは話は別なのだ。

 

ラギィを討伐してしまえばコレクター貴族が確実に憤怒し何かしらの報復が待っている。捕獲はまだコレクター貴族を納得させる材料は残っているがハンター達にラギィを捕獲したら報酬を与えると言ってしまっているのでここで捕まえてしまえば確実に不満が起こると考えた。

 

ギルドは何故不満が起こるのかと考えたのかと言うとラギィ捕獲に関しては実力のみを優先する……逆に言えば下位ハンターで実力があればラギィの装備を手に入れられるチャンスがあるのだ。ギルドはそのチャンスを無くしたらクーデターでも起こると考えてクーデターを防ぐためにラギィの狩猟を禁止した。

 

もっともそんなことをしなくともいくらエリート中のエリートでも2頭相手にするのは相当厳しいのでラギィの狩猟をするはずはないのだがそれでも一部がうるさいのでそうしざるを得なかった。

 

「何にしてもこれは頭痛いわい」

 

ギルド長はそう呟き、頭を抱えた。2頭もそうだが更にギルド長を悩ませたのはもう一頭沼地に厄介なのがいるからだ。それはショウグンギザミ亜種だ。黒王とラギィに比べたら脅威ではないがそれでもG級ハンター達のなかでは脅威になる。

 

「サブクエストにショウグンギザミ亜種の討伐とでも書いて警告しておくか」

 

ショウグンギザミ亜種が出ることを警告するためにギルド長はサブクエストにショウグンギザミ亜種の討伐を依頼した。




予告というか残念なお知らせ

来週、再来週は更新は忙しくなり更新は出来ません。作者の都合により更新を停止させてしまいすみません。

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