ラギアクルスのハンター撃退記(仮)   作:ディア

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第5話 雪山から沼地へ…

★★☆☆☆☆★★

 

キリン旨し!特に角とか皮が旨かったな…しかしキリン喰ったせいか身体が白くなって亜種化しているんだよな。陸上にも慣れたし…念願のラギアクルス亜種になったのか?

 

でだ…若いラージャン二頭が俺の前に来て『お疲れ様です!兄貴!』みたいに敬礼しているのはどうすればいいだろうか?キリン倒したから敬礼されたのか?…わからん…

 

とにかくこのままじゃ雪山から出られねえから適当にジェスチャーで雪山からハンター達を生死問わず追い出させるように向かわせた…なんで生死問わないかというとあれだ。もう人間とは同族とは思えなくなって来たんだよな…前世の感覚でいうとハンターは毒蛾や毒蜘蛛みたいな奴らに感じる…出来れば遭遇したくない。

 

「な、なんでラージャン二と…ゲブラバッ!…」

 

若いとはいえラージャン二頭もいると流石に仕事早い…ハンターの声が聞こえたということはやはりいたんだな…まあ今頃幼体ではなく亜種の俺の商品価値は少しは下がっているだろうし大丈夫だろ…多分…

そうして俺はこっそり二頭に謝りながら雪山を去った…済まんね。

 

余談だが後にその二頭は雪山のラージャンブラザーズと呼ばれハンターから恐れられる程になっていて驚いたのは秘密だ…

 

そんなこんなで俺は沼地にやって来た!いえ~!!なんで沼地かって?フルフル探しに決まっているだろうが!!!原種だろうが亜種だろうが希少種だろうが関係ねえ…とっとと出て来やがれ!

 

「?」

おっ?見つけたぜ…旨そうなフルフル(原種)だ!

「!?」

なんかビクついていて弱そうだが、油断もしなければ逃がしもしねえ…それで後悔した奴らなんて五万といるしな…

 

ガタガタブルブル…

 

縮こまった今がチャンスだ!喰うぞ!

 

「ギャァァァァアアアアAAAAAAAAA!?」

流石にタフだな…だけど筋力チート舐めんなよ!首を狙って慎重に…一気に仕留める!

「…ヴ…!」

よし喉笛に入った!あとは…噛みちぎって殺すだけだ!…ってあれ?もう死んでる?まあ仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないけど…弱すぎだ…

 

何はともあれ念願のフルフルを喰えるんだ…頂きます!

 

皮マズッ!腹の肉は…マズイ!それじゃ(以下マズイとしか言わないため省略)…ようやく電撃袋を見つけたぞ。これが最後の希望だ!…フルフル旨し!作業した後なら尚更だな…さて…フルフルも喰ったし行くか…

 

「ヴオォォォオッ!!」

なんだ!?って…おいおいまたフルフルかよ。そう思っていたら空が白と赤に染まった…うん…現実逃避はしているからやめた方がいいのはわかるけどさ…空にフルフルとフルフル亜種があり得ない程いるんだよね。軽く30頭はいるだろ…通りで雪山で見かけないわけだ…全員ぶっ殺してやる!

 

俺がそう思った瞬間フルフル達がビクッ!となったがリーダーらしき金冠サイズの巨大なフルフルが『怯むな!』といいたかったのか咆哮を放ちフルフル達は冷静さを取り戻した。…かなりやるな。だけどそれが逆に仇になるんだよな…

 

俺は足の筋力を使って一瞬でリーダーフルフルの喉笛を噛みつき殺した…

 

『ボ、ボス!』

とでも言いたげにフルフル亜種がリーダーフルフルに近づこうとするが俺は殺気を放ちフルフル亜種を黙らせた。どっちが悪者かわかんねえな…これ。とはいえ一度そんな人数で来たんだ…フルフル狩りの始まりだ!

 

☆☆★★★★☆☆

とあるハンターは見てしまった…ラギアクルスを白くしたモンスターがフルフルとその亜種達30頭近くの数を相手に無双しているところを…

「な、なんてことだ。フルフル達の数もそうだがあのラギアクルスはもっとむちゃくちゃだ…あんな数を相手に傷一つ負わず殺してしまうなんて…」

そう沼地から帰ってきたハンターはギルドに報告すると沼地での依頼を2度と受けることはなかった。

 

そして報告してから翌日ギルドの幹部会が始まった…

「で…どう思う?あのラギィについてだ。」

ギルド長はこの場にいる全員に尋ねた。

「ちょっとまってください…何故ラギィが出てくるのですか?今回沼地で出没したのは沼地に出てきたラギアクルスの亜種モンスターでしょう?」

この幹部会で唯一の女性がギルド長にそう尋ねた…幼体だったラギィが成長しすぎて新種のラギアクルス亜種そのものだと勘違いするのは無理もない。

「それがラギィじゃわい…凍土から雪山へ、雪山から沼地へ移動していたことが足跡などから調査済みじゃわい…ラギアクルスは水中に住むがラギィは別。おそらくラギィのような例はない。しかしあのバカ貴族が依頼している以上はどうしようもない…となれば一刻も速くハンター達を使い捕獲して訓練所に預けるのがベターじゃな。」

「私は訓練所に預けることに反対です…」

しかしそこで巨漢の幹部がそう言って反対した。

 

「何故じゃ?」

「いえ、最近ハンター達の捕獲依頼の消化が悪い傾向にあります。ハンター達の捕獲依頼の消化のためにラギィ捕獲を強調させ、強制的にやらせる必要があります…そこでラギィを捕獲した者は最高の名誉の証としてラギィで作られた武器と防具一式を揃えて差し出すというのはどうでしょうか?」

「なるほど…それなら確かに否応なしに捕獲しようとするな。」

この中でもっとも若い男がそう首を頷くと幹部たちは納得した。

「しかし討伐した場合はどうするんじゃ?」

「ラギィを討伐した場合はハンターの称号の剥奪という噂を流せばいいんです…そうすればラギィを捕獲するために練習として捕獲依頼の消化をやらざるを得ないということです…」

 

「ふーむ…なかなか良い案じゃが…問題点はマークじゃ。」

ギルド長はそう言って問題点を上げる。

「マークがどうかしたのですか?」

提案を出した男が何故、マークが出てくるのか疑問に思った。

「前の資料に書いてあるがラギィ捕獲の際には誰よりもマークを優先して受けさせるように契約してしまった…」

「あ…」

男はそれを思い出し脱力感に襲われた。

 

「では向こうから契約破棄させるのはどうでしょうか?」

女性の幹部がそう提案した。

「どうするんじゃ?」

「このままではマークだけがラギィの武器や防具を取りかねない…ハンター達は納得がいくはずもありません。マークに実力があると認めさせることが大切です。マーク対他のハンターで期間内でどれだけ多く、あるいは速くギルドの指定したモンスターを捕獲したかによって優先順位を決めるというのはどうでしょうか?」

「…それで行こう。」

「ありがとうございます…」

のちに捕獲祭りと呼ばれるようになったことイベントの原点がここにあった

「ではこれで幹部会は終わりじゃ…解散!」

 

そして幹部会が終わりギルド長はハンター達を集め幹部会で決めたことを話すとハンター達は沼地の素材ツアーという依頼を真っ先に受けラギィを捕まえようとした…

 

何故そんなことをしたのかは、あくまでラギィ捕獲がメインの依頼を優先するのがマークであってラギィ捕獲がメインで無ければ問題点はないのだ。つまりそんなことをするなら依頼のついでにラギィを捕獲したということならば武器と防具が貰えるからだ…やはり幹部達はこういうところで爪が甘いのかもしれない…

 

だがラギィは恐ろしいまでに強くハンター達は返り討ちにあってしまった…

 

真面目にやっていたマークやそんなことをしなかったハンター達は激怒し、2度と沼地に行かないようにトラウマを植え付けた。

 

こうして知らず識らずのうちにラギィの思惑とは裏腹に多くのハンターに狙われるようになった…


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