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転生者、即ち俺と同じ境遇の奴らだ。そいつらと交渉すればどうにかなるかもしれない。
だが上空で漂っているこのモンスターは絶対に転生者でないことは言える。
『奴の背中に乗って落とせ!』
俺が指示するとラージャン二頭が壁を這い登り、そのモンスターの背中に乗って殴る。しかしモンスターは全くと言っていいほど動かない。そのモンスターの名前はヤマツカミ。オトモアイルーを連れていけない巨大モンスターの一頭でもある。
『馬鹿野郎、そんなやり方じゃ絶対に落ちねえ! 爪で目ん玉抉るんだ!』
「そんなに言うなら、自分でやればいいのにニャ…」
『俺の巨体が仇になって上から攻撃することも出来ねえんだよ。俺が出来ることって言ったらこうやって下からのフォローだっ!』
厄介なことにヤマツカミが自分の体を使って上を塞いで上に出させないようにしていた。言ってみればとうせんぼだな。俺はそのとうせんぼしているヤマツカミにビームを放って遠距離から攻撃する。
「『了解しました!』」
ラージャン達が返事をしてヤマツカミの目ん玉を抉るとヤマツカミが怯み、その場から落ち、俺はすかさず落ちてきたヤマツカミの腹を殴る。するとヤマツカミが俺の腕を中心に体に絡みつく。
『鬱陶しい!』
ヤマツカミを壁に叩きつけ、体から引き離すとビームをヤマツカミの口に目掛けて放つ。
「大怪獣バトルニャんて別の場所でやってくれニャーっ!!」
そんな声も聞こえたがここを離れようにもヤマツカミがここから離れようともしないから無理だ。俺としてはヤマツカミとは戦う必要性がない。あるとしたら宙に浮くことが出来る体質を手に入れたいという欲求だけだ。宙に浮くラギアクルスって東洋の龍に似ていてカッコいいんだよな。言ってみればロマンだ。だが所詮ロマンはロマン。他の場所ならともかくこんな狭い塔で戦うなんてことはしなくない。だが奴が邪魔している以上戦って殺すしかねえんだよボケッ!
「ぐ、が…」
よし、怯んだ! 今が好機だ! 俺はビームを止め、ヤマツカミの目と目のちょうど真ん中にある頭を鋭利に研いだ爪で一突きにして貫く。
「あぁぁぁっ!?」
ヤマツカミが墜落しているにもかかわらず浮いていた足が落ち、力尽きたことを示した。
『所詮、タコはタコか』
門番を自分勝手な理由で殺しておいてそんなことを言える自分が我ながら酷えと思う。しかしこれで良かったとも思えた。転生者が飼っているのであれば塔が揺れた時点ですぐさま駆けつけるだろう。つまり人間からしてみてもこのヤマツカミは邪魔者でしかない。…利害が一致して倒したんだから問題はないはずだ。多分。
「何の騒ぎか見てみれば面白え展開になってやがるじゃねえか」
今の声はこいつじゃねえな? ……だとしたら別の奴か。
そして俺がその声が聞こえた方向へ振り向くとそこにはどこか見たことのあるハンターがいた。
すかさず俺はそのハンターの太刀を弾き飛ばし、武器を使えなくする。しかし奴の目はまるで諦めておらずむしろニヒルな笑みを浮かべ口を開けた。
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ハンターことマークは太刀を弾き飛ばされてもなお冷静に語り出した。
「……ラギシトリオン、凍土の時以来お前を捕獲する為に俺はギルドの命令でお前の場所に行かず他のモンスターを捕獲してきた」
だからなんだと言わんばかりにラギシトリオンが電気を纏った突進をして突っ込む。しかし中堅以下のハンターならともかく、実力のみならばG級ハンタートップとまで言われているマークからしてみればファンゴが突進してくるのと大差がなく、難なくそれを躱した。
「だが、それはラギィというラギアクルスを捕獲する為の条件だった」
今度はラギシトリオンのビームが薙ぎ払われ、マークを襲う。しかしマークはそれを跳躍し、飛んで回避した。
「しかし災害指定種となれば話は別その災害指定種のラギシトリオン、つまりてめえが目の前に現れた以上、狩猟する」
マークが着地するとそこにあったのは先ほど弾き飛ばされた太刀があり、それをマークが掴む。
「あん時捕獲出来なかった借りを全て返させて貰うぜ!」
マークが構えると太刀が赤い気で纏まれ、ラギシトリオン以外のモンスターが怯む。
「それでこそ、狩り甲斐があるってもんだぜ!」
マークの太刀がラギシトリオンの目を目掛けて一直線に進む。ラギシトリオンの弱点、それは鎧が露出している部分だ。ラギシトリオンは鉱石物等を自分の体につけ、バサルモス等のように防御力を高めている為に斬撃系の技は通用し難い。しかしラギシトリオンの弱点はバサルモス等と同様に鉱石物等がない所である。バサルモスは腹がその部分であるがラギシトリオンは目である。この部分を露出しなければラギシトリオンは視界が狭くなるだけならともかく目を開くことも出来ないなんて展開もあり得る。
『舐めるな!』
ここでまたしてもマークの太刀が弾き飛ばされ、宙を舞う。これはマークがだらしないわけではなくラギシトリオンのパワーが異常なだけだ。通常ハンターなら武器を手放すなんてことは文字どおり死んでもあり得ない。ゲリョスやオオナヅチに荷物を奪われようが武器だけは手放さないのだ。その理由は彼らの握力にある。全てのハンターは特殊な訓練を受け、自分の倍以上の重量のある大剣やハンマーを振り回すことが出来る。自分達の重量の倍といえば100kg超であり通常であればそんなものをぶん回せばすっぽ抜けてしまうのだが握力が超人的なまでに強い為にそうならないのだ。マークとて例外ではなく大剣を所持した状態であればモンスター一とまで言われるディアブロスの突進だって防げるのだ。しかしラギシトリオンはそれを超えた。ただそれだけなのだ。
「2度も俺の太刀を弾き飛ばすなんてやるじゃねえか」
ラギシトリオンが唸り声を挙げ次の瞬間、ラギシトリオンの口が開いた。
「グォォォォォォゥゥゥーーーッッ!!!」
ティガレックスすらも凌ぐほどの咆哮が轟音となり、マークを後ろに転げ回らせた。そしてラギシトリオンはその隙を逃さず次の行動へと移した。
『撤収ーーーっ!!!』
……単なる逃走だった。
「に、逃がすか!」
轟音とも言える咆哮により後ろに転げ回てしまったマークはラギシトリオン達を追いかける。しかし彼は所詮人間。追いかけようにもあっという間に差をつかされてしまい逃亡させてしまった。
「くそッ、あそこで出来れば捕まえたかった……次こそは絶対に捕まえてやるから覚悟しておけ。宿敵」
2度目の戦いでマークはラギシトリオンを宿敵と認め、その場から去りギルドに報告して一日を終えた。
作者の作品が検索に引っかかるように検索していたら知ったトレビア
ハーメルン内でH×H原作とモンハン原作の作品数はモンハン原作の方が圧倒的に多いが、お気に入り数300超の作品はH×H原作の方が多い。
検証日 西暦2017年5月5日
H×H原作数 167件
モンハン原作 468件
H×H 300超 63件
モンハン300超 37件
確かにそうだった。