鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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三話 社会的に絶対絶命

 放課後。

 

 やっと授業から解放されてぐったりしている一夏。一夏はISに関しての知識が乏しいから結構苦戦してたみたいだな。

 

「お疲れ様、一夏」

 

「氷雨は余裕そうだな」

 

「そりゃ、ISは束姉が作ったものだし、勉強しておくのは当然のことだろ?」

 

「そりゃそうか」

 

 だらだらと教室で駄弁っていると、隣の箒もこっちにきた。

 

「それより、二人とも大丈夫なのか? 相手はイギリスの代表候補生なのだろ?」

 

「ん。心配してくれてありがとう、箒。でも大丈夫。お兄ちゃんが負けるわけないでしょ」

 

「その自信はどこからくるんだ。というか、その『お兄ちゃん』というのはやめてくれないか。恥ずかしい」

 

「い、一夏! 妹が反抗期だ!」

 

「妥当な意見だと俺は思うけどな」

 

 馬鹿な! せっかく妹属性を手に入れたにもかかわらず、それを腐らせるのが妥当だと!

 

「お前には失望した。もう何も期待しない」

 

「そ、そこまで言うか……」

 

 冗談は置いておいて。

 

「僕は良いけど、一夏は問題あるかもね」

 

「ん? どういうことだ?」

 

「だって、セシリアは代表候補生だから専用機持ってるけど、一夏は持ってないだろ?」

 

「その言い方だと、氷雨は持っているのか?」

 

「うん」

 

 その言葉に、二人は驚きを隠せない。

 

「いつの間に」

 

「まさか、姉さんか?」

 

 箒の鋭い視線が僕に突き刺さる。

 

「ま、まあそうなるね」

 

「むう」

 

 箒が少し不機嫌そうな顔をする。

 

「ほ、箒も頼んだら作ってくれると思うよ?」

 

「いらん!」

 

 ああ、怒っちゃった。

 

 機嫌を直してもらおうと頭を撫でる。

 

「ごめんって」

 

「……別に、氷雨が悪いわけではないだろう」

 

「うん。そうかもしれないけど、気分を悪くさせたのは僕だからね。だから謝るの」

 

 拒絶されていないから頭を撫で続ける。すると、箒はため息をついて先ほどまでの顔に戻った。

 

「なんだか、怒っている自分が馬鹿みたいだ」

 

「そんなことないよ」

 

 そんな僕らを微笑みながら眺めている一夏に箒が気付くと咳払いをした後、キッ、と睨みつけた。

 

「それで、一夏はほとんどISを動かしたことはないのだな?」

 

「ああ。ISを動かしたのって、入試の時くらいだしな」

 

「それであんな啖呵を切ったのか?」

 

 睨むことを止め、箒は呆れ顔になる。

 

「男には引けない時があるんだよ」

 

「あそこで引いたらかっこ悪いもんね」

 

「だが、そういうことなら特訓した方がいいのではないか?」

 

「そうだな……。氷雨か箒、頼む! 俺にISの操縦を教えてくれ」

 

 そこからか~。と言っても、ISは時間をかけてその操縦者のイメージに近い動きを学習していくからね。今からってなると、ISに関しては僕からできるアドバイスはないなぁ。

 

「ならば、剣道のかかり稽古でもするか!」

 

「え、いや、箒。俺はISについて教えてもらおうと……」

 

「ん。一夏、今からISの操縦は付け焼刃にもならないよ。ISの操縦と言っても、結局動くのは僕ら本人だからね」

 

 それに、ここで一回醜態を晒さないと、一夏は向上心を見せないだろうしね。

 

「そうか?」

 

「う、うむ。そう思って私は言ったのだ」

 

 絶対考えてなかったな、と一夏と僕は二人で顔を見合わせ、アイコンタクトで同意した。

 

「それなら、早速行くか!」

 

「いや、今日はやめておこうよ、箒」

 

「な、何故だ? 善は急げと言うだろ?」

 

「使用許可も取ってないし、慣れない学園の初日で一夏が疲れてるしね」

 

「そ、そうか。なら仕方ないか」

 

「箒、明日からよろしくな」

 

「うむ」

 

 あ、今更気付いたけど、一夏を他のキャラとくっ付けてしまえば鈴ちゃんフリーになるんじゃないですか? おお、僕って天才なんじゃないか!

 

 いや、でも、それと鈴ちゃんを付き合えるかは全く別問題の様な気もするよね。

 

「そういえば、一夏と箒はもう部屋とか聞いてる?」

 

「うむ。私はもうすでに荷物を運んでいるぞ」

 

「俺は今日、家に帰るつもりだけど……」

 

「あ、織斑くんたち。まだ教室に居たんですね。よかった」

 

 その声と共に現れたのは一組の副担任、山田真耶ちゃん。大きすぎる……修正が必要だ。

 

「何か用ですか?」

 

「えっとですね、お二人の寮の部屋が決まりました」

 

「あれ? 一週間は自宅からじゃなかったんですか?」

 

「事情が事情ですので、一時的ではありますが無理やり部屋割りを変えた様です。その際、注意してほしい事があるのですが」

 

 真耶ちゃんの話は長くなりそうなので、箒に耳打ちする。

 

「先に戻っておいていいよ。話し長くなりそうだし」

 

「そうか。分かった。ではまた、夕食でな」

 

 一緒にご飯食べることは決定しているようだ。まあ、そのつもりだったけどさ。

 

「うん、じゃあまたね」

 

 そう言って、箒を見送る。

 

「あの、聞いてましたか、篠ノ之くん?」

 

「え、はいもちろんですよ」

 

 ええ、全く聞いてませんでした。

 

「それは良かったです。ですのであまり心配はしていませんが、注意してくださいね」

 

「「はい」」

 

 声はそろえるけど、何に注意するの? 騒音問題? まあ、そんなにはしゃぐ気はないけどね。

 

「でも先生。俺は何も持ってきてないので今日は家に帰っていいですか?」

 

「荷物なら私が手配してやった。ありがたく思え」

 

 その声は千冬さんのものであった。面倒見の良い姉ですね。実生活は結構だらけているってことは原作で知ってますけど。

 

「おい、お前、今失礼なことを考えているだろ」

 

「そ、そんなことないですよ。考えすぎじゃないですか?」

 

 ヤバいよ、心眼発動してるよ。剣道でも動き読まれるし、やっぱり千冬さんには第六感が備わってるよ。

 

「それじゃあ、寮の部屋に行こうか、一夏」

 

「そうだな。疲れたし、早く帰って休もう」

 

 そうして、言い渡された部屋に行くのだった。あれ? 僕と一夏は同室なんだ……。チッ。

 

   ◇   ◇    ◇

 

「えーと、ここか」

 

 そう言って部屋番号を確認する一夏。中に入ってみると、学生寮とは思えないほど、綺麗な部屋が現れた。

 

 鞄を適当なところに置き、ベッドに腰掛ける。

 

 うわっ! これ、ふっかふかだ。

 

「ふはは、ふっかふかであるぞ!」

 

「な、なんだかテンションあがってるな、氷雨」

 

 しまった、テンションが上がり過ぎて紋様になってしまった。

 

「けど、これは本当にふっかふかだよ。一夏も寝転がってみてよ」

 

 言われて一夏もベッドに転がる。すると、目を見開きこっちを見る。

 

「ふっかふかだな!」

 

「でしょ!」

 

 大の男が二人してベッドの柔らかさに酔いしれている。傍から見れば本当に気持ち悪い状況だけど、一夏がイケメンだから良しとしてもらおう。

 

「ああ、このまま夕食まで寝ちゃいたいね」

 

「良いんじゃないか? 寝ても」

 

「いやいや、寝過したら、箒が怒るから」

 

「氷雨はほんとに箒のこと気にかけてるよな」

 

「それは兄として当然のことじゃない?」

 

 でも、妹と仲がいいのは稀だって現実ではよく聞くね。ここが作品の世界でよかったよ。

 

「でも少し眠いな」

 

「だねえ。ちょっと寝ようかな」

 

 ペイルライダーを起動する。一夏に聞こえない程度の小さな声で話しかける。

 

「六時に起こして」

 

『拒否します』

 

 こうして僕ら二人は夕食に遅れ、箒に怒られました。

 

   ◇   ◇    ◇

 

 食後。

 

 ふう、良い気持ちだ。日本人に生まれて良かったと思える瞬間第二位くらいに入るのは風呂に浸かっているときかな。

 

 こういう大きいお風呂は良いね。こんなものを男二人で使えるなんて、贅沢だよね。

 

 あれ? そういえば、ここ前まで男がいなかったんだよね? ああ、それで入口が一つしかないのか。

 

「……ペイルライダー、大変だ。僕はやってしまった」

 

『変態ですね』

 

「そこは大変ですねの間違いだよね」

 

『私はプログラムです。言い間違いはありえません』

 

「そこは間違えてほしかった」

 

 コントしてる場合じゃないよ。運良く、今は女子が入ってきていないからよかったけど、いつ他の子が来るか分からないんだから。

 

「早く出なきゃ!」

 

『危険。エンカウント。脱衣所に生体反応』

 

 まじで? ど、どどど、どうしろって言うんだよ! いやね、そりゃ気が緩んでいて大浴場の使用禁止を忘れてた僕が悪いけどさ、先生も言ってよ! そしたら、思い出してたよ。……あれ? 僕が箒に耳打ちして聞いていなかった内容ってそれ? ははは、ワロス。

 

 というか、こんな時間に入ってくる人がいるのか。外でちょっと鍛錬してから来たから、もう結構遅い時間のはずなのに。

 

「ペイルライダー、どうすればいいと思う?」

 

『さすがに国家権力からの逃走はお勧めしません』

 

「捕まる前提!? 違うよ、現状の打破についてだよ!」

 

『不可能だと思われます』

 

 残念、僕の冒険はここで終わってしまった!

 

 それは嫌だぁ! まだ鈴ちゃんも出てきてないプロローグの段階だよ? クラス代表決定戦すらサブイベント程度の認識だよ? なのにここで終わるとか、やりきれないよ。

 

 いや、セーフである可能性を考えよう。どの子が来たら笑って済ませてくれるだろうか。

 

 候補としては、のほほんさん一択だ。あのキャラなら僕が使用禁止を聞いてなかったんだと言えば、笑って許してくれそう。さらに好感度が高ければ、一緒に入浴する事すら許されるのではないか? さすがにないか。

 

 いや、だが、あのキャラなら他の子にも隠さずに言いそうだ。そうなると僕が女子風呂に無断で入浴していたという噂が広まり、いずれ国家権力の名のもとに粛清されてしまいそう。

 

「詰んだ」

 

『そう言いました』

 

 両手を上げて降参ポーズ。そうしてる間に、扉が開く。そしてそこに居たのは……。

 

「箒だ! 助かった!」

 

「な、何!? その声は、氷雨か!」

 

 動揺する我が妹、箒。身内ならセーフだよね。

 

「何故、ここに居る!」

 

「使用禁止だって言うの聞き逃しちゃって。いや~、それにしても来たのが箒でよかった。他の子だと、警察に突き出されるところだったよ」

 

「い……」

 

「い?」

 

 箒が俯き加減で、肩を震わせる。あ……

 

「良いわけあるかっ! 今すぐ出ていけぇ!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 タイルの上に頭を擦りつける。その衝撃で劇中、一夏がシャワーを使うことを許可しないシーンを思い出した。

 

「あ、こんな遅くにどうしてかと思ったけど、そういえば箒は大人数でお風呂に入るの苦手だもんね」

 

「う、うむ」

 

 いきなり開き直られて箒も狼狽しているようだ。そうして思考停止している箒を眺める。いつもは括っている髪は腰まで垂らされており、剣道で鍛えられた手足は無駄な肉を排除し、すらりとしたラインを作りだす。そんな細身である身体のラインが、箒の身体のある一点をさらに強調している。

 

「箒……大きくなったね」

 

「ど、どこを見て言っているっ! 良いからさっさと出ていけぇええ!」

 

 その後、脱衣所から出た所を千冬さんに目撃され、反省文を書かされたのは秘密である。

 




真剣で酢豚に恋しなさい!IS
みたいな感じですね。

まじ恋で好きなキャラは紋様と心です。あっ(察し


次回投稿は七時ですよ~

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