鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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リクエスト内容
「さらに鈴と密着した会話」
「可愛い鈴ちゃん」
「通常の三倍の鈴とのイチャコラ」


祝☆お気に入り1000記念短編
その1 鈴の音は小さく響き


 放課後。

 

 カフェ。

 

 色々なことの片が付いたので、僕は鈴ちゃんを誘って学園内にあるカフェに来ている。

 

「お疲れ会って感じかな?」

 

「なんのよ」

 

 そう言いながらも付き合ってくれるのが鈴ちゃん。本人曰く、暇だかららしいけど、鈴ちゃんの優しさだよね。

 

 カフェに着くと、僕らは先に席を確保して注文に向かう。

 

「鈴ちゃんは何にする?」

 

「あたしはホットカフェラテにするわ」

 

「じゃあ、僕はカプチーノさんにしようかな」

 

「え、誰それ」

 

「え、いや、別に誰ってこともないけど、たまに物をさん付けしたりしない?」

 

「あー、分からないこともないわね」

 

 そんな会話で時間を潰した後に、注文を受け取り、僕らは確保した席に向かう。

 

「じゃあ、学年別トーナメントお疲れさまと言うわけで、かんぱーい」

 

「かんぱー……ってそういうとこじゃないわよ、ここ!」

 

 だよね。あつあつのカフェラテとカプチーノをぶつけたら、コップからこぼれて火傷しちゃうよ。

 

「いや、待てよ。火傷したら治療のために鈴ちゃんに手を握ってもらえるんじゃ……」

 

「それ身体張ってまでやることなの……」

 

 まあ、僕にとってはそれくらいの価値はあるかもしれないけど、ちょっと周りくどすぎるね。

 

「そういえば、どうでしたか、僕の戦いぶりは!」

 

「あ、それ言いたい事があったのよね」

 

 お、それはなんだか期待していい感じなんじゃないかな? いや~、自慢じゃないけど、後半は大人気なく頑張ったからね。鈴ちゃんの好印象は間違いないはずだ!

 

「あんたなんて危なっかしい戦い方してんのよ!」

 

「ほえっ!?」

 

 よ、予想外に怒られちゃったよ。

 

「もう、見てるこっちが心配したじゃない。レールカノン無抵抗にくらって……て、何ニヤニヤしてるのよ」

 

 あ、表情に出ちゃってた。抑えよう抑えよう。

 

 ……駄目だ。やっぱりにやけちゃう。

 

「いや、鈴ちゃんが僕のことを心配してくれるなんて嬉しいなって思ってさ」

 

「っ! い、今のなし! べ、別にあんたのことなんて心配してないわよ!」

 

 鈴ちゃんは少し恥ずかしそうな顔をする。ほんのり赤みがかる頬に見とれ、また顔がにやけるのを止められなかった。

 

 でも、そんな鈴ちゃんの顔も徐々に戻り、いつもの可愛い鈴ちゃんになる。

 

「……はぁ。本当に心配したんだから」

 

 伏し目がちに鈴ちゃんは言う。その様子から、本当に僕のことを案じてくれてたんだなと、改めて感じ取り、それを茶化すことはできなかった。

 

「ごめんね、鈴ちゃん。心配掛けちゃって」

 

「ほんとよ。反省しなさいよね」

 

「うん」

 

 あ、結局聞けてなかったけど、聞きたい事があったんだった。

 

「で、好感度は上がった?」

 

「あんた、ほんとに反省してるわけ?」

 

 ジト目で睨まれる。いやいや、本当に反省はしてるよ? でも、それとこれは別じゃないですか。

 

「反省はしっかりとしています。今後一切、鈴ちゃんに心配かけるような無茶はしませんとも」

 

「それ、破ったらどうする?」

 

「え……」

 

 破った時……。

 

「えーと、空中で三回転して土下座します」

 

「ぷっ。なにそれ」

 

 笑う鈴ちゃん。そして、小指を突き出してくる。

 

「指切り、するわよ」

 

「え、いいの?」

 

「いや、その反応はおかしくない?」

 

 鈴ちゃんが良いならいいけど、火傷する必要はなかったってことだね!

 

 そう思いながら指を絡める。女の子らしい細くやわらかい指にちょっとぐっと来てます。変態じゃないです。

 

「「ゆーびきーりげんまん、嘘ついたら」」

 

「龍咆1000発くらーわす」「えっ」

 

「ゆびきった」

 

「待って! 罰則が重すぎないですか!」

 

 ミンチどころの話じゃないよ! その辺の砂と合挽きになっちゃうよ。

 

「それくらいじゃ、あんた死なないでしょ?」

 

「死ぬよ! 死なないわけないないじゃないですか!」

 

 僕は鈴ちゃんの中でどういう位置づけをされているんだろう。少なくとも、今人間にはカテゴライズされないことが分かったけど……。

 

「まあ、かっこよかったけど」

 

「……」

 

 鈴ちゃんは聞こえない程度の小さな声で言ったつもりでしょう。しかし、みなさん覚えていますか。私にはペイルライダーという専用ISがいまして、ハイパーセンサーを作動させることができるのです。

 

「ぶはっ!」

 

「ちょ、ちょっと氷雨、あんた大丈夫!?」

 

「だ、大丈夫。ちょっと萌え死にそうになっただけだから」

 

「燃え死に!? どこに発火する要素があったのよ!」

 

「僕の心の導火線に火を付けたのは、鈴ちゃん、そう、君なのさ」

 

「なんでいきなりキザっぽくなってるのよ」

 

 あぁ、このまま天使の迎えが来ても悔いはないわけないので、天使が来たらその羽をもぎます。

 

「ありがとうございました、鈴ちゃん」

 

「お礼を言われる要素は皆無だった気がするんだけど……」

 

 不思議そう、と言うよりは苦笑いを浮かべる鈴ちゃん。あれ? 引かれてる?

 

「ま、まさか好感度は……」

 

「そうね。下がったかも」

 

「やってしまったあああああ!」

 

 調子に乗るのが僕の悪い癖だよぉ……。

 

「あ、そういえば、鈴ちゃんはどうだった、トーナメント」

 

「あんた立ち直り早いわね」

 

 切り替えの速さは僕の良いところベスト3くらいに入ってるからね。と言うよりも、話しの都合上、早めに切り変えないと作者が面倒くさく(検閲により削除されました)うん、僕の良いところだよね!

 

「一夏と対戦だったみたいだけど」

 

「うん。あのさ、あいつほんとについ最近動かしたの?」

 

 あ、それほど強かったんだ。

 

「強かった?」

 

「あ~、あんまり強くはなかったんだけどさ。動きとかに堅さがないからISを使いなれてる印象があったのよね」

 

「まあ、僕ら……と言っても、僕は最近付き合ってないけど、一組にいる代表候補生と箒が放課後特訓に付き合ってるからね」

 

 代表候補が特訓に付き合ってくれるというのは、プロ野球選手が少年野球の練習に参加する感じじゃないかな? 素人監督よりも圧倒的にためになるけど、教えるプロのインストラクターには及ばない、くらいの感覚。

 

「そりゃ、上達も早いわけだ」

 

「まあ、鈴ちゃんの方が凄いと思うけどね。一年で代表候補になるって、並大抵ではできないよ」

 

「ありがと。褒めても何も出ないけどね」

 

 そう言って笑顔を作る鈴ちゃん。その笑顔だけで十分ですたい。

 

「あ、強くないって言った割には負けたよね?」

 

「……」

 

 あれ? 聞いちゃいけないところだった?

 

「ま、まあ、何を言っても言い訳になるから言わないけど、一つだけ言うなら……」

 

 な、なんだろう。

 

「一夏の零落白夜ってせこくない?」

 

「あー」

 

 何となく分かった。

 

 つまり、鈴ちゃんが圧倒していたものの、最後の最後で一夏の零落白夜にあたって一発KOってことだね。

 

「それはなんだか……ドンマイ」

 

 それしか励ましの言葉が出なかったのです。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 一夏に負けたことは事実であり、その要因に零落白夜のチート性能があるのは事実である。しかし、それだけなら鈴は負けることはなかった。

 

 代表候補生になるにあたって、過去のモンド・グロッソ大会の映像を見せられている。

 

 故に、一夏が瞬時加速を使用する事は予測済みだった。なにしろ千冬が使用した技である。それを一夏が覚えていないわけがない、というか千冬が教えないわけがないと思っていたからである。

 

 なので、冷静に対処すれば、零落白夜の間合いに入ることも、最後の奇襲の零落白夜も当たることはなかったのだ。

 

 だが、結果的に鈴は負けてしまっている。その理由は、まだ他にあった。

 

「(あんたのことが心配で集中できなかったなんて、言えるわけないじゃん)」

 

 鈴は見たのだ。倒れた後、担架で運ばれていく氷雨の姿を。

 

 それを見て、さらにその前のクラスメイトの言葉が相乗的に効果を出し、鈴はなかなか目の前の戦いに集中できずにいたのだ。

 

「(ほんと、最近振り回されてるわね)」

 

 目の前で楽しそうに話しかける氷雨を見つめる。

 

 その視線に気づくと、目の前の男は恥ずかしげに笑う。

 

 その屈託のない笑みに、鈴は自分の力が抜けて行くのが分かった。

 

「(悩みなんてなさそうね、あんたはさ)」

 

 なんだか、悶々としている自分がバカらしくなって、鈴はため息をつく。

 

「あれっ!? 面白くなかった?」

 

「え? あ、いや、別にそういうわけじゃないわよ?」

 

 そう言って鈴は笑顔を作る。その顔を氷雨は見つめ、何か納得したように頷くと、コップに残ったカプチーノを一気にあおった。

 

「じゃあ、今日はこれくらいでお開きにしようか」

 

「え、もう? 今日は早いわね」

 

「うん。なんだか、鈴ちゃん疲れてそうだし。当然だよね、昨日の今日だし」

 

 氷雨は鈴のお盆を持ち、返却口へ駆けて行った。

 

「……調子狂うわね」

 

 なんだか負けた気分のする鈴であった。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 そりゃ、代表候補生だし、学年別トーナメントの後、政府の人と会ってないわけないよね。

 

 そんなめんどくさい行事の後で疲れてないわけなかったよ。

 

 お盆を返すと僕はさっさと鈴ちゃんの元に戻る。

 

「おまたせ~」

 

「お盆、ありがと」

 

「いやいや、別にいいよ」

 

 こう言うのは男がするべきことだしね。

 

「じゃ、帰ろうか」

 

「そうね」

 

 そうして、僕らはカフェを後にした。

 

 

 

 

 

 寮に戻ろうと廊下を鈴ちゃんと共に歩いていると、正面から誰かがやってきた。

 

「あ、篠ノ之くん、ちょっと話があるんだけど」

 

「え、僕に?」

 

 そう声をかけてきたのは二組の子だったと思う。たしか、授業でラウラの班にいた子だったかな?

 

「今、大丈夫?」

 

「えと、僕は大丈夫だけど……」

 

 ちらりと、横を見る。

 

「なんであたしの方を見るのよ」

 

「え? い、いや」

 

「鈴、篠ノ之くん借りていい?」

 

 目の前の子も鈴ちゃんに聞く。

 

「いいもなにも、別にあたしのものじゃないわよ?」

 

「じゃあ、いいんだね?」

 

「……いいわよ。氷雨、あたし先帰ってるから」

 

「え、あ、うん」

 

 そう言って鈴ちゃんは歩き出す。

 

「お、おやすみー」

 

 角を曲がり、鈴ちゃんは見えなくなってしまった。

 

「えと、ここで良いのかな?」

 

「あ、じゃあ、屋上に来てもらっていい?」

 

「うん」

 

 屋上か~。今の時間、夕日がきれいでロマンチックだよね。ロマンチック……え?

 

      ◇   ◇   ◇

 

 そんな二人を後ろから追う影が五つ。

 

「いやいや、あんたたち何してんのよ」

 

「え、覗きだけど?」

 

「ひひっ。リア充生誕を呪いに行くのよ」

 

「そこは祝ったりーや」

 

「浅はかなり」

 

「堂々としてるわね……」

 

 と、鈴は呆れた顔をするものの……。

 

「ふひっ。そ、そう言う鈴も付いて来てる」

 

「あ、あたしは、あんたたちが変なことしないように……そう、見張ってるだけよ!」

 

 痛いとこを突かれ、適当な言い訳をするも、実際気にはなっている。

 

 ここまでの流れで分かるように、先ほど氷雨に声をかけた女子は学年別トーナメントの観覧席で氷雨にアタックしてみると宣言した女子である。

 

「それはええけど、そろそろ移動せんと見失ってまうで」

 

「浅はかなり」

 

「まぁ、行先は屋上って分かってるから大丈夫だけどね~」

 

 そんな一行は無事(?)に屋上まで辿りついた二人を後ろから見ていた。

 

「さて、どうなるかな」

 

「ふひっ。結果は明らか。しめやかに爆発四散」

 

「リア充なる前に爆発かいな」

 

「浅はかなり」

 

 そんなゆるい空気の4人と違って、鈴は二人の様子を食い入るように見ていた。

 

「結局、一番見てるの鈴やん」

 

「同じ穴の、ひひ、むじな」

 

「仕方ないかもね~」

 

「浅はかなり」

 

 ひそひそとしたその声は鈴には届いていない。

 

 そして、告白は始まった。

 

      ◇   ◇   ◇

 

「好きです。付き合って下さい!」

 

 そのまっすぐな言葉を受け止めるも、どう返せばいいのか見当たらず、僕は彼女に問う。

 

「えっと、僕のどこが好きなのかな?」

 

 正直なところ、僕を好きになる要素は大体一夏も持ってるわけで、尚且つ一夏の方がイケメンである。勇気を振り絞ってくれて嬉しいんだけど、ちゃんと理由を聞いておきたかった。まあ、こう言う問いはあまり好まれないとは思うけどね。

 

「前の一組と二組の合同授業、覚えてる?」

 

「うん。君は確かラウラの班だったよね」

 

「! は、はい!」

 

 僕が覚えていたことが嬉しいのか、声が大きくなる。

 

「それで、篠ノ之くんは私と一緒にボーデヴィッヒさんと戦って……。私、正直、ISの操縦があまり得意じゃなくてちょっと憂鬱だった。向いていない。やめようかなって、思ってたの」

 

 IS学園への入学。それだけでも物凄い倍率を勝ちぬくために努力してきたんだろう。そうして入った学園で上手くいかない。それはどれだけ彼女に重くのしかかっていたのか。

 

「そんな時だったから、篠ノ之くんのおかげで、私、ISを動かすことが楽しく感じられた時、凄く救われたの」

 

 僕はそんな殊勝な人間ではない。僕が救ったわけではなく、君が自分で立ち直っただけだ。そう切り捨てるには、彼女の眼は真剣過ぎて、できなかった。

 

「だから、私は篠ノ之くんのことを好きになって……」

 

「ありがとう。でも、ごめん」

 

 これ以上は聞けない。僕が聞いておきながら、向き合ってあげることができないなんて、最低だよね。

 

「僕には好きな人がいるから。だから、君と付き合うことはできないんだ」

 

「それは……鈴?」

 

 その言葉に頷く。知られているのは当たり前だよね。

 

「そっか」

 

 予想できていたのか、彼女の反応は薄い。それでも、目はうるんでおり、我慢しているだろうことが窺えた。

 

 彼女は一度目を閉じる。そこで切り替えるように意地悪な顔つきになる。しかし、それもどこか弱々しく、強がっているのが見てとれるけど、それを指摘するほど、僕は意地の悪い人間ではない。

 

「振られたのに、まだ好きなの?」

 

 仕返しとばかりの意地悪な問いに僕は笑ってしまう。

 

「振られたって、諦めきれない想いだってあるさ」

 

「そっか……そうだよね」

 

 彼女は目にたまったものを拭うと、強気な笑みを見せる。

 

「だったら、私が好きのままでいても、文句は言えないよね?」

 

「え、う、うん」

 

 ……あ、負けた。

 

「ふふ、なんちゃって。私はそんなに執着するタイプじゃないの」

 

 そう言って、背を向けると、彼女は少し振りかえって最後に言う。

 

「鈴をよろしく」

 

「え……う、うん。当然だよ」

 

 そう言って去っていく彼女。

 

 その背を見て、やっぱり男より女の方が強いな、と改めて思った。

 

      ◇   ◇   ◇

 

「「「ヒューヒュー」」」

 

「……」

 

「浅はかなり」

 

 何故か覗きの三人にはやし立てられる鈴。

 

 それに何も言えず、鈴は顔を真っ赤に染めている。

 

 改めて氷雨の好意を聞かされると、鈴は恥ずかしくなってしまう。

 

「ふう、ひとしきり鈴をからかったし、帰ろっか」

 

「そうだね、ふひ、慰め会もしなきゃいけないし」

 

「せやな~。うち、お菓子用意するわ」

 

「私も菓子を持って来る」

 

「あんた、普通に喋れたのね」

 

 そんな感じでした。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 次の日の昼休み。

 

 え、昨日の今日だし、二組には流石に行けないねって?

 

 そんなわけないでしょ!? 鈴ちゃんがそこにいるのに行かないわけがないんですよ!

 

 それにさ、真面目な話、あの子は気を使ってほしいタイプの子じゃないと思うんだよね。気を使ってぎくしゃくした対応するより、いつも通りにした方が良いんじゃないかって。まあ、僕が勝手に思っているだけだから、違うかったら明日からペイルライダーに万能迷彩兵器『ダンボール』を出してもらうけど。

 

『氷雨、段ボールの迷彩効果は全くと言っていいほど期待はできません』

 

「なんで?」

 

 一夏には効いたよ?

 

『鈴に声をかけるのであれば、音を遮断できずばれてしまいます』

 

「ああ! そこがネックだった!」

 

 そんなことを言いつつ、僕は二組に向かう。

 

 二組の扉を開ける。

 

「鈴ちゃーん、お昼食べよー」

 

 と、声を上げながら二組を見渡すも鈴ちゃんの影は見当たらなかった。

 

「あれ? 鈴ちゃんがいない?」

 

 そんな風に首をかしげていると、いつも鈴ちゃんと一緒のティナさんが声をかけてくれる。

 

「り、鈴なら用事があるって職員室に行ったよ」

 

「そっかー。ありがとう」

 

 あれ? でも僕チャイムから最速できたつもりなんだけどな……。居ないなら仕方がないね、撤退しようかな。

 

「……」

 

「あ」

 

 昨日の子と目があってしまう。彼女の眼はどこか不安げな感じだ。何に不安を感じているのか。その明確な答えは持ち合わせていない。けど……。

 

「またね~」

 

「え、う、うん!」

 

 僕は手を振って別れを告げた。いつも通り。それが僕だから。

 

      ◇   ◇   ◇

 

 場所は二組の机より低い位置。

 

 中国の代表候補生兼、二組のクラス代表である凰鈴音は身を隠すようにしゃがみ、小さくなっていた。

 

「……何してるのよ」

 

 フォローしてくれたティナが鈴に声をかける。

 

「……」

 

「ん? 聞こえないよ?」

 

 言いたくなさそうな顔をする鈴だが、フォローしてもらった手前、答えないわけにはいかない。

 

「い、今は、あいつとまともに顔、合わせられそうに……ないから」

 

 一同はそれを聞いて呆れた顔をする。

 

「もー、それは鈴のセリフじゃないでしょー」

 

「ふひっ、甘酸っぱい。爆発しろー」

 

「もうそれでええ気がしてきたわ」

 

「浅はかなり」

 

 恥ずかしそうに顔を赤くする鈴。そんな鈴に昨日の彼女は言う。

 

「もう、鈴を理由に私は振られたんだからさ、ちゃんと向き合ってよね」

 

「……」

 

「その顔をまともに合わせられないのはなんでかって考えて、答えだしなよ」

 

「……そうね」

 

 その鈴の答えに少女は満足そうに笑う。

 

「よし。じゃあ今日は鈴の恥ずかしがってる顔を肴にお昼にしよー!」

 

「「「おー!」」」

 

「浅はかなり」

 

「ちょっと、あんたたち!」

 

 そんな平和なIS学園の昼休みでした。

 

 

 しかし、結局その日一日、鈴は氷雨と顔を合せなかったそうです。

 




はい
と言うわけでお気に入り1000越え記念短編一本目です※”1000”記念です

いや~、今回は本当に大まかなプロットしか組んでなかったのでどうなるか不安でしたが、なかなか楽しく書かしていただきました
特に、鈴と氷雨の会話は筆が止まりませんでした。そこで一番苦労すると思っただけに意外


うん。でね、ちょっと見てほしいんだ。あ、読者さんは見れるか分からないですが、文字数がですね、7000弱なんです(白目

なんで番外短編がこんなに長いんだよ!!!

そんな感じでした~

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