鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん 作:かきな
一話 再会
入学前。
当初、政府の人たちは安全の確保という名目でIS学園に入れるつもりだったのだけど、僕がISを動かせるという事実を知ってビックリ。でも、僕の場合はこの蒼騎士しか動かせないわけだから、ちょっと特殊なんだけどね。
あ、そうそう。政府にこの専用機を見せた時に蒼騎士ってそのままの名前で登録したら面倒なことになるから、名前は変えたよ。武装にベクターキャノンもあるし、ジェフティって名前にしたかったけど、安直過ぎると蒼騎士直々に駄目だしされた。
え、直々ってどうやって? と思うかもしれないけど、たまに他の二次創作でも見るように、僕のISは意志の疎通ができるようになっている。コアには人格があって、それが合成音声を使って僕とコミュニケーションをとるって寸法だ。どのISにも人格はあるのだけど、それができるように成るには長い年月とその人の相性が必要になる。
「じゃあ、蒼騎士はどんな名前がいいのさ」
『アヌビスを提示します』
「いや、それ敵方だから。ベクターキャノンも使わないし」
『細かいです』
実は蒼騎士にADAっぽい話し方を教えたんだけど、蒼騎士は人格を持っているからADAとは似ても似つかない言動をするんだよね。
『蒼という要素は残し、ダブルオーライザーというのはどうでしょう』
「どうもこうもないんだけど。蒼という要素って、機体の色だけじゃん」
『ではこの際開き直って蒼騎士でどうでしょう』
「それを隠すための相談だからね!?」
まあ、こんな感じで堂々巡りだったので蒼騎士にはスリープしてもらった。あ、常時話すわけじゃないよ。必要な時だけISを起動させて会話するわけ。もちろん、起動するだけで展開はしないよ。展開中はいつも話しかけてくるけどね。
「う~ん。箒の機体が紅椿だから蒼薔薇とか? うわ、男が乗るのにそれはないな」
なんだか蒼薔薇って僕がホモみたいに聞こえるから却下だね。
どうせならかっこいい名前がいいしね。どうしようか。騎士……あ、ペイルライダーでどうだろう。ガンダムのオンラインゲームにも出てきてたよね。性能は……うん、まあ置いておくよ。いや、でも、あのポーズかっこいいよね。たしか、オーガンダムもあんなポーズしてたような気がする。サンライズはあのポーズ好きなのかな?
まあ、そういうわけで、僕のISの名前はペイルライダーになりました。名前だけなんだけどね。
◇ ◇ ◇
入学式。
迷った。
前の生徒について行けばいいだけのはずなんだが、余所見をしている間にはぐれてしまった。まあ、最初の自己紹介なんて、参加する意義のない微妙なイベントだったけどさ。
ペイルライダーを起こしてみる。
『なんでしょうか』
「迷子だから地図出してくれない?」
『嫌です』
「なんで!?」
『私は便利な携帯端末ではありません。そのような使い方は不愉快です』
「AIに有るまじき発言だね。ペイルライダーは人格持ってるし仕方ないか」
『ペイルライダー……未だに患っているのですか?』
「厨二病をってこと? 違うからね。君の名前だからね?」
結局、少々渋られたけど、ペイルライダーは地図を出してくれた。その通りに進んでいると、なんだか懐かしい後ろ姿を発見する。
「もしかして、千冬さん?」
「ん、なんだ。篠ノ之か。どうしてここに居る? ホームルームは始まっているぞ?」
おお、反応薄いし、他人行儀だね。先生として学校に居る時は一夏もこういう対応されてたね。
「それに、学校では織斑先生と呼べ」
「あ、すいません。お久しぶりです、織斑先生。道に迷って、その辺をうろうろしていたらこんな時間でした」
「そうか。ならちょうどいいからついてこい。お前は私のクラスだからな」
まあ、知ってるけどね。一組って聞いた時からそうなるものと分かってたもん。少し二組にならないかなって願ってはいたんだけど、そううまくはいかないか。
◇ ◇ ◇
教室につくと、定番のツッコミが一夏を襲った。出席簿の表紙はすごくかたいからね。角なんて凶器になるんじゃないかと思うよ。
「ち、千冬姉……と、ひ、氷雨!?」
その声に反応したのは箒だった。先ほどからの自己紹介の間は興味なさそうに窓の方を向いていたが、僕の名前に反応してか、こっちに顔を向ける。
「やあ」
声の主である一夏の方に軽く手を上げ、箒の方にも視線を送り、笑顔を作る。
それに対して、箒も少し堅いが笑顔を浮かべ、小さく手を振ってくれる。え、何この子。素直すぎるでしょ。
「このクラスの担任の織斑千冬だ。篠ノ之、お前も自己紹介をしておけ」
「え、この歓声の中で、ですか?」
前方のクラスメイトから聞こえる黄色い声は、千冬さんを賛美するものばかり。実際に見ると素直な感想が怖いの一言だよ。熱狂的すぎる気もするね。
「静かにしろ!」
千冬さんの一声でぴたりと声が止む。その後、千冬さんに目で促され、自己紹介に入る。
「入学早々迷子になって、遅れてきました。僕は篠ノ之氷雨。二人目の男性IS操縦者ってことになるみたい。これからよろしくお願いします」
まあ、特に歓声もなく終わり、席につかされる。僕の席は一夏と箒の間。ふむ。どっちに話しかけるか悩むところだね。
どうしようか悩んでいたら、千冬さんが授業の開始を宣言したので、次の休み時間まで待つとしようか。
◇ ◇ ◇
休み時間。
授業の内容はまあ、ISのことばかりだったね。今は基本的な所をやっているので、実際に触っている僕からすればなんてことはない部分だ。ただ、各武装に関する授業になればまた違うんだろうけどね。僕は僕が使ってる武器のことしかわからないから。
あ、ちなみに僕のペイルライダーの武装は近接ビームブレードが二本、両方の脚部に三点ミサイルポッド、背部の非固定装備にホーミングランスと呼ぶ追尾性のあるビーム。それに加えて、敵を一掃できるベクターキャノン、という感じである。
ペイルライダーとジェフティの半分ずつの武装を貰った感じに仕上がっているのは作者の迷いかな?
ちなみに、束さんに頼めば他のサブウェポンも作ってくれそう。拡張領域の中で武装は変更できるし、いろいろ試したいよね。
「ちょっといいか?」
その声に顔を上げると箒が正面に立っていた。ああ、呼び出して話すイベントね。了解了解。
「いいよ。一夏も誘う?」
「う、うむ」
「一夏、ちょっと外の空気吸いに行こうよ」
「ん? ああ、いいぜ。俺もお前と話したかったしな」
そんなわけでこの好奇の目にさらされ続けるのも疲れるので、早々に場所を移動しました。
◇ ◇ ◇
なんか屋上っぽいところに来た。風が気持ちいいね。ここでお昼を食べると凄く青春っぽい気がする。あ、そのイベント確か二巻であった気もする。
「いや~、とりあえず、再会おめでとうってとこだね」
「ほんとに久しぶりだな、氷雨に箒」
「あ、ああ」
箒は少し緊張している様子。
「一夏、少し大きくなった?」
「ああ。ってそりゃそうだろ。何年経ってると思ってるんだよ」
「ええと、そういやもう五年くらい見てなかったんだよね……」
ふと、箒の方に視線を向ける。変わった、という感想よりも見慣れた顔になったという感想が今の僕には正しい。僕の知ってる箒はこっちだねやっぱり。
「な、なんだ?」
「いや、大きくなったし、綺麗になったね、て思ってさ」
「なっ! そ、そんな恥ずかしいことを一夏の前で言うな!」
顔を紅くして僕を責める箒。そんな僕と箒を見て一夏は笑いだす。
「ははは。氷雨も相変わらずだな」
「相変わらずってどういう意味だよ。これでも成長してるからね」
まあ、成長したのは体だけで、頭はあんまり成長したように感じない。なんだか僕の精神年齢は年と共に上がるわけではなく、あくまで社会的に認識されている程度の年齢までしか成長しないみたいだ。あ、もともとの精神年齢は置いといてね。
「それにしても、まさか一夏がISを動かせるなんてね」
知っていることだけど、さも予想外だったかのように僕は驚いた表情で言った。
「ほんとだぞ。私も、テレビで見て驚いたものだ」
「俺自身なにがなんだか……。束さんは何か言ってないか?」
「っ!」
その一夏の言葉に箒はピクリと反応した。
「まあまあ、箒。抑えて」
箒は一家離散となった原因である束さんのことを嫌っている。そのせいで、束さんの名前には過剰な反応を示すことが多いのだ。僕も初めて電話で激高する箒の声を聞いた時はびっくりしたよ。
「ごめん、一夏。箒と束姉は今ちょっと難しい関係なんだよね」
「そ、そうなのか」
一夏に耳打ちする。
「だから、クラスでも少し気を配ってくれると嬉しいな」
「おう、任せとけ」
時計に目をやるとそろそろ授業が始まる時間だ。早く戻らないと、千冬さんにどんな刑罰を与えられるか分かったものじゃない。
「そろそろ戻ろうか」
「ん、ほんとだ。早く戻るぞ」
「ほら、箒も」
「……うむ」
なかなか束さんとのしこりは取れそうもない箒だけど、どうしようかな。
……放っておいていいか。別に特に害があるってわけでもないしね。
オリジナル機体の名前はペイルライダーとなりました
青いし、騎士だし、ぴったりなんじゃないかな?
ISがしゃべるというのは、ありなのかなしなのか……見極めが難しいですね
次回投稿は3時になります