鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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三話 何よりも好感度

 それでも、守りたい世界があるんだーってできるようになってテンションあがってたんだけど、何この状況?

 

 えーと……多分、ラウラが何かやらかして、一夏がそれを咎めたって感じだと思うんだけど、あってる?

 

「やっぱ、俺って不可能を可能にする……」

 

「何をやっている」

 

 あ、千冬さん来た。

 

「織斑、貴様は自分のグループを放り出してこんな所で何をしている」

 

「いや、だって、こいつが……」

 

「戻れ」

 

 その一言で一夏の言葉は遮られる。その有無を言わさない千冬さんの語気に一夏は渋々その場を離れる。

 

「それで? お前は何をしている」

 

「あ、篠ノ之グループは模擬戦終了したので、少し遅れているラウラのグループの手伝いにきました」

 

「なに?」

 

 その言葉にラウラが怪訝な顔をする。まあ、とっさの思いつきで言っただけだからね。そりゃそういう反応になるよね。

 

「殊勝な心がけだ。だが、次からは教師に報告してから行うようにしろ」

 

「はい、すいません、織斑先生」

 

 そう言うと、千冬さんは僕の横を通り過ぎその場を去ろうとする。去り際、「任せたぞ」と言われたので、なんとも信用されてるんだなって嬉しくなった。

 

 千冬さんが離れると、ラウラが明らかに嫌そうな顔をする。

 

「貴様、どういうつもりだ」

 

「どうもこうも、言葉の通り、手伝いに来たんだよ?」

 

 その答えがお気に召さないのか、やっぱりラウラは不機嫌そうな表情のままである。

 

「……まあいい。次邪魔をすれば容赦はしない」

 

 ? 何の邪魔だろうか?

 

 ま、それはいいからさっさと始めましょう。

 

「よし、じゃあ僕と一緒にボーデヴィッヒさんを倒そう!」

 

「……なんだと?」

 

「え、う、うん。分かった」

 

 訓練機に駆る多分二組の子と足並みをそろえてラウラに迫る。

 

 飛来するワイヤーブレードを訓練機の子の周りを回りながら弾いていく。順調に近づいて行くと、ラウラはプラズマ刀を展開させ、接近に備える。

 

「ちっ」

 

 舌打ちが聞こえるくらいまで接近すると、訓練機の子が近接ブレードを振り被る。その隙だらけの胴に来るであろう攻撃を背後から脇に腕を通してビームブレードを振るい止める。あ、二人羽織みたいだね。

 

 無事に振りおろされた刀だが、流石にラウラは当たってくれない。

 

「おしかったね~」

 

「あ、ありがとう」

 

 そこまでの攻勢が終わると交代させる。

 

「何がしたいんだ、貴様は」

 

「え、訓練だよ? まずは自分も戦えるって自信を付けてもらわないと」

 

「ふん。そんな甘いやり方で、強くなれるものか」

 

「えー、そうかな? そういうラウラも最初は自信とかなかったでしょ?」

 

「っ!」

 

 ラウラは僕の言葉に反応し、睨みつけてくる。

 

「壁を見せつけたって意味ないよ。壁の横にある扉に案内してあげるのが教えるってことだと思うよ?」

 

 うん。僕いい事言ったよね!

 

『例えがうまくありません』

 

 いつもいつも辛辣な感想をありがとうペイルライダー。感謝で涙が出てきたよ。

 

「……扉」

 

 ラウラが何かを呟いていた。なんだろう。どうかしたのかな? まさか、僕の言葉に感動していたりして!

 

『妄想が過ぎますよ』

 

「もう少し優しくしてくれてもいいんだよ?」

 

『必要ですか?』

 

「飴と鞭は基本だからね」

 

『鞭を肯定するとは氷雨は変態ですね』

 

「なんで曲解するのさ!?」

 

 そんなこんなで授業は無事に終わった。

 

 授業が終わってから、千冬さんにドクペをおごってもらったのは秘密だ。

 

◇   ◇   ◇

 

 昼休み。

 

 食堂。

 

「そろそろ仲直りしてもいいころじゃないかな、鈴ちゃん」

 

「あたしに言われても知らないわよ」

 

 ちなみに今日は二人だけだ。シャルは一夏に射撃の特性の講義を頼まれたから今日は一夏と食べている。

 

 のほほんさんはいつもの子たちと教室を出てた気がする。僕は一目散に二組に行ったからあまり見ていない。

 

「そういえば、あんた二組で話題になってたわよ」

 

「ほんと? 良い話題? 悪い話題?」

 

「半々ってとこかしら」

 

 え、どっちもあるの?

 

「どっちから聞きたい?」

 

「じゃあ、良い話からで」

 

「わかった。良い話はね、ボーデヴィッヒのグループだった子が良い人だったって言ってたわよ」

 

 良い人?

 

「なんか、一緒に戦ってフォローしてくれて優しかったってさ」

 

「おおー。なんだかほんとに良い話だった」

 

「なにそれ」

 

「いや、僕が普通に褒められることって少ないからビックリして……」

 

「あんた……」

 

 なんで同情の目を向けてくるんですか、鈴ちゃん。いや、嬉しいけどね。

 

「で、それを聞いた鈴ちゃんはどう思った?」

 

「え?」

 

「僕の好感度上がった?」

 

「あんた、直球ね」

 

 え、なにかまずかった? だって、もう僕が鈴ちゃんのこと好きってことはばれてるんだし、隠すことないよね?

 

「ま、ちょっと上がったわ」

 

「いよっしゃあああああああああああああ!」

 

「今下がったけど」

 

「うわああああああああああああああああああ!」

 

 やっちまいましたよぉ……。

 

「なんか、そのボーデヴィッヒってどうなのよ。あんたとどっちが問題児?」

 

 なんで僕と比較して聞いてくるのさ。その言い方だと、僕が問題児みたいじゃん。

 

「僅差で僕かな」

 

「自覚あったのね……」

 

 だって、今のところラウラは問題あまり起こして無いもん。それに比べて僕は反省文をもう二回も提出してますからね。

 

「あれでも真面目に授業は受けてるんだよね……千冬さんの時だけ」

 

「へ~」

 

 鈴ちゃんは啜ったラーメンを咀嚼し、それを飲み込む。口をもぐもぐと動かす鈴ちゃんは小動物的な愛嬌があるね。もうね、口角が上がるのを抑えられないですよ、はい。

 

「そういえばさ、あんたも一夏の幼馴染なんでしょ?」

 

「そうだよ」

 

「そ、その頃の一夏ってさ、ど、どんな感じだった?」

 

「えー、それを僕に聞くの? 鈴ちゃん、その精神攻撃はなかなかキツイよ?」

 

「べ、別にそんなんじゃないしっ! ……て、あんたに言っても意味ないか」

 

 うん。意味ないね。でも堂々とされてもそれはそれで死にたくなります。

 

「まあ、どうって言っても良くも悪くも一夏だったね」

 

「ああ、その言葉でもう察したわ」

 

「あ、でも、剣道をしてる一夏はなかなか格好良かったよ」

 

その言葉に鈴ちゃんはピクリと反応を示す。

 

「そうなんだ。写真とかある?」

 

「う~ん。僕の端末には多分箒のやつしかないと思うけどなぁ」

 

 その言葉に鈴ちゃんはなんとも言えない顔をする。

 

「え、どうかした?」

 

「いや、べ、べつに?」

 

 何故疑問形?

 

「言いたい事があるなら遠慮しないで良いよ? 僕は鈴ちゃんの言うことなら何でも受けとめるから」

 

「そう? じゃあ、遠慮しないで言うけど、あんたシスコン?」

 

「え? いや、そんなことないけど?」

 

 どうしてそんな疑問が上がってきたのだろうか? でも僕の答えに鈴ちゃんはなんだか納得していない様子。

 

「そんなにシスコンに見えるの?」

 

「違うなら良いけどね。携帯に妹の写真しかないってのは、そう思われても仕方ないんじゃない?」

 

 言われてみればほんとにシスコンみたいだ。

 

「けど、家族の写真を持ってるだけだし、可笑しくないと思うんだけどなぁ……」

 

「ま、そういう感情がないなら普通よね」

 

「うん。……ていうか、そういう感情は鈴ちゃんに向いてるって知ってるでしょ?」

 

「あんた、最近開き直り過ぎじゃない……?」

 

 隠すことでもないからね。

 

「だから一緒に居て気が楽ってのもあるけどね」

 

「おお、なかなか良い印象を与えてるのかな?」

 

 あれ? でも一緒に居て気が楽って言うのはそういう恋愛系の漫画では良い友達までしか行かないような気が……。

 

 うん。気のせいだよね。大丈夫大丈夫、前進してるはず……。

 

 そんな疑問が頭をよぎった、昼休みであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。あんた、明日空いてる?」

 

 明日といえば、土曜日だね。暇ですとも。だって、友達少ないですからね! ああ、涙が……。

 

「うん。全然大丈夫だよ」

 

 トーナメントに向けての特訓かな?

 

「じゃあ、買い物付き合ってよ」

 

「うん、いいよ」

 

 ……ん、買い物?

 

「うおええええええええええええええええ!!」

 

「うるさいわよ」

 

 ぺしり、と頭をたたかれる。

 

「か、買い物!? デート!?」

 

「ばっ! ち、違うわよ、ただの荷物持ちよ!」

 

 あ、ああ。なんだ、荷物持ちね、うん。そうだと思ってましたとも、はい。

 

「こっちには必要最低限のものしか持ってこなかったから、色々足りなくなってきたのよ」

 

「うん。そういうことなら力になるよ!」

 

 そういうことじゃなくても喜んでお伴するけどね。

 

「時間はまた連絡するわね」

 

「うん。ああ、今から楽しみだよ!」

 

 そんな僕らに迫る影が一つ。

 

「あ、千冬さん」

 

「校内では織斑先生だ、と言いたいが、今はいい」

 

 どうやら出席簿による頭部損傷は免れた模様。でも、なんでだろう?

 

「個人的な頼みがある」

 

「え、千冬さんからですか? 珍しいですね」

 

 そう、珍しいだけに千冬さんの頼みというのは面倒なことが多いのだ。

 

「なに、今回はそこまで面倒な頼みではない」

 

「なぜ心を読めるのか」

 

「あんたも同じこと考えてたのね」

 

 そっか、鈴ちゃんも千冬さんと馴染みがあるもんね。

 

「それで、僕らに何をしてほしいんですか?」

 

「ああ、こいつを買い物に連れて行ってやってほしい」

 

 こいつと千冬さんが言うと、千冬さんの後ろから銀髪のクラスメイトが現れた。

 

「……ちっ」

 

 ラウラは僕の顔を見るなり舌打ちした。僕何かしたっけ?

 

「ええと、よろしくね」

 

「…………」

 

 こ、これは手放しに楽しめない買い物になりそうだぞ……。

 




え、悪い方の噂は何かって?
それは後々

(書いた後に忘れていたことに気づいたわけではない)

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