鈴ちゃん好きが転生したよ!( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん( ゚∀゚)o彡°鈴ちゃん   作:かきな

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九話 兄のお節介

 とある夕食後。

 

 一組のメンバーは寮の食堂に各々が持参した飲み物やお菓子を広げている。

 

「「篠ノ之くん、クラス代表決定おめでとう!」」

 

「ありがとー!!」

 

 クラッカーが乱れ咲く。なぜか僕の持っていたクラッカーだけしけってるんだけど、これを取れって言ったのペイルライダーだよね。

 

『不正はありません』

 

「この突き出したクラッカーのしまい所を教えてくれ」

 

『ダストボックスを提示します』

 

 やっぱゴミなのか。

 

「これでクラス代表戦が延期じゃなかったらもっとよかったのにね」

 

「ほんとほんと」

 

「まあ、でも、専用機持ちが一人しかいなかったら結果見えちゃってるもんね」

 

「そうだねー」

 

 あ、ちなみに今相槌を打っている女の子、二組の代表らしいです。鈴ちゃんに変わる前はこの子だったんだね。

 

 とは言っても、まさか延期されるとは予想できなかったよ。

 

 鈴ちゃんのフラグを立てるには最適なイベントだったはずなのにね……。

 

「はっ、フラグとか言うのは、なんか不誠実な気がする!」

 

「氷雨にそれは望んでないよ」

 

「おい、一夏。それはどういう意味だよ」

 

 僕は言われるほど変なことしてないよね? 女子風呂に侵入したり、不意打ちに一撃必殺くれてやったりしただけじゃないか!

 

 ……あまり素行がいいとは言えないね。

 

「そこが長所だ。気にする必要はない」

 

「箒、フォローって言うものはね。本人が傷つかないようにするものなんだよ?」

 

「む、ああ、すまない。勘違いをさせてしまった」

 

「それはどういう?」

 

「別にフォローしたつもりはないぞ」

 

『会心の一撃。氷雨は死んでしまった』

 

「まさか……箒にまでこの扱いを受けるとは……」

 

 お兄ちゃん、絶望したよ。この心の傷は、鈴ちゃんの笑顔じゃないと埋められないよ。

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と篠ノ之氷雨……くんはどこかな?」

 

 周りの女子が盛り上がる中、膝抱えて座っているのが僕です。

 

「そこの卑屈そうな方が氷雨ですわ」

 

「いったい何の恨みがあるんですか」

 

「あ、君が篠ノ之くんね。私は二人に特別インタビューしに来た二年の黛薫子。よろしくね」

 

 そう言って名刺をもらう。

 

「貴様、覚えておくぞ!」

 

「え、あ、うん。ありがとう」

 

「すいません、先輩。こういうやつなんです」

 

 大丈夫! 最近みんなが僕をディスる傾向にあるけど、愛情の裏返しだって分かってるからね!

 

「ではでは篠ノ之君! クラス代表になった感想をどうぞ!」

 

「トーナメントが延期になったので何もすることがありません」

 

「正直すぎる感想ね。じゃあ、あの代表決定戦についての感想とかはない?」

 

 これ、ベクターキャノンが気持ちよかったですじゃダメだよね。

 

「普通の感想で良いなら、一夏の成長が目覚ましい試合だったね」

 

「氷雨っ!?」

 

 突然の賛辞に狼狽する一夏。

 

「初めはセシリアのブルーティアーズとの間合いに苦戦していたみたいだけど、徐々に間合いを理解していって、終盤にはレーザーを避けつつ切りかかることもできるようになってたからね。白式の機体性能に助けられていた部分もあるだろうし、セシリアがフィンファンネルをうまく使いこなせていないって言う要因もあったけど、一夏のセンスが良かったというのがやっぱり大きかったよね」

 

「ほうほう」

 

「少々気になるところもありましたが、一夏さんについてはわたくしも同意見ですわ」

 

「あ、織斑くんに迫られて焦っているところを横から篠ノ之くんに太くて濃いものを撃たれたセシリアちゃんだ」

 

「ハハハッ、見てたよ、ルーキー!」

 

「る、ルーキー!? というより、貴方も当事者ですわよ!?」

 

 うん、そうだね。というか、すごく引っかかる表現してきたね先輩。

 

「一夏さんの適応スピードは目を見張るものがありましたわ」

 

「ほうほう」

 

 それをメモる先輩。その横で恥ずかしそうに頭を掻く一夏。

 

「で、でも、俺なんてまだまだ氷雨やセシリアには及ばないぜ」

 

「当然ですわ」

 

「俺がガンダムだ」

 

『その通りです』

 

 名前だけだからね。それと、ペイルライダーはどちらかというとジムだから。

 

「あ、それじゃあ、専用機持ちの三人の写真撮らせてほしいんだけど。いいかな?」

 

「もちろんいいですよ」

 

「い、一夏さんとですか!?」

 

「おいぃい、ナチュラルに僕を除け者にしてない!?」

 

「いつもわたくしを馬鹿にするからですわ。待遇改善を要求するなら、お世辞の一つくらい言ってみればいかがです?」

 

 そう言いつつ、ここぞとばかりにゲスい笑顔を浮かべる。あの、貴女貴族じゃありませんでしたっけ?

 

「その時、君は美しい」

 

「なぁっ!」

 

「わお、大胆発言だ」

 

 ネタだからね。

 

「そ、そん風に言われましても……わ、わたくしには、その……い、いち――」

 

「いやいや、お世辞だから! 自分で言ってたでしょ!?」

 

 あとね、綺麗とか可愛いとかの褒め言葉は恋愛感情とは別だから!

 

「じゃあ、撮るよ?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。今すぐ着替えてくるので」

 

「時間かかりそうだから、却下」

 

 そうして先輩はセシリアの手を引き、僕と一夏の間に押し込む。

 

「いくよー」

 

 そういったところで、僕は箒の方を向いて手招きする。箒はどういうことかと不思議そうな顔をしたけど、こっちに近寄ってきた。

 

「35×51÷24は~?」

 

「無防備に近づくとは!」

 

 箒の手を掴み、引き寄せる。そして、

 

「ナンセンスだ!」

 

 一夏の方へ突き飛ばし、それを一夏が抱くように支えた。

 

 ぱしゃり。

 

 シャッターが切られる音がする。周りを見るとやっぱりみんな入ろうとしていた。

 

「ななな、何をする氷雨!!」

 

「え、いや。どうせなら一緒に写りたかったから?」

 

「なぜ疑問形なのだ!?」

 

「箒……そろそろ」

 

「そうですわ、篠ノ之さん! 早々に一夏さんから離れてください!」

 

 言われるや否や、箒は顔を真っ赤に染め、一夏を突き飛ばす形で距離を取った。

 

「す、すまない、一夏! こ、これも氷雨が悪……」

 

 そのセリフを聞き終わる前に僕は部屋に退却した。

 

  ◇   ◇   ◇

 

 部屋に戻るとなぜか簡易ベッドが部屋の中に一つ追加されていた。

 

「?」

 

 理由はよくわからなかったけど、一夏が帰ってくるまで暇だからこのベッドでゴロゴロさせてもらうことにしようかな。

 

 体重をかけるとバネがギシリと音を立てた。安っぽいマットレス使ってるなあ。

 

「あ、でも布団は一緒だ。ふふふ。ふっかふかであるな!!」

 

『うるさいです』

 

「乱入してくるとはとんでもない奴だ。ていうか、勝手に起動しないでよ」

 

『うるさいです』

 

 どこか、僕に優しくしてくれる人はいないでしょうか。

 

「で、どうかしたの?」

 

『篠ノ之博士より新たなデバイスが送られてきました。確認の上、インストール許可を』

 

 あ、束さん、また新しい武器作ってくれたんだ。まだジャイアントガトリングもしっかり試してないんだけど、新しいのって何かな?

 

『デコイ。装甲に瞬間的な負荷をかけ、分身を作ることが可能です』

 

「なるほどわからん!」

 

 そもそもそれは武器じゃなくてシステムの類だよね? あ、だからデバイスか。

 

「ていうか、なんで束姉はこれを僕に送ってきたんだろうね」

 

『全身展開装甲に使うシステムの試作のようです』

 

「へえ」

 

 装甲自体に作用するシステムって意味では同系列なのかな?

 

「しかし、このデコイは胸が熱くなるね」

 

『なぜですか?』

 

「質量のある残像とでもいうのか! って、言ってもらえるでしょ?」

 

『その可能性は限りなく0だと提示します』

 

 ですよね~。

 




鈴ちゃんはまだか

私の中で扱いやすいキャラ1位はペイルライダーになりそうです

しかしベッドか……どういうことでしょうね?(錯乱

次回投稿は九時になります

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