その日、朝から見滝原にはスーパーセルによる、避難勧告が出されていた。
「風が強くなってきたわね」
「もうすこしでワルプルギスの夜が出るわ」
「うぅー、緊張してきた」
「びびったんなら帰ってもいいんだぜさやか」
「冗談!やってやるわよ」
「私は応援することしかできないけど…がんばって!」
「まかせて、まどかのためにも速攻終わらせるわよ!」
いやな雰囲気になってきたな・・・
「…来る」
⑤
④
③
②
①
「キャハハハハハハ!」
「でけぇ!?」
空に巨大な歯車に、人の上半身をさかさまにしてくっつけた最悪の魔女、ワルプルギスの夜があらわれた。
「ひるまないで!みんな作戦どおりに!」
「「「「了解!」」」」
各自が持ち場に移動を開始したなか、私だけ動かずにいた。
「何をしてるの里村紅葉!」
「一回試したい技があんのよ!」
お願い、効いて!
「
ワルプルギスの夜は消滅した。
「は…?」
「え、何が起きたの?」
「勝ったの…かしら」
「えっと…何をしたの?紅葉ちゃん?」
「
まさか本当に効くとは…
「作戦たてた意味ねーじゃん!」
「いや、効かなかった場合は作戦どおりに動いたわよ?」
「なんで疑問形なの」
効かなかった場合は、みんなが注意を逸らしてくれてる隙に、
「やれやれ、まさかワルプルギスの夜を倒してしまうなんてね」
「キュゥべえ…」
いまさら何をしにきたこいつ。
「これで鹿目まどかが魔法少女になってくれる可能性がほとんどなくなってしまったよ」
「ふん、いい気味よ!?」
「どうしたの、里村さん?」
そうか、この魔法が使えるようになる条件って、ワルプルギスの夜を倒すことだったのか!
「大丈夫ですマミさん。あたらしい魔法が使えるようになっただけですから」
「いまさら?」
この魔法はフォルテシモでも一番最後にしか使ってない。私が二つ使えなかった魔法の一つ。
「インキュベーター、もうあんた達の思いどおりにはさせない」
「どういう意味だい?」
「私がこの宇宙を再構築する」
「なっ、そんなことができるの!?」
この魔法ならできる!
「そのためにはみんなの力を貸してほしい。私一人の力じゃできないから」
「たった一人の人間にそんなことができるわけないよ!」
「
そのために得た力だと思うから。
「魔法少女も魔女も魔獣もインキュベーターも宇宙のエネルギーも何もない世界にする!」
「魔獣って?」
「そこは気にしないで」
だから…
「みんなの力を貸して!」
「わかった。紅葉の頼みだもんな」
「ありがとう。杏子」
杏子の家族を不幸にしないようにするから。
「里村さんは命の恩人だもの。なんでもするわ」
「ありがとう。マミさん、再構築した世界では紅葉って呼んでください」
「ええ!」
マミさんに幸せな家族との生活をさせてあげるから。
「私も魔女化から治してもらった恩があるから。それにあたし達、親友でしょ♪」
「ありがとう。さやか」
仁美との対等な恋の勝負をさせてあげるから。
「幸せな生活をまどかにしてあげれるなら、いくらでも協力するわ」
「ありがとう。ほむら」
もう絶望することもない、幸せなまどかとの生活をさせてあげるから。
「私も、紅葉ちゃんと親友だから。それに、みんなに魔女の危険がない世界になるなら、紅葉ちゃんの役に立ちたい!」
「ありがとう。まどか」
アニメの最後みたいに円環の理の管理者になんてさせないから。
「みんな、唱えて」
私が最後に使う魔法。世界を私の指定した状態に変える魔法。
「「「「「「