とある日、マミさんの家でお茶を飲んでた時、杏子がやってきた。
「こんにちは杏子…どうしたの?何か暗いけど?」
「…」
「佐倉さん?」
無意識化で
「(まさか!?)」
杏子の両親はもう…
「昨日、あたしの家族がみんな死んだ」
「えっ?」
「(そうだ!何で忘れてた私!?)」
杏子が魔法を徹頭徹尾自分のためだけに使うようになったのは杏子の家族の死がきっかけじゃないか!
「親父が母さんとももを殺したあと、自分の家に火をつけて死んだ」
「そんな…」
「ははっ、滑稽だよな。あたしが親のために使った願いがまさかこんな結末になるなんてな!」
せめて私が思いだしてれば…いや、さすがにこの件にたいしては、どうしようもなかったか?
「最後はあたしを魔女と罵りながら死んでいったよ…笑えるよな!希望を振りまく魔法少女が、絶望を振りまく魔女あつかいされるなんて!」
「杏子!」
私は泣きながら杏子を抱きしめた。それくらいしかできなかったから。
「離せよ」
「やだ」
「離せ!」
「やだ!」
「離せっつてんだろ!」
「絶対やだ!」
「何でだよ!」
「私がなにを言っても、家族がいる私の慰めの言葉は嘘にしかならないから!」
「っつ!」
原作で妹が死んでしまった里村紅葉の言葉ならともかく、前の世界でも今の世界でもやさしい家族がいる私の言葉は、杏子には通じないと思うから…
「だから今だけでも抱きしめさせて・・・お願い」
「うっ…うぅ…離せって…言ってんだろぅ…」
「里村さん…佐倉さん…」
杏子は私の胸で泣き出した・・・二人でしばらく泣いていた。
「ありがとう。もう落ち着いたよ」
「そう?」
たしかに杏子はすこし憑き物が落ちたような顔をしていた
「これからどうするの?もしよければ私の家に住む?」
「んー…どうすっかな」
原作だと魔法の力でホテルに不法滞在してたみたいだけど。
「私はマミさんの家に住んでほしい。そうすればいつでも杏子に会えるし♪」
「またはずかしい事を…どう考えても迷惑だろ」
「そんな事ないわ!この家で一人暮らしするのは広すぎるもの…」
マミさん…
「しょうがねぇ、世話になってやるよ。」
「うん!」
一応最終手段はあるんだけどこの手はできれば使いたくない…けれど、杏子の為なら私は…
「ねぇ杏子、自分の家族を生き返らせたいと思わない?」
「は?何言ってんだ?」
「まさか里村さん、人を生き返らせる魔法があるの!?」
「うん…」
あまり知られてない地味な魔法だけど。
「
「条件?」
この条件こそが、この魔法を気軽には使えない理由。
「それは大人一人を生き返らすにあたって子供の死体が二人、子供を生き返らせるには子供の死体が一人必要なの」
「なっ!」
しかも成功する保証はない。原作でも比嘉姉妹がこの魔法を発動する前に紅葉が止めたから。
「
「その魔法は非人道的だわ!」
「わかってます!でも私は友達の為なら悪魔にもなります!」
それで杏子の悲しみがすこしでも救えるなら、私は…
「あー、別にいいや」
「いいの?本当に?」
「ああ、死んだ人間は生き返らないっていうのが世の中の真理だからな。魔法少女であるあたしが言うのも変だけど…まぁ、あたしの為にそこまでしてくれようとした気持ちだけはありがたく受け取っとくよ」
「杏子…」
私が思ってたより、杏子は強いんだな…反省しないと。