皆様御正月はいかがお過ごしになりますでしょうか?
私?クリスマスも元旦も仕事ですが何か?でもケーキとお節は買わされるという・・・
ではどうぞ。
突然我が家に現れた新しいサーヴァント、アサシンちゃん。最初はお母さんが取られたと思っていい気持ちがしなかったけど。
「ぐすん。こわかったよぅ。」
「泣かないでアサシンちゃん。」
こうしてお母さんに怒られて、私に抱き付いて来るのを見たら何だか妹が出来たような気分になりました。ただ・・・
「アサシンの分際で私のご主人様にイチャコラするなんて…」
「にゃはは…はぁ…」
向こうで何か準備しているキャスターさんが、こちらを睨んでるのは気付かないふりをしておきます。
「さて、アサシンが桃子さんと契約した問題ですが、一つ一つ懸念事項を潰していきましょう。」
と、キャスターさんはクルっと回転し何処からか紙と筆に硯、墨を取り出してサラサラと書いていきます。・・・何処に仕舞ってたんだろう?
そうして書いたものを見せてきました。
『ナイショです♪』
・・・心を読まないで欲しいの。
「割りとなのは様は顔に出やすいので。まぁソコが可愛いんですが。」
改めて別な紙を見せてきました。
『魔力不足問題』
一つ目の問題。私は魔力が多いから大丈夫だけど、お母さんは少ないそうです。どうするんだろう。
「まぁ、家にいる分には問題無く現界出来ますけど。」
「あら。そうなの?」
「どうしてだ?」
「説明してませんでしたね。実はこの家の下に少しばかり霊脈が通ってまして、そこから魔力を汲み上げて高町家を私がちょっとした工房化してるんです。」
キャスターさんによると私の魔力負担軽減の為と家の警備の為に『陣地作成』というキャスターのクラスが持っているスキルを使って色々な事をしてくれていたそうです。
因みに海鳴市で特に霊脈が強い場所は、私達が通う聖祥大学付属小学校やすずかちゃんの家、神社に次いでアリサちゃんの家なんだそうです。
「まぁ、性格的に私は向いてないのでランクは低いですけど、その程度ならどうとでもなります。取り敢えず、高町家にいる間は消えませんよ。」
「ありがとう、キャスターちゃん。助かるわ。」
「と、いうわけですからそこな幼女。大人しく屋根裏部屋にでもアサシンらしく込もってなさい。後、いい加減なのは様から離れやがれ。」
「やだ。」
「このガキャ…。」
舌打ちしてキャスターさんが用意したのは…大きな私達位の人形でした。
「人形か?それにしては精巧な・・・」
「ええ、これを使ってアサシンを擬似的に受肉させます。」
「は?」
「簡単に言いますとこの人形に霊体のサーヴァントを取り憑かせて擬似的な受肉をさせるわけです。ちっとは魔力削減出来ますし、サーヴァントの身体能力の枷代わりになりましょう。」
「便利だな。」
お兄ちゃん達とキャスターさんがそんな話をしていましたが、私とアサシンちゃんは人形を触ったりしていました。何だか本当に眠ってるだけの人みたい。
「と、言いましても流石にアサシン用に調節しますんで少し時間を下さいまし。」
「じゃあ、お願いするわね。」
「ないすばでぃでおねがい。」
「鏡を見やがれペッタン子。」
「ま、まぁまぁ・・・」
取り敢えず、人形をアサシンちゃんそっくりにしたり、調整するのでと人形を部屋に持って行きました。
でも、さっきの人形本当は何に使うつもりだったんだろ?と、戻ってきたキャスターさんに聞いてみました。
「万が一。御主人様とご家族の皆様が命に関わる大怪我をされた時に差し出がましい真似とは存じますが、お助けになれるようにと・・・」
・・・本音は?
「それは勿論、聖祥小学校に忍び込んで御主人様とイチャコラ学園Loveライフ☆を楽しむためですよ♪人形相手なら変化のスキルで借体成形しても罪悪感はありませんし・・・あ・・・」
「根性棒・・・」
『Yes master.』
「ちょっ!?なのは様ストップです!!DV反対!きゃああああ!?」
暫くして復活したキャスターさん。何であれで魔力が少し回復するんですか、アサシンに使ってくださいよとか言いながら次のお題を書いています。
『名前とか呼び方』
確かに。キャスターさんは普通に呼ばれてるけど人前で「アサシンちゃん。」とは呼びにくい。
「まぁ、名字は高町家のをお借りしまして・・・」
また、サラサラと半紙に書いています。今度、書道の練習を一緒にしてもらおう。
『高町一夏』
『高町一刀』
『高町一誠』
『高町朝子』
何か・・・女の子の敵って感じがする名前を提示してきました。
「ふむ・・・一刀かな・・・」
「え~女の子の名前っぽく無いよ。」
(この名前に対する親近感は何だ?)
肝心のアサシンちゃんはというと、唇を尖らせてました。
「何かやだ。」
「朝子辺りで良いじゃないですか。」
アサシンの朝子・・・流石に適当すぎると思うの。それにアサシンちゃんは日本人じゃないし外人さんぽい名前の方が良いと思う。
「あ。そういえばアサシンちゃんの真名って誰なの?」
「そういえば聞いてなかったな。父さんと母さんは知ってるのか?」
お姉ちゃんとお兄ちゃんが、聞くと何故かお父さんは顔を曇らせて、お母さんは困ったような感じになりました。
「ああ、召喚された時に聞いたんだが・・・」
「そうね・・・ちょっと悪い意味で有名なのよね。」
悪い意味で有名な人?どういう意味なんだろう。
「私たちの真名?」
と、アサシンちゃんは可愛く小首を傾げて聞いてきました。
「ああ、教えてくれないか?」
「教えてくれる?アサシンちゃん。」
「うん。わかった!でも、日本だとあんまりゆーめーじゃないと思うよ?」
そう言うとアサシンちゃんは
「私たちの真名(な)は、■■■■■■■■■。」
私でさえ知ってる有名な殺人鬼の名前を口にしました。
「いやいやいやいや!?」
「めっちゃ有名じゃない!?」
「そうなの?」
その後は大騒ぎで男の人じゃないとか、医者が犯人じゃなかったんだとか、お兄ちゃんが忍さんに電話して喧嘩したりとか・・・とにかく大変でした。
結局、アサシンちゃんの名前は真名を女性名に変えて
『高町ジル』
で呼ばれることになりました。
「あー驚いた。でも、アサシンちゃん・・・じゃなかったジルちゃんはそれで良いの?」
「うん。美由希おねえちゃん。私たちは元々名前なんて着いてなかったから、名前を貰えるってことはスゴく大事なことだし嬉しいことなんだよ。」
アサシンちゃん・・・もといジルちゃんの一人称が『私たち』なのは、ジルちゃんがキャスターさんが言った通り子供たちの霊が悪霊と化して大量に集まっているからなんだそうです。どうしてそうなってしまったんだろう・・・。それはそれとして、
「キャスターさんの真名は?」
「私はナイショです♪ただ、キャスターとお呼び下さいな。」
むぅ。やっぱり教えてくれない・・・でも今回少しだけヒントが手に入ったの。
『私たちと同じくらい穢れたサーヴァント。』
つまり、キャスターさんはジルちゃんと同じく悪名が有名な人が正体なはず。それに狐がモデルとなっているということは、何かしら狐がキャスターさんの話に関わっているはず・・・調べてみるの。
再び筆を取るキャスターさんを見る。・・・そういえば、お化粧や習字で使う筆って動物の毛から出来ているそうです。アリサちゃんも学校でそんないい筆を使ってました。そういういい道具を使えば、少しは上達するかなぁ。
・・・動物の毛かぁ。
「―――なのは様?何か不穏な事考えてませんか?」
「な、何でもないの!!」
じと目で見られて慌てて目を逸らしました。頼んだら分けてくれないかなぁ。
『性格矯正』
軽々と、命を奪うことを考えるアサシンちゃんをどう教育するかという事らしいです。
「それについては、私と桃子が何とかしよう。」
「と、言いますと?」
「私達と一緒に御神の剣を習って貰おうと思う。」
「はい?」
つまり、一緒に稽古をすることで心身を鍛え、そういった事の大切さを自然と学ばせる・・・といった考え方です。
「一応申し上げておきますが、幾ら人外に片足突っ込んだ剣術を身に付けても、剣の道を学んでもアサシンはどこまでいってもアサシンですよ?そうそう人の在り方なんて変わりません。特に彼女達は。」
少し目を細めてお父さんと話すキャスターさん。真剣なキャスターさんはカッコいい・・・
「ああ。だが少しでもアサシンの為になることもあるだろう。それに俺達にも良い刺激になる。」
「恭也さん・・・まぁ、簡単には変わらないと思いますが、手加減位は学べるでしょう。死なないように注意してくださいませ。で、桃子さんは・・・」
お母さんの方を見ると。
「あら!やっぱり似合うわね♪」
「こんな格好したこと無いから・・・分からないよう。」
私の予備の制服をいつの間にか、ジルちゃんに着せてました。あ、何かスゴく照れてるけど可愛いの。
「な・に・をされてるんですか桃子さん!?」
「え?何って・・・ジルちゃんも学校に通わせようと思って。」
「何処に殺戮幼女の真名聞いて入学させようって人が居るんですか!?」
「え~大丈夫よ。ね。ジルちゃん♪」
「うん!おかあさん(マスター)と学校の人を襲わない約束したし。悪いことしないもん。」
ねーといつの間にか、意気投合してるし。大丈夫・・・なのかなぁ。勉強とか。
「それに人間関係とかを学ぶなら学校が一番よ。」
「それはそうかも知れませんが…」
「それにね。娘の事を信頼してこその親よ?大丈夫。ジルちゃんならちゃんとやれるわ。」
ジルちゃん物凄く照れてる。
「入学の手続きとか明日してくるわね。」
「早えよ!せめてアサシンの体が出来るまで待って下さいまし。」
その後、色々な打ち合わせをしてから解散になり、キャスターさんは部屋に片付けに行ったり洗い物をしたりして、私とジルちゃんは二人でお話してました。こうして話してると可愛いし、楽しくって仲良くなれました。
「そういえばジルちゃん。今日は魔力大丈夫なの?」
「ん~、召喚されたばかりだからだいじょーぶ。でもちょっと欲しいから・・・」
そう言うと、何かを思い付いたような顔になり、
「おねえちゃん。ちょっとじっとしててね。」
「え?」
そう言うとジルちゃんは、私に抱き付いてそっと唇を近付けて―――
「やらせねぇよ!?」
「ちぇっ。」
「にゃあ!?」
キャスターさんの鏡が飛んできてジルちゃんは、サッと飛び退きました。
え、私今キスされようとした・・・えええ!?
「マジ油断も隙もねぇ。私でさえデコチューまでだっつーのに何をしようってんですか。」
「ちょっと魔力補給しよーとしただけじゃない。あなたみたいに欲望だだっもれなことしないもん。」
「ちょっと?なのは様の唇は安物じゃあないんですよ!あと初めては私の物って決まってんですよ!」
決まってないの!!
「大体私の何処が欲望漏れてるってんですか。この貞淑な良妻に向かって失礼な。」
「全然てーしゅくじゃないよ、おばさん。」
「あはははは・・・ぶっ殺す。くたばれ。」
助けてくれたのは嬉しいけど、さっきからキャスターさんは、ジルちゃんと喧嘩しすぎなの。再び喧嘩が始まりそうになったときに、
「なのは。ジルちゃんとお風呂済ましちゃいなさい。」
「あ、はーい。ジルちゃん。行こ。」
「うん。おねえちゃん。」
「ちょ!?なのは様!?」
お母さんに言われて、ジルちゃんの手を引いてお風呂場に向かいます。
「なのは様なのは様。私は!?」
「だったらジルちゃんと仲良くして!」
「で、ですがサーヴァントとしてアサシンとマスターを一緒には・・・」
「むぅ。さっきから喧嘩ばっかりして!ジルちゃんと仲良くしないキャスターさん何て嫌いだもん。」
「きら―――――――――!?」
ピシリと固まるキャスターさん。
「べ―――。一緒に洗いっこしよ?おねえちゃん。」
「うん。でもジルちゃんもキャスターさんと仲良くしてね。それとさっきみたいな事は止めてね?」
「はーい♪」
「―――――――――。」
「キャスターさん!?立ったまま気絶してる!?」
「ちょっ!足元からヤバイ感じで光りながらサラサラ消えかけてる!?美由希!なのは呼んでこい!!」