北乃カムイのもにょもにょ異世界(仮)『消えた時計台を探せ』 作:カムラー
カムイちゃんと透は、並んで庁舎を見上げていた。否、見上げていたのはカムイちゃんだけで、透は俯いて下を見ていた。
西宮と翡翠は、二人の空間を邪魔しないよう、少し離れて見守っている。
何も言わない時間がしばし流れ、先に口を開いたのは――
「泣いたかニャ?」
俯いたままの透は小さく、ほんの小さく頷いた。
「私は泣けなかったニャ」
透がその意味を理解できず、疑問を持った顔をカムイちゃんに向けるまで時間がかかった。彼女からの視線を感じ取ってから、カムイちゃんは話を始める。
「悲しくって残念だったけど、悔しくはなかったニャ。あの時の私にはあれ以上なかった……全身全霊全力疾走で勝負して……ダメだった……だから、喪失感はあったけど、悔しくはなかったニャ。ただ、悲しかったニャ」
透も、後ろで聞いていた翡翠も、カムイちゃんが何を話しているのかよく分からないという顔をしていた。ただ、西宮は表情を隠すようにコートのフードを目深にかぶった。
カムイちゃんがニカッと笑いかけると、透は虚を突かれて赤くなった。
「私がアイドルを辞めた時の話だニャ」
一瞬、透はカムイちゃんが何を言ったのか理解できなかった。それでも、カムイちゃんは話を続ける。
「――二〇一三年の春、当時の事務所が倒産しそうになってニャ。私は札幌ドームの観客数の半分……三万人のファンを集めることになったニャ。しかも半年でっていう期限付きで。結果は…………残念ながら、だニャ」
苦笑しつつ、肩をすくめる。
「落ち込みに落ち込みまくって……札幌に、北海道に必要とされていないんだ……私の居場所はここにないんだって思って、気がついたらもにょ化してこっちの世界に逃げ込んでいたニャ。逃げた先もサッポロって、どんだけ好きなんだって思わず笑って……それからは透も知っての通り、利羅に色々と面倒見てもらったニャ」
聞き入っていて、透は思った。何か言った方がいいのだろうか、と。カムイちゃんの表情から読み取ろうとしたが、フッと遠い目をしているので読みにくい。
「それで、ある日いきなり利羅が私を地元世界に帰すって言い出したのニャ。私は……嫌だったニャ、帰りたくなかったニャ」
透は驚いた。
「どうして?」
という言葉が自然に出てくるほど。
透はカムイちゃんが「北海道大好き!」だということを知っている。そのカムイちゃんが地元の北海道に帰りたくないなんて言うとは信じられなかった。
「……単純に怖かったニャ。帰るって……どこに帰るのニャ? 私に帰る場所があるのかないのか……それを改めて知るのが怖かったニャ。それなのに私を無理やり引っ張って、『一丁目』に行って…………ア~あの時は死ぬかと思ったニャ~。巨人や神話上の生物・魔獣、何でもアリだったニャ。今思い出してもゾッとするニャ」
カムイちゃんは自分の腕を抱きつつ、顔をしかめた。
透も噂で『一・二丁目、交流の国際交流ゾーン』の過酷さは聞いている。とてもではないが、今入って生きて出てこれるとは思えない。
「間近に死の危険を感じたせいか、地元世界への想いが強くなって……たぶん、それに反応してキューブが飛んできたニャ。で、帰れるようになったんだけど、私はまだ帰る決心がつかなかったニャ。でも、その時キューブから声が聞こえてきてニャ」
カムイちゃんはちょっと照れたように頬をそめ、指でかく。
「その声は私を探すファンの声と、やめた後もネットにかきこんでくれるファンの声だったニャ。私は必要とされていなかったかもしれないけど、確かに私を応援してくれるファンはいたのニャ。居場所はあったんだニャ。半年の頑張りは無駄じゃなかったニャ……そう思ったら……私の中に、ほんの少し勇気と元気が湧いてきて、札幌に戻れたニャ」
地元世界に戻れたと聞き、透は(知っていたが)ホッと安心した。
「そして、マネージャーにもう一度アイドルにならないかと誘われたニャ。本当はなまら怖かったニャ。「もちろんです」って言うのにどんだけ勇気がいたことか……でも、「いやだ」って言うつもりは最初からなかったニャ」
「なんで?」
「言うだけの勇気が絞り出せたのは、間違いなくファンのみんなのおかげだったニャ。またアイドルに戻って傷つくことがあるかもしれないけど、もらったものがどんなに私の力になったのか、みんなに「ありがとう」と一緒に伝えたかったニャ。だから、私はまた全身全霊全力疾走で北海道のために働くことに迷いはなかったニャ」
カムイちゃんは話を終え、黙って庁舎を見上げ続ける。透は再び、何かを言った方がいいのか迷っていた。さっきから立場が逆転していることに、彼女は気づいていない。
(ど、どうしよう……ラジオでちょっと話は聞いたけど、まさかカムイちゃんが、あのカムイちゃんが……そんな色々考えていたなんて!)
…………透もちゃんとカムラーだった。
透のあたふたとしている心中など知らず、カムイちゃんは視線を彼女に戻す。
「透。私は自分の経験から、元気と勇気は自分の中から絞り出さなきゃいけないことを知っているニャ。でも、そのキッカケは誰かの想いがこもった言葉だったり行動だったりするニャ」
ガシッと透の両肩に手を置き、真正面から目を合わせる。間近で見るカムイちゃんの真剣な表情に、透は息をつまらせる。
「透は確かにクリューにキッカケをもらったかもしれない、救われたのかもしれない……どれだけの感謝があったのかは知らないニャ。でも、全部が全部クリューだけのおかげじゃないニャ! その中には確かに透自身の強さと勇気があったニャ! だから――」
「がんばれ」のセリフが、透の顔を見て止まった。何故だかすごく不適当だと思ったからだ。
「…………元気になったら今度、みんなでご飯でも食べようニャ」
真剣な顔でそれを言われ、透は不意打ちをくらったように少し笑ってしまった。
カムイちゃんは「あ、あれ?」と目を丸くした。シミュレーションでは、なんだかんだ少し元気になった透が、抱きついて安心するというエンディングのはずだったのに。
「違うよ、カムイちゃん」
「ん?」
「クリュー先生がキッカケをくれたんじゃないの。キッカケをくれたのは別の子で、そのおかげでクリュー先生に声をかけようって思えたの」
「そうだったのかニャ」
「そう……その子は、その子は、ね! ――」
勢い込んでカムイちゃんを見るが、透は顔をドンドン真っ赤にさせ、首まで赤くして一秒、二秒、三秒――…………。
「と、ところで、どうして私をここに連れてきたの?」
……………………(とんぼ)。
後ろで西宮がズッコケていた。
しかし、カムイちゃんは気づかず、
「ん? ああ、上を見るニャ」
庁舎の玄関の上を指さす。その先には赤い星があった。
「正面玄関の上に『五稜星』。その上――天辺に『北辰旗』と『七稜星』のイメージを表した北海道旗。開拓使のシンボルと未来への想いがこもった旗。道民を励ますならここだろニャ」
カムイちゃんは名案という顔をしているが、五稜星と北海道旗に込められた意味を知らない透は、ポカンとしている。
しかし、リアクションがないのを別の意味だと思ったカムイちゃんは、
「う~ん、やっぱり難しいニャ。ファンのみんなはもっと上手く私を励ましてくれたんだけど……急に引っ張り出して悪かったニャ」
「あ、ううん、ありがとう」
慌てて透は手を体の前に持ってきて、笑顔で首を横に振る。
前を向くようになった透に安心し、
「透、一人で帰れるかニャ?」
「え……カムイちゃん、どこか行くの?」
聞かれて一つ頷く。
「西宮と翡翠と一緒に、札のお店に行くニャ。手持ちの札がもうなくてニャ~」
と、そこへ西宮と翡翠がタイミングを見てやってきた。
翡翠は気まずげにちょっと離れた場所で止まったが、西宮は足を止めずに一歩半の距離まで近づいた。
透に視線を向けると、変わらず顔を背けられたが――ちょっぴり傷ついたが、顔には出さなかった、ポケットの中の物を握って差し出す。
「透、これやる」
おずおずと出してきた掌の上に、握っていたもにょもにょかむいのメダルピンズを落とした。透はビックリしてすぐさま両手で隠し、胸元に持ってきて隠す。
「な、なんで――」
「分かったの?」という言葉を隠し、西宮に聞く。
「いや、見てればバレバレだし、それに」
西宮は自分の左側の髪を指さす。彼のそこには何もないが、透のそこには髪をまとめるピンクのシュシュがある。カムラーの証でもあるピンクのものが。
真っ赤な顔して俯く透を気遣って、西宮は周りに聞こえないよう、彼女に顔を寄せて小声で聞く。
(なんでカムイにファンのこと隠しているんだ?)
(だ、だって、前々からのファンだって知られたら、アイドルのカムイちゃんと友達になろうとして近づいたんじゃないかって……下心があって近づいたんじゃないかって思われちゃうよ! 実際ちょっとはあったし)
透はばれたせいで余裕がないためか、いつもの口調よりも気安い感じで言い訳する。そこまでカムイちゃんの心証を気にするファン心理は西宮に分からなかったが、さらに彼女は話を続ける。
(それにもしカムイちゃんに面と向かってファンです! って告白して喜んでもらえたら……あまつさえ握手まで……なんて展開になったら、感涙にむせいでサインをもらう前にあまりの嬉しさで気絶しちゃうよ! 目の前で倒れるなんてそんな迷惑かけられないよ!)
「あれ? けっこう透ってカムイと波長が合うんじゃ……」と思っていると、
「西宮、一体何を渡したんだニャ?」
真っ赤な顔で俯き、イヤイヤと体を左右に動かしていた透を心配して、カムイちゃんが西宮の肩を掴んで問いただす。
西宮は嘆息して振り返り、
「いや、大したものじゃない。励まそうと渡したんだけど、失敗したみたいだ。俺だってこういう風にモノでって失礼かと思ったけど、俺はカムイみたく谷あり落とし穴あり海溝ありの人生を歩んでこなかったから」
「なんで全部落とすのニャ! ちゃんと山もあって海抜よりも浮上したことがちゃんとあったニャ!」
西宮はカムイちゃんと掛け合いしていたため、透の目がメダルピンズを見つめて輝いていたのを見ることができなかった。
そして最後に、
「……透」
「翡翠」
幼馴染同士が顔を合わせる。
透の前で、翡翠はせわしなく上を向いたり下を向いたり、頭を抱えたり声もなく腕を動かしたり……苦しんでいるのは分かったが、ゲームのナウローディング中の変な動きをしているキャラにしか見えなかった。
読み取りが終わったのか、翡翠は動きを止めて透に引き締まった顔を向ける。
「もしクリューに会いたいのなら、明日の朝までに連絡しろ。問いただすなり殴るなりしたいことがあるなら会った方がいい。最後の機会になるはずだ。でも、逃げたいのなら逃げて構わない。私は……それを軟弱だとは思わない」
「…………」
透はメダルピンズを両手で包み、強く握った。そして、赤れんが庁舎でカムイちゃん達と別れた。一緒に買い物に行くわけにはいかない。さすがにもう限界だった…………すぐにでも何かお腹に入れないと、空腹でぶっ倒れそうだった。
ついに時計台の時計が止まってしまうかもしれない四日目。
時刻は七時過ぎ。寮の前にカムイちゃんと西宮がいた。翡翠が来るはずだから待っているその待ち時間で、他愛のない会話がされていた。
「まさか、札の専門店がファクトリーにあるとは……しかも、店名が『桃』って」
「ニャ~。なんか運命感じたニャ」
などと話していると、
「待たせたか?」
やってきた声に振り返る。
「お~、おはようていざん。いや、待ってなんて……と、透!」
寮生のはずの透が、翡翠と一緒に立っていた。いつも通りのマント姿だが、決然とした表情にはいつも人の視線を気にして困っていた弱さはない。
その様子から、透がなぜそこにいるのかは予想がつくが、
「え、だ、大丈夫なのか?」
西宮に同調して、カムイちゃんも首を縦に動かす。だが、心配そうにする二人に向かって透はハッキリと、
「……私も……難しいこと考えないで、とりあえず全力で走ってみようと思うの。走ってから、考える」
言い切った。
数秒の沈黙の後、破ったのはやはり、
「分かったニャ! それじゃせっかくのご招待、四人でお呼ばれするかニャ」
元気なカムイちゃんだった。
「あ~も~、仕方ないな~。みんなが集まって『西』だけ逃げるわけにもいかないか」
「逃げるとはなんだ、軟弱だな」
聞かれてしまった西宮は嘆息する。
「そうは言うけどこのレベルでボス戦って……道警に任せちゃいなっていう俺がどっかにいる」
現実的な心配をする西宮をよそに、カムイちゃんは自信たっぷりに平らな胸を叩く。
「大丈夫ニャ! レベルなんて数字よりも、計り知れない友情パゥワーを信じるニャ!」
「さすがカムイちゃん」
思わず西宮は、ガックリと肩を落とす。
「…………みんなの力を合わせてなら構わないけど、俺ごとやれっ! っていう尊い犠牲の様式美だけは嫌だぞ」
「え? それはもしかして『押すな押すなよフラグ』かニャ?」
「ふざけんなよ! 誰がそんなことやるか!」
などとやり取りしつつ、四人は出発した。
学園の敷地を出て、サッポロ駅の南口の前を横切る。
「『フィールド』に向かわないのか?」
入るための資料館は十三丁目にある。カムイちゃんを先頭に、四人は逆の方へ進んでいる。
「ああ。たぶんあっちはウソだ」
「ウソ?」
最後尾の(しかも、カムイちゃんの後ろに並んでいる透と翡翠からさらに三歩ほど離れている。二人がすぐ後ろを歩かれるのを嫌がってこんなことに……)西宮に、翡翠は振り返って聞き返す。
「クリューも分かっていただろ、カムイが『二丁目』にたどりつけないって。あれはたぶん、他の人が聞いていて邪魔をされないよう伝えたウソの場所だ。本命はその後に言った時計台跡地だと思う」
「なるほど。確かに普通に考えて、手に入れたいはずのカムイちゃんが行けない場所を指定するわけがないか」
「というわけで、『二丁目』は最初から諦めて、時計台跡地にレッツラゴー、だニャ」
元気よく腕を上げ、北一西二へと向かう。
「で、来てみたら……なんで道警があんなにいるのニャ」
時計台の隣に建つビルの影からのぞくカムイちゃんの言う通り、時計台の敷地を仕切っている立ち入り禁止テープの向こうに、警察官がいつもより多く待機していた。
「そりゃ、ちゃんと荒谷先生もあの言い回しに気付いていたからだよ」
ドキッとした四人が声の主に振り返ると、
「あ! 利羅!」
そこに利羅が楽しそうな顔をして立っていた。
「よ! やっぱり来ちゃったな。荒谷先生はフィールドの『二丁目』と時計台の跡地に道警を配置させた。さらに、お前らがこっちに来るのも分かっていて、俺に止めるように頼んだんだ」
見抜かれていた。四人はどうしようかと顔を見合わせるが、そんなことに構わず利羅は手を叩く。
「はいはい、いいからいいから帰った帰った。後は先生と道警に任せておけばいいから」
利羅は笑っているが、どこからか取り出した羽衣のような布を手の中で遊ばせていた。西宮はよく分からなかったが、他の三人はそれに怖気づく。
「……しょ、しょうがない。わかったニャ~」
意外にも最初に言ったのは、カムイちゃんだった。
「え? カムイちゃん!?」
驚きの声を出して、透と翡翠はサッポロ駅へと向かっていくカムイちゃんを追いかける。西宮も追おうとしたが、
「会長はここにいるんですか?」
「ん? ああ、一応な。荒谷先生からはお前らが乱入した時用に時計台跡地にいろって言われてるし。どうせお前ら諦めないんだろ?」
そう面と向かって聞かれ、西宮は笑ってしまった。
「なら、すみませんがこれを持っていてくれませんか」
と言って、利羅にあるものを手渡した。
「別にいいけど、何コレ?」
渡されたものを見て、利羅は首を傾げる。
「お願いしますね」
どんどん離れて行く三人を追いかけるため、西宮は説明せずに駆けだした。
信号を渡ったところで立ち止まっている三人に西宮が追いつくと、翡翠がカムイちゃんに真意を聞いていた。
「カムイちゃん、どうする? もしかして諦めるのか?」
そう言われ、カムイちゃんは頬を膨らませて心外そうに、
「なわけないニャ。透が一大決心したのニャ。何が何だろうがクリューの所に行くニャ」
カムイちゃんに想われたことが嬉しそうに透は、
「でも、どうやって?」
「一度退いての突撃なんて底の浅い作戦は予想されているぞ。会長はあそこに残るらしいからな」
カムイちゃんは三人を見やってから、腰に手を当てる。
「みんな何を勘違いしているのか知らないけど、時計台跡地はあそこじゃないニャ」
『へ?』
「今でこそ時計台がないから跡地って思うかもしれないけど、あそこは本来なら時計台が建っている場所ニャ」
「……いや、まあそうだけど。跡地ってあそこしかないだろ」
西宮の言葉に、透と翡翠もうんうんと頷く。そんな三人を見て、カムイちゃんは呆れたため息を長く吐く。
「はぁ~、これだから時計台のことを知らない子は困るのニャ~」
苛立ち気にカムイちゃんは、ビシッと時計台の敷地の方を指さす。
「いいかニャ、時計台は明治三十九年に北二条通りの整備により、現在の場所に移されたのニャ!」
『え~! そうだったの~!?』
心底驚いた顔をする三人を見て、カムイちゃんは頭上にぐしゃぐしゃの線を浮かべる。
「全員知らなかったのかニャ」
「じゃ、もしかして」
「そうニャ。本当の時計台跡地とは、そっちのことを言うはずニャ」
「そこはどこなんだ?」
「南に約一〇〇メートル移されたらしいから、北に一〇〇メートル歩けばいいはずニャ。つまり、ここらへんニャ」
と、地面を指さす。何の変哲も目印もない場所だった。
「でも、カムイの言う通りここだとして、なんでクリューはそこまで時計台に詳しいんだ?」
「さっぽろ市民なら一般常識……と言いたいところだけど、三人のリアクションを見る限り悲しいほどそうじゃないニャ。時計台の中には資料がわんさかあるから、たぶんそこから知ったんじゃないかニャ」
「なるほど」
「とは言っても、さすがに私も正確な場所は分からないニャ。ビルや建物の中だったら困るニャ~」
「え? 正確な場所を思い出せないのか?」
「昭和を通り越して明治だって言っただろニャ~! さすがにそんな時に生きてないニャ!」
――時計台の鐘が聞こえてきた。
西宮が携帯で時間を確認すると、
「八時だ」
約束の時間になっていた。
その時、二つのことが起こった。一つは、フィールド『二丁目』と時計台の敷地にモンスターが出現した。そして、もう一つは……カムイちゃん達の目の前に、キューブが出現した。
「カムイちゃんの言う通りだったな」
「本当に北海道に関する知識だけはすごいな」
「だけは余計ニャ…………透、本当にいいのかニャ?」
「うん。私も、カムイちゃんの力になりたい」
四人はそれぞれ一つ頷き、
「それじゃ、突撃ニャ!」
同時にキューブに触り、キューブとともに姿を消した。
次回更新は火曜日予定です。