P3 in IS   作:ティターニア

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ちなみに神名君はステータスMAXです。
伊達に5股していません。


所々キャラ崩壊してるかも…。


5:神名理は静かに過ごしたい

「あ、神名君ここにいましたかー。」

 

という声がしたので振り向くと、山田先生がこちらに走って来ている。

 

「ああ、先生。今、学園内を見て回っていたところなんです。」

 

放課後、僕は広い学園内を歩き回っていた。

僕の通っていた月光館学園も広かったが、こちらもなかなか負けていなかった。

 

「それにしてもよく僕の場所が分かりましたね。」

「はい!上から見ると、生徒たちが集まっている所があったのですぐ分かりました!」

「………。」

 

僕と山田先生が話してる周りにはたくさんの女子達がいた。

そう、僕が歩き回っている間も女子達がキャーキャー言いながらついてきていたのだ。

しかも時間が経つにつれ、その数はどんどん増していった。

話しかけてきて案内してくれるというのならありがたいのだが、

『あなた話しかけなさいよ。』

『そう言うあんたが話しかけてきてよ。』

という感じでただついてくるだけだったのでかなり居心地が悪かった。

 

「先生、もし暇でしたら案内してくれませんか?

………2人きりで。」

「案内ですか?もちろん構いま………って2人きりでですか!?」

 

と、山田先生の顔が真っ赤になる。

…思ってた通りこの先生なかなか面白い。

 

「そ、そんな…、神名君と私は生徒と教師の関係なんですよ…?

で、でも神名君がどうしてもって言うのなら…。

い、いえ駄目です!そんな茂みに連れ込んでそんな事…。」

 

と、山田先生は何やら自分の世界にトリップしているようだ。

何この先生すごく弄りがいがある。

 

「冗談ですよ。

それより、何か僕に用事ですか?」

「…はっ!?そうでした!

神名君の部屋の鍵を持って来ました!」

 

と言って、ルームキーを手渡してきた。

…キーについているタグには『1026』と書いている。

 

「1026号室が僕の部屋なんですね。

わざわざありがとうございました。」

「いえいえ、教師の務めです!

ルームメイトの子とは仲良くしてくださいね。」

 

ああ、部屋は2人部屋なのか。ということは相手は一夏なのかな。

 

「だからといって、仲良くなり過ぎて手を出しちゃダメですよ?」

 

……………………!?

待ってその言い方だとまるで…。

 

「先生、ルームメイトって女子なんですか!?」

「は、はい。織斑君の寮暮らしが急に決まり慌ただしくなっていて、やっと全員の部屋割りが完了したと思ってたら今度は神名君の入学が決まってしまったので、1人部屋になってる所に入れるしか無かったんです…。」

「…って事は一夏の方もルームメイトは女子なんですか?」

「はい、そうなんです。一応、男女入れ替えるという案も出たんですけど、このままで大丈夫だろうと学園側が…。」

 

何がどう大丈夫なのだろうか?

年頃の男女を同じ部屋にするって…。

まぁ一夏なら大丈夫だろうけど…。

………いや僕も手は出さないけど。

 

「それで、織斑君にもルームキーを渡そうと思ってるんですけど、神名君はどこにいるか知ってますか?」

「ああ、一夏なら剣道場にいると思います。

僕も一緒に行っていいですか?」

「ええ、もちろんです。

じゃあ行きましょう。」

 

山田先生と一緒に剣道場に行くことにした。

…周りの女子も一緒にだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣道場に行ってみると、そこにもたくさんの女子が集まっていた。

一夏がいるのは間違いないようだ。

人混みを掻き分けて山田先生と一緒に中に入ると、そこにはヘトヘトになった座り込んでいる一夏と何やら怒っている箒がいた。

 

「あ!神名、助けてくれ〜!」

 

と、一夏は僕の姿を見つけると助けを求めて来た。

箒は箒で声を荒げている。

 

「たるんでるぞ、一夏!

中学の間は何をしてたんだ!」

「中学三年間は帰宅部でバイトしてたんだよ…。」

 

一夏は完全にバテている。

これはかなりまずい、ISを動かすどころではなさそうだ。

 

「さあ立て!その根性を叩き直してやる!」

「も、もう動けないって!」

「そうだね、今日はそれぐらいにしとこう。

もうそろそろ時間もアレだしね。」

 

とりあえず、助け船を入れる。

 

「む、もうそんな時間なのか。」

「うん、明日もビシバシ鍛えてもらいな、一夏。」

「ええっ、でもISの練習は…。」

「ISを動かす以前にまずは自分が動けるようになっとかないと。

まぁ、専用機が届くまでの辛抱さ。」

 

そうだ、数日もすれば一夏の専用機は届くだろう。

それまでに体力をつけさせないといけない。

どんなに強くてもスタミナがないと、上手く戦えない。

 

「それじゃあ私は先に失礼する。一夏、明日から覚悟しておけ。」

 

そう言って、箒は剣道場から出て行った。

 

「お疲れ、一夏。

かなりスパルタだったみたいだね?」

「いや、俺が全然動けないってのもあったからな…。」

「ははっ。まぁ明日からも頑張りなよ。」

 

とそんな話をしていると、今まで空気だった山田先生が近づいて来た。

 

「織斑君、寮のルームキーを持って来ました。」

「あれ、俺って一週間は自宅通いになるはずじゃあ…。」

「そうだったんですけど、急遽一時的に決まったんです。

政府の事情なんですけど、織斑君はその辺聞いてますか?」

 

と、後半の部分は耳打ちで一夏に尋ねていた。

そういえば一夏は日本国籍だが、僕はなんと無国籍らしい。

僕自身は日本人なので、普通にいけば日本国籍になるのだが、なんせ僕の過去については何処で生まれどこに住んでたかも全く分からないので、周りの国からの抗議が絶えなかったらしい。結局僕は無国籍扱いとなり、どこの国籍になるか目下会議中らしい。

 

「でも俺、荷物とか取りに帰らないと…。」

「その必要はない。私が既に手配しておいた。」

 

と、織斑先生がそう言いながらやって来た。

 

「織斑、神名。貴様らの参考書だ。

一週間以内に読み終われよ。」

 

…………!?

かなり分厚い本が手渡された。

これ下手すりゃ電話帳よりも分厚いぞ。

 

「………千冬姉、やっぱこれ一週間じゃ

「読み終われ、いいな?あと織斑先生だ。」

 

と、有無を言わさず出席簿を振り下ろす。

 

「6時から7時が夕食の時間だ。

それ以降は食堂が開いていないからな。

あと大浴場があるが、お前達はまだ使えんからな。

部屋のシャワーを使うように。」

「えっ、何でですか?」

「一夏、君は女子と入りたいのかい?」

 

僕は嫌だからな。処刑は二度とごめんだ。

 

「だ、駄目ですよ織斑君!

女子と一緒にはいっちゃあ!」

「い、いえ入りたくないです。」

「ええっ、女の子に興味ないんですか!?

それはそれで問題が…。」

「いやそんな事ないですよ!?」

 

哀れ一夏、なかなか理不尽なことになっている。

けど、しばらくお風呂に浸かれないのか…。

それは結構辛いな…。

 

「織斑先生、どれぐらいで使えるようになりますか?」

「えっ?そ、そうだな…、出来るだけ急ぐようにはしよう。」

 

織斑先生は僕のかなり残念そうな顔をみて驚いていた。

僕にとって湯に浸かる事は至福のものなんだ。

 

「では、私達はこれから会議がある。

お前達、まっすぐ寮に帰れよ。」

 

と言って2人は去って行った。

 

「えっと…、1025号室か。理も一緒だよな?」

 

と、自分の部屋の番号を確認した一夏が聞いてきた。

 

「いや、僕は1026号室だよ。隣だね。」

「えっ、一緒じゃないの!?じゃあルームメイトって女子なのかよ!?」

 

僕の時と同じようなリアクションを取っている。

 

「どうやらそうみたいだね。

手出しちゃあ駄目だよ、一夏?」

「出さねぇよ!てゆうか女子とか〜。

俺、理と同じ部屋が良かったな〜。」

 

そう一夏がボヤくと周りの女子が騒ぎ出す。

 

「聴いた!?織斑君男の子がいいんだって!」

「織斑×神名なのね!そうなのね!?」

「急いで部屋に戻って執筆しないと!」

 

女子達が暴走し始めた!

 

「おい一夏!それは男同士なら気が休まるって意味だよな?

そういう意味だよな!?」

 

これに関してはどうでもよくない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴走している女子達を振り切り、なんとか部屋の前まで辿り着いた。

 

「1025号室…、ああここか。

理は隣の部屋だよな?

また遊びに行かしてもらうな。」

「うん、いいよ。」

「おし、じゃあな。」

 

と言って、一夏は部屋の中へ入っていった。

…いや中に女子がいるんだから、ノックぐらいしようよ。

ため息を吐きながら僕は隣の部屋の前に立つ。

果たしてルームメイトは一体誰なのだろか…。

オルコットだったりしたら、かなり気まずいことになるなぁ。

そんな事を考えながら入ろうとした時、一夏の部屋から物凄い音が聞こえてきて一夏が飛び出して来た。

………!?

次の瞬間、一夏の部屋のドアから木刀が生えてきた!

 

「ま、理!助けてくれ!

部屋に入ったら箒が…!」

 

一夏が僕に再び助けを求めてきた。

女子達も何事かと僕達の周りに集まってきた。

僕はドアに刺さっている木刀に目を向け、再び一夏の方に視線を戻す。

………うん。

 

「………………そっとしておこう。」

「えっ!?目の前でスルーかよ!?」

 

喚く一夏を尻目に僕は自分の部屋に入っていった。

すまない、一夏…。

何故かこう言わなければならない気がしたんだ。

 

………

……

 

部屋の外から、

『薄情者〜〜!』

という一夏の声が聞こえてきた気がしたが、そんなことはないだろう。

事情はよく分からないが十中八九一夏が悪いに違いない。

 

「あれ、かみなんだ〜。なんで〜?」

 

と、部屋の方から着ぐるみを来た女の子が歩いてきた。

………着ぐるみ!?

 

「えっと君は………?」

「布仏本音だよ〜。本音って呼んでね〜。

もしかしてかみなんがルームメイトなの〜?」

「うん、どうやらそうみたいだね。」

「そっか〜、よろしくね〜。」

 

この子がルームメイトらしい、何やらのんびりした子だ。

とりあえず余りギクシャクする事にはならなそうなので一安心だ。

………それより。

 

「あの…、かみなんって?」

「えぇ〜?ニックネームだよ?

神名だからかみなんだよ〜?

もしかして嫌?」

「いや、そんな風に呼ばれるのは初めてだから…。」

「一応別のもあるよ〜。

理だから、まこりん。」

「そっちは全力で拒否させてもらうよ。」

 

なんだまこりんって………。

赤い髪のヒロイン(ただし男)みたいじゃないか。

 

「じゃあかみなんだね〜。これからよろしく〜。」

「うん、ちょっとの間だろうけどよろしく。」

 

その後本音とシャワーの時間やどちらのベッドを使うかなどを話していると、2人の女子が部屋に入って来た。

 

「お〜い本音〜、遊びに来たよ。」

「ってええ!?神名君!?なんでここに!?」

 

2人とも入ってくるやいなや僕を見て驚く。

見覚えがあるので同じクラスの子達だろう。

 

「あ〜、癒子にさゆか〜。

なんと私、かみなんと同じへやなんだよ〜。」

「えぇ〜、本音いいなぁ〜。」

「というよりなんで女子と相部屋なの?」

「えっと、僕の入学が急だったかららしいよ。」

 

僕の言葉に2人とも納得したように頷く。

 

「あ、私は谷本癒子です!よろしくね!」

「私は夜竹さゆか。よろしく。」

「癒子にさゆかだね。よろしく。」

 

僕がそう言うと、2人とも顔を赤くした。

 

「え、え、名前で!?」

「あ、ゴメン。馴れ馴れしいかな?」

「いやいや!そんな事ないよ!

全然名前で呼んでいいよ!」

 

2人とも顔を赤くしながら嬉しそうにしている。

………何故だろう?

その後は2人に何回も名前で呼ぶよう強要されたり、色々な質問をされたりして時間を過ごした。

 

…………

……

 

深夜、僕は放課後に貰った参考書を読んでいた。

僕の後ろで本音の寝息が聞こえてくる。

僕はふとページをめくる手を止めて、時計を見た。

時刻は日付が変わる30秒前を指していた。

 

…20秒

僕は静かに時計を見つめる。

 

…15秒

心臓の鼓動が早くなるのを感じる。

 

…10秒

呼吸が荒くなっていく。

 

…5、4、3、2、1______

 

 

 

 

 

____時計の針は日付が変わった後も、そのまま進み続けている。

僕は針が進み続けるのを確認し、本音の寝ているベッドの横に立つ。

本音は何やら幸せそうな顔をしながらスヤスヤと寝ている。

僕はその寝顔を暫く眺めた後、再び机に座り参考書のページをめくった。

 




最後はちょっとだけシリアスな雰囲気。


途中に出てくる赤い髪のヒロイン(ただし男)とは、月刊少女野崎くんに出てくる彼のことです。
みこりん可愛いよみこりん。

織斑の斑が間違ってたので修正しました。
非常に申し訳ない。

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