P3 in IS   作:ティターニア

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先の展開の構想は面白いほど浮かび上がるのに、
目の前の話を作るのに苦労しています。


4:篠ノ之箒

「そうだ織斑。お前のISに関してだが、専用機が与えられる事になった。

が、届くのはもう暫くかかりそうだ。」

 

3時間目の授業の最初に織斑先生は一夏に対しそう言った。

 

「えっ、織斑君1年から専用機もらえるんだ。」

「羨ましいな〜。」

 

と、周りの女子達から羨ましがる声があがる。

そんな周りの反応に一夏は、

 

「えっ、専用機が貰えるってそんな凄い事なの?」

 

とキョトンとしていると、その頭に出席簿が振り下ろされる。

 

「貴様の頭は空っぽなのか?

教科書の専用機に関する項目を読んでみろ。」

 

と、織斑先生が制裁を加えながら呆れていた。

 

「いてて…。えーっと?

『専用機とは篠ノ之束が制作したオリジナルのISコアを用いられた機体の内、特定個人専用の機体を指します。

オリジナルのコアの総数が467個しかなく、同時に専用機の数もそれ以下と希少なため、その多くは国、もしくはそれに属するIS関連の企業が所有しています。

専用機にはその時の最新鋭の機体と、実験機の機体があり、前者は国家代表、後者は代表候補性が主に所持しています。

また、当事の最新型であることから、その性能は量産機よりも優れているとされています』。

………つまり、専用機は貴重って事ですか?」

「ふん、掻い摘んで言えばそういう事だ。」

 

一夏が読んでいる専用機に関する内容を聞きながら、僕は腰の召喚器を見る。

こちらでは専用機ということになっているらしいが、それは今ある467個のうちの一つなのだろうか、あるいは…。

 

「あれ、それじゃあ理のISはどうなるんですか?」

 

一夏は僕の方には何かないのか織斑先生に尋ねている。

 

「ああ、その点に関しては神名は既に専用機を持っている。」

「「「え…えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」」」

 

織斑先生の言葉に皆が驚く。

 

「神名君、もう専用機持ってるんだ!」

「っていうかこのクラス専用機持ちが3人もいるって凄くない!?」

「神名君のIS見てみたいなあ〜。」

 

女子達が騒ぎ始める。

 

「ちょうど良かったですわ!」

 

と、オルコットが立ち上がりそう言った。

 

「わたくしだけが専用機を使ってはフェアでは無いと思っていたところでしたの。

まあ、あなた方にとっては負けた時の言い訳が減ってしまったことでしょうけど?」

「はなから負けるつもりなんてねぇよ。

絶対に勝ってやる!!」

 

オルコットと一夏が睨み合う。

が、そこに織斑先生の怒号が飛ぶ。

 

「静かにせんか馬鹿者共!」

 

その声に、教室はやっと落ち着いた。

 

「全く…。熱くなるのは構わんがISは『兵器』だ。

いくら絶対防御があるとはいえ、事故が起こる場合もある。

その事だけ忘れるなよ。」

 

織斑先生がそう締めくくり授業が再開されるかという時に、一人の女子が遠慮がちに手を挙げる。

 

「あの…、篠ノ之さんは篠ノ之束博士の関係者なんですか?」

 

それは僕も気になっていた事だ。

ISを作った篠ノ之束と同じ苗字の箒さん。

まさか偶然ではないだろう。

 

「ああ、そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ。」

 

その質問に対し織斑先生はあっさりと答えた。

そんな情報をあっさりバラしていいのだろうか。

しかも今織斑先生は篠ノ之博士のことを『あいつ』といった。

姉同士でも交流があったのだろうか。

 

「「「えぇ〜〜〜〜〜!!?」」」

 

にわかに教室が騒がしくなる。

 

「凄い!うちには有名人の身内が2人もいるんだ!」

「ねぇねぇ、篠ノ之博士ってどんな人なの?

やっぱり天才なの!?」

「篠ノ之って剣道で凄く有名だよね!

やっぱりISの扱いも上手いの!?

今度教えて!」

 

女子達が次々に質問を飛ばす。

 

「あの人は関係ない!!!」

 

しかし、篠ノ之さんは怒声をあげて立ち上がった。

再び教室が静まり返る。

 

「大声を出して済まない…。

しかし、私はあの人じゃない。

私に教えられる事なんて何もないんだ…。」

 

そう言って自分の気持ちを鎮めるかのように席に着いた。

………気まずい空気の中、授業が再開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜、俺やっていけるか心配だよ〜。」

「むしろ僕は一夏が今までISの知識をほとんど知らなかった事のほうが問題だと思うけど。」

 

午前の授業が終わりグロッキー状態となっている一夏に僕はツッコミをいれた。

今は昼休みに入っており、僕と一夏と篠ノ之さんはお昼を食べに食堂へ来ていた。

 

「それにしても一夏。

君、教官を倒したっていうのは本当なのかい?」

 

もしそれが本当なら、来週の試合も結構勝ち目が見えてくるが。

 

「いや、あの時はなんというか…。」

 

僕の問いに一夏はうかない様子だ。

 

「あの時の試験官、山田先生だったんだけどさ…。

始まると同時に何かあの人こっちに突っ込んできてさ。

それを避けたらそのまま壁にぶつかって気絶しちゃってそれで終わったんだ…。」

「………それは勝ったとは言わないよ。」

 

どうやらまぐれ勝ち以下のはなしのようだ。

 

「おい一夏。そんなのでオルコットに勝てると思っているのか?」

「なんだよ箒。今の俺じゃ勝てないのか?」

「実際篠ノ之さんの言う通りだと思うよ。」

 

一夏はまだ分かってないようなので、現実を話そう。

 

「そもそも僕らはIS初心者だ。

君もまともにIS動かしてないだろ?

対して向こうは代表候補生なんだ、かなりISの扱いに慣れていると思うよ。」

「でも、まぐれで勝てるって事も…。」

「ビギナーズラックってのはそうそうあるもんじゃないよ。

まあその確率を上げる事なら出来るけど。」

「えっ?まぐれの確率あげるってどういうことなんだ?」

 

一夏ものってきたので、勝つための算段を話すことにしよう。

 

「おそらく向こうは僕達が初心者だと知ってるから、当日も油断してると思う。

だからその間に少しでも僕達はISの操作や戦闘に慣れておいて、相手が油断してる隙に倒すって感じかな。」

「おお、なるほど!

じゃあ箒!ISの操作について教えてくれ!」

 

僕の作戦を聞き、一夏はやる気が出てきたようだ。

篠ノ之さんにISの手解きをお願いしている。

 

「断る。」

 

しかし、当の篠ノ之さんに断られている。

 

「何でだよ箒!教えてくれよ!」

「嫌だと言ったら嫌だ。」

 

と、2人が言い合いを始めた。

篠ノ之さんの嫌がる理由はよくわからないが、たぶん照れ隠しなのかな?

 

「君達でしょ?噂の男子2人組。」

 

と、横から声をかけられた。

見るとおそらく上級生の女子が数人そこにいた。

 

「聞いたわよ、代表候補生に勝負挑んだらしいわね。

君達、ISを動かしてどのくらい?」

「えぇっと、大体20分ぐらい…です。」

「………僕もそれぐらいです。」

 

実際はまだ動かしてもないけどね。

 

「駄目よ、そんなんじゃ。

ISはどれくらい慣れてるかがものをいうのよ。

相手の代表候補生なら300時間は軽く動かしてるはずよ。」

「それで提案なんだけどね、私達がISについて教えてあげようか?」

 

と言ってズズッと寄ってくる。

ISの操作を教えるのを名目にいわゆる僕らとお近づきになりたいというやつなのだろう。

この学園じゃ僕らは目立ってしまうからな。

実際、食堂にいても周りの視線が痛い。

これからこんな感じが続くのかと思うと、かなり憂鬱である。

 

「本当ですか!?じゃあぜひお願い

「問題ありません。」

 

と、上級生達の提案に一夏が乗ろうとしたが、篠ノ之さんに遮られる。

 

「一夏には私が教えますから。

………ついでに理も。」

「あなた一年生でしょ?

一年生が教えるより三年生が教えるほうが実りがあると思うけど?」

 

篠ノ之さんと三年生達がにらみ合う。

ていうか篠ノ之さん、僕の事ついで扱い?

 

「問題ありません。

私は篠ノ之束の妹なので。」

「えっ、篠ノ之って…、え!?」

 

篠ノ之というワードに三年生達がたじろぐ。

 

「そ、そう…。篠ノ之博士の妹なのね。

そ、それなら仕方がないわね。」

 

と、そそくさと三年生達は去って行った。

…一夏の為なら良く思ってない姉の名前も使うようだ。

 

「なんだ。結局教えてくれるのか、箒。」

「ふん。ま、まあ仕方なくだがな。」

 

篠ノ之さんの照れ隠しにも一夏は気づかない。

というより篠ノ之さんも素直になればいいのに。

まぁ、いいや。

 

「一夏、君はなんかスポーツやってたりする?」

「えっと小学生の時に箒の所の道場で剣道やってたけど。」

「だったら丁度いいじゃないか。

篠ノ之さんに剣道を見て貰えばいいよ。」

「えっ、でもISの操作は…?」

「君の専用機はまだ届かないんだろ?

だから届く前に君自身も動けるようにしとかないと。

ISの操作は専用機で慣らしていくべきだと思うよ。」

「そっか、よしわかった!箒、よろしく頼むな!」

「あ、ああ!もちろんだ。

そうだな理の言う通りだな、うんうん。

私が手取り足取り教えてやろう!」

 

僕の提案に篠ノ之さんは嬉しそうだ。

 

「じゃあよろしくね、篠ノ之さん。」

「うむ。あと、私の事は箒と呼べ。

私だけ呼び捨てではあれだからな。」

 

どうやら僕の好感度が上がったらしい。

さて、今後の作戦も決まったことだし頑張って残りの時間を乗り越えよう。




つぎは放課後の話となります。

深夜ごろにあげれればと思います。

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