P3 in IS   作:ティターニア

3 / 29
作者はISの方に関しては原作は読んでいません。
アニメと他の方々の作品を読んで大まかな流れを理解しているぐらいです。
それでも読んでくださると有難いです。

オルコット嬢は次回になりました。


2:織斑一夏

「えっと、神名…さんでいいですか?」

 

SHRが終わり、隣の彼が話しかけてきた。

 

「…いや、呼び捨てでいいし、敬語もつけなくていいよ。

男同士、仲良くしていこう。」

「そっか…。

じゃあ理って呼ばしてもらうぜ!

俺のことも一夏って呼んでくれ。

これからよろしくな!」

 

そう言って一夏は握手を求めてきた。

 

「うん。よろしく、一夏。」

 

と言って僕は一夏の握手に応じた。

 

「それにしても助かったよ、理が来てくれて。

この空気の中男1人で過ごすなんて、俺には耐えられないよ。」

「ああ、それは確かにわかる。」

 

一夏の言葉に僕も頷く。

今話している僕らの周りでは、女子達がひそひそと何かを話しながら、僕らを遠巻きに見ているからだ。

教室内だけではない。

廊下の方をチラリと見ると、そこにも大量の女子がキャアキャア言いながら僕らを見ている。

他クラスだけでなく上級生の人達もいるようだ。

聞こえてくる歓声の中には、驚きや戸惑いの声もあった。

どうやら、僕の情報はまったく知らされていなかったらしい。

噂の男性操縦者を見に来たら、なんと男子がもう1人いるのだ。

驚くのも無理はない。

 

「…すまんが、ちょっといいか?」

 

と、そう声を掛けられそちらの方を見ると、長い髪をポニーテールにした女子がそこにいた。

 

「…お前、箒か?久し振りだな。」

 

目の前の女子に対し、一夏がそう言った。

どうやら知り合いのようだ。

 

「理、こいつは箒。俺の幼馴染み。」

「篠ノ之 箒だ。えっと…。」

「別に呼び捨てでいいよ。」

「そ、そうか。では、理、よろしく頼む。」

 

そういって彼女、箒は軽く会釈をした。

一夏曰く幼馴染みらしい。

 

「で、すまんが理、ちょっと一夏を借りてもいいか?」

 

そう彼女は僕に尋ねてきた。

彼女の様子から察するに篠ノ之さんは一夏と2人きりで話しがしたいようだ。

先ほど久し振りと言っていたので、長らく会ってないのだろう、積もる話はいっぱいあるだろう。

 

「えっ、何でだよ。此処じゃダメなのかよ?」

 

それに対し、一夏はキョトンとした顔をしている。

…彼の人間性が少しわかった気がした。

ここはとりあえず篠ノ之さんに助け船を出す。

 

「いいよ、篠ノ之さん。一夏、行って来なよ。

篠ノ之さんは一夏と2人きりで話がしたいそうだから。」

「なっ何を言っているんだ、理!?

わ、私はそんな…。」

 

と、篠ノ之さんは顔を真っ赤にしながら慌てている。

…篠ノ之さんはとてもわかりやすい性格をしている。

そんな幼馴染みを見ても一夏は『えっそうなのか?』と首を傾げている。

…一夏はかなりの唐変木らしい。

 

「っ、とにかくついてこい!一夏!」

 

そう言って篠ノ之さんは一夏の手を掴み、教室の外へと一夏を連れて出て行ってしまった。

 

「………ふう。」

 

と、一息ついたところで、僕は周りからの視線を思い出す。

一夏達の方に何人かついていったようだが、

それでもたくさんの女子達が教室の内にも外にもいる。

さて、どうしたものか…。

 

「…どうでもいい。」

 

そう呟いて机に突っ伏すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___さて、ここまでで何か質問はありませんか?」

 

黒板の前に立つ山田先生が教室を見渡してそう言った。

今は休み時間を終え、授業に入っていた。

ちなみに一夏達はチャイムが鳴ってから遅れて入ってきて、2人して出席簿による制裁を受けていた。

僕は山田先生の授業を聞いてISについて頭の中で大まかにまとめてみる。

 

インフィニット・ストラトス。

通称「IS」は本来は宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツだった。

しかし、「白騎士事件」という出来事をきっかけに、従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能が世界中に知れ渡ることとなり、飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要がISに移っていったらしい。

ISの影響は軍事関連だけでなく、男女の社会的地位にも影響が及び、女性にしかISを使えないことは女性の地位を大きく上げるものとなり、今では女尊男卑の社会となっているらしい。

 

とりあえず、基本的な事は大体理解できた。

これならしばらくは何とかなりそうだ。

 

「はいっ、先生!」

 

と、横で一夏がすっと手を上げた。

その表情は悟りを開いたみたいになっている。

 

「な、何ですか織斑君?どこがわかりませんでしたか?」

 

山田先生がオロオロとしながら一夏に尋ねる。

…それにしてもこの人は本当に教師なのだろうか?

ついさっきもつまづいて転んでたし、言動も少し見た目より幼い気がするが。

 

「………先生。」

 

一夏が意を決したように言う。

 

「ほとんど全部わかりません!!」

 

その言葉に女子達がずっこける。

なかなか統率がとれている。

 

「ほ、ほとんどですか!?

それは困りましたね…。

か、神名君は大丈夫ですか?」

 

慌てた山田先生は僕の方に潤わせた目を向けてきた。

 

「…はい。今聞いた授業の内容はばっちりです。」

「え!?理は理解できてるのか!?」

 

と、教室の隅にいた織斑先生が一夏に声をかけた。

 

「……織斑。

入学前に渡した参考書は読んだのか?」

「あ、…あれは古い電話帳と間違えて捨ててしまいました!」

 

女子達がまたずっこける。

お笑い番組を見てるかのようだ。

それにしても一夏は結構抜けている所があるらしい。

…野球帽をかぶったあいつを思い出す。

織斑先生が一夏に出席簿を振り下ろす。

 

「必読と書いてあったろうがばかものが…。

後で再発行してやる。

神名も持ってないだろう。お前にも渡そう。

一週間で覚えろ。」

「い、一週間!?いくらなんでもそれじゃ覚え…」

「覚えろ。わかったな?」

 

有無を言わさないその迫力に、一夏は項垂れながら席に着いた。

電話帳と間違えるぐらいなのだから、相当分厚いのだろう。

…覚悟を決めておこう。

 




というわけで今度こそ次回あのお嬢様が出てきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。