P3 in IS   作:ティターニア

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明けましておめでとうございます!
元旦から山登ったり廃墟探索したりしてた私ですが、どうぞ今後ともヨロシクお願いします!

新年一発目からなんだこのタイトルは。


26:猫耳の魔力

さて、5月も半ばに入り、学年全体がそわそわしてきている。

その理由はいよいよ彼女達がISに乗れる時期が近づいてきたからだ。

来週には2クラス合同の実習がスタートし、約1ヶ月後に行われる個人トーナメントに向けて各々準備を進めていく。

その傾向は今朝の食堂にも見られる。

ISスーツのカタログを見ながらキャッキャ騒ぐ者たち、上級生から熱心に話を聞いている者たちなど様々だ。

 

「「………。」」

 

そんな空気の中、僕達男子2人組は心中穏やかではなかった。

 

「………理。」

「………。」

 

僕達の悩みの原因はこのISスーツにある。

ISスーツとはISを効率的に動かす役割を担うIS専用衣装である。

体を動かす際に筋肉から出る電気信号等を増幅してISに伝達するとか。

もちろん僕らにも試作品として配給されており、ペルソナに効果があるのかはわからないが一応着させてもらっている。

で、何が問題かというと一言で言えばこのスーツ、エロい。

何せボディラインが丸分かりになってしまう。

構造もスクール水着みたいなレオタードに膝上サポーター。

これを考案した人は下心があったに違いない。

女性用がこんなのなので、僕ら男性用もそれなりに肌が露出している、というよりお腹にいたっては丸出しである。

体を鍛えてて本当に良かったとつくづく思う。

そういえばこのスーツ、強度はかなりあり銃弾程度なら貫通しないらしいが、お腹丸出しじゃ意味がない気がする。

さて、そんな年頃の男子にとって目の毒となる代物を、クラスのみんなが一斉に装着するわけだ。

…生き地獄とはこのことだろう。

 

「理、俺たちはどうすれば……!」

 

苦悩に満ちた顔を見せる一夏。

超唐変木な彼とて人並みの性欲はある。

 

「……いいかい一夏、男子高校生にはある3つの教訓がある。」

「お、おう……!」

「その1つに『紳士であれ』、とある。」

「………!」

「この先、僕らを待ち受けている試練は生半可な覚悟じゃ到底クリア出来ないものだ。

…だがしかし! 決して負けてはならない。

負ければ最期、僕達に未来はない。」

「…ああ、やってやるよ。

俺は千冬姉を、みんなを守るって決めてるんだ!

俺は絶対に負けない!!」

 

一夏がグッと拳を握る。

一夏の覚悟が伝わってくる。

 

「グッドだ、一夏。

そんな君にいいことを教えよう。」

「なんだ?」

「いいかい、一夏。

トイレに何回か入っていると、たまに調子が絶好調にな

「はい、アウトー。」

 

と、鈴にチョップを喰らい物理的に終了させられた。

そんな、朝の風景。

 

…ちなみに男子高校生の教訓残りの2つは、『バカであれ』と『自由であれ』ね。

 

………

……

 

「アンタ達、今朝はなんの話してるかと思ったら…、まぁ年頃の男子からすればしょうがないのかもね。」

 

放課後のピット、模擬戦を終えて額の汗をタオルで拭きながら鈴はそう言った。

汗を吸った彼女のISスーツはそれなりの色っぽさを醸し出していた。

ちなみに模擬戦の結果は3人で総当たりをして、一位僕、二位鈴で三位一夏だった。

 

「ふむ、やはり鈴は男子に対する理解力があるからな。

一夏、鈴はオススメだよ。」

「ブッ!? ちょ、理何言ってんのよ!!」

 

鈴は顔を真っ赤にしながら怒るが、満更でもなさそうだ。

 

「えっ、どういう意味だ?」

「「………。」」

 

が、この男には意味のないことだったか。

 

「これさえ無ければねぇ…。」

「そうだね…。」

「?」

「バカは置いといて、今日の反省会でもしましょ。」

「おい、バカって言うな。」

「バカという自覚はあるんだね。」

「理がひどい…。」

 

こっちだってストレス溜まってくるんだよ、本当に。

 

「一夏はもう少し機動の方に力を入れるべきね。

瞬時加速(イグニッション・ブースト)だって直線的にしか動けないんだから、格上の相手だったらカウンターくらうことになるわよ。」

「うっ…、精進します…。」

「理からはアタシに何かない?

アドバイスくれるとありがたいんだけど。」

「そうだね…、龍砲を放つタイミングを気付かせないことかな?

鈴を見てるといつ衝撃砲を撃ってくるかってのがわかるんだよね。」

「それ結構高度なこと要求してるわよね…。

それができたら苦労しないわよ。」

「他に言うところがあんまり無いんだよね。

近接も手数が多いから対処が大変だし。」

「手数って…、それアンタが言う?」

 

鈴は恨みがましい目で睨んでくる。

 

「アンタ武装多すぎなのよ!

手品みたいにポンポン変えてくるんだから!」

「一応1試合で使うサブペルソナ(武装)には制限があるんだよ。

それにオルフェウス自体は能力はそんなに高くないよ。」

 

今の所は一回の戦いで出せるサブペルソナは3体が限界といったところだ。

今使えるサブペルソナは近接用が少し勝っている感じだが、オルフェウス自体は力のステータスはあまり高くないので魔をメインにしたやつらが使えるようになりたいところだ。

 

「…よし、理! アンタ今出せる武装全部見せなさい。」

「えっ?」

「ハンデよハンデ!

アンタ武装抜きでも動けるからいいでしょ!」

「そうだな、俺も見ておきたいし。」

 

2人からそんなことを言われた。

確かに自分でも確認しておく必要があったからな。

まだ使ってないのとかいるし。

 

「わかったよ、でもどうすればいいの?」

「そんなの武装だけ展開すればいい話じゃないの。」

「ああ、なるほど。 」

 

てな訳で召喚器をこめかみに当てる。

要はこのままでサブペルソナを召喚すればいいのかな。

 

「じゃあ…ジャックフロスト!」

 

そう言って引き金を引く。

すると僕の両手に変化が現れて_____。

 

 

 

 

 

「……何よそれ。」

 

僕の両手に顕現したのはかのプロテインジャンキーな先輩も愛用していたジャック手袋のジャックフロストの方だった。

 

「………かわいいでしょ?」

「確かにかわいい…じゃないっ!!」

 

鈴がブンブン頭を振る。

 

「それ俺との試合で出したヤツだよな?

こんなかわいいのだったんだな。」

「なんで生身のサイズに縮小されてるのよ…。

無駄すぎる機能ね。

てゆうかそれ確か凍らせられるヤツでしょ?

危険じゃない。」

「…いや、この状態だったら使えないみたいだ。」

「今使おうとしてたの!?」

 

どうやら、生身の状態で召喚すると普通の武器として使えるみたいだ。

スキルなどは使用できないけど、召喚時に負担もかからなかったからこの状態なら幾らでも召喚できるようだ。

 

「次は…タムリン!」

 

先が3つに分かれた三叉矛(トライデント)が顕現する。

タムリンの武装に間違いなかった。

 

「それはアタシの時に使ったヤツね。

まだ見てないのを出してよ。」

「わかったよ。」

 

そう言われて再び召喚器を構える。

この時、僕は何も考えておらずただ武器として出るのだとばかり思っていた。

だからこそどんな姿になるのかも想像せずに引き金を引いた。

 

「ネコマタ!」

 

………

……

 

「あら、一夏さん達ここにいらっしゃったのですか?」

「今から一緒に夕食を食べに行かないか?」

 

そう言いながらピットの扉を開けたのは部活帰りと思われる箒とセシリアだった。

そして彼女達の目に映ったのは___

お腹を抱えながら床を笑い転げる鈴、理のISの待機状態である拳銃を持って逃げ回る一夏、そして、その一夏から拳銃を取り返そうとする()()()()()()()()()()理の姿だった。

 

「「…………。」」

 

それは、まさに混沌であった。

 

………

……

 

「___な、なるほどな。

事情はわかった…ブフッ!」

 

事情を聞いた箒は更に可笑しくなったのか、氷結魔法みたいな吹き出しと共に背中を向けて笑い始めた。

 

「た、確かになかなかユニークな姿ですわね、理さん。」

 

セシリアも顔を赤くしながら目を背けるので笑うのを堪えているようだ。

実の所セシリアは理の姿を最初に見た時、

『あ、愛らしい………!』

と、思ってたりするのだが当然知る由もない。

 

「…まさかこんな事もあるとは…。」

 

既に一夏から召喚器を取り返すのを諦めた僕は改めて自分の姿を確認する。

少し細長く猫のそれに近い形をした黒い耳。

そして腰の尾骨?辺りから伸びる尻尾。

動かそうと思えば動かせるのがまた怖い。

生身でサブペルソナを召喚すると、武器として出てくるだけでなく召喚したペルソナの姿が反映されることもあるのか。

とんだびっくり箱だよ。

これは1人の時にそれぞれどうなるか確認する必要があるな。

最初にこうなったのがネコマタで良かった……いやよくないか。

 

「理、アンタそれ最高よ!

今日そのまま食堂に行くわよ!」

「それはゴメンだ。

一夏、いい加減に返せ。」

「そうだな、これ以上は男子としても堪えるものがあるからな。」

 

そう言って一夏が召喚器を手渡そうとするが、横からさっと鈴の手がのびて奪い取る。

 

「理、お願い!

せめて今日1日はそのままでいて!」

「断る。 早く返して。」

「ま、理さん、そのままでいるのも悪くないと思いますが?」

「セシリアまで何を言ってるんだ!?」

 

まさかの援護発言。

君の中で何が起きたというんだ。

そうこうしてる間にも鈴は召喚器を持ったまま廊下へと出て行く。

 

「あっ、鈴! 待て!」

 

慌てて僕も廊下に出るがそれがまずかった。

結果、廊下にいた女子達に僕の姿を目撃される。

 

「えっ、あれって神名君だよね!?

なんか耳と尻尾生えてる?」

「ホントだ! ヤバい超萌える〜!」

「キャ〜〜〜〜〜! 写メ! 写メ!」

「新聞部を! 黛さんを呼ぶのよ!」

 

しまった!!

慌ててて自分の状態を忘れてた!

 

「か、神名君……!?」

 

その時、後ろから名前を呼ばれ振り返る。

そこにいたのはプリントの束を抱えたナギだった。

 

「ナ、ナギ………。」

 

ナギは僕の姿を見てしばらく驚いていた。

が、やがて顔が少しずつ赤くなっていき、それはそれは頭から湯気が出てるのが見えそうなほどに赤くなり、

 

 

 

 

 

 

 

ボンッ!!

バタッ。

 

 

「ナ、ナギ〜〜〜〜!!?」

「どうした、理!?」

「ナギの頭から爆発したような音が聞こえたと思ったら、鼻血出しながら倒れちゃった!」

「お、落ち着くんだみんな!

ま、まずは気道の確保から入るんだ!」

「いや箒が落ち着け! 気絶してるだけだ!」

「と、とりあえず医務室に連絡ですわ!

も、もしもし!?」

「「「セシリアそれテニスのラケット!!」」」

 

 

 

 

 

 

その日、一年の専用機持ち達が鼻血を出して気絶してると思われる生徒を運んでいく姿が目撃されたという。

また、その中に尻尾の生えた者がいたとか。

 

………

……

 

「…はぁ、散々な目にあった。」

「かみなんの猫コス見たかったな〜。

見せて〜〜。」

「しばらくは嫌だなぁ。」

 

と、寮に帰って本音とそんな話をしてると、

 

コンコン

 

とドアをノックする音が。

 

「あ、私が出るよ〜。」

 

と言って、本音が玄関へと向かう。

誰だろうなぁと思ってると、戻って来た本音の後ろにいるのは山田先生だった。

 

「かみな〜ん、悲しいお知らせだよ〜。」

「えっと、神名君。」

 

山田先生は頬をかきながら、

 

「布仏さんのお引越しが決まりました!」

 

そう言った。………えっ?




新年一発目からひどい。
という訳で生身の状態でサブペルソナを召喚したらでした。
召喚した後の姿はペルソナ毎でランダムです。
鎧姿になったり武器オンリーだったり今回みたいにコスプレっぽくなったり…。
ある意味危険です。
尚、スキルを使用することはできません。
戦闘で出すのを考えてないペルソナはこれで出していこうかなと考えてます。
これならあの御立派様も…。

次回からようやく2巻のメインに入っていきます。

オルフェウスのステータスをABCで表すと、

力(近接):C 魔(遠距離):B 耐:C 速:B

といった感じです。
ISでいえば第二世代のラファールと似ています。

現在使えるサブペルソナ

魔術師:ネコマタ ジャックフロスト ジャックランタン
恋愛:ピクシー アルプ タムリン
法王:オモイカネ ベリス
剛毅:ヴァルキリー ラクシャーサ

2015 6/23 修正
お肉大好き先輩→プロテインジャンキー先輩

こっちの方が分かりやすいかと

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