P3 in IS   作:ティターニア

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だいぶ遅くなりました。
申し訳ありません。


原作の挿絵の蘭ちゃんの格好は堪りませんね。


24:GW 3日目

「で?」

「で?って何がだよ?」

「だから女の園の話だよ。いい思いしてんだろ?」

「いや、してねぇっつうの…ええい、こしゃくな!」

 

と、格ゲーをしながら2人は喋っている。

 

「嘘をつくな嘘を。

お前のメール見てるだけでも楽園じゃねぇか。

なんだよそのヘブン、招待券ねぇの?」

「くっ、ねぇよバカ。」

 

現在一夏が圧され気味だ。

 

「無いのかよ〜。

…よっしゃ、俺の勝ち!」

「おわ!きたねぇ!

最後ハイパーモードで削んの無しだろ〜。」

「やっぱテンペスタ強いわ。

それより絶対いい思いしてるだろ。」

「だからしてねぇって。」

「あー、もうお前に聞いてもらちがあかん。

実際どうなんだよ、理?」

 

と、一夏の友達の五反田弾は、後ろで説明書を読んでいた僕に声をかけてきた。

現在、僕達は弾の家に遊びに来ている。

彼とは今日の朝が初対面だったが、僕の事はニュースなどで既に知っていたらしい。

 

「うーん、いい思いしてるかって言われたらそうでもないかな。

周りが女子ばっかりっていうのは結構キツイよ。」

「マジか〜。

理がそう言うんならそうなのかもなぁ…。」

「おい、なんで理の話は信じるんだよ。」

「そりゃあそうだろ。なぁ?」

「そうだねぇ。」

「なんだよ、その憐れみの目は。」

 

女性に関する事は一夏に聞いてもほぼ無駄である。

 

「理、そろそろやるか?俺と交代だ。」

「ああ、うん。

やり方は見ててなんとなく分かった。」

「よし、理になら勝てるな。」

「いや一夏、初心者に勝って喜ぶなよ。」

「まぁ、お手柔らかに頼むよ。」

 

そう言って、弾からコントローラーを受け取る。

因みに今からやるこのゲームは

IS(インフィニット・ストラトス)/VS(ヴァースト・スカイ)

というゲームでかなり売れているゲームらしい。

ゲームに使用されているISのデータは第2回のモンド・グロッソのを使っていて、元は日本が売り出したのだが他国から、

『我が国の代表はこんなに弱くない!』

と苦情が入り、結局それぞれの国のISが最高性能化されたお国別バージョンが発売されたとか。

 

「初めてならこいつがいいと思うぜ。」

「そうなんだ。じゃあこれにするよ。」

 

おすすめされたカナダのISを選ぶ。

 

「じゃあとりあえず適当に動かしてみなよ。」

「うん。」

 

ゲームが始まり、適当に動かしてみる。

…こう動かしたら上昇して、サイドステップはこのボタン押しながらで、ってあれ、逆さま向いちゃった。

 

「…つうか、アレだ。

鈴が転校してきてくれて助かったよ。

話し相手本当に少なかったからなぁ。」

「ああ、鈴か。鈴ねぇ……。」

「? なんだよ、そのニヤニヤとニコニコの中間みたいな顔は。」

 

弾は鈴の一夏に対する好意を知ってるのか。

まぁ普通に分かりやすいけど。

…よし、瞬時加速は出来るようになった。

確か説明書にはこれにはさらに応用があるんだったよな。

 

「理、こいつそっちでもやっぱそうなのか。」

「うん、そうだね。」

「じゃあ鈴は苦労してるわけだ。」

「それはもちろん。」

「ん?鈴は何に苦労してるんだ。」

 

君にだよ、一夏。

…よし、武装の確認も出来た。

 

「一夏、そろそろいいよ。」

「おっ、もういいのか?

じゃあそっちから先に動いていいぜ。」

「じゃあお言葉に甘えて。」

 

瞬時加速。からのコンボ。

 

「えっ、あれ!?」

 

反撃の隙を与えずどんどん攻める。

 

「うわうわ、ちょっと待て!」

「時は待たない。」

「いや、なんだよそれ!」

 

よし、フィニッシュ。

必殺コマンド入力。

 

「はい、勝利。」

「…嘘だろ?」

「一夏…、初心者に負けんなよ。」

「いや、今の初心者の動きじゃないだろ!

なんだよ今の!俺が見てた時は逆さま向いたまま動いてたのに!」

「その後お前がこっち向いて喋ってる間に、理は物凄い速さで成長していたぞ。」

 

僕の操作を見ていた弾は感心している。

 

「このゲーム面白いね。」

「マジかよ〜、理にも負けるとは…。」

 

そう言いながら、一夏は床に寝転んだ。

僕も一旦コントローラーを置く。

 

「…で、話は戻るが鈴のことは___」

 

と弾が鈴の話題に戻ろうとした時、

 

「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!」

 

女の子がドアを乱暴に開けて入ってきた。

 

「さっさと食べに……。」

 

と、女の子の勢いは一夏を視界に捉えて、一気におさまる。

 

「あ、久しぶり。邪魔してる。」

「いっ、一夏さん!?」

 

彼女は驚くとともに自分の服装を思い出し、慌てて襖の陰に体を隠した。

僕達が来ていることを知らなかったのだろう。

かなりラフな格好だった。

 

「い、いやっ、あのっ、来てたん、ですね…。

が、学校は…?」

「いや、GWだから休みだけど…。」

「あっ、そ、そうでしたね!」

 

ふむ、彼女も一夏に惚れてるようだな。

 

「蘭、お前なぁ、ノックくらいしろよ。

恥知らずな女だと思われ___」

 

おおう、弾に鋭い視線が突き刺さる。

 

「…なんで、言わないのよ……。」

「い、いや、言ってなかったか?

そ、そりゃあ悪かった、ハハハ……。」

「……………。」

 

弾の家での地位は彼女よりも低いようだ。

弾をしばらく睨んでから、彼女はようやく僕の存在に気付いた。

 

「…って、そこの人ってもしかして!?」

「ん?ああ、ご覧の通りもう1人の男性操縦者だ。

理、こいつは俺の妹の蘭だ。」

「神名理です。お邪魔してます。」

「えっ、あ、ごゆっくり…してってください。」

 

僕が挨拶すると、蘭ちゃんは少し顔を赤くしながら軽く会釈をした。

 

「あ、あの、よかったら一夏さんも、か、神名さんもお昼どうぞ。

お昼まだ、ですよね?」

「えっ、いいのかい?」

「そうだな。食ってけ食ってけ。」

「じゃあ、いただこう。ありがとうな、蘭。」

「い、いえ…。」

 

そう言い残して、そそくさと出て行ってしまった。

 

「…しかしアレだな。

蘭ともかれこれ3年の付き合いになるけど、まだ俺に心開いてくれてないのかねぇ。」

「「はぁ?」」

 

この男は何を言っているのか。

 

「いやほら、だってよそよそしいだろ。

理も居たからかもしれないけど、今もさっさと部屋から出てったし。」

「「……………ハァ。」」

 

弾と溜息がかぶる。

 

「なんだよ?」

「いや〜なんというか、お前はわざとやっているのかと思う時があるぜ。」

「でも、悲しいかな。天然なんだよね、これ。」

「?」

「まぁ、分からなければいいんだ。

俺もこんなに歳の近い弟はいらん。」

「ああ、凄い気まずくなるやつだよね。」

「??」

 

首を傾げてる奴は置いといてさっさと下に降りることにした。

 

………

……

 

下、もとい食堂に降りてみると、僕達の昼食が置かれているであろうテーブルにはすでに蘭ちゃんが座っていた。

…先程までのラフな格好とはうってかわってオシャレな格好をして。

 

「うげ。」

「なに?何か問題でもあるの?

あるならお兄1人外で食べてもいいよ。」

「聞いたかお前ら、今の優しさに溢れた言葉。

泣けてきちまうぜ。」

「よかったね、弾。優しい妹で。」

「いや慰めろよ!」

 

涙を拭う弾をぞんざいに扱い、昼食が並ぶテーブルにつく。

もちろん配置は一夏が蘭ちゃんの横になるようにする。

恋する乙女の応援は欠かさない。

 

「…蘭さぁ。」

「は、はひっ!?」

「着替えたの?どっか出かける予定?」

「あっ、いえ、これはですね…。」

 

と、一夏が蘭ちゃんの変化に気づく。

うん、服装の変化に気づくのはいい事だが、まずは褒めないと。

君のために着替えたようなもんなんだからね。

 

「ああ!デート?」

「違いますっ!」

 

ダメだ、やっぱり一夏だった。

蘭ちゃんもテーブルを叩いて怒っている。

 

「蘭ちゃん、似合ってるね、それ。」

「えっ、あ、ありがとうございます。」

 

とりあえずフォロー。

 

「ご、ごめんな、蘭。」

「あ、いえ…。

と、とにかく違います。」

 

一夏も流石にまずかったと思ったのか、蘭ちゃんに謝る。

成長したじゃないか、一夏。

 

「違うっつーか、むしろ兄としては違って欲しくもないんだがな。

何せお前そんなに気合いの入れたオシャレをするのは数ヶ月に一度___」

 

自ら死地に踏み込む兄。

見事なアイアンクローが弾に突き刺さる。

 

「も、もうお兄ったら、何言ってんのよ〜。」

 

アイコンタクトによる会話、いや脅しかな?、を終えて何事も無かったかのようにアハハハと笑う蘭ちゃん。

ふむ、どうして一夏に好意を持つ女の子は攻撃的な子ばっかなのだろう。

 

 

 

その後、昼食を食べ進めながら、一夏が箒と同じ部屋に住んでる事を言ったり、それを聞いた蘭ちゃんがIS学園を受験することを決意したり、弾がおたまをくらったり、一夏が蘭ちゃんのお願いを安請け合いしたり、弾がおたまをくらったり、弾が一夏に彼女を作れと言って蘭ちゃんに睨まれたり、弾が暴走しておたまをくらったりしたが、僕が言えるのはただ一つ。

カボチャの煮付けが美味しかったことだ。

昼食を食べた後は3人で街にくりだし、ゲーセンで遊んだ後、IS学園に帰った。

…あのエアホッケーの激戦を忘れることはないだろう。




五反田家に関してはコミュはありません。

途中、ゲームのルビが凄いことに。
最後のほうも走り書きみたいな感じになっちゃいました。


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