P3 in IS   作:ティターニア

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深夜投稿。
今回いつもより長いですね〜。
皆さん的には長い方が良かったりしますか?


13:IS実習!

「今から実際にISの操作を見ながら授業を行う!」

 

午後に入ったこの時間は、実際に一夏達がISを動かすのを見ながら授業を行うらしい。

近くでISを見れるということで皆浮き足立っていた。

 

「ではお前達、ISを展開してみろ。」

「あ、はい!」

「了解しましたわ。」

 

織斑先生の号令で一夏とセシリアがISを展開する。

セシリアは素早く展開出来ていたが、一夏は少し手間取っていたが何とか展開していた。

 

「遅いぞ織斑、熟練したIS操縦者は展開に1秒とかからないぞ。」

 

一夏にそう言いながら、織斑先生は僕の方を向いてくる。

 

「何をしている神名。お前も早く展開しろ。」

「…え?僕もですか?」

「当然だ。お前も専用機持ちだ、早く展開しろ。」

 

織斑先生は僕のこれ(ペルソナ)がISじゃない事は知っているのに…。

まあ皆は事情を知らないし、やるしかないのだろう。

ため息を吐きながら、召喚器をこめかみに当てトリガーを引く。

 

「オルフェウス!」

 

頭に衝撃がくるとともにオルフェウスが展開される。

展開が完了し目を開くと皆は何やらドン引きしている。

 

「えっと…、どうしたの?」

「…いやなんていうか、理が何の躊躇いもなく銃頭に当てて引き鉄を引くから…。」

「少し頭のぞけってるから、普通に衝撃きてるんでしょ?

私だったら、怖くて引き鉄引けないと思う。」

「それに、わたくしとの試合の時もそうでしたけど、展開中に見せる笑顔がすごく怖いのですわ…。」

 

どうやら僕が側から見れば自殺に見える行為を躊躇いなく行うことに対し、皆引いているらしい。

まぁ、それはしょうが………いやちょっとまてよ。

 

「ちょっと待って、笑ってるって?」

「理さんはISを展開されている時物凄い笑顔なんです。」

「しかもただの笑顔じゃなくて、こう凄惨な笑顔ってゆうか…。」

「率直に言うと、薬キマッてる顔って感じよね。」

 

皆がポツポツと声を漏らす。

……………………。

僕は先生達の方を向く。

2人とも無言で目を逸らしていた。

その沈黙はまさに肯定を表しているようで…。

……………………。

 

ガクッ

 

「ま、理!?しっかりしろ!?」

 

なんという事だ…。

膝をつきながら僕はこれまでの事を思い返す。

よく考えてみれば、前の世界でシャドウとの戦っている時、皆が引いているのを何度か見たことがある。

その時は何故かよく分からなかったが、今こうして教えてもらい事実が判明する。

まさか自分が笑っているなんて…、しかも何だ薬キマッてる顔って…。

ちょっとしばらく立ち直れなさそう…。

 

「「「……………。」」」

 

周りはどうフォローすればよいかわからずオロオロしている。

あの織斑先生でさえ僕の落ち込む姿に戸惑っている。

…僕がこのままでは授業も進まないだろう。

強く生きるんだ、僕…!

そしてなんとか自分を奮い立たせた。

 

「…神名、もう大丈夫なのか?」

「はい、問題ありません。」

「そ、そうか…、では飛行操作の説明から入る。

3人ともアリーナの上まで飛んでみろ。」

 

そう言われ僕達は一斉に飛び出す。

セシリアに続く形で僕、そして何やらふらつきながら飛ぶ一夏。

 

『何をしている織斑。

スペック上の出力では、白式がトップだぞ。』

 

と、織斑先生に叱られている一夏を下から見下ろす。

しばらくして一夏が僕達と高さまでたどり着く。

 

「一夏、大丈夫?」

「ああ…。でも分かんないんだよな、『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』って…。

どうやっても感覚が掴めない。」

「じゃあ試合中のあの動きは無意識でって感じか。」

「ああ、そうなるな。」

 

確かに意識して動かすというのは難しい。

僕も実戦を通して、自由に動かせるようになったからな。

すると、セシリアが会話に入ってくる。

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。

自分のやりやすい方法でやるのが一番ですわ。」

「そう言われてもなぁ。

大体、空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ。

なんで浮いてるんだ、これ?」

 

一夏が自分の背中の二対のスラスターを見ながら首を傾げている。

まあ実際、謎といえばこちらの方が謎なのだが。

ISには浮くためのシステムであるPICというのがあるが、

これ(ペルソナ)はどうやって浮いているのか分からない。

 

「説明しても構いませんが、反重力力翼と流動波干渉の話をすることになりますよ?」

「…遠慮しとく。」

「あら、それは残念ですわ。」

 

そう言ってセシリアは笑う。

入学当初は見ることが出来なかった彼女の心からの笑顔だった。

 

「理はどんなイメージで飛んでるんだ?」

「というより理さんのISはとても不思議な形態をしていらっしゃいますよね。」

 

と、2人が僕の方に目を向ける。

特に代表候補生であるセシリアは、オルフェウスが他とは違うのを感じているようだった。

 

「だよなぁ、俺みたいにスラスターとかないし。

どうやって浮いてるんだ?」

「装甲も全身装甲(フルスキン)ですし。

オルフェウスというのは確かギリシャ神話に出てくる吟遊詩人でしたわよね?

竪琴も持っていらっしゃいますし、それをモチーフにされているのでしょうか?」

「うん、多分そうだと思う…。」

 

モチーフというかオルフェウスそのものなんだけどね。

 

「まあ一夏の場合はイメージとか理論とかじゃ分からないだろうから、実際に動かして慣れていくしかないよ。

来週から自由に動かせるようになるしね。」

「なんかバカにされてる気もするが…、まあそうだな。

地道に慣らしていくしかないか。」

 

なんとか話を反らすことができた。

これ以上詮索されるのも危ない。

 

「一夏さん、よろしければ放課後にでも指導してさしあげますわ。

…その時は2人きりで___」

 

と、セシリアは一夏へアプローチを仕掛けるが、ここで思わぬ伏兵が表れる。

 

『一夏!何をしている!さっさと降りてこい!』

 

一夏達の無線からこちらにまで聞こえる怒号が流れる。

声からしておそらく箒なのだろう。

下を見ると、山田先生から無線を取り上げているのがかろうじて見える。

…あっ、今織斑先生に叩かれた。

それにしても恋する乙女は恐ろしい。

こちらの状況など分かるはずもないだろうに、己の勘のみで良い雰囲気なのを察したのだろう。

横ではISの機能により地上の様子がはっきりとわかり感心している一夏と、その一夏に説明をしているセシリア。

どうやら、箒の行動は功を奏したらしい。

しばらくして織斑先生から連絡が入る。

 

『では急下降と完全停止をやってもらう。

目標は地表から10cmだ。』

「わかりました。

では、わたくしから参らせていただきます。」

 

そう言ってセシリアは急下降に入った。

やがて地上近くで止まる。

歓声が上がっているので、成功したのだろう。

 

「じゃあ次は僕が行くね。」

「おう、いってらっしゃい。」

 

そして僕も急下降を始める。

…それにしても、本当不思議だな。

動力があるわけでも無いのに、どうやってこれは動いているのだろう。

そんな事を考えていると、地面にかなり近づいていた事に遅れて気付く。

 

「っやば!」

 

とっさに僕はピタリと動きを止める。

目と鼻の先には地面。

おおよそ5cmといったところか。

かなり危なかった。

 

「ふん、余計な事を考えているからだ。

命拾いしたな、地面に穴をあけることにならずに済んで。」

 

織斑先生から厳しいお言葉が飛ぶ。

完全にお見通しってわけだ。

…まあ確かに命拾いした。

これでアリーナに穴をあけてたら大変な事に___。

 

___ズドォン!!!

 

と、そんな事を考えていると横に何かが落ちてきて地面に大きな窪みができた。

土煙が晴れてから、窪みを覗き込むと中央で一夏らしき人物が頭が埋まっている状態でいた。

 

「馬鹿者。誰が地面に激突しろといった。

グラウンドに穴をあけてどうする。」

「いてて…、すみませんでした。」

 

頭を掻きながら、一夏は立ち上がる。

傷が無いのをみるにまさにIS様様といったところか。

 

「何をしている一夏!情けないぞ!」

「大丈夫ですか、一夏さん!?」

 

穴の縁から仁王立ちで叱咤する箒と、その横を一夏へと駆け寄るセシリア。

 

「…絶対防御があるから大丈夫に決まっているだろう。」

「あら、もしもの場合というのがありましてよ?」

 

いつものように箒とセシリアが睨み合う。

 

「邪魔だ、馬鹿ども。やるなら端っこでやってろ。」

 

しかしここで織斑先生の警告が飛ぶ。

おかげでデッドヒートにならずに済んだ。

 

………

……

 

その後、窪みから少し場所を移動して授業が再開される。

 

「次に武装の展開だ。

織斑、お前からだ。それくらいは出来るだろう。」

「は、はい。」

 

そう言われ一夏は構えるようにして武器を展開する。

一夏の手には近接ブレード_確か雪片弐型だったか_が握られる。

 

「まだ遅いな、0.5秒でだせるようになれ。」

 

結構早いと思っていたが、織斑先生の評価は厳しかった。

弟には早く強くなってほしいということなのだろう。

 

「続いてオルコット、武装を展開しろ。」

「はい。」

 

そう言うと、セシリアは左腕を肩の高さまで持ち上げ真横に突き出す。

すると、光が溢れ一瞬であのビームライフルが展開された。

ライフルを見るに、セーフティも解除されてるようだ。

 

「ふむ、確かに武装の展開は早い。

しかしオルコット、そんなポーズで横に向かって銃身を展開させて誰を狙うつもりだ。」

 

そう、今の状態だと銃身は僕の方に向けられている。

 

「ま、理さん!?申し訳ありません!」

「正面で展開出来るようにしろ。いいな?」

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるのに必要な「直せ、いいな?」……はい。」

 

有無を言わさぬ織斑先生の圧力に、セシリアも従うしかなかった。

 

「オルコット、近接武装を展開してみろ。」

「えっ、は、はい。」

 

自分はもう終わりだと思っていたらしいセシリアは不意打ちに戸惑うが、すぐにライフルをしまい近接武器の展開にかかる。

…が、何やら手こずっているようだ。

 

「…まだか?」

「も、もうすぐですわ!

…ああ、もう!『インターセプター』!!」

 

結局、武器の名前をコールすることでようやく展開に成功していた。

 

「何秒かかっている?

お前は実戦でも敵に待ってもらうのか?」

「じ、実戦では近接の間合いに入らせません!

ですから、問題ありませんわ!」

「ほう、織斑や神名との試合であそこまで間合いに入られてまだそんな事が言えるのか。

特に神名には簡単に接近を許していたな?」

「それは…その…。」

「いいか、自分の得意な状況で戦いたいならどんな時でも何にでも対応できるようにならなければ話にならん。

まずは自身のできること苦手な事を把握し弱点を減らせ、自身の弱点をそのまま放置しておけば必ず試合ではそこを突かれるぞ。

お前が今の状態で近距離戦闘をされたら確実にお前は対処できないだろう。」

「…分かりましたわ。」

 

ここまで正論をぶつけられたら納得せざるを得ないか。

と、セシリアは僕と一夏を恨みがましい目で睨みつけている。

その目から、

『貴方達のせいですわよ!』

と言っているのがわかる。

そんな事を言われてもどうしようもない。

 

「最後に神名…、いやお前は既に展開しているのか。

他に何かないのか?」

 

と、織斑先生が僕に尋ねてくる。

何かと言われても何があるのだろうか…。

そう考えつつ何となく右手に力を込めると、なんと何かが展開されていく。

それは___召喚器だった。

 

「?それって理のISの待機形態なんじゃ?」

「神名、それの使い方は分かっているのか?」

「…いや、よく分からないです。」

 

ペルソナを展開しながら召喚器?

どう使えばよいのだろう。

 

「…まあ、展開の早さは褒めておこう。

それの用途は後で自分で確認しておけ。」

 

どうやら保留ということにしておくらしい。

確かにその方がいいだろう。

 

 

 

その後、武装展開に関する説明が軽く行われ授業が終わり、皆バラバラに教室へ戻っていった。

……………そして。

 

「……………。」

「理〜、助けてくれ〜。」

 

目の前には、罰として自分があけた巨大な穴を埋めている一夏。

………どうしようか。

 

>仕方ないなぁ。

>どうでもいい。

>そっとしておこう。

 

……………。

 

「…仕方ないなぁ。」

「おお〜!理本当に助かる!」

 

結局手伝うことにした。




この主人公はかなり人間らしい表情を見せます。
後、自分で笑っているのに気づいてなかったという設定になっております。

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