ルイズ:ハルケギニアに還る   作:ポギャン

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 お待たせしました。

いつもより少し短いですが今回もお楽しみ下さいね。




9話:ヴァリエール家に還ってきたルイズその二 B

 

 ルイズが10年ぶりの両親との楽しい朝食を終えた頃。ヴァリエール公爵家領内にあるフォンティーヌ子爵家の地元では“癒しの白亜館”と呼ばれて大変親しまれていたお屋敷の色んな種類の動物たちがくさんいるとあるサンルームの広々とした離れの部屋に極上のピンクブロンドの長い髪を誇り特に大きい胸を始めとした抜群の美しいスタイルの美女がソファーに座り動物たちと戯れている最中であった。

 

クゥン、キュウン、ガゥ、グルル、ミャアと言った声を発する先程からこの部屋にいる犬を始めとした大勢の動物たちが忙しなく動き回り落ち着きがない様子にこの部屋の主である美女が動物たちの頭をやさしく撫でて落ち着かせようとしていた。

 

「うふふ、どうしたの。今日に限って騒ぎたってて、あなた達も解っているのね……もうすぐソフィー婆やがお父様の手紙を携えて此方に来るから、私と一緒に大人しく待っていましょうね」

 

ピンクブロンドの長い髪の美女が大勢の動物たちが騒ぐのを言い聞かせて、大人しくさせていた。

 

廊下から慌ただしさを伴った靴音を響かせて

 

「失礼致します、カトレアお嬢様。ソフィーでございます」

 

と言って、ノックもせずに動物たちが大勢いるこの館の離れの部屋に血相をかえて飛び込んできた者は。歳は60前後くらいと思われる膝丈の長いロングスカートのメイド服を上品に着こなしている、普段なら穏やかな感じがする年輩の老婦人であった。

 

「どうしたの、婆や。そんなに慌てて、その手に持っている手紙はお父様からのものですね」

 

まだ自分は何も申し上げていないのに、この部屋にきた真相を言い当てたカトレアの洞察力ともって生まれた勘の鋭さに、ソフィーは驚愕した表情で畏敬をかんじていた。

 

「……相変わらす、カトレアお嬢様は勘が鋭くて何でもお見通しなのですね」

 

「……そうでもないのだけど……お父様からの手紙の内容は至急ヴァリエール公爵家へ来てほしいと書いているのではなくて? 」

 

手紙の中身までも先読みして言い当てるカトレアの鋭い洞察力に対して、婆やのソフィーは内心では畏怖を感じている気持ちを押し隠して(勘の鋭さが尋常ではないカトレアには、婆やの心の内の考えは全部見抜かれてはいた)ソフィーはカトレアに訊ねる。

 

 

「……カトレアお嬢様はヴァリエール公爵様からのお手紙のご内容を解っておられたのですか? 」

 

「解っていたわ……それよりも今からお父様とお母様が居られるヴァリエール城へ行く支度をしますから、婆やは厩舎に連絡して八頭立ての馬車を手配してくれないかしら。それから誰か手空きの者をこちらへ寄越してほしいの」

 

カトレアの矢継ぎ早の指示にソフィーは

 

「畏まりました、カトレアお嬢様。全て手配致しますので、暫くの間お待ち下さい」

 

とそう言って、ソフィー婆やは恭しく了解の言葉を述べると、主に命じられた事を実行するためにこの部屋から足早に退室していった。

 

あれから1時間ほどの時が経ちその間にカトレアが身支度を整え終えるとソフィー婆やが出立の準備がすべて終ったからと、カトレアの自室へと報告しにやって来ていた。

 

「カトレアお嬢様。ヴァリエール公爵家へ向かう準備がすべて整い致しましたので、すぐにでも出立出来ます」

 

「解ったわ。婆やごくろうさま…………あなた達も一緒に行くから、少しだけの間大人しくしていてね」

 

出立が整ったことを告げにきたソフィー婆やに労いの言葉を掛けるとカトレアは慈しみに満ちたやさしい瞳で大勢の動物たちに一緒にヴァリエール公爵家へ行くことを語っていた。

 

こうして、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌはヴァリエール公爵家へ行くために用意された動物たちも乗せるので、特別製の八頭立てものすごく大きな馬車にソフィー婆やに手を添えられて動物たちと一緒に中へ入って行くと、護衛の警備隊員が「出発! 」と力強いかけ声を発すると御者台に座っていた二人の御者が合図のかけ声を聴くとすぐに馬たちに軽く鞭を振るうと八頭立ての馬車がゆっくりと進み出して、フォンティーヌ邸の門を越えて街道筋へ向かって速度を上げていった。

 

豪奢な馬車内では久々の旅に動物たちが興奮して騒がしい中でカトレアはとある事を心内で考えていた。

 

(あぁ、とうとう10年ぶりに私の小さなルイズがヴァリエール家に還ってきて、後すこしで逢えるのねぇ………今のあの子の成長した姿はどういう感じになっているのかしら……逢えるのは楽しみだけど………最初の言葉はお帰りなさいと言ったら良いのか、それとも元気だったのほうが良いのか、少し迷うわね…………あぁ、それにしても早く着かないかしら、小さな私の大切な妹……ルイズに早く逢いたいわ……)

 

カトレアは馬車の中で膝上に乗せている小さな小動物をやさしく撫でながらも心内では一刻も早く愛しい妹ルイズと10年ぶりの再会を果たしたいと思っていた。

 

そんなカトレアの気持ちが届いていたのか八頭の馬たちは馬車を曳くスピードを段々と上げていき、目的地のヴァリエール公爵邸に向かって街道を疾走していく。

 

 

ルイズとヴァリエール公爵夫妻が10年ぶりの家族団欒の朝食を食べ終えていた頃、同じ時刻そのヴァリエール公爵家の館めざして一台の八頭立ての大型馬車が疾走中の時間から数時間後の此処は、トリステイン王国の首都トリスタニアにあるトリステイン王国魔法研究所(所謂、魔法アカデミー)その一室でアカデミーの土の首席研究員であった。この腰先まである見事な少しウェーブのかかった長いブロンドの髪に、小さな三角眼鏡の奥にはキツメで知性的なちょっと吊りぎみの瞳、スーとしたきれいな鼻筋に気の強さを現している唇と端正で整った顔立ちをしている細くてしなやかな首筋から肩、クビれたウェスト、細長い両腕両脚と全体的にスレンダーな身体を誇っている素晴らしくきれいで妙齢な女性のスリーサイズは………上からT172B72W56H78とパリコレで出ている一流モデル並の見事なプロポーションの女性である(胸の大草原を除けば)。

 

「………むむむぅぅ……」

 

「何しているのよ、エレオノールったら。天井にむかって唸るなんてバカな事して」

 

「……別に何でもないわ、オードリー。何処かで失礼なことを言われた気がしただけだから……」

 

「そんな事よりもエレオノール、さっき貴女宛に届いた梟便の実家からの手紙には何て書いて有ったのよ。それ特急便なんでしょう? 」

 

オードリーとよばれている見事なくらいしなやかさを誇る長い栗色の髪の長身でスレンダーなスタイル(類は友を呼ぶ)の妙齢な美女がヴァリエール公爵家第1公女“エレオノール・アルベティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール嬢”に対して先ほど届いた手紙の事で問い掛けていた。

 

「……それがね、詳しい事は書かれてなかったんだけどね……重大な用件があるからすぐ家に帰って来なさいって、書いてあるだけなのよね。そのために竜籠を手配して、別邸にいる執事とメイドに護衛の家臣を各々二人ずつ派遣するからその者達を伴って一緒に乗って来なさいって、それから課題研究で忙しい私に対してアカデミーから2週間くらいの休暇を取りなさいって書いているのよねぇ」

 

親友エレオノールに対する要領の得ないヴァリエール公爵家からの手紙の内容にオードリーは訝しいセリフを口にする。

 

「何よそれって、少しおかしくない、その手紙に書いてる事。普通ならエレオノールに2週間もアカデミーを休ませてまでして家に帰らせるんだから、その理由も添え付けするハズなんだけど? 」

 

「………確かにオードリーの言う通り、家からの手紙の内容に私も少しおかしいと思っているけど、これの手紙の差出人がお母様になっているから疑問をもったり、まして無視なんかしたら後のこと考えるだけで恐ろしいことになるから、従わない訳にはいかないのよねぇ……お母様の娘としてわ……だから、今から直ぐに支度して家に帰らないと、どんな怖い罰と説教があるのか思うとね……それでね、時間が無いからわるいんだけどオードリーの方からゴンドラン議長宛に、私の2週間分の休暇願いを書いて提出しといてほしいのよね、お願いよ」

 

エレオノールが自分は今から実家に帰省するから急いで帰り支度をする関係上、上司に休暇願いを申請している暇がないからと言って、親友のオードリーに自分の代わりに休暇願いの書類を書いて提出することを頼み込んでいた。

 

「何であたしがぁぁぁぁぁ、自分で言いに行きなさいよ! エレオノールが休暇届け書いて提出したら良いじゃないのよ! 何であたしがしなきゃいけないのよ、自分でやりなさいよ、そんな事は」

怒るオードリーにエレオノールは必死な表情で何とか自分の休暇願いを申請してもらおうと宥めながら、頼んでいた。

 

「……そんなこと言わずにお願いよ、オードリー……家から帰ってくる時に何か美味しいお土産もってきて上げるから、ねっ、この通りお願いするわ」

 

そう言って、エレオノールは親友オードリーに対して、両手を合わして拝み倒して頼み込む。

 

「……………しょうがないわね……そんな必死な顔つきで頼まれたら断れないわね……その代わり、美味しいお土産をもって帰ってくるのが絶対条件だからね! エレオノール」

 

渋々といった表情でお土産が絶対条件でオードリーはエレオノールの代わりに休暇願いの書類をゴンドラン議長に提出する事を承諾していた。

 

「良いお土産もってくるから、期待していてねオードリー」

 

後日、約束を果たしたエレオノールがもって帰ってきたモノは、オードリーが物凄くびっくりするほどの超豪華なお土産の数々であった。

 

「エレオノールお嬢様。お支度は整ったのでしょうか」

 

扉の向こう側からこの小さな研究室にいるエレオノールへ、トリスタニアのヴァリエール公爵家の別邸から派遣されていた執事からの問い掛けに

 

「後すこしだけ待ちなさい。直ぐに支度をして行くから、竜籠の前で待っていなさい」

 

とエレオノールが執事にそう命じると

 

「畏まりました。エレオノールお嬢様」

 

と言って執事は立ち去っていった。

 

「早く支度して行きなさいよ、エレオノール。ゴンドラン議長に休暇願い提出しておくから」

 

オードリーが早く支度してアカデミーを出て実家に帰りなさいとエレオノールに述べていた。

 

「ハイハイ、じゃあもう自室へ支度しにいくわね……後の事はよろしくお願いするわね。オードリー」

 

そう言って、足早に自室に行き支度を整え終えると直ぐにエレオノールはアカデミーの建物を出て待機させていた竜籠へ乗り込みヴァリエール公爵家めざして出発して行く。

竜籠に乗り込むとふかふかの豪奢で柔らかい座席に座ると1つため息をつき、何かを思案するエレオノールだった。

 

(……本当にお母様ったら、相変わらず強引なんだから……私の都合も考えないで、研究で徹夜ばかりの私にアカデミー2週間も休めなんて無茶苦茶な事言ってくるんだから……これでたいした用事じゃ無かったらどうしてくれるのよ………でも、こんなセリフ間違ってもお母様の前じゃ絶対に言えないわね……恐ろしすぎて……でも、本当は何の用件なのかしらねぇ? ………あぁ、眠気が出てきたから、少し眠りましょう…………………………………………………)

 

竜籠の座席に座りながら、連日の研究による疲れからなのか微睡み始めたエレオノール。

 

今から帰るヴァリエール公爵家で衝撃の10年振りの再会が待っていることをこの時のエレオノールはまだ知らないのでありました。

 

 

続く。

 





 ふう、少し疲れました。宣伝になりますが、この度ようやくこの作品のエッチシーンを濃く描写した。

タイトル名が『R-18版 ルイズ:ハルケギニアに還る』の第1話をR-18の所に投稿しましたので、ルイズと才人のエッチないちゃラヴに興味のある方はどうぞ見てくださいね。

次回もまたお逢いしましょうね。


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