ルイズ:ハルケギニアに還る   作:ポギャン

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 今日夕方頃から近畿を台風が直撃するようになるからなのか、JRを始めとした各交通機関が、午後4時以降から殆どの路線で運休する関係上作者が勤めている会社も何時もより2時間も早く退社さしてくれたから、早速寄り道もしないで家に帰宅してこの作品7話を書き上げる事が出来たので、台風の被害に有った方たちからするとふん謹慎なことだと思いますが、投稿できる様になったのは良かったのかそれとも悪かったのかは自分じゃ解らないですね……困ったことに。

今回もお読み下さりありがとうございますね。




7話:ヴァリエール家に還ってきたルイズその一 B

 

 ルイズと“ポルトス・ド・レイノー”が池の畔でいろいろな事を話し合っていた頃。

 

ヴァリエール公爵家の館内のとある場所では。この公爵家にとって、とても重要な者が朝の目覚めを迎えていた。

 

ここはハルケギニアで一番恐ろしいメイジ“烈風のカリン”こと。ヴァリエール公爵夫人。カリーヌ・デジレ・ド・マイヤールの寝室。

 

「……何か失礼な事を言われた気がしますが、唯の気のせいですね」

 

「さてと、戯れはここまでにしましょうか……今日は本当に気分が良いわ……やはり夢でルイズの成長した姿を見れましたのが、いい気分になれたのでしょうね」

 

そう一人言を呟いていたカリーヌの表情はとても穏やかでした。

 

「………ルイズの夢をみたせいか、何故か胸騒ぎがして今日はいつもより幾分か早く起きましたが……私にとって重要なことが起こる気がしますわね……私の勘は外れませんから」

 

カリーヌが寝室のイスに座って寛ぎながら、一人言を呟いていると寝室の扉をノックする音が響き渡る。

 

(まったく、誰なのでしょうか? せっかく今日はあの子が成長して可愛いくなっている姿を夢にみて、嬉しい気分に浸っているのを邪魔する者は……)

 

「……入りなさい」

 

カリーヌは幸せな一時を邪魔されて、内心は少し苛立っていたけども……そこは魔法衛士マンティコア隊隊長を勤めていた昔から“鉄の規律と秩序”を自身の信条とするカリーヌだったからこそ、ヴァリエール公爵夫人という立場上ゆえに無視するわけにもいかないので、自分の名も身分もそれに必要な連絡事項も述べない無礼者に対しても、先ずは話を聞くことが先決と考えて入室を許可する。

 

入室を許可されたメイドが慌てるようにして入ってきたのを見て、カリーヌは眉をひそめてキツい口調でメイドを叱責する。

 

「何ですか! 朝早くから騒々しい! 私が常日頃から言っていますように、トリステイン王国一の名門貴族。ヴァリエール公爵家のメイドとして、誇りを持って沈着冷静に行動しなさいと! 」

 

カリーヌから、自身の失態が原因とはゆえ激しい叱責をうけたメイドは。早朝早々からの目まぐるしいほどの出来事の連続でとうとう精神的に限界を超えかけていたところへ。カリーヌの叱責がトドメとなって、哀れなメイドはカリーヌの面前で涙をながして泣き出してしまった。

 

これにはいつも沈着冷静をモットーとする? 流石のカリーヌでも、自分の面前で辺り憚らず泣き出したメイドを見て少しだけ哀れに思い、優しい言葉をかけて慰めていた。

 

「………もう泣くのはやめなさい……いったい何があったのです? 先ずは涙をこれで拭いて、落ち着いてゆっくりで良いですから。それから話しなさい」

 

そう言ってカリーヌは自分の着ているドレスのポケットから高級感あふれるハンカチを取り出して手渡し、これでメイドに涙を拭わせ落ち着かせてから話を聞き出していく。

 

「…………………………………………………………………………………………………………と言う訳なのです。カリーヌ奥様」

 

メイドがハンカチで涙を拭いて落ち着いてからゆっくり語りだした話の内容とは……池の畔に現れた怪しい風体の少女の事から始まり、その少女の外見に関連した話があるので執事長のジェロームが、カリーヌにご足労を掛けますが池の畔まで来てほしいと言うことでした。

 

メイドから聞いた話の中の内容から少女の年頃と、身体に関する外見的な特徴を考えてからカリーヌは何かを確信したと同時に、身体が素早く行動して自室の窓を開け放つとそこから空中へ(因みにカリーヌの寝室は館の最上階4階にあった)身を投げ出しながら杖を使いフライの呪文を唱えて、物凄い速さで目的地である池の畔めざしてすっ飛んで行った(娘を想う母の愛は凄い……)。

 

カリーヌがフライで寝室から飛び立った後、公爵夫人の自室に独り残された格好のメイドは暫くの間。この目まぐるしく展開する状況についていけずに、ただ茫然とひとり佇んでいた……同僚のメイドがこの部屋に清掃しに来るまで………。

 

カリーヌがメイドから池の畔に現れた怪しい少女に関する事の話を詳しく事細かに聞き出していた頃、ヴァリエール公爵ピエールの寝室では…………。

 

此処、ヴァリエール公爵の寝室前の廊下に執事長のジェロームが立っていて、今からノックと一緒に自身の名前を告げて入室しようとしていた直前であった。

 

「……公爵様、ジェロームでございまする」

 

「……ジェロームか、入れ」

 

ヴァリエール公爵に入室を赦されて寝室へ入るジェロームだった。寝室に入ると既に公爵は使用人によって身支度を整え終わって、椅子に座り優雅に紅茶を飲んで朝の一時を過ごしていた。

 

「お早うございます。公爵様」

 

「うむ、ジェローム。今朝はいつもより少し来るのが早いが、何か有ったのか? 」

 

ほんの少しいつもと違った行動をした執事長を見て、違和感を覚えて指摘するヴァリエール公爵は意外にも洞察力が鋭かった。

 

「先程、庭園の池の畔に一人の怪しい者が居ると、とあるメイドがわたくしめに進言しに来ましたので、その事を公爵様にご報告申し上げに罷りこしました次第にございまする」

 

恭しい態度と言葉でジェロームはヴァリエール公爵に、池の畔に現れた一人の不審者の報告をしていた。

 

「その怪しい不審者を取り調べさせに、誰かを行かせているのか? 」

 

ジェロームに事の仔細を公爵は訊ねていた。

 

「無論でございます。公爵様。警備隊副隊長の“ポルトス・ド・レイノー”殿と配下の方達が、既に池の畔へ確認しに向かっております」

 

「そうか、レイノー達が向かっているならば安心して任せる事が出きるな……なに、すぐにも事を終わらせて儂に報告しに此処へ来るだろう……だから心配する事も無かろう」

 

そう言って公爵はレイノー含め優秀な家臣たちが、不審者の対処しに行ったのだから大した事も無いだろうと思っていた…………執事長ジェロームの次の言葉を聞くまでは………。

 

「………その件についてなのですが、公爵様に申し上げたい重要な事がございます……述べても宜しいでしょうか? 」

 

言いづらそうな表情で、長年ヴァリエール公爵家に誠心誠意、忠義一筋で仕えている執事長のジェロームが真剣な雰囲気を醸しながら、池の畔に現れた不審者の事についてとても大事な意見をこれから述べても良いですかと、主人のヴァリエール公爵からの許可を貰える事を信じて静に待っていた。

「………ジェロームが儂に何を伝えたいのか、聞かなければ判断を下す事もできぬから、許可を赦す。だから話してみろ」

 

自分に長い間、仕えているジェロームが重要な意見を言うのを許可したヴァリエール公爵は、まさかこれが愛してやまない今は行方知れずの末娘の生存に関する話だとは、最初は夢にも思ってもいなかった。

 

「………わたくしめ自身が確認した訳では無いので、絶対の確信ということでは無いのですが……初めにその怪しい者を見たと申しますメイドが述べるには不審者は少女で、歳の頃は14または15歳ごろで、髪は腰先まである長いピンクブロンドの外見が華奢な身体つきの目の覚めるような美少女だと言っておりますので、もしかしたらと考えまして、わたくしめの独断では有りますがカリーヌ奥様に先程の話に出ていた件のメイドを既に報せに、公爵様には事後承諾になりまして大変申し訳もないと思っていますが、行かせました」

 

信頼する執事長の自分に対する越権独断行為を責める事など最早頭の端から吹き飛んでいる程……今のヴァリエール公爵自身はすこしどころか、急激に顔色が変わっていき最後は驚愕した顔つきになっていた。

 

「…………ジェ、ジェローム……ま、まさか、そ、その美少女と言うのは、ル、ルル、ルイズの事なのか!? し、信じられん……それが本当ならば……これほど嬉しい事はないぞ、ジェローム! 」

 

あまりの事に天地が引っくり返ったくらい驚愕しながらも、僅な希望と思って執事長のジェロームに問わずにはいられなかった。

ヴァリエール公爵である前に10年も行き方知れずの末娘を溺愛して心配しているピエールであった。

 

「……公爵様、肝心要のレイノー殿からは未だに報告がきておりませんので、絶対に確かだとはいまの時点では申せません」

 

確信できない言葉を述べるしかなかった申し訳ない表情のジェロームに、そう言われた公爵だったが………。

 

「確信出来ぬと申すならば、儂自身が実際に池の畔まで行き確かめるまでだ! 」

 

ヴァリエール公爵はジェロームに実際に確認すれば良いと、そう告げると窓を勢いよく開けてフライの呪文唱えて飛び立つと、凄い速さで池の畔めざして向かって行った(こういう緊急事態の土壇場で奥様カリーヌとまったく同じ行動するところは流石は似た者夫婦である)。

 

一方この時、池の畔で早く逢いたくてしょうがなかった両親を待ちわびているルイズの心境は………。

 

(あぁ、ちょっとでも早く母さまと父さまに逢いたいわ……残念なことにレイノーの話だと、姉さまたちはこの屋敷にはいなくて各々別の所に住んでいるって言ってたわね……エレオノール姉さまは王都トリスタニアのアカデミーに居るから今日中に帰ってくるのは、ちょっと無理そうだから残念なことに、明日にならないと逢えないけど………ちい姉さまには今日中に逢えるからとても嬉しいわ……10年ぶりに逢ったら、最初はどんな言葉を言ったら良いのか……少し迷うわ……あぁ、ちい姉さまに逢うのが今からスゴく楽しみなのよねえ……)

 

ルイズが10年ぶりに我が家に還ってきてホッとしたのか、それとも今の中途半端な状況ゆえに急に心配になって気持ち的に少しだけ不安になりながらも、いろいろな考え事をしていると、突如そらの上からゴォーという轟音が池の畔一帯に鳴り響いたと思ったら、華奢な美少女が力の限りを出してようやく何とか立っていられるほどの物凄い衝撃波と共にルイズの直前に降り立ってきた者は……ルイズがこの10年の間、何度も夢にみるくらい逢いたくて逢いたくてしょうがない程逢いたいと神様に願ったくらいの愛しい母親がほんの少し歩いて、その手を伸ばせば届くくらいの距離にいるのを認識したルイズは既に瞳を潤ませて、感激のあまり嬉し涙を盛大にながしていたせいで愛する母カリーヌの姿が霞んで見えなくなるほど顔がクシャクシャになっていながらも。心中では母カリーヌに対するいろんな想いが激しく渦巻いている最中であった。

 

(……母さまが、あれほど逢いたかった母さまが、いま私が手を伸ばしたら届く所へ愛しい母さまが居るわ……あぁ、これは絶対に夢じゃないわ………我が家に還ってきてこれ程嬉しい気持ちを感じるなんて……しあわせだわ……早く母さまの胸に飛び込みたいわ……だけどその前に久し振りに母さまの声が聴きたいの……)

 

ルイズが10年を経てようやく逢えた母親カリーヌを目の前にして、嬉しさのあまり感極まって涙をながした状態になるホンの少しだけ前に遡った場面では………。

 

全力飛行するほどのフライの魔法を使って、池の畔の上空までやってきたカリーヌが下を見るとそこに居たのはこの10年もの長い間、ヴァリエール公爵家が全力の力を投入してまで捜して捜して捜し尽くすくらい捜して、トリステイン王国内、更にハルケギニア全域や公爵家が昵懇にしている御用達商人のツテを使って、6000以上前の有史が始まって以来の宿敵のエルフたちが住んでいるサハラの砂漠全域に、果ては幻と呼ぶほど遠くの東方と呼ぶ場所のロバ・アル・カリイエまでを特別行商人を使ってまで捜索した結果、ついに見つける事が出来なかった愛しく想い愛してやまない我が子ルイズがきれいな美少女として成長した姿を確認した末娘がそこへ無事に佇んでいたのでした。

 

10年ぶりに見た愛しい我が子の無事に成長した姿を認識したカリーヌは迷うことも無く、久し振りに逢えた愛娘の直前に降り立って真っ直ぐにルイズを見つめていると自然的に自身の瞳からは既にと目処もないくらい涙が流れ落ちている状態になっていた。

 

「……………あ、貴女は、ル、ルイズ………なのですか……………わ、私の……小さな………愛しい……小さなルイズなのですか………………………………」

 

愛しい娘にそう言って、名前を呼んでいる最中で涙を堪えきれなくなって、最後は言葉が詰まったカリーヌなのでしたが………その途端、此方も母と同じく涙が瞳から溢れだしながらも精いっぱいの勇気を出してようやく、小さな声を10年ぶりに愛している母カリーヌに途切れ途切れになりながらも、かけていたルイズなのでした。

 

「……………か、母さま………あ、あなたの……小さな………わ、私が……あなたの………小さな…………ルイズです……母さま………ようやく……逢えたの…………」

 

そう言って、涙を流しながらも両腕を広げて愛娘が来るのを待っている母カリーヌの暖かい胸へ涙をながして泣きながら、ルイズは愛しい母に飛びつく様に抱き付いていく。

「私の愛しい……小さなルイズ………ようやく……ようやく……ルイズに逢えたのですね……これは夢ではない………本当の事なんですね……あぁ、ルイズ……私の可愛い……ルイズ………」

「……母さま………母さま……ルイズは還って来ました……母さまのところへ……だから、安心して……母さま………」

 

ルイズとカリーヌの母子は共に涙を流し抱きしめ合いながらも久方ぶりの言葉を掛け合う感動の再会をしていたところへ、奥さんに少し遅れて旦那のヴァリエール公爵ピエールがようやく到着する。

 

「ルイズ! ルイズなのか! 君は儂の宝の大切な、小さなルイズなのか! 」

 

そう叫ぶように、せっかく母子の感動的場面が展開するこの雰囲気をぶち壊すほど、空気を読めない騒がしい行為を平然と行っているヴァリエール公爵のピエールに対しても優しいルイズは可愛い声で言葉をかけていた。

 

「……そうです………私が貴方の小さなルイズですわ……お久しぶりです。父様……」

 

久し振りに逢った父親のヴァリエール公爵に少しはにかみながらも、笑顔で応じたルイズであった。

 

「ルイズ~儂の愛しいルイズ……もっと傍に来て10年ぶりに父にお前の可愛いくてたまらないきれいに成長したその顔をよく見せてくれないかね? 」

 

母子の10年ぶりの感動の再会に満ちていた場面を壊した、空気を読めないというよりも。最初から空気をまったく読む気がない公爵は、さっきからようやく久方ぶりに愛しい娘に逢えて気持ちが近年稀にみるほど高揚していたところを邪魔した夫のピエールが図々しくも最愛の娘ルイズに自分の胸に飛び込んでほしいと宣う姿を見た公爵夫人カリーヌの怒りのボルテージがMaxまで羽上がって、最盛期の“烈風のカリン”と呼ばれていた頃とソックリ同じ雰囲気のオーラを纏っていた事に、残念ながら夫のヴァリエール公爵は全く気づきもしないほどルイズにデレデレ状態になるほど浮かれていた………戦女神の鉄槌が自分に降り注ぐのも直ぐだとも解らないくらいに………。

 

「……あの、私も父様のお顔をよく見たいのだけど………母さまが私を抱きしめたまま離して下さらないの………」

 

溺愛する娘ルイズの言葉に強力な援軍の力を得たと思い込んでいた哀れな公爵は、無謀にも難攻不落で鉄壁要塞の“烈風のカリン”に挑もうとしていた。

 

「ず、狡いではないかぁ! カリーヌ! 一人占めは良くないぞ! 儂にもルイズを抱きしめさせて欲しいぞ! 」

 

愛娘の言葉に触発されたヴァリエール公爵は、普段なら絶対に不機嫌オーラ全壊中のカリーヌに対して言わない事を、調子にのって浮かれまくっていた公爵が気がつくハズも無く、妻のカリーヌに口から言葉を吐き出すように抗議してしまっていた。

 

「……だめですわ………場の空気を読まないあなた等に愛する娘を抱きしめさせる行為をいまの私が認めると思っていますか? ……誰であっても愛しいルイズを私から引き離せる者など、この世におりませんわ! 私は誰が何と言っても絶対に二度とルイズを離すものですか! …………いま離したらまたこの子が消えてしまいそうで怖くなるから……離せません……」

 

ルイズを強く抱きしめたまま、哀しい表情で語ったカリーヌの身体全体から発する物悲しい雰囲気に公爵は何も言う言葉も無かった。

 

「……あの母さま、私は何処にも行きませんから……それに消えもしません。だから父様にも無事に成長して還って来たいまの私の姿を間近でみてもらいたいの……ね、お願いよ……母さま………」

 

ルイズが自分のためを思って懸命に、不機嫌全壊中の奥様カリーヌに頼み込む姿をみた公爵は感激のあまり涙ぐんでいた。

 

ヴァリエール公爵がルイズの自分を思う言葉に嬉しい状態になっていた時、その本人は危機的状態に陥りかけている最中であった。

 

(……母さまが私の事をとても深く愛していることを想っていてくれたのには、凄いうれしいんだけど………母さま……更に力をこめて………抱きしめるのは……やめて………か、身体が……お、折れるの! ……………………)

 

実はいまこの時、ルイズはかなり危なかったのですが………。

 

「………愛する娘。ルイズの頼みなら仕方が有りませんね……アナタ、私が特別に許可します。近くでルイズを見てもよろしくてよ」

 

(母さまったら本当に素直じゃないんだから……表面的には嫌々父様に私を間近でみる許可を出していたけど……心の奥底じゃ父様にも10年ぶりに再会した私を近くで充分に見させて満足して欲しかったのが、本心なのにねえ……それを表に出せない母さまって、ホンとにツンデレなんだからぁ……見ているこっちがやきもきしちゃうわ……)

 

 

本当なら許可など出したく無かった公爵夫人であったが、娘の願いなので仕方なく渋々な表情のカリーヌから赦しを貰って、喜ぶヘタレな公爵であった。その状況をつぶさに視ていたルイズは本当に誰にも聴こえない小さな声で何事かを呟く。

 

「………ハァ~、相変わらずなのねぇ……本格的に父様は母さまに尻に敷かれているようになったのよねえ~でも、この光景を視ているとようやく我が家に還って来た実感がするのは何故なのかしらねえ…………でもこれって、もしかしたら…………私がハルケギニアへ強制的に還ってくるはめになった事情が無くて地球にそのまま居残って数年経ち私とサイトが大学卒業して、無事社会人になってゴールインして結婚生活を送っている妻の私が夫のサイトを尻に敷いてる姿を連想するみたいな感じがして、とても不愉快に思えるのはナゼなのかしらねえ? 」

 

自分の目の前で繰り広げられている場面がもしかしたら、未来のあり得たかもしれないサイトと結婚生活の一部の場面である事を予想したルイズはそんなハズはない………自分は母親と違って愛する大切な結婚相手を尻になんか敷いたりは絶対しないと思い込もうとしていたルイズであったが………それを知るすべは後1年以上待たないと出ない結論である。

 

もしかしたら、有り得たかもしれない未来を未練だと思ったルイズはその考えを振りきるために母カリーヌが父親を尻に敷いている場面を強制的に頭の中で想い描く。

 

父親のヴァリエール公爵ピエールが母カリーヌの尻に敷かれている光景を視ていたルイズが、ホッとしたと感じたと思った時が本当にルイズがハルケギニアに還ってきた瞬間なのでした。

 

 

続く。

 

 





 ようやく10年ぶりにルイズはカリーヌとヴァリエール公爵の両親ふたりと再会できて良かったです。

後はカトレアとエレオノール二人の姉との再会を果たすだけです。因みにエロ犬才人は今頃うれし恥ずかしい同棲生活をテファとマチルダの美女相手に満喫中のリア充野郎だから、股間モゲロ! な感じですね。

次回でまたお逢いしましょう。


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