ルイズ:ハルケギニアに還る   作:ポギャン

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 元々この作品はいまは無きにじふぁんで39話まで連載していた作品です。

こちらへ投稿する事を決めたのは、こんな自分の拙い作品でも好きで待ち望んでいた方がいたからです。

その方の期待と気持ちを裏切ってしまいましたので、贖罪のつもりでこの作品を何とか最後まで時間はかかると思いますが、完結したいと思います。投稿ペースは26話までは最低週3回をめざします。

これから、この作品をよろしくお願い致します。




1話:ルイズの地球での10年その一

 

 いまから始まるこの物語は地球から遠くはなれた異世界はハルケギニアと呼ばれる地域のトリステイン王国で、初代領主がこの国の王家の庶子から始まったと云われる国一番の名門大貴族。ラ・ヴァリエール公爵家の現代の公爵であるピエールと嘗ては『烈風のカリン』とハルケギニア中に轟き渡った程の“伝説のメイジ”だった『カリーヌ・デジレ・ド・マイヤール』夫妻との間に生まれたヴァリエール公爵家第3公女の『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』と言われている。母親ゆずりのピンク・ブロンドの長い髪に鳶色の瞳に整ったきれいな顔立ちの少女が5歳誕生日をむかえて数日が過ぎたある春の日の淡い陽射しの午後の出来事であった。

 

その日ルイズはとある古い本を読んで知識を得た覚えたての呪文唱え、使い魔召喚儀式の時に出現する光輝く楕円形の召喚の鏡を呼び出すのに成功して初めて魔法が使えて嬉しかったのか、ハシャギすぎて躓いてしまい鏡に触れて? そのまま中に吸い込まれて消えてしまった。

 

その光景を偶然目撃していた使用人のまだ歳若いメイドがラ・ヴァリエール公爵夫妻に大至急報告して、連絡を受けた公爵夫妻は家臣並びに使用人を総動員して、城館周辺及びヴァリエール公爵家領地内を隅々まで捜索したけど見附られず、更に探索の手をトリステインを始めハルケギニア中にひろげても探しだす事はできずに、そのまま10年の歳月が過ぎ去っていった。

 

ヴァリエール公爵夫妻が懸命に愛しい末娘を探し始めていた頃、鏡の中に消えたルイズの行方先はというと………。

 

「此処はどこなの? 母さま、父様、エレ姉さま、ちい姉さま、怖いよぉぉぉ、お腹すいたよぉぉぉ、うわあぁぁぁぁぁぁん。うわあぁぁぁぁぁぁん。うあぁぁぁぁぁぁん。うあぁぁぁぁぁぁん」

 

まだ幼いルイズは見たことないまったく知らない場所に来たからなのか、心細さのあまり辺り憚らず大声で泣きわめいていた。すると………。

 

「何をそんなに泣いているんだい、可愛い顔が台無しだよ。小さなお嬢さん」

 

急に声を掛けられびくつくルイズだったが、良く見ると優しい笑顔でこちらを見ているひとりの男性が佇んでいた。

 

これが、このあと直ぐにルイズを引き取り養女にして、ハルケギニアに還るその時まで愛情注いで養育してくれた『敷島 礼次郎』博士との初めての不思議な縁にみちた出逢いだった。

 

ルイズが地球に来て約5年ほど経た10歳になったばかりの今度小学校5年生に進級する直前の春休み最初の日に、養父の敷島博士が仕事の用事で朝早くからどこかへ出かけて留守を預かるルイズは朝食の後、掃除洗濯に昼食と晩ごはんの下ごしらえなどのやる用事全部済ませて昼ごはんまでの一時(ひととき)をリビングのソファーに座って博士に引き取られてからの5年間を静に振り返って思い出していた。

 

(博士と出逢ってから、丁度5年が過ぎ去った今日この日。10歳になったばかりの私はこの5年間の出来事をひとりで思い出して振り返っている)

 

(色んなことが有ったわね。初めて出逢ってからすぐに博士の住居兼事務所兼用の研究所に入っていろいろな事を訊いたり私もしっていること全て話した結果。此処はハルケギニアじゃ無くて、地球と呼ばれる異世界の日本国内の某都市という事だったわ)

 

懐かしいルイズの思い出はさらに続いていく。

 

(あの時、私は悟った。もう二度と母様や父様、それに姉様たちと逢えないと思って、そしたら自然に涙が流れ出して止まらないくらい大声で泣いてる私を優しく抱きしめながら博士は

『ルイズ。君を必ず絶対にハルケギニアに還してみせると』と誓ってくれたわ! )

 

段々と熱くなりながら思い出は加速していく。

 

(あの日からすぐに博士は、ツテを使って裏から法務省に手を廻して私の戸籍を作成してくれて、晴れて博士の養女に成ることが出来たわ。

 

それに博士は言葉が何故か通じ合えるのに、不思議なことに日本語はまったく読めない私に、平仮名、片仮名、漢字を教えてくれて更に算数に地球世界の知識や各種常識などを丁寧に解りやすく全て教えてくれたのよね。良いこと何だけど……いま思えば恥ずかしい事に最初私は全然解らなくて、頭がパニックになったのは今じゃ良い思いでね)

さらにルイズは感慨深く思い出に浸っていく。

 

(でも、あの時はずいぶん驚いたわねえ………私がここ地球に来てちょうどひと月が過ぎた頃、私と博士はお互いに隠していた秘密を打ち明けあったわ

『私、全然才能は無いけど少し魔法みたいなモノが使えるの~』

 

『実は僕もね、たいした事じゃ無いけど。一応、超能力者なんだ』

私と博士はそう言い合ってお互い様だねと笑ったんだけど……後で実際博士の力を見せてもらったら、それが謙遜だったという事がよく解ったわ。だって、サイコキネンシスは母様の風のスクウェア・スペルより強力だったし、パイロキネンシスはヴァリエール家のライバルと言われてるあのツェルプストー家のスクウェアメイジが使う火のスクウェア・スペルを絶対超える威力のハズだし、テレポートはコモン・マジックや4系統魔法でもあんな事できないし……でも、伝説の虚無魔法はできたらしいけどねえ。でも一番凄いのは予知能力よね、あれで株式の上がり下がりを完璧に予測して儲けたり、投資信託でも証券マン泣かせと呼ばれるほど容赦なく大儲けしているし、各種ギャンブルに宝くじでも盛大に稼ぐのよねえ~)

 

ルイズは敷島博士の自慢話を得意げに思い出していた。

 

(私が日本に来て1年くらいは驚きの連続だったわね。馬より速くて乗り心地抜群の自動車や火竜と同じくらいのスピードで一度に最大約千人くらいの人を乗せて二本の鉄のレール上を走る電車に、風竜より遥かに速くて高く飛ぶ飛行機などに後は空は飛ばないけど、ハルケギニアのどんなフネなんかより遥かに大きい鋼で出来ている大きくて広い海を走る船など、ハルケギニアには存在しなかった乗り物を知って驚くことばかりだったわ)

 

ルイズは地球にきた最初の1年間の驚愕的な出来事を思い出していた。

 

(……でも、博士のこの話を訊いたときはとても哀しかったわ。博士は生まれた時から超強大な力を持っていたから、それ故に実の両親や兄弟に恐れられると同時に才能のせいで憎まれて寂しい子供時代をすごして中学を卒業すると生まれ育った故郷をはなれて、東京に出てきて働きながら高校、大学、大学院を卒業して各種の資格や博士号を修得した博士は立派ですごいと思ったわ)

 

ルイズは博士に尊敬を感じた日の事を思い出して悦に浸っていた。

 

(私の日本国での戸籍上の誕生日は博士と出逢った運命の3月3日のお雛祭りの日だったから、日本に来て1年が経った頃、小学校に入学する事になったのよねえ。

 

最初は平民の学校なんてと。いま思うと馬鹿にしていた私自身を殴ってやりたくなるくらいの無知さかげんに恥ずかしさを感じているのよねえ……それと言うのも地球世界に王様は少し居るけど……貴族が殆んどいなかったから、勘違いしたことが原因なのよねえ)

 

あの時の無知というか黒歴史を思い出してルイズは顔全体を朱に染めるほど恥ずかしさいっぱいの状態であった。

 

(私が通うところは研究所近くの小学校。中学校。高等学校に大学校まで有る終始一貫教育を誇る伝統と格式がある名門女学校の所謂お嬢様学校だったわ)

 

ルイズが通うことになった女学校は創立百年以上を誇る伝統名門お嬢様学校だけに、学業とスポーツの所謂、文武両道をモットーに掲げるくらいの21世紀の日本では珍しい部類にはいる淑女としての各種厳しい勉学に常識やお嬢様必須うの慎みにたしなみ及び今は過ぎ去りし日本女性伝統の大和撫子教育の道徳観を徹底的に叩き込む。恐ろしい女学校でした。それに比べたら後にハルケギニアに還ってからルイズが入学した王立トリステイン魔法学院などは………ハッキリ言って貴族のお坊っちゃまとお嬢ちゃまとして、大半の生徒が幼い頃から親に甘やかされて育ってきた者たちが在籍していたせいなのか解らないが、学生たちに甘く規律もユルいし、教える側の教師自体のレベルも我が強い者ばかりで教える魔法技術も上手く教える努力もしない学校なので比べること自体が無謀なくらいレベルが正直にいうと低すぎて話にならない学校であった。

 

(……私が何を一番驚いたかと言うと、此処の地球世界にある月はハルケギニアの双月と違って1つしか無くて、それに大きさも一回り小さくて色も黄色い月なんだけど……此処のの人類はその月にロケットと呼ぶものを宇宙まで飛ばして出かけて行ったんだから、ハルケギニアの常識から考えると物凄いことだとあの時の私は思っていたわ)

 

ルイズの思い出はロケットや宇宙、月から魔法に関することにシフト替えしだしていた。

 

(私が魔法の訓練をしたいとお願いすると、博士は某県、奥秩父のさらに奥にある博士所有の別荘を使いなさいと言ってくれたから、週末の休みに私と博士の二人は良く行くようになっていたわねえ。そこは別荘近くにちいさな渓流が有り、閑静で緑豊な自然が溢れる

良い場所で、私のお気に入りでもあったの)

 

(ある時、博士が私が魔法使うのを何度も詳細に見て詳しく調べたり私からこと細かく何回も聞き出してハルケギニアのコモンに4系統やあのエルフに亜人たちが使用する先住も含めた全ての魔法知識を知って一応出した結論が、私が魔法を使うと必ず爆発して失敗する現象を多角的に診たりとかして、消極的な推論を踏まえて敷島博士が出した見解は。ハルケギニアでいま現代失われたと言われている伝説の虚無魔法が私の適性魔法じゃないかと博士が述べると私は興奮したみたいに

『私なんかが始祖“ブリミル”さまと同じ伝説の虚無などであるはず有りません! 』

そう言い切って博士を見ると普段の穏やかで優しい顔じゃなくて、物凄く哀しい瞳で私を見つめて

『ルイズ、人は誰でも生まれた時から無限の可能性を持っているんだよう……ここで諦めていたら、そこから先は何処へも進まないんだ! だから諦めないで自分自身を信じて前をむいて歩いていってほしい』

そう人間の可能性を言いながら私をそっと優しく包み込むように抱きしめてくれたの……博士は)

 

あの時の情景を思い出していたルイズは鳶色の瞳が少し涙ぐんでいた。

 

(後になって冷静に思うと、とても恥ずかしかったのよねえ……あの時から博士の的確なアドバイスも有って、爆発魔法の制御もこと細かくできる様になったし、そしてライトや発火にレビテーションとフライや念力などの各種コモン・マジックが出来るようになった事はとても嬉しかったわ)

 

ルイズはコモン・マジックを自由に操れるようになった時のことを思い出して微笑んでいた。

 

(コモンだけとはいえ、魔法が使えるようになって自信がついた私は学校で多くの友だちができたり、部活で柔道部に入りとても充実した日々を送っていたら季節は巡り。

10歳になった私はこの前博士の奨めもあって、紹介である道場に剣術を習いに通いだした道場で1つ上でもうすぐ11歳になる予定のきっと生涯に渡る運命のパートナーになる予感がする相手? 平賀 才人に出逢ったの………春の淡い陽射しの午後の出来事だったわ)

 

 

ルイズはこの前出逢った自分にとって気になるある少年のことを思い出していた。

 

(後から考えると運命の出逢い何だけど……ハッキリ言って最初の印象は最悪だったわね。口は悪いし、女の子がいる前でも平気でオナラする無神経さには、はらがたって気づいたら私渾身の右ストレートパンチをあいつの顔面に叩き込んでいたのよ。当然その後はお互い取っ組み合いになって、師匠の早瀬 平八郎先生に怒られたのは良い思い出になったわねえ)

 

博士が留守の時に5年間の思い出話を終了してお昼ご飯の準備を始めたルイズがまた思い出話に浸りし出したのは数ヵ月後の事であった。

 

(そうねえ、こちらの世界にきてスゴく驚いたのは何と言ってもテレビの存在よねえ。ハルケギニアにいた時は考えもしなかったくらいだから、初めて観たときの衝撃は失神したほど凄い事だったわ。私のお気に入り作品は某魔法少女アニメーションの“魔法少女リリカルなのは”シリーズよ。なんたって始祖ブリミルも真っ青になりそうなくらいの超強力魔法を使うから観ていてすごく興奮するほど楽しかったわね。特になのはがスターライト・ブレイカーを使用した場面じゃあまりの威力に驚いたわ………いつか私もあれくらいの魔法を出来る様になりたいと思ったのはメイジとしては当然の事なのかも知れないわ……)

 

さらに思い出は続いていきだした。

 

(オルゴールと比べること自体バカバカしいと思えるほどかけ離れた性能を持っているCDコンポに手のひらサイズくらいの大きさの携帯デジタル音楽プレーヤーなどは今のハルケギニアの技術力じゃ、千年経っても作れないくらいの超精密機械の物なんだから……)

 

ルイズは自分がお気に入りの日本製音響機器のすごさに感じ入った時のことを思い出している。

 

それに此処じゃ私、8歳の頃から料理を博士から教わったり、不定期に行われる子供料理教室などでいろいろなお料理を覚えたりして、今じゃあ山菜ご飯も上手に炊けるし、卵焼きは勿論。各種の味噌汁にシャケを始めとした魚を捌いて内臓や骨を取り出すことも上手くできるようになったし、シチューにグラタンやハンバーグにカレーライスとオムライスなど作れるようになったから、後は手の込んだお料理を少しづつ覚えていこうと思っているのよねえ………だから、暫くはいろんな事にチャレンジして、楽しく暮らせていく方が私は良いと思っていろいろ考えているのよね)

 

料理に勤しむ日々を思い出してお腹が空いてきたのを感じたルイズは後からなにか簡単な料理を作ろうと考えていた。

 

(最初に出逢った時にサイトとケンカして仲良くなった後、よくサイトと話し合う機会が多くなって、最近同年代の男の子の気持ちがほんの少しだけ解るようになったんだけど………男って本当にどうしてスケベで胸の大きい女のひとが良いと思えるのか、まだよく理解できないわ? )

 

ルイズはこれ以上思い出すと、中々成長してくれない自分についているレモン部分を考えるとむなしくなるから、一端胸に関する事を考えるのはやめて博士と京都へ旅行に行ったときの事を思い出す。

 

(サイトと出逢う2日前に博士と一緒にお花見も兼ねた泊まり掛けで京都へ旅行に行った時は凄く良かったわ)

 

ルイズは敷島博士と京都旅行へ出かけた2日間を鮮明に思い出していた。

 

「………すごいわ博士。新幹線てめちゃくちゃ速いのね……」

 

車内の窓ガラスからルイズは外の流れるような景色を眺めてすこし興奮しながら、ハシャいでいた。

 

「ルイズは新幹線に乗るのは初めてだったね」

 

瞳をキラキラさせてはしゃぐルイズを礼次郎はやさしい眼差しで見つめていた。

 

(新幹線であっというまの感覚で京都に着いてからは関西の老舗百貨店の京都支店のデパ地下売場で美味しそうなお弁当と飲み物を買って有名な嵐山付近を散策して、きれいに咲き誇る桜の前でシートを拡げて食べたときはすごく美味しく感じたわねえ

 

あの時食べた弁当の味を思い出したルイズははしたなくも、涎が出ていた。

 

(お花見のあとは、二条城と清水寺に向かっていって。最後に訪れた金閣寺を観た瞬間は本当にびっくりしたわ。だって、ハルケギニアにこんな素晴らしい寺院なんか無かったから無理もないわよね………最初は建物全部が黄金で出来ていると思っていたけど、詳しいことを博士に訊いてみると……外側に金箔という金をものすごいほど薄く引き伸ばした物を貼っているだけと解った時はすこしがっかりしたわ)

 

ルイズも女の子だからキラキラ光る黄金の建造物に対して、大いに興味津々のご様子であった。

 

(夜になって、風格と風情を感じるとある高級旅館に泊まって、総ひのきで作られたお風呂に入って1日の疲れを癒したあと、夕食に出てきた京懐石料理はすごく美味しかったのよねえ………翌日。旅館を後にして太秦映画村を始めにあちらこちらの京都ならではの観光名所を見て回って楽しかったことは良い思い出だったわねえ……)

 

京都の有名観光名所を博士と二人で巡った時のことを思い出していたルイズの表情は清々しさに満ち溢れていた。

 

思い出ばかりに夢中になっていたルイズは知らない間に寝息たてていたところを敷島博士によって、自室のベッドへ運ばれて深い眠りの中へ優しさに包まれるように眠っていく。

 

 

続く。

 

 





 自分でも思うんですが、3年くらいにこの作品の執筆始めた時と今とじゃ感覚がかなり違ってきたように思います。

最後にほんの少しネタバレというか、モチロン物語の最期はHAPPYendの予定ですがルイズたちはトリステインに留まらず、新天地めざして旅立ちます。まぁ、それがハルケギニアの大航海時代の先駈けになると良いと思っています。

次回も早く投稿したいと思いますね。


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