「悟空さー! 夕飯までには戻って来るだべよー!」
悟空の妻チチがそう叫ぶ。
そして、悟空は神龍と共にどこかへ去って行った。
それから数ヶ月後のことだ。
天界で悟空の孫、パンがウーブと本気で
互いのパンチ、蹴りが相手に炸裂する。
「なかなかやるね、パンちゃん」
「もうウーブには負けないわよ」
見せてあげる──パンはそう言って、
「超サイヤ人!?」
驚き戸惑うウーブ。
「第二ラウンドよ!」
パンはウーブを殴り飛ばす。
「ぐわっ!」
勢いよく吹っ飛ばされて行くウーブ。
「かー……めー……はー……めー……波──っ!」
強力な攻撃に怯んだウーブに光線が迫る。
(やばい!)
ウーブに光線が当たり、爆発した。
煙が立ち込め、ウーブがボロボロの状態で姿を現した。
「参ったよ。強くなったどころか、超サイヤ人に変身出来るようになってたなんて……」
「私には悟空お
辺りを見ると部屋はボロボロだった。
「俺の負けだよ」
パンはノーマルモードに戻った。
部屋を出る二人。
「凄まじい
と、地球の神デンデ。
「じゃ、私帰るわね」
と、パンがそう言って飛び立とうとした時、彼女は大きなパワーを感じ取った。それはウーブも同じだった。
「何この戦闘力?」
そこへその大きな戦闘力の持ち主が現れた。
そいつは何と、あのベビーだった。
「べ、ベビー!?」
「久し振りだな、メス
「あんた、死んだんじゃなかったの?」
「俺は不死身だ。まずは手始めに貴様をシモベにしてやろう。有り難く思え」
「誰がアンタなんかのシモベになるもんですか!」
「パンちゃん、逃げて!」
ウーブがパンの前に出る。
「貴様に用はない!」
ベビーはウーブに襲い掛かり、攻撃して遠くへ吹っ飛ばした。
パンは超サイヤ人に変身する。
「ほう。いいパワーだ。お前のサイヤパワー、吸収してやろう」
ベービがパンに飛びかかる。
パンは一瞬でベビーの背後に回り、肘パンチをベビーの首に当てた。
怯んだベビーに追い打ちをかけるように、回し蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした。
「お前のパワー、ベジータを超えたな。頂くぞ、その体」
「例えアンタが私に入ったとしても、私の気で追い出してみせるわ」
「お前の修行中、俺様も宇宙中からパワーを吸収してきた」
ベビーは再度にパンに飛びかかる。
シュイン!──その音と共にパンが残像を残して移動した。
そこへ悟飯が現れる。
「パン、助けに来たよ」
そう言って悟飯がパンを羽交い締めにした。
「なっ!?」
「誰を、とは言ってなかったな」
ベビー様──と、悟飯。
ベビーがにやりと笑ってパンの体内に侵入する。
「ぐっ!」
苦痛に顔が歪むパン。
悟飯がパンを解放する。
(か、体が……!)
パンの頬にベビーの顔が浮き上がった。
「どうだ? 体の自由が利かないだろ」
パンは手を握ろうとするが、全く動かなかった。
(私は一生ベビーに乗っ取られたままなの? お祖父ちゃん……)
「ベビー様、次はどうされますか?」
「そうだな……」
ベビーは考えた。
「神龍をシモベにしてやろう」
「それはいい考えですね」
「だがその前に貴様だ!」
ベビーはそう言うと、パンの体からいったん出て、デンデに乗り移って卵を産み、パンの体内に戻った。
「ベビー、パンちゃんから出て行くんだ!」
と、ウーブが徐に近付いて来る。
「もうボロボロね」
パンはそう言って、ウーブの胸目掛けてビームを放った。
「がはっ!」
胸に穴が開き、吐血するウーブ。
「死ね」
「べ、ベビー……おま……え……」
倒れて息絶えるウーブ。
その様子をあの世で見ていた界王様が慌てた様子で悟空の居場所を探知してテレパシーを送った。
「悟空、聞こえるか? ワシだ、界王だ」
「界王様か。何の用だ?」
「あのベビーが生きておってな、お前の孫の……何て言ったかのう?」
「パンのことか?」
「そうじゃ。そのパンがベビーに乗っ取られてしまったんじゃ」
「何だって!? けど、今はオラ、何も出来ねえぞ」
「それとな、ベビーは次に神龍を下僕にしようとしてるらしいぞ」
「そうか……。まあ、ドラゴンボールは暫く使えねえだろうけど、界王様、パンのことそっちで何とかなんねえか?」
「何とかと言われてもなあ……」
「わりいな、界王様」
悟空との通信が切れる。
なんと、ベビーに乗っ取られてしまったパン。はてさて、一体どうなることやら……。