レイ・アルメリアの物語   作:長月エイ

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8・組み分け

やがて馬車がホグワーツに着く。

ホグワーツへ続く石段は生徒達でごった返していた。

私達もその流れにのって、石段を登る。

玄関に着くと、私と父さんは校長室へ向かった。

 

しばらく廊下を歩いてから、父さんは巨大なガーゴイル像の前で立ち止まった。

父さんが像に向かって「アーモンドチョコレート」と言う。

すると、像がピョンと動き、螺旋階段が現れる。

階段に立つと、まるでマグルのエスカレーターのように階段が動いてグルグルと上に運ばれた。

 

「おお、リーマスにレイ。待っておったぞ」

部屋に入ると、ダンブルドア校長が出迎えてくれた。

 

「レイ、ホグワーツにようこそ」

 

校長室は広い円形の部屋だった。

壁には歴代の校長の動く肖像画が飾ってある。

そして室内には、様々な魔法道具が置いてあった。

奥には金色の止まり木があり、燃えるように紅い羽をした鳥がいた。

長い尾羽は金色で、美しく光り輝いている。

これがダンブルドア校長のペットの不死鳥かな?

 

【アルバス、彼女が噂のサトル・キサラギの姪っ子か?】

不死鳥は威厳たっぷりに、ダンブルドアに話しかけた。

「そうじゃよ。さあレイ、紹介しよう。わしの相棒、フォークスじゃ」

「初めまして、如月伶……伶・アルメリア・如月・ルーピンです。よろしくお願いします」

私はフルネームで自己紹介する。

 

「ところで、あなたは悟叔父さんを知ってるんですか?」

【ああ、知っとるとも。学生時代の彼は、我の良き話し相手であった。何しろアルバスの他に、我の言葉を解するのは、彼ぐらいしか居らなんだったからのう】

そう言って、フォークスはパタパタと羽を震わせた。

 

「さて、リーマス。梟便で手紙を送った件について、話を聞こうかのう」

ダンブルドアに促され、父さんは列車での出来事について報告した。

しばらくダンブルドア校長は、話を厳しい顔つきで聞いていたけど、ふと私に尋ねた。

「レイは大丈夫だったかね?」

「はい。でも、怖かったです。もし、父が乗り合わせてなかったらと思うと、ゾッとします」

 

報告が終わると、父さんは先に大広間へ向かい、私は寮や得点制度について説明を受けた。

 

その時、ドアがノックされた。

入ってきたのはスネイプだ。

 

「校長、組み分け帽子をお借りしに参りました」

「頼んだぞ。セブルス」

ダンブルドア校長は、スネイプに古びた魔法使いの三角帽子を渡した。

その帽子のボロさ、父さんのローブといい勝負だった。

あれを頭へ載せて寮を決めるんだな。

 

スネイプは私に言った。

「これから組み分けを行う。お前は編入生なので最後だ。呼ばれるまで、しばらく待機しろ」

 

やがてスネイプが戻ってきて、私を大広間へ連れて行った。

 

大広間には、4つの長テーブルが置かれていて、生徒が各寮に分かれて座っていた。

テーブルの上には何千ものロウソクが浮いている。

中央正面には、三本脚のスツールの上に、さっきの古帽子が置かれていた。

側には、髪をひっつめにした四角いメガネの魔女が立っている。

 

あ、ミネルバ・マクゴナガル!

20世紀で、全世界合わせて7人しかいない登録アニメーガスの1人じゃん!

青龍学院にいた時、変身術の授業で習ったぞ。

そんなすごい人が先生って、ホグワーツ恐るべし。

 

「今年は3年生に編入生が入ります。ミス・キサラギ、前へ」

マクゴナガル先生に呼ばれ、前に出て自己紹介する。

「如月伶です。日本の青龍学院魔法学校から来ました。よろしくお願いします」

 

実は、小学5年生の時、1度転校したことがある。

父さんが青龍で働くことが決まり、それにともなって学校の近くに引っ越すことになったんだ。

けど、その時よりも2倍緊張したよ。

なんといっても、1000人近い全校生徒が、私に注目しているんだから。

とにかく、私はスツールに腰掛け、帽子をかぶる。

 

すると、組み分け帽子がテレパシーのように話しかけてきた。

 

(リーマス・ルーピンとアズサ・キサラギの娘か。ほぅ、お主も「鳥語聞き」だな。さすが日本の名門、キサラギ家の子じゃ。優れた頭脳と冷静な思考力、そして魔法の才能にも恵まれている……ならば、入れるとすればレイブンクロー…………)

 

レイブンクローなら悪くないな。

けど、せっかくホグワーツに来たんなら、父さんや母さんと同じ寮が良いかなあ。

 

(ほぅ、その手があった。確かに。困った人間を見ると放っておけず、すぐさま手を差し伸べる行動力、お主にはそちらの方が向いておるかもしれぬ)

 

帽子は高らかに叫んだ。

「グリフィンドール!!」

 

グリフィンドールのテーブルから「編入生を獲得したぞ!!」と歓声が上がった。

フレッドとジョージが、ピューと口笛を吹いている。

 

私はハーマイオニーの隣に座った。

ちなみにグリフィンドールの寮監は、あのマクゴナガル先生らしい。

ちなみに彼女は、副校長でもあるそうだ。

 

「あの者達が、危害を加える口実を与えるでない。吸魂鬼に許しを乞うても、出来ぬ相談じゃ」

前では、ダンブルドア校長が吸魂鬼について、注意事項を述べていた。

 

その後、新任の先生として父さんが紹介されると、パラパラとやる気がない拍手が起こった。

けど、父さんの活躍を目撃したハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニー、同じ客室にいた丸顔の男の子(ネビル・ロングボトムという名前らしい)は、大きな拍手をしてくれた。

 

一方、スネイプは、憎々しげに父さんを見ていた。

まあ、いろいろ思うところがあるんだろうね。

 

次に森番のハグリッドが、魔法生物飼育学の先生として紹介されると、盛大な拍手が起きる。

「そうだったのか! 噛み付く本を教科書指定するなんて、ハグリッド以外にいないよな?」

ロンがテーブルを叩きながら叫ぶ。

 

「え、ハグリッドって、そういう人なの?」

私が尋ねると、ハーマイオニーが答えた。

「レイ、ハグリッドは良い人よ。けど、凶暴な生き物が大好きっていう、困ったところがあるの」

「そうそう、前にドラゴンを飼おうとして、大騒動になったんだよ」

ハリーもハーマイオニーに同意した。

 

「さあ、宴じゃ!」

校長が宣言すると、目の前に食べきれないぐらいのご馳走がズラリと並んだ。

 

漏れ鍋の食事もおいしかったけど、ホグワーツの料理は格別だ。

ホグワーツの料理、すっごくおいしい!

青龍時代の担任・高砂先生は「料理がマズイんじゃないか」と心配してたけど、杞憂だったね。

特にデザートのチョコレートサンデー!!

今まで食べてきた中で、いちばんおいしかった!

だけど、キャロットグラッセはいらない。

人参は嫌いなんだ!!

 

宴会が終わると、ハリー達3人は私を連れ、ハグリッドの所に行く。

「おめでとう、ハグリッド!」

ハーマイオニーが歓声を上げた。

ハグリッドは、魔法生物飼育学の先生になれたことに嬉し泣きしていた。

 

私はハグリッドとは初対面なので、自己紹介する。

「初めましてハグリッド教授。如月伶です。よろしくお願いします」

「おおっ、お前さんがレイか。アズサにそっくりだ! あ~、俺のことは、ハグリッドって呼び捨てで構わねえ。よろしくな」

そう言って、彼は涙でグシャグシャの顔をナプキンで拭った。

 

「ミス・キサラギ、ミス・グレンジャー」

マクゴナガル先生が、私とハーマイオニーを呼んだ。

「ミス・キサラギ、ようこそグリフィンドールへ。寮監のミネルバ・マクゴナガルです」

マクゴナガル先生って、真面目で厳しそうだ。

こりゃ逆らっちゃダメだな。

 

「ミス・キサラギは、ミス・グレンジャーと2人部屋になります。ミス・グレンジャー、貴女の荷物は新しい部屋に移動してありますので、確認なさい」

 

寮の部屋はなかなか快適そうだった。

ベッドは日本ではあまり見かけない天蓋付きだ。

机と小さな本棚があって、勉強もはかどりそうだね。

何よりルームメイトが、知り合いのハーマイオニーなので、ちょっと安心だった。


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