ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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ドロイデン様からの希望です。


食事会

「ん?」

 

ある日優磨は郵便受けに来ていた手紙を見る。

 

「何々……」

 

【食事への招待……蛭子 影胤】

 

「は?」

 

優磨は唖然とした。ナンデスカコレハ……すると、携帯が鳴った。

 

「はいモシモシ」

【優磨さんか?変な手紙が来てさ】

「俺の所にも来たぞ?」

 

電話の向こうでずっこけた音が聞こえた。

 

【どうする?】

「別に行っても良いと思うぜ?」

 

食事先は高級レストランだ。完全予約制でしかも一見お断りで料理がとんでもなく旨いと聞く。

 

【でも……】

「なあに、何かあったときは戦えばいい。流石に俺とお前二人だけ纏めてだったらキツいだろう?それぐらいは分かってるさ。後、この店正装じゃないとは入れないぞ」

【うげ……制服じゃ……】

「多分ダメじゃね?まあ俺のを貸してやるよ」

【サイズ大丈夫何ですか?】

「むかーし着てた奴だ。今だと合わないって奴だから多分蓮太郎なら大丈夫だろ」

【ならお願いします】

 

そうして電話を切る。するとまた来た。

 

「はいはい」

【わたしわたし】

「詐欺はお断りですので」

【メリーさん。あなたの後ろにいるの】

「こわ!」

 

菫からだ。

 

「何だよ」

【いやね、蛭子 影胤から食事の誘い受けたんだけどどうするべきだと思う?】

「は?」

 

優磨は顎が外れかけるほど口をあんぐりと開けた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……優磨と蓮太郎はスーツを……菫はワンピーススタイルで店に向かう。

 

「せ、先生もそういう服を着るんだな」

「店が店だからね」

「しっかしなんのようだ?」

 

この面子を呼び出すとは……

すると店が見えてきた。

入ると……

 

「牙城 優磨様、室戸 菫様、里見 蓮太郎様でございますか?」

「ああ」

「蛭子 影胤様がお待ちでございます」

 

支配人と思われる男性に連れていかれると既に影胤は居た。

変なお面に燕尾服とシルクハッド……おいおい、

 

「ここの店長とは懇意にしていてね。こういう服装でも入れるのだよ」

『………』

 

全員が唖然とした。

 

「さ、座りたまえ」

 

全員が言われるままに座る。

 

「で?目的はなんだ」

「里見くん。私は純粋に君たちと話したかっただけだ。別にドンパチやるわけではない。今日は食事を楽しみたまえ」

「……」

 

すると来た。

 

「前菜の【蟹のムース】でございます」

『……』

 

とりあえず険悪ムードを払拭させる。

 

「さ、食べようじゃないか」

「えーと……」

「一番外側のから使っていくんだ」

優磨に言われ蓮太郎も食べ始める。

 

「続いてはサラダのキャロット・ラペでございます」

「え?」

「里見くん。ようはニンジンサラダだ。そんな謎の物体が出てきたみたいな顔をするな」

 

蓮太郎はカチコチになっていく。

 

「ジャガイモのヴィシソワーズでございます」

「ヴィシソワーズ?」

「スープの事だよ」

 

蓮太郎は啜らないように気を付けながら飲む。

 

「パンでございます」

「な、なぜこのタイミングでパンが……」

「口直しだよ」

 

優磨に言われた……

 

「では魚料理のイシモチのムニエルラ・フランス梨のソースでございます」

「い、イシモチ?」

「はい、シログチ等とも呼ばれる魚でございます」

「はぁ」

 

蓮太郎は曖昧にうなずいた……

 

「ではソルベのラフランスのシャーベットでございます」

「なあ優磨さん。何でここでデザートでるんだ?」

「これも口直しだよ。次肉料理が来るからその前にさっぱりさせようと言うことだ」

「へぇ~」

 

そうこうしてるとまた来た。

 

「本日は鶏レバーのテリーヌ・グリーンソース掛けでございます」

 

蓮太郎はしくはくしながら食べる。だがここまで来て思ったが蓮太郎以外はなれてる。あの影胤ですらマナー事態はしっかりしてるし優磨や菫も慣れた手つきで食べていく。

 

(優磨さんも慣れた感じがあるのも意外だな……)

 

それからフルーツにデザートと食べて食後のコーヒーまで行く。

 

「しかし急になんだ」

 

優磨が聞く。

 

「なに、アルデバランの時には祿に話せなかったからね。こう言うときでないと里見くんや牙城君とは話せないし私の執刀医のグリューネワルト翁が言っていた室戸博士にも一度見てみたかった」

「私のことはなんと?」

「性格が折角の美貌を消してお釣りまで寄越してくる」

『ププ……』

 

優磨と蓮太郎は笑いそうになった。

 

「だが牙城くんもこういう場に慣れていたのは驚きだ」

「ふ、昔色々あったからな」

「昔ねぇ」

 

優磨はどこか遠い目をした。

 

「さて、プチフールも来たし食べようじゃないか」

「最後の最後にまたお菓子か?」

「締めのお菓子だよ」

 

優磨は笑いながらプチフールを口にいれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあな」

「楽しかったよ」

 

影胤は背を向ける。

 

「おい」

「なんだい?」

「……いや、ごちそうになったよ」

 

そう、今回の料金は全て影胤が持った。因みに一人頭うん万円掛かってる。もし払えと言われても困った額だった。

 

「招待したのはこちらだ。気にしなくていい」

「それでもだ。だけど借りとは思わないからな」

「結構だよ」

 

そう言って影胤は少し笑みを浮かべたような声を出しながら闇へと消えていった……

 

「……さぁ、帰るぞ」

「そうだね」

「ああ……」

 

優磨が言うと二人もうなずく。そうして三人も家路を急いだ……


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