いきおいトリップ!   作:神山

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長らくお待たせしました、最新話です。
しばらくぶりゆえに短いし、文章がおかしかったりするかもしれませんが、なにとぞご容赦を。
今後もリハビリしつつ頑張っていきます。


三十三話目

じゃらじゃらと銃弾を鳴らしながら門前の人ごみをかき分けていくこと数分。ようやく門の外に出た。ここまで来ると遠くから炸裂音や銃声が時折響いてくるのがわかる。それにいちいちビクついている学生込の低ランカーの冒険者もいるが、無視。こいつらはもしもの時のための時間稼ぎ要員だろうからな。

 

「コ、コウヤさん!」

 

「ん?おぉ、ララちゃん達じゃないか」

 

そんな中をのろのろ進んでいると、横からララちゃんを筆頭とした何時ぞやのメンバーが顔色悪く立っていた。よく見ればここら一帯は似たり寄ったりな状態の学生が多い。もちろん指揮官として教員や上位ランクの冒険者もいる。しかし、そんなに経験のない学生には当然といえば当然の反応なわけだ。もうちょっと堂々としていてほしかったと勝手に思ってしまう。リリィなんか俺の頭の上でぐでってるのに。

 

「それだけの重装備ってことは……ギルドマスターのいる最前線に行くつもりですか?」

 

「あぁ。とりあえずこいつをぶち込んで来ようとな」

 

「なっ!?だ、ダメよ!いくらコウヤさんでもあの数の化け物には勝てないわ!兄貴だって手をこまねいてるのに、そんな中に行くなんて自殺行為よ!」

 

マイルズの問いに素直に答えると、ララちゃんは俺に掴み掛かってくる勢いで止めてくる。まぁその心配もわからんでもない。後ろのルーシーやガリバーも続くようにして止めてくるが、俺は止まる気が無いわけで。というか、あんだけフェリカちゃんにかっこつけて来たんだからここで帰るなんて選択肢は男が廃る。

 

「[speech 98%]やかましい。Vaultの救世主なめんなよ。あれくらいならD.C.の廃墟のビルにレンジャーを助けに行ったのに比べれば、簡単なことだ。だから、邪魔するな」

 

「「「……」」」

 

何を言おうにもぎゃあぎゃあ返されることにイラついたからか、スピーチスキルがかかってしまった。しかも脅迫に入る部類を言ってしまったようで、学生チームは俺の変わりように顔を青くして道を退いてくれた。何故か知らんが、周りの冒険者も同じように動いてモーゼの如くといった具合だ。まぁ、俺が実際やったわけじゃないけど、なんかこれが口から出てきた。。

 

だが、楽に移動できるのには変わりないのでこのまま堂々と中心を進んでいく。途中ライリー・レンジャーの連中も見たが、何故か俺を凝視したまま固まっていたのでPip-Boy3000を見せるようにして軽く手を振っておく。これで俺だとわかってくれるだろう。この恰好はあいつら見たことないだろうし、誰だかわからんだろうからな。

 

 

 

 

 

 

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少し進んで、最前線。すでに発砲音も大きくなっており、位置も大体わかってきた。発砲音の数と大きさからみても、報告に間違いはないだろう。爆発音もするのでかなり用心しないといけないが。

 

「よぅ、来てやったぞ」

 

「あん?……あぁ、コウヤか」

 

最前線も最前線。一番先頭部分で腕を組んでいるアイザックの元にようやく到着した。その横には何度か見たことのあるギルドマスター補佐と連絡係、他にもランクA以上の冒険者が集まって俺のミニガンを見ている。物珍しさもあるんだろうが、まず誰だこいつと言わんばかりの視線だ。

 

「ここにフル装備で来たってことは、アレを何とか出来んのか?」

 

「あぁ、あれくらいどうってことはない。すぐにミンチにしてやるさ」

 

「うっし、行って来い」

 

「ちょっ!マスター!何普通に行かせようとしてるんですか!確かに装備は凄いですが、人間とフェアリーだけで何とかなるわけないでしょう!?」

 

なんてことなく特攻かまそうとしたら他の冒険者に止められた。解せぬ。

 

「何だよ、何が気に入らねぇんだ?」

 

「気に入る気に入らないの問題じゃないです!化け物相手に誰とも知れない奴を特攻させるなんて、自殺行為です!それにそれでこっちに化け物の気が向いたら、どれだけの被害が出るか!」

 

それを聞いてアイザックは至極面倒くさそうな顔をしているが、他のメンツはこの冒険者の言う言葉に同意しているためか、頷いている。ギルドマスター補佐以外のギルド職員も苦い顔をしているため、似たような考えなのだろう。

 

この冒険者の言い分は間違ってはいない。この世界の魔法に慣れた連中にとって魔法は切り離せない存在であり、それが効かないミュータントはまさに天敵と言っても差し支えないほどだ。かといって他の遠距離は弓とかになるのであまり効果が見込めない。放射能の影響のせいか、毒とかも効き辛いし。遺物と呼ばれる銃なんてまず魔法側の連中は魔法にこだわって使わない。よくわからんが、プライドみたいなものがあるんだろうさ。

 

「こいつはデスクローを単体で倒せる実力者だ。それに今は学院で化け物についての講義も受け持っている。いわば化け物に対するスペシャリストと言っていい」

 

「なっ!」

 

「それに、こうして手をこまねいていても意味はねぇ。あの戦いもそう時間がかからねぇ内に終わるだろう。そうなればどちらかの勢力が必ずこっちに来る。だったら相性の一番良い奴が行った方が良いだろうよ。それとも、お前が行くか?あ?」

 

「うっ……いえ、私は、その……」

 

面倒くさすぎてイラついているアイザックを横目に俺は黙々と戦いの準備を進めていく。正直今ここで俺がしゃしゃり出ても逆効果になりかねん。ギルドマスターたるアイザックが黙らせてくれたほうが俺も動きやすいしね。

 

「リリィ、きつくないか?」

 

「……うん、だいじょぶ」

 

Pip-Boy3000からレザーベルトを取り出して後ろ腰にリリィを括り付ける。そして彼女は魔法によってそのまま全身を隠すように丸いドーム状の樹で出来た結界を張った。見た目は腰に蜂の巣を着けているようになってしまったが、仕方がない。

 

戦闘中は必然的に激しく動き回るだろうし、何より流れ弾に当たって死にましたとか洒落にならん。故に結界の中で発動媒体となる杖の先だけ出して戦闘に参加してもらうのだ。ちなみに視界に関しては、魔法で共有できるそうなので問題ない。これは両者の心からの同意と一定の距離にいるときに発動できるそうで、フェアリー等の体が小さい種族は結構重宝しているそうだ。

 

「ったく、おい。準備出来たか?」

 

「あぁ、バッチリだ。そこらのミュータントだったら一瞬でぶち殺せる」

 

「本当に出来るんだから嫌になるな……俺達に飛ばしてくるなよ?」

 

「わかってるさ。それにこんな状況は何度も経験してきたんだ。この程度造作もない」

 

ミニガンを背負い直してがちゃがちゃと歩き出す。リリィの視界も良好で、これならばいい足止めをしてくれることだろう。彼女には攻撃を頼んでいないし、発動した樹で相手を転がしたり、スーパーミュータント数体が装備している棍棒のネールボードなんかを使えなくしたりだ。

 

そうして彼女に準備させつつ近寄っていくと、より状況が鮮明に見えてくる。報告通り数はそれぞれ十体前後。互いに消耗してそれなんだから本来はもっといたんだろう。そこら中に死体が転がっているから数はわからない。こちらにまだ気づいていないのが幸いだが、お互いのリーダー格はほぼ無傷でいるのだからタチが悪い。

 

ミレルーク側には異種個体であるヌカ・ラークがミレルーク・ハンターと共に数体。スーパーミュータント側には上位個体であるスーパーミュータント・マスターの存在が確認できた。さらにこいつは倒した冒険者から奪ったのか、本来鉄くずだった防具が色々と新調されていてごつくなっていた。しかもミサイルランチャー持ち。

 

……あれ?ちょいキツくね?ミレルークは普通の群れじゃなかったのか?ギルド諜報員馬鹿なの?死ぬの?

 

「うーむ……でも、やらないといけないんだよなぁ」

 

あれだけ啖呵きっといて戻るのはまずないから、行くしかない。とりあえず長距離武器から潰していくしかないだろう。だが何もせずに真正面から突っ込んでいくのはダメだ。ここは平地だから最終的にはそうなるが、開幕は奇襲も兼ねているので大切である。

 

と、くればだ。相手を驚かせつつ牽制して尚且つ殺さなければならない。

 

「……派手に行くか。リリィ、耳塞いどけ」

 

俺はPip-Boy3000を起動して中からグレネードを持てるだけ出し、他にもいくつか地面に置いておく。出した時点でわかると思うが、とりあえず爆破して混乱中に一気に駆逐する作戦だ。こんな平地だと砂埃が目くらましに大いに役立ってくれるだろう。まぁ、ほとんど突っ込んでいくことに変わりはないのだが。

 

「まさかゲームと同じ事をする羽目になるとは……俺のキャラはこんな気分だったのか」

 

手持ちのグレネードのピンを一気に抜いて盛大にばら撒く。追加分もそれに続いて一回目が爆発する前に投げ込んでおくのを忘れない。そして爆発までの数秒の内に急いでミニガンを担ぎなおして銃身をいつでも撃てるように回転させておく。戦闘中の彼等からすれば、石ころが飛んできたのと変わりないだろう。現に気づいておらず、戦闘は続行中である。

 

そして数秒後、連鎖するようにして各所から一気に爆発が起きた。それによりスーパーミュータントとミレルークの前線部隊は爆発四散。直撃したやつは木端微塵になっている。だが、腐ってもミュータント。対して影響が出ていないのも少なくない。ミレルークハンターやマスターなどはほぼ無傷だ。

 

しかし、混乱はしている。俺はその隙を見逃すわけもなく、両手のミニガンの一斉掃射を開始した。




最初はミレルークキングも行こうかと思いましたが、それでは過剰戦力すぎるため、ヌカ・ラークに。それでも異世界側は死亡確定なわけですが。

ただ今FF14新生と共にFallout3の箱版を再びプレイ中。
FF14のログイン規制のせいでプレイできないときにやってましたが、またハマりました(笑)
何故かタロンが出てこないので、コンバットアーマーが手に入りません。そろそろ事務所にカチコミ入れようかと思ってます。

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