いきおいトリップ!   作:神山

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クエスト メガトンへ


◇メガトンへ向かう。

◇[オプション]フェルナンド魔法学院都市で魔法について調べる。

◇[オプション]帝国を経由する。

◇[オプション]お金を貯めつつ旅に馴れる。





クエスト:メガトンへ~フェルナンド編~
十三話目


あれからトコトコと進む事しばし。未だ手にはパフォレーターを持ちつつも、何が現れるでもなく順調に進んでいった。

 

 

そこで思った事は、やっぱりこのは身体凄いということ。パワーアーマーフル装備に加えて両足に銃をぶら下げて、更にはアサルトライフルと同系統のパフォレーターを持ったまま小走りで舗装も何もされてない道を行き続けるなんて軍隊の人でもキツイはずだ。しかも俺はまだまだ全然余裕があるんだから、もう凄いとしか言いようがないです。

 

 

「……ん?」

 

 

そんな事を考えながらペースを落とさずに進んでいると、動体センサーに幾つか敵性反応が出る。そして俺はそれらに見つかる訳にはいかないので身を屈めてしゃがみながら進む。これで俺はスキルによって敵に見つかりにくくなったはずだ。しかもスニーク・ランニングというPerksによって、この状態で小走りになっても足音がたつことはない。まずはどんな敵なのかを見るべきだからな。

 

 

「あれは……」

 

 

少し進み、敵が目視できる所まで迫ってきた所で岩があったのでそこに身を隠しつつ様子を見ると、少し大きめの犬みたいなのを数匹発見する。向こうはこちらに気付いていないので、Pip-Boy3000で情報を確認すると。

 

 

『ワイルドドッグ:世界で最もよく見かけるとされる魔物。黒い大型犬の様な風貌でギルドでもランクが下ということもあって軽視されがちだが、犬よりも優れた知能と力を持つために一般人には討伐は難しい。防御面では普通の犬と変わらないものの、その牙は動物の皮の防具程度ならば容易く噛みちぎる。

 

ワイルドドッグは基本的に群れを成して行動する。単体ではさほど問題ないが、群れを成すことで危険度は何倍にも膨れ上がる。大きいものではリーダー格の存在が確認されているため、初心者には最初の難関になるだろう。しかしその毛皮と牙はギルドランクの低い間は貴重な収入源として重宝される。ギルドとしても、これらの素材は常時必要なので、是非とも頑張ってもらいたい。

 

報酬部位:毛皮×1=5ギル 牙×1=2ギル

 

常時討伐対象也』

 

 

情報を確認してPip-Boy3000から目を離す。未だこちらは見つかってはいない。周囲を注意して見ても、動体センサーにはワイルドドッグ以外感知されないのでそちらに集中出来る。俺はゆっくりと岩陰から少し身体を出して、パフォレーターを構える。改めて見てみると、数は5匹。目視とセンサー両方で確認したので間違いない。

 

 

今回俺はV.A.T.S.を使う気はない。V.A.T.S.は便利だが、外したり仕留めきれなかったりしてポイントが無くなれば使えなくなるからな。経験や技能は身体に染み込んでいるものの、俺としての射撃を経験しとくのも悪くない。パフォレーターはフルオートだが、素早く引き金を戻す事で発射する弾数を少なく出来る。なので俺はパフォレーターをボケッと突っ立っているワイルドドッグの頭に標準を合わせて、引き金を引いた。

 

 

「ギャゥンッ!」

 

 

一体目の頭に無事クリティカルヒットしたのを見て即座に照準を切り替える。少し距離があるのでほんの少しばかり先をずらすだけでいい。俺は騒ぎだした近場の奴らを二匹目、三匹目と決定していき、乾いた音と共に頭をぶち抜いていく。

 

 

「ギャンッ」

 

 

「キャウンッ」

 

 

「ガッ」

 

 

次々に片付けていき、四匹目の脳髄をぶちまけていく。我ながらナイスショットだ。しかし、なんとまぁ柔らかいことで。大概一発でなんとかなってるな。

 

 

「ワォォォンッ!!」

 

 

「ちっ、バレたか」

 

 

しかし最後の一匹というところで場所を知られてしまった。俺は愚痴を溢しつつも冷静に銃身をずらしてまっすぐに駆けてくるワイルドドッグのこめかみに照準を合わす。流石にこの位のレベルの奴だと、銃がどういう攻撃をしてくるのかわからないようだ。Pip-Boy3000の情報を見れば初心者の登竜門的な事が書いてあったから、剣とかは避けたりするんだろうがね。

 

 

「じゃあな」

 

 

パスパスパスッ、という軽く乾いた音と共にワイルドドッグの頭が血を撒き散らしながら縦に潰れる。俺は一応周りを動体センサーで確認するが、何もない。

 

 

「ふぅ……ま、こんなもんかね?」

 

 

多少先が熱を帯びているがCNDに影響の無い事を確認してパフォレーターを背中に背負い、倒れたワイルドドッグに近づいていく。

 

 

頭をぶち抜いているために目玉が飛び出て辺りに血と脳みそが散らばっている。やっぱりフルオートなためにどうしても数発出てしまう時があるんだが、今回こいつの時のみそうだった。そのせいで頭のみ大変な事になっている。まぁ銃器に対する耐性が無いタイプだし、ゲームのスカベンジャードッグ位でもなければこうなるか。

 

 

「さて、どう取れるか……」

 

 

そんな事を考えながら素材を取るためにPip-Boy3000を起動。見てみると、選択肢にワイルドドッグの毛皮とワイルドドッグの牙、あとはやっぱりドッグミートが表示される。しかしこのドッグミートには放射能汚染が無いタイプなので、焼けば食えるだろうから取っておこう。

 

 

「うっ……こうなるのか、やっぱり」

 

 

Pip-Boy3000で全て取るを選択すると、やっぱりゲームと現実は違うわけで。毛皮部分と牙を根こそぎマルッと取って、一部の肉が無い状態のワイルドドッグがいきなし目の前に……エグイっす!

 

 

「まぁ、仕方ないか……」

 

 

これもお金と食事のためだ、とワイルドドッグに感謝して次々に部位を剥いでいく。5匹殺すと35ギルか……本当に初心者仕様だな。ギルドからすればチュートリアル的存在だろう。もっとも、ここで死ぬやつもいるようだがね。

 

 

「うし、次いくか」

 

 

声を出し、Pip-Boy3000のマップを見て進みだす。ついでに小腹が空いたのでヘルメットを外し、雑貨店で買った食糧の干し肉を出して食べる。ここで言っておくと、あの雑貨店で買った食糧は干し肉しか入っていなかった。いや、長持ちするのはわかるが、栄養バランスどうするか……放射能汚染が無いとなると、果物で放射能を下げる効果のあるブンガフルーツしかないんだが。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

それから二日程進んでいくと、ようやく初めの村が見えた。俺は即座にPip-Boy3000を起動して、パワーアーマーから傭兵服チャームに着替える。パフォレーターも村では邪魔なので入れておく。一応ね。

 

 

ここまで来るのにワイルドドッグを合計15匹とブロードフライを8匹狩った。ブロードフライは身体が小さいから狙いにくくて大変だった……まぁ胴体を貫いてやったがね!あと、ブロードフライの羽(3ギル)もしっかり手に入れた。これは両羽ペアで一組らしい。

 

 

「到着、と」

 

 

装備を切り替えた位に村に到着。Pip-Boy3000のマップによれば『ボルドー村』だそうだ。まぁざっと見た感じ、特に目立った所はないな。少し綺麗な普通の農村ってとこだろう。

 

 

「ギルドは……ここか」

 

 

村に入ってトコトコ進み、ギルドの看板を発見。バルムンクのギルドよりはかなり小さいが、そこそこ繁盛しているようだ。ちなみに道中の出店で120cm程度の縦長の革袋(15ギル)を買った。Pip-Boy3000を使って目の前で出す訳にもいかないからな。とりあえず袋に手を突っ込んで報酬部位を入れといた。

 

 

「おーい!酒まだかぁ~?」

 

 

「はい!ただいまー!」

 

 

袋を背負って中に入ると、料理と酒の匂いがたちこめてくる。ガヤガヤとした喧騒も特に気にならない程度で落ち着いている。どうやらこの村のギルドは酒場も兼ねているようだ。

 

 

「これ、常時討伐依頼として換金お願いします」

 

 

「あ、はーい。わかりました。少し待ってくださいね」

 

 

俺はそんな店内を歩き、ギルド受付の女性に袋とギルドカードを渡す。すると彼女はギルドカードを横に置いてある水晶に翳してから袋を開いた。

 

 

「コウヤ・キサラギ様ですね。これでポイントが溜まりました。あとは部位ですが……っと、これは凄い綺麗に取りましたね。中々こうまで綺麗なのはないんですよ?」

 

 

「まぁ、生まれつき手先が器用なもので」

 

 

めちゃくちゃ綺麗に剥ぎ取った毛皮や羽を見て心底驚いた様に口を開く受付さん。適当に誤魔化したが、剣とか魔法とかなら普通何らかの傷や痛みが出るからな……まぁ大丈夫だろう。向こうも綺麗に剥ぎ取れてて文句は無いだろうし。

 

 

「えっと、これが報酬の129ギルです。それと常時討伐依頼は今回ので二つ達成ということになりましたが、再度受注されますか?」

 

 

「お願いします」

 

 

報酬を受け取って依頼の続行を告げると、受付さんは手早く水晶を使ってカードに登録を済ませる。何やら弄ってるみたいだが、どういう仕組みか魔法を知らない俺にはさっぱりだ。これについても学院都市に着いたら調べてみるか……この受付さんに聞くのも有りだろうが、もしこれらの動作が世間一般での常識中の常識なんて事になったら目も当てられんからな。ここでは魔法が主流なんだからあり得ない話ではない。

 

 

「はい。ではこれで登録されましたので、頑張って下さいね」

 

 

ギルドカードを返されたので、俺は礼を言ってから受付から離れる。向かうは依頼の張り出されている掲示板だ。ここで学院都市行きの護衛や配達依頼を受けられればいいんだが……そうすれば向こうに着くなり金も入るから色々と安心出来る。

 

 

「ん~……無い、か」

 

 

時間が少し経って人が増えたために強くなった喧騒を聞き流して掲示板を見るが、希望の依頼は無かった。有るのはバルムンク行きの物が大半で、他は帝国行きや周辺の村へのお使い程度の依頼だけ。俺としてはバルムンクは勿論のこと、魔法をよく知っときたいから帝国行きはダメだ。となると、周辺の村への配達しか残ってない。

 

 

「ベガルタへの荷物の配達、報酬300ギル……これでいいか」

 

 

Pip-Boy3000のマップと照らし合わせながら見て、方向の合致したその依頼の紙を取って受付に戻って紙を渡す。Pip-Boy3000にはベガルタとだけ書かれているからよくわからないが、まぁ着いてギルドに荷物渡すだけだ。Pip-Boy3000もあるし、なんとかなるだろ。

 

 

「この依頼ですね……はい。これでカードに登録されました。荷物はこちらです。荷物を破損、紛失した場合は依頼の失敗による罰金及び荷物の料金と慰謝料が請求されますのでご注意下さい。あ、あとは勝手に中身を見ないこと。その場合もきっちり罰金取りますからね」

 

 

「りょ、了解です」

 

 

どこからともなく引っ張り出された50cm四方の四角い箱と共ににこやかに言われた注意に思わず口元がひきつるのを感じながらも返事を返す。簡単な仕事だと思ってたけど、罰則やべぇな。当たり前っちゃ当たり前だが、こうなった俺はしょうがないと思う。

 

 

そしてそれを受け取って抱えながらギルドから出る。そして即行で人目の無い所に行ってPip-Boy3000に入れたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

それからしばらく宿探しと食糧買い込みをし続けた。食糧は野菜と果物を買い込んだ。あとは調味料を少しづつ。合計で1200ギル程で、ざっと見ても2ヶ月は保つだろう。

 

 

それというのも俺が出店や雑貨店を次々練り歩き、Barterスキルとspeechスキルを駆使して値切りまくったからだ。多少傷のある物だったり、量を買うから安くしろとか言ってみたりでなんとも大収穫。まぁその代わりに恐らくこの村で買い物がもう出来ないかもだが、来ることも無いだろうから大丈夫なはずだ。なのでそそくさと見つけた宿に向かうことにする。

 

 

「いらっしゃい」

 

 

中に入ると一階は軽い酒場の様になっていて、階段が見えた。二階が部屋になるんだろう。木造でしっかりとした造りの店だ。

 

 

「泊まりかい?」

 

 

「えぇ。夕飯と朝食、あと風呂付きでお願いします」

 

 

ここの宿はメニューで追加式になっていたので泊まるだけの基本にそれらを追加して頼む。料金は120ギルだ。

 

 

「あいよ。これが部屋の鍵だ。飯の時間はすぐだが、どうする?」

 

 

「ならお願いします。少ししたら降りてきますね」

 

 

その後俺は即行で夕飯を済ませて風呂に入った。なんとも言えない清々しい気分だったと言っておこう。そして風呂から出た俺は、すぐにベッドにダイブして眠りについた。


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