ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第九十三話 八雲と襲撃

伏見稲荷大社参道

 

「おーっ、見ろ、アーシア、イリナ、珍しいものがたくさん店頭に並んでいるぞ」

「わー、かわいい狐ばかりですね」

「ここでお土産ちょこっと買ってもお小遣い足りるかしら?」

「さぁな」

着いて早々教会トリオはさっそく京都の空気を堪能していた。こうして見ると、彼女たちも普通の女学生と変わらない。

「美少女トリオの京都風景、まずは一枚!」

隣で松田がアーシア達をパシャリと撮影していた。

「ちょっと、私は撮らないの?」

桐生が半眼で物申す。

それから、士郎は伏見稲荷大社名物千本鳥居を見ながら稲荷山に登るのであった。

 

そして、千本鳥居中腹

 

「(――…マジで?)」

士郎は、その目を疑った。士郎を先頭に歩いていた一行は、そこで一旦足を止めた。それと同時に、全員の頬を風が撫でた。

「おい、どうした?」

イッセーが、後ろから声をかけてきてゼノヴィアも前方を見るとそこには、千本鳥居の下にこちらを見つめる漆黒のセーラー服とストッキングに身を包み、黒髪ロングに狐のお面をつけた学生がそこにいた。

 

「誰?」

「誰ですか?」

アーシアとイリナは、その異変に気づき、前の方に顔を出してくると

 

「ようこそ――京都に、そして、お久しぶりね」

学生は、その狐のお面を顔から外すとそのお面の下から少しハイライトの入った妖しい黒い瞳が現れた。

「――士郎」

「八雲、久しぶりだな」

そういうと、こっちに歩いてくる。其れを見て若干驚きながらも唖然としているイッセー。

 

 

「修学旅行なんでしょ?案内させなさいよ?」

「ん、いいぞ」

そういうと、士郎の腕に彼女は自然と腕を絡めてくる。そんな中

 

「おい、士郎、その人誰なんだ?」

松田が聞いてきた

「ん、ここの知り合いさ」

「そういうこと、よろしくね?」

「「うっ」」

松田と元浜はその笑顔で何も言えなくなった。

 

それから、再び歩き始めて数十分

「……ぜーはー……ま、待ってくれ……、ど、どうしておまえたちはそんなに動けるんだ……?」

元浜が息が上がっている中

「おいおい、情けないぞ元浜、アーシアちゃん達だってまだ元気だというのに」

「だな」

松田の意見に同感する士郎

「(ま、俺らは悪魔だから基礎能力は並の人間よりそこそこあるから)」

そう話しながらいると

 

「(なんか、見られているな――)」

駅から感じてた感覚を思い、士郎は嫌な気配がする。それも今起きて欲しくない最悪中の最悪の嫌な感じだ。

 

「イッセー、すまんが俺と八雲は少し休憩所で休んでいく、いいな?」

いつもより違う迫力で迫る士郎

「士郎?どうかしたのか?」

「ん、疲れただけさ」

松田が聞いてくるが、それを流す。後ろのアーシア達もはてな顔をしているが。

「ん、わかった」

松田達に先に行っててもらい、士郎は動き始めた。

 

「――八雲、何か知っているか?」

この気配は、妖怪のものだということだ。

「ん?私、知らないわよ?」

表情から見るに知らないらしい

「そうか…」

「どうかしたの?」

「なんか、見られている気がしてな」

「見られてる……?悪魔だからじゃなくて?」

「好奇的なのじゃないな、監視みたいなかんじがするな」

「――あら、そうなの?まぁ、私がいる限り、あなたはどうなることもないわ、それは保証するわ――だから、今は楽しみましょ?」

「そうだな、楽しむか」

そういって、イッセー達と合流しようかと思ったとき

ガサガサガサ… 

 

稲荷山の頂上に向けて、近くの林がざわめきだった。

それをただ事じゃないと感じた士郎は

 

「えっ!?キャッ!?」

八雲を素早く抱きかかえ走り出した。

 

 

 

 

「……女の子?」

イッセーは、キラキラ光る金髪に、金色の双眸に小学校低学年ほどの容姿の少女がイッセーの前にいた。しかし、頭部に生えている獣耳みたいなものを見て、人ではないと理解するイッセー

「(感じからして、小猫ちゃんと同じ猫又ではないか――となると、場所的に狐か?)」

そう考えるものの、明らかに人間じゃない存在が周りを取り囲んでおり、一瞬たりとも気の抜けないイッセー

 

「余所者め!よくも…ッ!!かかれっ!!」

少女の掛け声と共に林から山伏の格好の黒い翼を生やした頭部が鳥の連中と、神主の格好をして狐のお面を被った輩が大量に出現してきた。

 

「おおっと!なんだなんだ!か、カラスの、て、天狗……?狐?」

「母上を返してもらうぞ!」

天狗と狐神主が同時に襲いかかってくる!

「は、母上?何を言ってんだ!俺はおまえの母ちゃんなんて知らないぞ!」

イッセーがさけぶが

「ウソをつくな!私の目は誤魔化しきれんのじゃ!!」

イッセーは逃げる。そんな中、天狗の錫杖がイッセーに降りかかろうとした時だった

 

バチッ…

イッセーを取り巻く周囲に何かが光った瞬間

 

「おっと、そこまでだぜ、天狗のオッサン達」

『ぐっ…』

天狗が、その場から動けなくなった

 

スタッ!!

木々から、八雲さんをお姫様だっこした士郎が降りてきた

 

「あ、姉上!?それに士郎殿!?」

「九重、これはどういうことかしら?」

「あぁ、少しお話聞かせてもらおうかな?」

士郎は、ゆっくりと八雲を下ろす。イッセーは目から点状態だ。それから、士郎は目が点のイッセー状態を見る。

「すまぬ、今は――」

「そうか、わかった、夜、玉藻前からそちらあてに手紙をよこす、来てくれるか?」

「もちろんじゃ、お主がいれば何か動かせるかもしれん」

「あぁ、ならこの場は退け、いいな?」

「理由はいかんせんとして、承知した」

そういうと、一陣の風と共に彼女たちは消えていった。そのあと、士郎達は軽くイッセーに説明して修学旅行を続けるのであった。

 

 

――修学旅行、初日の夜

 

『ごちそうさまでした~』

士郎たちは、ホテルでの夕食を終えていた。というか、一番大問題なのは

 

「ごちそうさま~」

イッセーと木場とアーシアとゼノヴィアとイリナと士郎で席を囲んでいたのだが

 

「「「「「(なんで、ここに…?)」」」」」

それがいまの6人の共通意見だった。

テーブルには、八雲が普通に混じって食べていたのだ。ちなみに、士郎は気にせず一息ついていた。近くにあった冷水を一気に飲み干す士郎。

 

なんでいるかというと、あの襲撃未遂事件の後、士郎とイッセーは、八雲と一緒にアサゼル先生とロスヴァイセさんに事を報告した。やはり思ったとおり困惑していて、状況収集のために士郎は今後の予定を告げるとアサゼルの提案でこうなったのだ。アサゼルの助言もあって、現状起きたこととしては部長には告げないことになった。

 


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