ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第二巻 不死鳥闘争編
第九話 アーシアの引越しと学校生活


アーシア・アルジェント救出から数日後――

 

まだ少し肌寒い、清々しい早朝の空気を身に纏いながら、士郎は走っていた。

「――」

士郎は、日課として鍛錬は怠っていない。朝の早朝からジョギングと筋トレは欠かせないそれに加え、専用のメニューもある。

 

それはなんなのかというと

 

「――相変わらず手荒い歓迎だ」

飛んできたのは、ただの竹で出来た槍。

「さーて、兄ちゃん、とっととやろうぜ!!」

現れたのは、全身タイツの男性。

その後ろには、筋骨隆々の男性や、浅黒い肌の男性に、騎士甲冑を纏った金髪の男性やローブを纏った女性がいる。彼らが士郎の師範だ。

これだけの面々が集まれば目立って当然であるが、人払いや固有結界などを応用して擬似的に訓練空間を作り出している。

士郎は、飛んできた市内を手刀で割り、相対する。

「ヘラクレス直伝の基礎鍛錬に加え、反射神経も上がってきた――そろそろ、ディルムッドのやつに任せてもいいかな?」

そういうと、クーフーリンと士郎が交差する。そして、一気にお互いが加速していく。両者とも下手な小細工はない本気のぶつかり合いだ。その手に汗を握る光景を後ろから眺める面々。

士郎が相対しているのは英霊と呼ばれる一騎当千の猛者たちだ。では、なんでこんなにいるのか?それはジルニトラが解決してくれた。

 

 

それから一試合終わらせると、部長から招集がかかった。

 

部長からの招集はなんなのかというと、いわゆる新しい仲間であるアーシアの引越しを手伝えということだった。

士郎は、予め朱乃さんに頼んでいたもの(軽四トラック)を受け取り、それをさも当然の様に動かす。当の朱乃さんは、終始驚いた表情で士郎を見送った。そして、途中寝起きの塔城を拾う。

「んにゃ~朝からなんですか~」

相変わらず眠気眼、車の中でも寝ている。とはいえ、寝顔を見れて若干役得と思いながら軽四を走らせる士郎。

そして、アーシアの古巣に到着し、予めアーシアに搬送印を付けてもらった引越し用ダンボールを全て積み込み、兵藤邸宅に届けた。

 

 

兵藤家――

 

到着と同時に、部長から指示された通り、士郎と小猫とヘラクレスの三人でダンボールを運んでいく。思わぬ大量の荷物の到着に戸惑う兵藤家の両親だが、宛名を全て兵藤一誠にしてあるので、問題ない。それから、運んでいると

「士郎先輩」

「ん、なんだ?」

「今回、手伝ったんですから、何か欲しいです」

「何か欲しいといってもな、何が欲しいんだ?」

ダンボールを運びながらお互い言葉を交わす。

「そうですね、今度一緒に買い物付き合ってください」

「買い物?それくらいなら、全然いいぞ」

あさっりとした反応の士郎

「約束ですからね」

「おう」

それから、黙々とダンボールを運んでいき、全部終わると

 

「あら、士郎、小猫」

渦中の部長とイッセー、それにアーシアが戻ってきた。

「おや、三人とも、ちょうど搬入終わりましたよ」

「流石だわ――上がってお茶でも飲んで行きなさい」

「どうも、では、お邪魔します」

それから、色々と察したアーシアが動いていく。

 

「士郎さん、小猫さん、お茶です」

「どうも」

「ありがとう」

アーシアからもらったお茶をすする士郎と小猫。手元には、アーシア特性のおにぎりで何が入っているかはランダムらしい。

「(なかなか、いけるな)」

とアーシアの作ったおにぎりを食べながら空を眺める士郎。それから、家族会議がすぐ横で行われ、アーシアがイッセーの家にホムステイということで、イッセーの家に住み着くことになった。そのため、再びダンボールの山をアーシアの部屋に運び込むことになり、今度は、士郎と小猫とイッセーの三人で運んでいった。

 

なんやかんやあり、運び終わると時刻は夕方になっていた。

「さてと、では帰りますわ」

「今日は、ありがとう、士郎、小猫」

「ありがとうございます」

アーシアにも礼を言われながら玄関を出る。

「いえいえ」

そう言いながら玄関から外に出る。

「そういえば、こんなに大量な荷物どうやって持ってきたの?まさか、アーシアの家から歩いて運んできたの?」

「まさか、トラックですよ」

「トラック――?」

士郎は、さも当然の様にイッセーの家の前に止めてあった軽四トラックに乗り込む。

「小猫ちゃん、ノリな――送っていくよ」

「ありがとうございます」

塔城もさも当然の様に乗り込む。

「「「――えっ!?」」」

その光景に驚く三人。

「まぁ、そういうことですので、では~」

Brrrr~

エンジンのいい音と共に、その場を去っていく士郎と塔城。

 

「ねぇ、イッセー、高校生って運転出来たっけ?」

「できません、捕まります」

「――なんで、できているのかしら?」

「さぁ・・・」

少し意味深な状況に三人は戸惑った。

 

 

 

数日後――

 

学校に向かう士郎。すると、通学路からは悲鳴などがたくさん聞こえてくる。

「――どうして、アルジェントさんと兵藤が同じ方向から……」

「バカな……何事だ……」

「嘘よ――これは嘘よ」

と観衆の悲鳴に近い声。それを傍らに士郎は通学路を歩いていく。やはり、視線の先には兵藤とアーシアがいた。

「おっす、イッセー、おはよう」

「おう、士郎もおはよう」

「士郎さん、おはようございます」

挨拶を交わし、転入初日から全校生徒の間で話題騒然だった金髪美少女と肩を並べて歩いていく。

「にしても、相変わらずっていったところか?」

「まぁ、そんなところだな?」

「何の話ですか?」

「アーシアは相変わらず人気だなってことだよ」

「だな――ところで、アーシア、学校で何か困った事はないか?その、女の子とも仲良くやっているか?」

「皆さん、とっても良くしてくれますよ、私が日本に早く慣れるようにいろんなことを教えてくれます、お友達もたくさんできました、今度一緒にお買い物行こうって誘われてもいるんです」

どうやら、クラスメイトとの関係は良好みたいだ。それから、学校に到着し、教室に向かうと

「アーシアちゃん、おはよー」

「おはよう、アーシアさん、今日もブロンドがキラキラ輝いているね」

到着するやいなや、松田と元浜が駆け寄ってくる。

「おはようございます、松田さん、元浜さん――」

「やはり、これだね、元浜くん」

「あぁ、そうだな、松田くん、美少女からの『おはようございます』、朝から生き返る思いだ」

と色々と虚しい言葉を交わしている。

「それにしてもイッセー、アーシアちゃんと毎日登校しているらしいな」

「そ、それがどうした?」

「おかしいじゃないか、なぜに毎日同じ方向から朝登校してくるのかな?かな?」

どこからか嗅ぎつけた情報をイッセーにいう、松田と元浜。

「いいか、松田と元浜、俺とお前たちには決して越えられない壁で隔てられてしまった、これは仕方ないんだ」

「な、何を勝ち誇ってやがる!」

少し向きになるイッセー。士郎も少し面白くなってきたので

「なぁ、知っているか、松田、元浜」

「なんだよ、士郎?」

「イッセーは、アーシアの家に…あっ、逆だ、イッセーの家にアーシアが住んでいるんだよ」

「「はぁっ!?」」

「そうだろ、アーシア、イッセー?」

「はい、イッセーさんのお家でご厄介になっています」

ニコニコ顔のアーシアに絶句する二人。

「う…嘘だ!!」

涙を流して悔しがっている松田。そして、元浜に至っては冷静に振舞おうとしているが、振る舞えていない。そして、トドメと言わんばかりに

「有史以来、世界が平等であったことなどないんだよ――」

士郎が二人に言うと同時に、その場に崩れる二人であった。


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