ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第八十九話 アメリカへ

そして、ロンドンシティ空港

 

チビチビ・・・チビチビ

士郎とエミィは空港のターミナルの一角に座っていた。エミィは、士郎のとなりで飲み物を飲んでいる。士郎はコーヒーを一杯飲んでいる。

「これ、美味しいですね」

「まぁ、普通のオレンジジュースだがな」

新聞を読む手を一旦止めて士郎は、手元のチケットを取り出す。そこにはアルトリアが用意してくれた10時30分発の飛行機のチケットがあった。出国手続きはこれからだ。

そんな中

「(来たか…)」

と感じていると案の定

 

「――士郎」

目の前に、サツキとアルビスが現れた。

「状況は?」

「士郎の言うとおり調べたわ――昨日の今日で、中々早いじゃない」

アルビスが腰に手を当てながら言う。

「そりゃどうも」

「それで、この子が?」

「あぁ」

士郎は頷く。士郎は、エミィの方に視線を向けると

「お兄様?」

「「――…」」

ピシッー…

氷のように二人の視線が凍りついた。

「士郎、どういうことかしら?」

「えっ、いやエミィが勝手に呼んでいるだけで」

「へぇ~勝手にねぇ~……まぁ、いいわ」

その冷たい視線は、すぐに溶け

「任せなさい、守ってみせるから」

「えぇ、任せなさい」

二人がこういってくれるとは、これほど頼もしいものはない

「んじゃあ、いってらっしゃい」

「えぇ、頑張って」

「あぁ、んじゃあ、エミィ待ってるんだぞ」

「はい、待ってますお兄様」

三人に見送られ、士郎はアメリカに向かって旅立っていった。

 

 

 

 

 

NewYork――午後15時

 

士郎は、ジョン・F・ケネディ国際空港からアメリカの大地に降り立ち、そこからバイクでマンハッタン島にあるダイアモンドクラックスビルに向かう。

バイクを走らせて数分後

 

「見えてきたか」

視線の先に、摩天楼が見えてきた。その代表とも言えるエンパイア・ステート・ビルディングが見えてくる。士郎はバッテリー公園の法に向かって進んでいくと、自由の女神が見えてきた。それからマンハッタン島にはいり、サーゼクスから渡された住所に指示されたダイアモンドクラックスビルにバイクを走らせると、数分で到着した。

 

「ここか…」

サーゼクスの指示通りにやってくる士郎。サーゼクスからはここ宛に別の手紙も貰っている。一応紹介状ということになっている。それから、士郎はバビロンにある瞳さんとソフィアさんからもらった大切な書類があるかどうか確認して、ビルの中に入っていく。ビルの中には、スーツ姿のサラリーマンがせわしなく動いている。少し目立つものの士郎は気にせず、そのビルの受付に向かっていき、受付嬢に話しかけた

 

「ようこそ、ダイアモンドクラックスビルへ、どのようなご用件でしょうか?」

「えぇと、これを」

そういうと、士郎はサーゼクスからの紹介状を出すと、それを見た受付嬢はすぐさま内戦をどこかにかけた。

「では、少々こちらでお待ちください」

そう言われ、受付の横で待っていると

ザワザワザワザワ…

少しビルのロビーがざわめきたつ、士郎はそれを気にせず瞳を瞑っていると

 

「こちらの方?」

「えぇ」

受付嬢がその担当者と思わしき人と話している。話している分には問題はないのだが、その声はどこか聞き覚えがあることに問題があった。士郎は必死になってその人物が誰なのか思い出していると

「あら、あなたね?」

「えぇ、そうですが――」

 

担当者は、漆黒の瞳と腰までの黒髪、白い肌に恐ろしく整った容姿を持つスーツ姿の女性だった。そして、我が目を疑った。そして、相手も我が目を疑った。

「「(な、なんでここにいるの!?)」」

 

「んじゃあ、話が話なんで、オフィスに案内しますわね~」

何事もないように装うその"担当者"だが、どう考えても色々と動揺しているのは見て取れた。それを感じ取った士郎は足早にそこから去っていく担当者についていく。

それから、何も言わずビルの階段を進んでいき、扉の中に入っていくと、そこには六本木などにあるオフィスビルとかわらないオフィスがあった。そして、オフィスの中を歩いていき、小さな個室の前に止まり、ドアを三回ノックして

「吉成くん、お客様よ」

少しため息をつくような感じで言う担当者

「わかった、入れてくれ」

そういって、入ると

「へっ?」

その吉成と呼ばれる男性も、自分の目を疑った。それから、その担当者は素早くドアを閉めた。

 

 

「はぁ…とりあえず座りなさい士郎」

何かが切れたように少し安堵する"担当者"

「ん」

士郎はそういわれ、近くに座る。

「美紅――どういうことだ?なんで士郎が?」

「それは、私が聞きたいところよ」

そう、担当者のフルネームは丹羽美紅、士郎の実の母親だ。そして、吉成と呼ばわるスーツ姿の爽やかに額に冷や汗を垂らす男性は丹羽吉成、士郎の実の父親だ。

そして

 

ダキッ!!

「シロ~」

「う、母さん」

可愛らしい声を出して、後ろから抱きついてくる母親。この年になるとそれは恥ずかしいだけしかない。

「まさか、士郎――お前がここに来るなんて、夢にも思わなかったわ」

「父さんと母さんこそ、まさかアメリカにいるとは思わなかったよ」

「あら、驚いた」

「もう驚いたレベルじゃないけどね」

そう言う士郎

「ま、サーゼクスから書類貰っているんだろ、出してもらおうか?」

「ん、あぁ」

士郎は、そういうとその書類を渡す。それに目を通す父親。不思議な感覚がする士郎。目を通している父親を見ていると

「はい、士郎」

「ありがとう」

母親から緑茶を差し出してきたので受け取る士郎。そして肩を並べ座る親子。

「それで、ソフィちゃんから聞いたけど、アルビスちゃんと付き合っているんだって?」

「えっ!?なんで、それを!?」

「知り合いだからね、私とソフィアは」

衝撃の事実に現実を受け入れられていない士郎

「美紅――瞳の方ともできているみたいだぞ」

「あら、サツキちゃんとも!?」

驚く母親に、思わずお茶を吹き出しそうになる士郎

「な、なんで知ってんのさ……まさか、知り合いとか?」

「そのと~り、私と吉成君とソフィアと瞳は友達だからね~ほら、写真」

 

「oh……」

写真を見せられ、言葉が出ない士郎

「そんで、どこまでいったのさ」

腰をつついて聞いてくる母親

 

「どこまでって…いや、まだ思ったように」

「あら、わかっているのよ、一緒に寝てるんでしょ?」

「へっ!?」

あからさまに見抜かれ驚く士郎

「な、なんでわかるの…」

もうタジタジな士郎

「だって、母親だも~ん」

この人は予知能力者かと思う士郎。

「まぁ、もうベッタリなんでしょ?わかるわよ?」

「…」

何も言い返せない士郎、そんな中

「――さてとっと、美紅上がるぞ」

「あら、なんで?まだ早いじゃない」

「あぁ、ここじゃちょっときつい話がいくつか出てきたんだね、あともう一つ家族団らんの時間は必要だろ?」

「そうなの?わかったわ、んじゃあ、そうね~…手早く終わらせましょうか?」

「だな」

そういうと、手早く仕事を進めていく両親。それを見守りながら士郎もどう報告したらいいか考える。

 

それから、数時間が経った。

「んじゃ、出るわよ~」

「は~い」

オフィスを出て帰り道、士郎は母親と手を繋いでいた。若干恥ずかし士郎だが、気にする気もなくマンハッタンの町並みを歩いていると

「あら、美紅――久しぶりね」

アルビスとは違った金髪のこれまた抜群のプロポーションの女性がやってきた

「あらスーザン、ひさしぶり、どっか行くの?」

「えぇショッピングよ?あら、美紅その手を繋いでる子は?」

「ん、士郎??私と吉成くんの子供だよ?」

「エェっ!?この子が!?そっくりじゃない、髪といい目元といい」

「でしょ?仕事の都合でね、日本にいるんだけど、訳あってきたわけよ」

「へぇ~、どうも私は、スーザンよ、よろしくね士郎くん」

「はい、丹羽士郎ですよろしくです」

少しぎこちない態度をするが、無理もないだろう。だって目の前のスーザンさんは全米でも10本の指に入るセレブなのだ。

「礼儀もしっかりしていて、なにより、髪も整えられていていいわ~ねぇ、美紅」

そうスーザンさんが言いかけたとき

「ダメよスーザン、もう士郎二人もお嫁さんがいるんだから」

「(ちょ、母さん!?)」

止めに入ろうとするが、止められない士郎

「あら、羨ましいわね~けど、友達はいいでしょ?」

「まぁ、いいわ士郎、今度カトレアちゃんとあったら?」

「ん、考えときますよ」

応答保留にする士郎

それから、再び別れて歩き出す士郎。

 

「カトレアさんだよね?」

「えぇ、イギリスに居るみたいだからね、結構行くんでしょ?」

「まぁ…ん、もしかして――カトレア・ドラクライトさんだよね?母さん」

「えぇ、そうだけど、知り合い?」

「ん、女王陛下のパーティーでねアルビスの護衛をしたとき、ちょっと」

「あぁ~ソフィアちゃんのパーティーか、まぁ、ありえないこともないわね」

母さんと士郎でそう話す。それから、数分後――そこそこ家賃が高そうな家に到着した。

「お邪魔しま~す」

そういうと

「じゃないでしょ?士郎?」

「そうだぞ」

「…た、ただいま」

少し恥ずかしながら言うと

「「おかえり、士郎」」

二人に少し祝福されるのであった。

 

それから、シャワーを借りて汗を流していると

「シロ~」

バンッ!!

「えっ!?母さん!?」

突如、母さんが入ってきた。そして、何事もなく士郎に密着してシャワーを浴びる

「士郎、シャワー」

「ん、はい(って、待て待て待てぇぇぃ!?)」

サツキに負けず劣らずの豊かな胸を押し付けてくる母親。士郎の顔が紅くなる。

「久しぶりだね~こんなこと」

「うん」

思わず心が落ち着いてしまう自分が恨めしいと感じる士郎

「もしかして、恥ずかしいと思ってる士郎?」

「うっ…まぁ」

「まぁ、気にしない気にしない――ほら、頭洗ってあげるから」

「え、自分でできるよ」

少し強がる士郎

「いいの、いいの、ここまで綺麗な髪なんだから、少しは洗わせなさい」

「ん、はいはい」

そう言う士郎、そして、髪を洗って貰う士郎。

「本当に、似ているわね~ってか、なんで切らないの?」

母親は、語りかけるように言う

「だって、少しでもお母さんに似ていたところがあったほうがいいかな?って思って」

「へぇ~十分あなたは私にも吉成君にも似てるわよ」

そういう母親

「そういや、なんで母さんは父さんのことを吉成君って呼んでいるの?」

「ん?私は永遠の17歳だからよ?」

「つまり、初々しいままでいたいと?」

「そゆこと~」

それから、お互い再びシャワーを浴びるのであった。

 

 

そして夕食

 

「(あぁ~懐かしい)」

味噌汁とカレーの懐かしい匂いに少し感動し泣きそうになる士郎。

「お、今日は、カレーか」

「えぇ、そうよ」

変わらない見た目に、再び感動する士郎

 

「「「いただきます」」」

それから、手作りのカレーと味噌汁を食べ終る士郎。

 

「(あぁ~なつかしいな…)」

味を噛み締めながら食べる士郎。それから、デザートのオレンジなどを食べ終わり、1時間がたった。

 

「さてと…聞かせてもらおうか?色々と」

リビングの床には士郎が座っていて、ソファーには、父親と母親が座っていた。

「なにをさ?」

「いろいろよ?」

「…」

若干嫌な気配がする士郎

 

「まずはじめに――計画、いや神姫計画について教えてもらおうか?」

「どうして、それを?」

「こっちも、把握していないと困ることもあるんだよ、それに――サツキちゃんの話聞きたいだろ…?」

「う…どこまで知っているか知らないが、まぁいいでしょう」

士郎は、自分の責任でそれを話し始めた。

 

それから数時間後

 

「――そこまでいったか」

少し困った顔をする父親、士郎はある情報とともにサツキに何が起きたのかを聞いていた。

「んまぁね、サー・アイザックス・ヴァンディンは俺とアルビスがやった」

「へぇ~結構やってるのね~」

「それに自治国みたいなのもかなりすごいことになっているな」

「えぇ」

「クレアちゃんか――まさか、ね…」

「あぁ、士郎のうつしみになったとはな」

少し暗い顔をする二人

「大丈夫だよ父さん、母さん」

士郎は不安を打ち砕くように言う

 

「大丈夫なの?」

「うん、仲いいから」

「まぁ、仲がいいならいいけど・・・どれくらい仲いいの?」

「そうだな…相談に乗ってくれるだろ?あと服もアドバイスくれて、あとはよく寄りかかってくるな」

色々な意味で部屋が凍りついた

「そこまで行っていたのね」

「そこまでって?」

「まぁ、これ以上聞かないほうがいいな」

「えぇ」

それから、なんやかんやでいろいろ聞かれ、時間がかなり立った。

 

それから、

「んじゃあ、士郎寝るわよ?」

「ん、もういいの?」

「あぁ、終わったからな」

いつの間にか寝巻き姿になっているので、士郎も水色と白の水玉模様のパジャマ姿になる。

「あら?士郎そんなの持ってたっけ?」

「ん、持ってたよ?」

そう眠気眼をこすりながら言う

「んじゃあ、寝ましょ」

布団が敷かれ、横になる三人

 

「って、なんでこうなんだよ?」

「いいじゃない、いいじゃない」

やけに密着してくる母親。少し顔を紅くしながらも士郎は久しぶりの親の感触を感じるのであった。

 


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