ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
――刻は流れ、ここは英国のロンドン
人が行き交う中、士郎とサツキは、ブリッジストリートとビクトリアエンバンクメントの交わるT字路の所にいた。
「ここだな」
もう何回もここに来たことある士郎は場所はわかっていた。
「――宮殿には立ち寄るな…か」
「アルビスにしては珍しいわね」
「同感だ」
と、呼び出した本人を待っていると
「やっほ~」
「「おわっ!?」」
陽気な声と共に、士郎とサツキの後ろにアルビスが現れ抱きついてきた。
士郎は唐突的な事だったので、顔を紅らめる。
「あら、照れちゃって、かわいいわ」
士郎の顔を覗き込みながらいうアルビス
「それで?どうしたんだ?」
「えぇ、そのことについて早めに話したいのだけれど、まぁ、行きましょうか」
そういうと士郎とサツキは、ロンドンの町並みを歩き出した。
「数日前ね――イギリスの王室宛に匿名で手紙が届いたの"研究機関の一部で人体実験"が行われてるってね」
「人体実験?」
「えぇ、それも非合法な実験ね――それで、こっちの諜報部のつてでね、資金が少しおかしいところに流れているのがわかったのよ」
「それの調査ってわけか?」
「そういうこと、しかも困ったことに議会にね――」
「それって、ものすごい規模のモノになるのじゃないのか?」
「まぁね、そういやサファイアさんから何か聞いた?」
「ん?なんでサファイアさんが出てくるんだ?」
「――あら、そう…話がいってるかと思ったんだけどね、関わっているのよ"
「ねぇ、まさか――魔術を使った生体実験なんて・・・ありえないわよね?」
サツキが聞くと
「それがありえないわけないみたいなのね」
「「そんな・・・」」
士郎とサツキは顔を見合わせる。
「まぁ、それで話続けるわよ――今回の任務は、結構難しいわ、まず最初に、これから議会が行われるわ、その中に出席しているはずの大物の議員"ディーゴ・A・パディントン"を監視、そして、夜中6時から行われるアメリカ大使館でのパーティーで"何か"を多分研究所の幹部から受け取るみたいだから、それを押さえる、いいわね」
「あぁ――んじゃあ、行こうかね」
そういうと、三人はその場で瞬時にスーツ姿になり、ウェストミンスター宮殿――
スーツ姿で議会を上から士郎は見ていた。視線の先には、議員ディーゴ・A・パディントンがそこにいた。
「(目標に変化なし――か)」
士郎は、一挙手一投足に気をつけながらいる。そして議会は終わり、議員が次々に帰り始める。
「サツキ、議会が終わったぞ」
『えぇ、対象はマークしたわ』
士郎は彼に特殊な物質をつけておいたのだ。これは、追跡用のGPSになる。それから、気づかれないように追って士郎も外に出ると、彼はリムジンに乗り込み、アメリカ大使館に向けて走り出す。士郎は、通路にいたアルビスからアイコンタクトで指示を受ける。士郎はウェストミンスター宮殿の横の所に停めておいたYAMAHA V-MAXに乗り込み彼の乗る車を追いかける
「・・・ここか」
彼を追いかけていくと、予定通りアメリカ大使館に到着した。ロータリーのところではひっきりなしに車が動いていた。そんな中
『士郎、聞こえている?アメリカ大使館着いた?』
多分、こちらに向かっているであろうアルビスから通信が入った。
「着いたぞ――どうした?」
『士郎、入口見える?』
「あぁ」
『多分、セキュリティ厳しいわね――種類分かる?』
「指紋認証と顔認証だな」
『う~ん、私なら――顔が通ってるから通れるけど、士郎、案ある?』
「電子が掛かってるとキツイな、そっちは?」
『そうなると思っていたから、いま精鋭数人で動いてもらっているわ――』
「さすが、それで」
『30秒で書き換えるわ――その間、時間伸ばせる?』
「無論――問題ないさ」
そういうと、紅い絨毯を進み一般人として中に突入する士郎。それから、アルビスの言ったとおり何とか通過し、先ほどの機器を通して彼を見つけると。彼は、スーツを着た爽やかで紳士的、笑顔を絶やさない温厚そうな人物とはなしていた。
「(誰かと…話しているな)」
士郎は、わからないように写真を取ると
『士郎、拾える?』
「わかった」
そういうと、士郎は彼の方に近づく、同時に悟られないように士郎は近くにあった飲み物を一杯飲んでいると
『金は足りているかね?』
『――研究は十分に進んでいますよ』
『そうか、それはよかった』
『いえ、あなた様のおかげですよディーゴ様』
『――しかし、極東で起きたことは誠に悲しかったな』
『えぇ、まさかあの家が潰されるとは、思いもしませんでした』
『それで、どうするのかね?』
『こちらに揃うものは揃っているので』
『そうか――期待しているぞ』
そういうと、二人は別れていく。それから、アルビスの指示で一度外に出た。出ると、出口のところにアルビスとサツキがいた。
「さてと、それでどうなの?」
「あぁ、BINGOって感じだな」
「ふぅん…写真は?」
「あぁ、彼だ――」
士郎はアルビスに写真を見せると、よくわからなそうな顔をするアルビス――そんな中
「アイザック・ヴァンデイン――大手製薬企業ライグダスの専務取締役兼社長よ」
その聞きなれた女の人の声にそちらを向くと
「…――サファイアさん」
「士郎、あなたもこの件を追っていたのね?」
「まぁ、アルビスからの依頼ですけどね」
士郎はそういう。サファイアさんの後ろには、リアナとレイとサファイアさんも含め、スーツ姿でいた。
「それで、どこまでたどり着いたのかしら?」
「そうよ、会話盗み聞きできたんでしょ?教えなさい?」
ステリアさんとアルビスが聞いてくる
「聞こえたのは、あの家、極東、研究、くらいだな――それと、順調ってのもな」
「極東のあの家……それで、カオスブリゲードが関わってくると」
「けど、特務官からの報告だと、こちらで処理したってことになってるわね」
「たぶん、そのことでしょうね」
士郎は、その特務官という言葉は聞いたことなかった。
「サファイアさん、その特務官って何ですか?」
「あら、このことは知らなくて当然ね、特務官って言うのは、人間界にいる悪魔で魔王政府の勅命で動いていたりもするし、独断で動いている魔王政府から特殊権限を持った悪魔たちのことを言うのよ、まぁ、特務官のほとんどが最上級クラスの戦闘力を持っているのけどね、それで日本って言うと――十六夜瞳、特務官兼魔王政府顧問監察官よ」
「「――ッ!?」」
士郎とサツキの顔が驚いたものになった。なぜなら、まさかつい先日会った人が思わぬ形で関わってくるとは思ってもいなかったからだ。
「あら、その顔だと知っているみたいね、知り合い?」
「いや、知り合いもなにも私の姉です」
「「「「……」」」」
次は、リアナ・レイ・サファイアさんの顔が面食らった表情になった。
「狭いのね、世界って」
「まぁ、そんなもんですよ」
「そうね――それで、士郎達は、このあとどうするの?」
「どうしましょうかね、近くのホテルにでも泊まる予定ですよ」
「あら、そう――アルビスとサツキは?」
「私も士郎と一緒ね」
「私は、お母様に一応報告をね」
「――そう、わかったわ、では、一旦解散としましょうか」
「そうですね、んじゃあ、どうします?」
「ちなみに、士郎――ホテルの宛は?」
「ん、特にね、ないですよ」
そんな中、通信機器で通信が終わったステリアさんがこちらにやってきて、
「士郎くんに、アルビスちゃんとサツキちゃんも――四人部屋取れたわ――どうする?」
ステリアさんが言っているのは、三人とも来いということだった。
「ありがとうございます――では、遠慮なく」
「そうね、四人べやなら問題ないわね」
「えぇ、そうね」
士郎達代行者一行は、サヴォイホテルに向かっていった。それから、ステリアさんの超絶手続きで士郎は割り当てられた部屋に向かう。
「……まぁ、こうなるのね」
「なんら、変わらないわね」
「――…なんでさ」
「まぁ、気にするな、気にしたら負けだと思うぞお父さん」
部屋の中には、エルとサツキとアルビスがいた。
「まぁ、信頼してるからだろうな――」
「良い意味なのかどうか、わからないけど――まぁ、気にしたら負けね」
「ん、だな」
案内されたのは、そこそこ広い家族用の部屋だった。そこに私服で座ったりベットの上で横たわったりしている。
「にしてもねえ…」
真ん中に寝っ転がっているのは士郎、その隣ではアルビスとサツキが士郎のベットの上に座っている。そして、エルは近くの椅子に腰掛けている。
「ふかふかだね~」
「えぇ、ふかふかね~」
サツキとアルビスは呑気だ。それが何とも言えない心地よさを与えてくれる。と、そんな中
「士郎、入るわよ――」
ノックもなしに、私服姿のサファイアさん含めた一行がやってきた
「おやおや、どうしました?」
「今後のことよ――」
顔持ちが真剣なものになるので、気を引き締める士郎。それから、各自が座るところに座り、話が始まった。
「んじゃあ、はじめるわよ――」
ミーティングが始まった。
「とりあえず、今回関わっているのは、ディーゴ・A・パディントンと大手製薬企業ライグダスの専務取締役兼社長サー・アイザック・ヴァンデインね――これに関して、何かある?」
「あぁ、そのことについてだが、数年前ライグダスは、国税局に抜き打ち査察されているみたいだ――」
レイが言う
「そうね、まずはそこをって言いたいんだけど、リアナ、アルビスからのデータはどう?」
「うん、解析したけど、BINGOだったね――使途不明金総額六〇〇〇万ポンドがイタリアの口座に振り込まれていたね」
「ポンドがそのまま…けど、ユーロで両替されているのよね?」
「うん、そうなんだけど、この情報、機関に流れてないね」
「国税局に流れていないデータってことね」
アルビスがいう
「それで、振込先は?」
「――イタリアのロッジネロってところ宛だね」
「あそこか」
そう、振込先は((禍の団|カオスブリゲード))とつながっているとされているマフィアみたいだ
「そうだな――どうする?」
「華麗にド派手にでいいんじゃないのか?」
「そうだな、事務所いけば何かわかるだろうな」
「えぇ、そうね――まぁ、明日の真昼間に行いましょうか」
「大胆ですね」
「そんなもんよ、リアナ、場所は?」
「ん、わかったよ――本拠地は、ドイツみたいだね」
「なんで、ドイツ?」
「さぁ、そこはわからないけど、場所はフランクフルトの外れにあるね」
「制圧戦か」
「みたいね、んじゃあ、作戦に入りましょうか」