ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第八巻 第零章 神姫編
第七十九話 眷属勢揃いと挨拶と


士郎は夢を見ていた。満月の夜空の下、誰かと話している夢だ。長い白い髪に不気味な雰囲気の女性。顔は見たいが、顔が見えない。そんな夢だ。白い髪はヴォンだとわかるが、直感が目の前の者じゃないと告げる。いったい誰なのか、だが、その女性は話しかけている。そんな夢を士郎は心地よく見ているのであった。

 

 

 

 

 

 

ロキとの戦闘が終わり、士郎たちに束の間の平和な日常が訪れていた。

 

士郎の家――

 

「うぅん・・・」

木漏れ日の中、士郎は目を覚ました。士郎は、ベットから立ち上がり下の台所に一杯の水を飲みに向かう。

 

ゴキュッ、ゴキュッゴキュッ

朝の一杯の冷水が士郎を起きたばかりのまどろみから一気に引き離してくれる。そして、朝ごはんをつくろうとしたとき

「おはようございます、士郎」

珍しいとまではいかないが、キッチンにはアルトリアとエミヤが一緒に朝食を作っていてくれてた

「おはよう、アルトリア、エミヤ」

「おはよう」

少し無愛想ながらも返事を返してくれるエミヤ。

「(英雄が自分の家で朝食づくりか…賑やかになったな、この家も)」

と現界した英霊がこうも馴染んでいることに半ば笑いそうになりながら、士郎はテーブルにつく。出てきたのは、定番でもなんでもないが焼きジャケと味噌汁と白米と漬物などが並べられる。言うまでもなく、今日は和食みたいだ。

 

「(そういや、カズキとアルビスとヴォンはいないんだよな…)」

二人のいないことに寂しさを感じながら士郎はテーブルに付く。頭の中で二人も私用があるのはしょうがないことだと納得し、三人でテーブルにつく。この場にいないヴォンはアルビスが英国に連れていった。因みに、エルは、士郎でも起こせない。なぜなら、寝相が悪いからだ。一回、エルを起こしに行ったら士郎が捕まってそのまま抱き枕にされて寝るというなんとも恐ろしい事態になってしまったりしたことがあったからだ。

とそんなこと考えながらいると朝食が出来上がりテーブルにつく三人

 

「「「いただきます」」」

三人で朝ごはんを食べ始める。

 

「士郎、少しいいですか?」

「ん、いいけど」

味噌汁をすするのを一旦止め言う士郎

「はい、実は今日の朝、手元にこんなものが届いたのですが」

そういうと、食卓に3枚の書類を置いてくる。その書類は、堅苦しいことがつらつらと書かれていたが、瞬時に理解する士郎。同時にいろいろと血の気が引く

部長から"ロスヴァイセさんが揃ったので城に行くぞ"、と玉藻前から"一回位京都に顔出せやゴラァァァ!!"とサツキから"ちょっと用があるから付き合いなさい"だった。

 

「大変だな・・・士郎も」

エミヤがごはんを食べながら苦笑いしながら言う。当の苦笑いをする本人もこんなふうに苦笑いできるのはいつぶりだろうと感じているだろう

「・・・う」

何も言い返せないのが若干悔しい

「いかがなされますか?」

「まぁ、動くしかないよな――スケジュールはこっちで詰める、すまんが二日分の旅行セット頼む」

「了解しました」

 

 

 

それから、士郎はイッセーたちと連絡を取りながらいると、部長から一応こっちに来なさいとお達しがあったので、ラフな格好で士郎は兵藤邸宅へ向かった

 

まず入って、一番最初に士郎を刺激したのは、相変わらずの女性率の高さということだった。

「(相変わらず多いな・・・)」

少し考えていると

「あら、早いわね」

廊下の先から部長が現れた。

「えぇ、早起きなもので――おはようございます部長」

「おはよう、士郎、すこし時間もあるから朱乃達と話していたらどう?」

「そうですね、あぁ、ここいらへんでごろりとしてていいですか?」

「邪魔にならない程度にね」

「了解」

士郎は、部長に許可をとって近くのソファあにごろりとしながら、頭の後ろで腕を組みながら瞳を閉じた。

 

 

「・・・士郎さん、起きてますか?」

アーシアが士郎の下にやってきた。そう言われれば、起きないわけにもいかないので、瞳を開け、目を覚ます士郎。

「ん、起きているが?どうしたアーシア?」

「ちょっといいですか?」

「まぁ、いいが」

そういうと、腹部にいる小猫ちゃんのことに気づく

「おっと、こんぐらいはしてあげるか」

気づいた士郎は、小猫ちゃんを軽々と抱きかかえると

「うわぉ・・・士郎さんは私たちの想像の斜め上を行きますね」

「どうも、それでどこに行けばいい?」

「私たちの部屋です」

「へっ?」

「まぁ、来てください」

ちょっと嫌な感じがしたので、士郎は小猫ちゃんを下ろそうとしたとき

「ニャっ!?」

目が覚めたらしい

「おはよう、小猫ちゃん」

「お、おはようございます、先輩」

顔を少し赤くしながら言う彼女

「ちょっと、アーシアのところ行ってくるね」

「わかりました」

そう言った彼女を下ろすと士郎は、アーシアについていくことにした

 

 

 

それからアーシアについていき、二階のイッセー達の部屋とかを進んでいくと

 

「じゃあ、入ってください」

「おじゃましま~す」

至って普通の女の子の部屋だった、しいて言うなら何故か、部屋にニコニコ顔の朱乃さんがそこにいた。流石に仲間に警戒するわけにはいかないと思い極力信用する士郎。

 

しかし、目の前には不敵に笑う朱乃さんとアーシア。若干嫌な気配がする。と考えていたとき

「んじゃあ、始めましょうか」

「おぉ~」

なにかを結託していることは分かった。けどそれがなんなのかわからない士郎。嫌な感じはますます募る

 

「んじゃあ、士郎、そこに座りなさい」

「はい」

そういって座ると、アーシアは手に櫛をとる

「???」

わけがわからぬ士郎をよそに、士郎の髪を梳かすのであった。

 

 

それから、数分後

「・・・わぉ」

朱乃さんとアーシアのおかげで士郎の髪は流れるように綺麗になっていた

「さすが、こうするとほんと美しいですね」

「えぇ、私も若干嫉妬しちゃうくらいです」

そういう二人。なぜなら、目の前には美少女にも遜色劣らないくらいに綺麗に整えられた髪の士郎がそこにいたのだ。

その後、少しハプニングがありながらも冥界に向かうのであった。

 

 

 

 

そして、部長本邸

 

今回、ここに来たのは部長の眷属が揃ったので、記念としてご両親に紹介することになったみたいなのだが、どうも部長の両親さんから士郎に強く出席して欲しいとの頼みが部長のところに来たらしい。流石に断るわけにもいかないので士郎は普通の格好をしながら出席することにした。

 

「ハハハ、ロスヴァイセさんは産業に関心をお持ちのようで、グレモリーの当主としては期待が膨らむばかりだ」

部長のお父さんが朗らかに笑っている。相変わらずのダンディだ。そんな中、部長のお母さんがカップを置くと前の話題から切り替わった。

「それにしても、士郎君、貴方のところのお話はよく聞いているわ」

「といいますと?」

「HUYUKI自治区、あそこは、いいところだわ」

「行かれたんですか?」

「えぇ、もちろん、グレイフィアと一緒に行ったけど、地中海沿岸の街みたいなところだったわ、少し山あいの方に行けばイギリスの田舎みたいな風景がまた何とも言えないくらい感動したわ――なんといっても青空ね」

「青空ですか」

「えぇ、悪魔は基本的に太陽に弱いけど、太陽がないながらも青空を見れるなんて、それに夜空も見れるなんてほんとすごいわ」

士郎のことをベタ褒めしてくる

「けど、あの青空とかどうやっているの?」

「アレは、あの辺一帯に上空の映像を投影しているんです」

「ってことは、曇の時は曇りとか、っていうこと?」

「はい、だから夜空とかもくっきりとか見えるんです」

「へぇ~そんな魔術があるのね、すごいわ」

部長やイッセーたちをみるといろいろと衝撃的すぎて絶句している。

「それと、農業や産業に関してはいい仕事しているわね、彼らも」

「ありがとうございます」

「いえいえ、こちらもいろいろと助かっているのよ、ああいうところは面白いから、それに見たこともない果物とかおいているから、それもまたいいわ」

「こちらでは、栽培できないものとかありますから」

「さすがね」

ロスヴァイセさんは、どこいったのやらと思う士郎

それから、他愛もない会話を続け、眷属勢揃いの記念お茶会は無事終えることとなった。そして、士郎を含めた部長たちは、サーゼクスに挨拶しに行くためにグレモリーの城に向かうことになった。通路を歩いている中、帰属服の黒髪のお客さんと鉢合わせした。全身から惜しげもなく覇気を撒き散らしている人はサイラオーグさんだった。

 

「お邪魔している、元気そうだな、リアス、赤龍帝に滅神龍帝」

「ええ、来ていたなら一言ってくれても良かったのに、けれど、そちらも元気そうでなによりだわ――と、挨拶が遅れました、お兄様ごきげんよう、こちらにお帰りになられているとうかがったものですからごあいさつだけでもと思いまして」

「気を遣わなくても良かったのだが、すまないね、ありがとう」

士郎も挨拶すると

「やぁ、士郎君、いろいろとお疲れ」

「お疲れ様です、魔王様」

皮肉を込めながら言う士郎。そして、サーゼクスが

「あぁ、サイラオーグ、赤龍帝――イッセーくんと少し拳を交えたいと言っていたね?」

「ええ、確かに以前そう申し上げましたが・・・」

「軽くやってみたらいい――天龍の拳、その身で味わいたいのではないか?」

サーゼクスは続けて部長に問う

「リアス、どうだろうか?というか、少しそこで暇を潰していて欲しいのだ」

「お兄様、なぜですか?」

「あぁ、士郎君とロビー交渉をね」

士郎に目線が来ると、士郎も別段問題ないという視線を出す

 

「まぁ、そういうならわかりましたわ」

そういうとイッセーとサイラオーグが対峙し始める。その後ろで士郎とサーゼクスは密かに会話をし始めるのだった。

 

「珍しいですね、貴方が堂々とこちらとコンタクトをとってくるなんて、それもサファイアさんに通さないで」

「それくらいの事なのだよ」

「へぇ・・・といいますと?」

「機密書類を運んでもらいたい、二箇所にだ」

「ジェームズボンドの007みたいですね、いいですけど、方法は?」

「あぁ、日本国内とイギリス運んでもらう、その時には」

「パスポートを通って正式入国してくれですね」

「聡明で助かる、書類はこれだ」

そういうと、コンパクトなアタッシュケースを取り出し、こちらに渡してくる。

「了解、かしこまりました」

士郎は、それを受け取って素早く王の財宝(ゲートオブバビロン)にしまい込んだ。

「それと、これだ」

渡されたのは、運ぶ場所のリストだった。

 

会話が終わると

「次は、滅神龍帝か――」

こっちに視線を向けるサイラオーグ、士郎も彼に視線を回す

「お手合わせ願えるかな?」

「光栄ですね、サイラオーグさん、んじゃあ、一発で」

「おぅ、一発だ」

士郎の魔力が士郎の腕を強化していく。同時に、紅蓮の炎が士郎の拳を包み込むと同時に

 

シュタッ!!

士郎は、拳に炎を纏わせサイラオーグとすれ違い様に拳を一閃した。そして、着地すると同時に

「グッ!!」

「ガハッ!!」

お互い腹部に一撃をもらい、口から吐血した。

士郎とサイラオーグは互の血を拭って立ち上がる

「この拳、今までにないくらい圧倒的な拳だな」

「どうも、そっちもわりと効く拳ありがとうございますね」

そして、サイラオーグが言った

「来い、レーティングゲームにな、そこで俺はお前を全力で倒す」

「どうぞ、お待ちしてますよ獅子王(サイラオーグ)さん」

不敵に笑うのであった。そして、サイラオーグさんは貴族服を拾って拳で軽く小突き、その場を去るのであった、

 

それから、士郎は部長に一礼を告げ本邸から京都に向かうのであった。

 


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