ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
バンッ…ガシッ…
「――変身中は手を出さないのが、お約束だろ?」
煙が晴れ、髪が長くなり、赤いマフラーを首元に巻き、不気味な笑みを浮かべているロキ。そして、両側には不気味なほど紅く光っている透明な正八面体の結晶物体が浮いている。
「…なに!?」
振り下ろした剣が片手で止められており、次の瞬間、士郎の頬を高エネルギーの光線がかすめた。と同時に、士郎は吹き飛ばされ
ズガァァンッ!!
地面にものすごい速さで叩きつけられた。
「「士郎!!」」
士郎を心配する声を挙げる二人、そんな中、ロキは右手の掌を上に向け、空中に向かって極太のレーザーのような一撃を放ち、 それを大量に分散させて、雨の如く矢を降らせて攻撃する凶悪な技を繰り出してくる。
「ッ!!」
士郎もそれを避けるためにものすごい速さで飛び起きその雨の中を飛び出し、
「
その雨を斬撃でなぎ払うが。
「――」
ロキが不敵に笑うと同時に、ロキの両側に浮いていた結晶体がビームソードのような巨大な剣になりそれがエクスカリバーの斬撃とぶつかり合い、エクスカリバーを相殺した。
「なら、これは!?」
サツキが、後方から小烏丸で一閃し、その際に刃から無数の黒い焔撃を放つ技を繰り出すが
ギィィィンッ!!
もうひとつの結晶がその攻撃を防いだ。
「――遅い」
ロキは目の前に無数の分身(残像)を作り出し、サツキの注意を引き、 ロキ本体はサツキの背後に回りこみ一撃必殺の打撃を繰り出す
「カハッ…!」
ズガァァァンッ!!
サツキが吐瀉しものすごい速さで地面に叩きつけられる。
「――ッ!!」
アルビスは目の前に巨大な魔法陣のようなものを発生させ、 そこから8つに枝分かれするエネルギー弾を一斉に発射して ロキに降り注がせ、そこから相手を焼き尽くすほどの高エネルギーの光線を放つ。間髪いれずに周囲に魔力でできたビットのようなものを展開させ、 それと同時に、魔弾をカーテナから放つ。魔弾はビットに反射されロキを多方向から攻撃する。そして、最後にカーテナの剣身が光だし、巨大なビームソードのようなものを展開され、 そのまま一気に振り下ろして攻撃を加える。一連のアルビスの"
「中々のコンボ――だが、甘い」
左右の腕から火と氷の竜巻を発生させて攻撃するロキ。魔力で攻撃を防いだものの、そのえぐりとるような攻撃にアルビスまでもが吹き飛ばされた。
「サツキ、アルビス!!」
「――よそ見をする暇はあるのかな?」
ロキは炎でできた巨大なドラゴンを現出させ、その口から 火炎放射をおこない攻撃をしてくる。
「ッ!!」
ズガアァァンッ
士郎は、それを
「「「士郎!」」」
部長とアサゼル先生とイッセーが声をあげる。
「(まだ、こんなところで終わるわけには……)」
隣にはサツキとアルビスがボロボロ状態でいる。士郎もボロボロ状態だった。
「――健闘ご苦労、では、楽にしてやろう」
ロキの指先にエネルギーが溜まっていく。いくら
「「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」
イッセーとヴァーリが二方向から突っ込んできて、ロキの注意を逸らそうとするが
ズガガガッ!!
浮かんでいた二つの結晶が壁のようになり二人の攻撃を防いだ。
「サツキ、アルビス・・・」
士郎は二人を守るように二人の上に重なる
「・・・士郎」
「士郎」
今後どうなるかを知って、サツキとアルビスの二人は士郎にしがみつく。絶体絶命を覚悟する三人。ロキは無情にも指から光線を放ち、それを横一直線上に一閃し全てを薙ぎ払う攻撃を繰り出してきた。そして直撃する数秒前、士郎の胸の内にあった鍵のような何かが外れた。
ズガァァァァァァァァンッ!!
光線は地面をえぐり、その場を跡形もなく焦土に作り替えた。砂煙が舞い上がり、あたりの視界が不明瞭になる。
「「「「「「「「「「士郎!!」」」」」」」」
ロキ以外のその場にいた者たちは、半ば絶望状態に陥った。なぜなら、ロキに対抗できる唯一の切り札"
「では、
ロキは右手の掌を上に向け、空中に向かってかなり巨大な魔法陣を展開する。
「くそったれ!!こんなところで、くたばってたまるか!?」
アサゼルとロスヴァイセが襲いかかるが
ギンッ!!
二人の攻撃は、あの結晶に阻まれロキに届くかない。そして、問答無用で先ほどの数倍はある極太のレーザーのような一撃を放つロキ。
それを大量に分散させて、雨の如く矢を降らせて攻撃する凶悪な技を繰り出そうとしたとき
シュィィィィンッ…コォォォォォォォォンッ
ロキの直下――士郎達三人のいたところで、輝かしいまでの黄金の魔力と禍々しいまでの漆黒の魔力が混ざり合いしかし融和してない魔力が渦巻いた。渦巻いたそれは、球体となりゆっくりとロキを通過し、上空に浮かび上がっていく
「な、なんだこれは!?」
ロキでさえその不思議な現象に驚いていた。
「神々しく、荒々しい……どういうことだ」
言葉では疑問を述べるものの、しかし答えを知っているが認めたくないような表情のアサゼル
「…なにが、起きてるっていうの?」
我が目を疑うような光景に驚いているリアス部長。
それから、魔力の渦巻きがはじけ飛びから現れた"存在"にその場にいた全員が目を疑った。
輝かしいまでの白金と全てを包み込むよう漆黒の黒が混ざった凄絶までに美しい髪に、金色のイヤリング。透き通った黄金と紅色のオッドアイの瞳。真っ白いローブのような不思議な服に見るものをぞっとさせるような黒いマント、膝から下には黄金に輝く太陽の具足。よく見れば腕にも黄金の鎧、いや、篭手のような物が装備されている。そして、一番目を引くのは、天使と悪魔二つの翼が片方ずつから8枚ずつ生えていることと、頭に生えている禍々しいまでのヤギのような角に神々しいまでに輝いている天使の輪っか。
この世とは思えない"存在"になった士郎がそこにいた。
「まだ生きていたのか…滅神龍帝」
表情を変えずに、士郎に攻撃を加えようとするが
「――」
士郎が空に向けて手を挙げると純白の魔力が士郎の周りに渦巻き、手ををロキに向けて振り下ろすと裁きの光のような無数のレーザーがロキめがけて、天罰を与えるかの如く降り注ぐ。そして、間髪いれずに聖なる光の羽が矢の如く無数に放たれ、舞い散る背中の黒い翼の羽の一部が無数の刃にその姿を変えて射出する防御不能の飽和攻撃も同時に放たれ
「ッ!!」
ズガガガガガガガガガガッ!!
今までロキを阻んでいた結晶にダメージを与えていく。しかし、これでやられるロキではなく、ロキも士郎に向けて今までより数倍はあると思われる攻撃を放つ。
ズバァァァァァァァァンッ!!
その攻撃で空間が歪むが――
「――」
士郎は表情一つ変えずにその場に"降臨"していた。
「な、なにッ!?」
流石に、これは予想外だったらしく、ロキの顔が引き攣る。それと同時に士郎の周りに黒い魔力が渦巻き、間髪いれずにその魔力が闇のような黒色の雷球にかわりロキに向かって飛んでいく、そして天から降り注ぐ無数の漆黒の雷でロキの結晶のバリアにヒビが入る。
士郎の背後に、巨大な炎の魔人と水の魔人と岩のような魔人が現れ、巨大な旋風が巻き起こった直後――
ズドォォッォォンッ!!
数十連続の光線や炎による大爆発や竜巻と雷を同時に巻き起こり、冷気でできた無数の槍がロキにいっぺんに襲いかかり
バリィィィィンッ!!
ついに、ロキを守っていた結晶が音を立てて崩れていった。
「そ、そんな、馬鹿な!?」
ロキが慄くものの士郎は表情一つ変えない。そして、士郎の天使の輪っかが少し光った。と同時に、士郎は右人差指を空中に指し
「――」
「な、何が起こるんだ!?」
ロキがそういうと、同時に上空に二股の真紅の槍が十二本現れた。
「(あれは、
アサゼルが危惧するが士郎は躊躇う暇もなく、それをロキに向けて射出すると
ズガガガッガガガガガガッ!!
ロキが地面に叩きつけられ、十二本の槍がロキの四肢に突き刺さった。
「グハッ…」
吐瀉してその場にぐったりとなるロキ。そんな中、ロキの直線上に、先ほどとは比べ物にならないくらい禍々しい"何か"を内包した紅い槍が現れた。
「あ、あれは、なんなの!?」
リアスが聞くと同時に
「あれは、ヤバイ!!木場!聖剣でシェルターを作れ、イッセー、ヴァーリ、最大防御を展開しろ!!」
アサゼルが慌て始める。聖魔剣を幾重にも創り出し、シェルターみたいなものを形作って眷属をそこへ避難させる木場。そして士郎の槍が空中へ放り上げられ、 轟々しし雷雲が巻き起こり。
ビカアァンッ!!ゴォォォォォンッ!!
雷雲の中から大気を切り裂いて、神殺しの槍がロキめがけて一直線に落下してくる。落下と共に周りの空間が歪み、着弾と同時にすさまじいドーム状の爆発が起きた。
爆発が止み、シェルターから出る。アサゼルとイッセーとリアスとヴァーリ
「な、なんだこりゃ……」
アサゼルは自分の目を疑った。なぜなら、そこには
――空間が捻じ曲げられたように歪みそこに縫い付けられるように磔にされていた、胸元にぶっとい紅い槍が突き刺さったロキがそこにいたのだ。
「な、なんてことだ…」
「ロキ様!?」
ヴァーリが驚きロスヴァイセさんが悲鳴を挙げる。
「ほ、本気でやりやがったのか…」
アサゼルの顔が青ざめる。無表情で何も言わない士郎――
「……――」
ドサッ…
しかし、その士郎は突如疲れたような表情を見せその場に倒れ込んだ。