ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第七十二話 ロンギヌスvs悪神

そして、数日がたった

 

 

「――ったく、まぁ、これも仕事だから、いいけどさ――これはないわ」

と士郎は悪態を付きながら夜空を飛んでいる。

「日本の大和撫子はいいのぉ、ゲイシャガール最高じゃ」

そんな中、ケラケラと笑っている北欧主神オーディン

現在、オーディンとロスヴァイセさんという人と先生がスレイプニルの軍馬の馬車に乗って夜空に飛んでいる――そして、外の護衛として、ゼノヴィアとイリナと木場と士郎とバラキエルさんで空の護衛をしていた。

まぁ、あの後、デートはしたもの帰還命令が出て今に至るわけである。

「――それにしても、まさか・・・というか、これは一種の威圧感誇示ではないのか?」

とそう告げてくるのはゼノヴィアだ―無理もないだろう

『グギャァァァアアガガガガガァァア!!!』

現在飛んでいる東京上空に、龍の鳴き声がこだまする

「士郎、目立ちすぎだ」

と聞かれる士郎。まぁ、馬車と同等の大きさの龍にあぐらかきながら座って悠々と空を飛んでいるのだ。

 

バサッ!!バサッ!!

と空を飛んでいるのだ。全く、早く帰らないかなと思っていると前方に若い男性らしき者が浮遊している。目つきが少々悪いイケメンだ。

 

「(ヤバい匂いしかないな・・・)」

同時に士郎は舌打ちをしたと共に、ゼノヴィアとイリナと木場に戦闘態勢のサインを送ると共に神器を起動させ、士郎は"約束された勝利の剣(エクスカリバー)"を出現させ構える。

 

「――あんまりいいお客さんじゃないな」

士郎は魔力を纏い始める。それとともに、後ろからイッセーが出てくる。だが、それを制止する士郎

 

 

「はじめまして、諸君!我こそは北欧の悪神!ロキだ!」

士郎も含めイッセー以外のメンバーは目元をひきつらせている。

 

ロキそれは、北欧神話に出てくる神。様々な問題の元になる一方で、智恵に富み、逆に問題を解決することもある。

いわゆるトリックスター的性格、役割をもっている。 フェンリル、ミドガルズオルム、スレイプニルなどの魔物を生む。 エッダのある詩篇では神々の宴にあらわれ神々の女性関係、失敗を罵倒する場面もある。 神々に捕らえられ、息子のはらわたで岩に縛りつけられて、顔の上につりさげられた毒蛇から滴る毒液に苦しむ、という責めをうける話もある。妻のシギュンが皿で受け止めているが、皿が毒液でいっぱいになったのを捨てるさいには毒液を防げず身をよじるほど苦しむ。その時おこるのが地震であるという

 

「……ロキ、北欧の神」

部長がそういう、まごうことなき彼は神様だ。

「これはロキ殿、こんなところで奇遇ですな、何か用ですかな?この馬車には北欧の主神オーディン殿が載られている、それを周知の上での行動だろうか?」

士郎は、アサゼルの言葉と同時に、士郎は王の財宝(ゲートオブバビロン)の最深部――通称:真なる魔底(ネビュラ・バビロン)への扉を解除し始める。

ちなみに、この真なる魔底(ネビュラ・バビロン)は、あの英雄王でさえも開くのをためらう代物が詰められているところだ。

 

 

 

「いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出して、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐え難い苦痛でね、我慢できずに邪魔をしに来たのだ」

相手は穏便にことを済ませる気はないようだ。

 

「堂々と言ってくれるじゃねぇか、ロキ」

先生の声音もかなり怒気が含まれ始める――しかし、それを聞き、楽しそうに笑うロキ

「ふはははは、これは堕天使の総督殿、本来、貴殿や悪魔たちと会いたくはなかったのだが、致し方あるまい――オーディン共々、粛正を受けるがいい」

「お前が、他の神話体系に接触するのはいいってのか?矛盾しているな」

「他の神話体系を滅ぼすならばいいのだが、和平をするのが納得できないのだよ、我々の領域に土足で踏み込み、聖書を広げたのが、そちらの神話なのだからな」

「それは、俺に言われてもな、その辺は、ミカエルか、死んだ聖書の神に言ってくれ」

「どちらにせよ、これでは、我らが迎えるべき『神々の黄昏』が成就できないか、ユグドラシルの情報と交換条件で得たいものはなんなのだ」

アサゼルは指を突き付けて訊いた

 

「一つ訊く!お前のこの行動は『禍の団』とつながっているのか?って、それを律義に答える悪神さまでもないか」

と訊くと、おもしろくなさそうに答えを返してきた

「愚者たるテロリストとわが想いを一緒にされるとは不快極まりないところだ。――己の意志でここに参上している」

「……『禍の団』じゃねぇのか、だが、これはこれで厄介な問題だ、なるほどね、これが北が抱える問題か」

士郎は後ろから爺さん(オーディン)が馬車から出てきていたことを感じた

「ふむ、どうにもの、頭の固いものがまだいるのが現状じゃ、こういう風に自ら出向く阿呆まで登場するのでな」

あごのひげをさすりながら言うオーディン

「ロキさま!これは越権行為です!主神に牙をむくなどと!許されることではありません!然るべき公正な場で異を唱えるべきです!」

馬車から現れたロスヴァイセさんは瞬間的によろいを纏った。

「一介の戦乙女ごときが、我が邪魔をしないでくれたまえ、オーディンに訊いているのだ、まだこのような北欧神話を超えた行いを続けるおつもりなのか?」

「そうじゃよ、少なくともお主よりもサーゼクスやアサゼルと話していた方が万倍も楽しいわい、日本の神道もしりたくての、あちらもこちらのユグドラシルに興味を持っていたようでな、和議を果たしたらお互い大使を招いて、異文化交流しようと思っただけじゃよ」

爺さんは平然と答えると、ロキは苦笑した

「……認識した、なんと愚かなことか――ここで黄昏(ラグナロク)を行おうではないか」

悪寒が士郎を襲う。隣のイッセーに対してもビリビリと刺激する。ロキの凄まじさ

「それは、抗戦の宣言と受け取っていいんだな?

アサゼル先生の最後の確認にもロキは不敵に笑む――士郎はその一字一句を逃さなかった。なぜなら、その言葉とともに

「いかようにも――」

ドガァァァアン!!

その直後、ロキに波動が襲いかかる――それと同時に、イッセーのカウントが終わり、背中のブーストを噴かす、瞬時に間合いを詰めて打撃を打ち込もうとしたが、軽やかにそれはよけられた

 

「部長!プロモーションします!!」

イッセーが部長の了解を得て、『女王』に昇格した。

 

「アサゼル先生!扉を開く!!」

その士郎の言葉は、非常に不味い意味を持つ言葉だ。

 

「なに!?……いいだろう、後で天界には説明しておく」

「了解――!!」

「――っと、そうだった、ここには赤龍帝と滅神龍帝がいたんだった、いい調子にパワーを身につけているじゃないか」

そういうと、士郎の背後空間が黒く歪みはじめる。同時に、空間が振動していきながら、そこから一本の紅い槍が現れる。

「その槍は…なんだ!?」

「さぁ、なんだろうな?」

「――まさか、神でさえ見抜けないとはな――どうりで、あの聖人が殺されるわけだ」

そういうと、士郎はその槍を右手で持って構える。

「――紅き黄昏の神殺槍(ロンギヌス・ロンゴミアント)!!」

「なにッ!?」

ロキの表情が変わる。だが、すぐに戻り

「だが、神を相手にするにはまだ早い!!」

そういうと、士郎に向かて赤いエネルギーが放たれる。それをそのまま、紅き黄昏の神殺槍(ロンギヌス・ロンゴミアント)に流しこみ

災禍の魔槍(ロンギヌス)!!」

ビシュゥゥン!!

 

ロキから膨大な波動が放たれる。それを士郎は槍を一閃する――そこから波動が生まれ、ロキの攻撃を相殺した。

「ちっ――神殺しの槍だけあるな・・・」

舌打ちするロキ、よほど"コレ"と相手が悪いと見える

「紅い髪、グレモリー家……だったか?現魔王の血筋だったな、堕天使幹部が二人、天使が一匹、悪魔が沢山、赤龍帝、神殺しの槍持ちの滅神龍帝も付属、オーディン、ただの護衛にしては厳重だな」

「お主のような大馬鹿が来たんじゃ、結果的に正解だったわい」

苦々しい顔を浮かべるロキ

「――よろしい、ならば呼ぼう!!出てこいッ!我が愛しき息子達よ!」

宙に歪みが生じ、空間から十メートルくらいの灰色の巨大な狼と真っ白な毛並みに目元が紅く染まった神々しい狼が現れた

「先生!あの狼なんですか?」

「――神喰狼だ」

『――ッ!!』

先生の一言で士郎は色々なことを納得する

「フェンりル…まずいな」

士郎はつぶやく。なぜなら、士郎でこそ一撃喰らって生き延びれるかどうかわからない魔物だからだ

「イッセー!士郎!そいつは最悪最大の魔物の一匹だ!神を確実に殺せる牙をもっている!そいつにかまれたらいくらなんでもやばいぞ!」

そんな中、ロキがフェンリルを撫でながら言う

「そうそう、気をつけたまえ、こいつは我が開発した魔物のなかでトップクラスに最悪の部類だ、何せこいつの牙はどの神でも殺せるって代物でね、上級悪魔でも伝説のドラゴンでも余裕で致命傷を与えられる」

神殺しの狼――しかし、一方は分かるがもう一方はなぜか違和感がある。なぜだか、わからない。

 

「――さて、魔王の血筋、その血をなめるのもフェンリルの糧となるだろう――やれ」

と同時に、二体の神殺し狼が飛びかかってくる

「イッセー、部長、灰色の方は任せます――白いのをやりますんで」

「任せるわ、士郎」

士郎を獲物だと気づいたその狼はこちらにものすごい速さで襲いかかってくる、士郎もそれに相対するように神速で迎え撃ち

 

ズガンッ!!

狼のこぶしと士郎のこぶしがぶつかり合う、若干、士郎の腕から血が出た

 

それをその狼は

ペロッ!!

士郎の血をなめた。その途端、その狼の目がものすごくグルグルと何かを感じているらしく困惑した表情になる

「――まさか、魔力強化…」

士郎はこう考えた――もしかしたら、この個体はもともとなにかであったもの、もしくはなんらかの特殊能力をもっていて――魔力強化で制限していた――としたら、どうなるだろう――士郎の血には若干だが対魔力がある

「そうなれば――こっちのもんだ!!――抑え込め!!天の鎖(エルキドゥ)!!」

士郎の背後空間からいくつかの鎖――そのも対神兵器の鎖がフェンリルを縛った

「――我慢しろよ」

そういうと、士郎の右手に歪な短剣が現れた。

 

異界文書(ザ・コード・オブ・アーカシャ)!!破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)!!」

その短剣を士郎は投擲し、フェンリルの腹部に突き刺さるそれと同時に効果が発動し、フェンリルがもだえ始める

 

「成功だ!!魔狼の手綱(グレイプニル)!!」

士郎は騎英の手綱(ベルレフォーン)の強化版である魔狼の手綱(グレイプニル)でその狼を捕縛した

 

ふと、イッセーの方向を見ると、イッセーの腹部に大きな穴が開いていた――たぶん、神喰狼にやられたのだろう

バババババズッン!!

ロスヴァイセさんの魔法のそれもかなりの高火力の攻撃をロキは何なく防ぐ

 

「では、こちらの手番だな」

ロキが手を横に薙ごうとする。灰色のフェンリルの殺気も同じく高まっていく。無表情で薄暗い相貌がイッセー達のほうにむけられる。負傷したイッセーと主である部長を守るように小猫とゼノヴィアが盾になる。

 

「――見てられるか!!」

士郎は紅き黄昏の神殺槍(ロンギヌス・ロンゴミアント)を携え、時速400kmで飛び出した

それと同時に光も士郎と同じ方向を目指した。

 


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