ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第六巻 聖女強奪編
第五十七話 休み明けの転校生


夏休みが終わり――二学期が始まっていた。

 

「(相変らず…これが、夏明けの学校というやつか)」

始業式も終わり、夏デビューの生徒たちを見ながら士郎は廊下を歩いている。そんな中

『そして、童貞卒業か?夏は一種の男子高校生の壁だよな』

『おおっ、元浜、例の情報は得たのか?』

『あぁ、いま松田が最終確認をしに出かけていたが――』

『おおおーい、イッセー、元浜、情報を得てきたぞ!!』

どうやらバカ三人組の馬鹿具合は健在のようだ

「(まったく、何を考えているのやら――)」

ちなみに、同居人とDK(男子高校生)の壁を越えようものなら、士郎は即刻英国に行かなければならない。

「(最近はつらいな…)」

やけにスキンシップが増えてきたなと思いながらも歩いていく。同時に、さりげなく憐憫の目を向けていると――

 

「お、おい、大変だ!」

突然クラスの男子の一人が急いで教室に駆け込んできた。

「(なんだなんだ…)」

若干、ワクワクする士郎。士郎はその男子に近くにあったミネラルウオーターを投げ渡すと

「このクラスに転校生が来る!!女子だ!!」

そういうと、一拍開けて――

『えええええええええええええええええええっ!?』

クラス全員、勿論士郎も驚きの声を上げたのであった。

 

 

 

 

数刻後――

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな仲間が増えます」

教師の言葉に浮き足立つクラスメイト。ちなみに、イッセー含めた男子陣はおかしなぐらいにテンションが高まっている。ちなみに、女子も興味津々だ。

「じゃあ、入ってきて――」

先生の声に促され入ってくる生徒。そして

『おおおおおおおっ!』

歓喜の声が男子から湧き上がる。無理もない、登場したのが栗毛のツインテ少女ときたら尚更だ。ちなみに、士郎とイッセーは

 

「「――!?!?!?!?!」」

お互い顔を見合わせる。見れば、アーシアとゼノヴィアも全く同じ表情をしている。そして、転校生は一礼した後

「紫藤イリナです、みなさん、どうぞよろしくお願いします!」

名前が一致するや否や、士郎はめんどくさいことになったと言わんばかりに額に手を当てた。

 

そして、放課後になった。

 

「紫藤イリナさん、あなたの来校を歓迎するわ」

放課後の部室ではオカ研メンバー全員とアザゼル先生とソーナ会長が集まっていた。

「はい!みなさん!初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね、紫藤イリナと申します!天使様の使者として駒王学園に馳せ参じました」

と部員の皆が拍手を送る。それから、信仰心が強く、主への感謝~とか話し始めた。そんな中、士郎の後ろでひそひそ話をするイッセー

「(大方、神の消失についてか…)」

と話しの内容を推測していると

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

「せ、先生ぇぇぇ!いきなり、それはいかんでしょ?」

「いや、的を射た質問だな――」

「お、言ってくれるね士郎、なんでだと思う?」

「そもそも、ここに来たということはそういうことを込みで任務を受けてきたはずだ、しかもアザゼル先生もこのようにいる、ってことはここに立ち入れるのは、ある程度の知識を持って足を踏み入れていることになるからな?だろう、紫藤イリナ」

「もちろんだよ士郎君、安心してイッセー君、私は主の消滅をすでに認識しているの」

「ま、意外にタフだな――というか、そこに至るプロセスが大変だったんだろうな――しかし、尚その篤き信仰は敬服に値する」

「えぇ、まぁ」

「ってことは、ミカエルの使いってことでいいんだな?」

アザゼルが聞いてくる。

「はい、アザゼルさま、ミカエル様はここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました――現地にスタッフがいないのは問題だと」

「確かに、部長と会長の眷属と先生だけの小数で機能していましたからね」

「ミカエルの野郎、律儀なことに天界側からも現地で働くスタッフがいたほうがいいってんでわざわざ送ってくると言ってきたのさ、ただでさえ、お人よしレベルのバックアップ態勢だっていうのに」

「まぁ、強引さも時には重要ですよ先生」

「そういうものか」

士郎は軽くアサゼル先生と言葉を交わす。

「そういえば、イリナ――そのなんだ、ミカエルさんからなんかもらったか?」

「えっ…あっ、うーん、もしかして、これかな?」

イッセーの言葉にイリナは、祈りのポーズをすると、身体が輝き白い翼が生えた。

「やっぱりな、通りでアルビスと似通った雰囲気だったものだ」

「ミカエル様の祝福を受けて、私は転生天使となりました、なんでも悪魔や堕天使の技術を転用してそれを可能としたと聞きました」

「転生天使といったところか、またけったいなものを」

そういうアザゼル先生。

「転生天使ってことになると、新技術のトランプか?」

「えっ!?士郎君どこまで知っているの!?」

「まぁ、流行の最先端わな、そこに関してはアザゼル先生の方が詳しいだろう」

そういって、話を振るアザゼル。それから、一通りのトランプの仕組みなどを話す。

「そんで、イリナはどの札なんだ?」

「私はAよ!ふふふ、ミカエル様のエース天使として光栄な配置を頂いたのよ!」

と目を爛々と輝かせるイリナ。見れば左手の甲に「A」の文字がある。

「(ま、自分を見失わないよりはマシさ――)」

それから色々な話が続くが

「その辺りの話は、ここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会をしましょうか」

ソーナ会長がそういうと共に

「皆さん、これからよろしくお願いします!!」

それから、紫藤イリナの歓迎パーティーが盛大に行われたのであった。

 


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