ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

56 / 100
第五十六話 激突、シトリ―眷属

――シトリー眷属とのゲーム決戦前夜

 

士郎たちは顧問のアサゼル先生の部屋に集まって、最終ミーティーングを行っていた。ちなみに、イッセーは士郎が戦っていた間にどうやら――爆風で部長の"アレ"をつついてしまい、禁手化に至ったらしい、なにをやってるんだかと呆れかえる士郎。ちなみに、現在グレモリー眷属は、イッセーが精神的な柱となりつつある。あいつは何やってもどこにいても諦めずに突っ走るからだ。その姿が眷属の活力になっているのだ。主のリアスでさえ、依存してしまっているのだろう。それで、イッセーの禁手化についてアサゼル先生が聞く

「イッセー、禁手状態はどうだ?」

「はい、なれるようになりましたが、いくつか条件があります――まず禁手化しようとすると、変身まで時間がかかります、篭手の宝玉に返信までにかかる時間が表示されるんです、しかも一度その状態になると神器は使えません、増大も譲渡も無理です、中止もできません、さらに言うなら一日に一度しか変身できなくて、一度変身すると解除しても神器は力をほとんど失ってしまいます」

「――まぁ、データ通りだな、過去の赤龍帝もほとんど同じだ、鎧を解除しても神器が使える例があるけどな、でお前の場合変身までの時間は?」

「二分です」

それから、イッセーとアサゼルの話が進んでいく

 

「それで、リアス、ソーナ・シトリーはグレモリー眷属のことをある程度知っているんだろ?」

「えぇ、大まかなところわね、例えば、イッセーや裕斗、朱乃、アーシア、ゼノヴィアの主力武器は把握してるわ――フェニックス家との一戦を録画していた映像は一部に公開されているもの、さらに言うなら、ギャスパーの神器、小猫の素性も割れているわ」

「ん?士郎はどうした?」

アサゼルがこっちを見てくる、それと同時に部長もこっちを見てくる

「それに関してなんだけど、最大限調べ尽くしたらしいけど、あちらはよくわかってないらしいわ」

「まぁ、そうだろうな――士郎以外ほぼ知られているわけか、で、お前はどれくらい知ってる」

「ソーナのこと、副会長である女王のこと、多数名の能力は知っているわ、一部判明していない能力の者もいるけれど」

「不利な面もあるか、まぁ、その辺はゲームでも実際の戦闘でもよくあることだからな、戦闘中に神器が進化、変化する例もあるからな、相手の数は?」

「えぇ、『王』一、『女王』一、『戦車』一、『騎士』一、『僧侶』二、『兵士』二で八名、まだ、全部揃ってないけど、数ではこちらのほうが一つ勝ってるわ」

それから、アサゼルはレーティングゲームのタイプの説明を始める

「レーティングゲームは、プレイヤーに細かなタイプをつけて分けている、パワー、テクニック、ウィザード、サポート、この中でなら、リアスはウィザードタイプ、いわよる魔力全般に秀でたタイプだ。朱乃も同様、木場はテクニックタイプ、スピードや技で戦う者、ゼノヴィアはスピード面で秀でたパワータイプ、一撃必殺型だな、アーシアとギャスパーはサポートタイプだ、小猫はパワータイプ、そして、イッセーお前もパワータイプだ、ただし、サポートタイプの方にも行ける、ギフトの力でな――それで、士郎は本当によくわからねぇ」

「どういうことですか、アサゼル先生?」

「あぁ、士郎はパワー、テクニック、ウィザード、サポート全てが高いからタイプ付ができないんだよ」

「確かに、言われてみるとそうね――士郎は各タイプが高いわけど…これって」

「もはや一人八役――さ、下手したらコイツ一人でレーティーングゲーム勝ちに行くぞ」

「それは面白くないわね」

「だろ?」

淡々という部長を後目に、イッセーにわかりやすいようにグラフを作るアサゼル先生。ちなみにイッセーはたくさん覚えていることが出てきて困惑している

ちなみに、士郎の場所は既にホワイトボードの外とかというところになった――若干、過大評価しすぎじゃないかと思う士郎。

それから、ミーティングは夜まで続いたのであった。そして、決戦の日を迎えた。

 

 

 

 

決戦日――

 

グレモリーの居城地下にゲーム場へ移動する専用の巨大な魔方陣が存在していた。士郎たちはその魔方陣にあつまり、もうすぐ始まるゲーム場への移動に備えていた。アーシア、ゼノヴィア以外、駒王学園の夏の制服だ。部長のお父さん、お母さん、ミリキャスさま、アサゼル先生が魔方陣の外から声をかける

「リアス、一度負けているのだ、勝ちなさい」

「次期当主として恥じぬ戦いをしなさい、眷属の皆さんもですよ?」

「頑張って、リアス姉さま!!」

「まあ、教えられることは教えた、あとは気張れ」

かなり注目されている試合だ。やっぱり有望な若手悪魔って点と、魔王の妹二人が戦うところで注目を浴びているらしい

緊張感が漂う中、魔法陣は容赦なく輝き出し、

「(さて、やってやるとしますか――)」

決戦の火蓋は切られたのであった。

 

 

魔方陣でジャンプした先にあったのはテーブルだらけの場所だった。士郎はすぐさま、構成把握でそれが駒王学園近くのデパートだと気づいた

「駒王学園近くのデパートが舞台とは、予測してなかったわ」

イッセーの隣にいた部長が言う。そして店内アナウンスが聞こえてくる

『皆様、この度、グレモリー家、シトリー家の「レーティングゲーム」の審判役アーピターを担うことになりましたルシファー眷属『女王』のグレイフィアでございます』

フェニックスと同様グレイフィアさんが審判をしてくれるらしい

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名の下、戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。今回のバトルフィールドは、リアス様とソーナ様の通われる学舎『駒王学園』の近隣に存在するデパートをゲームフィールドとして異空間にご用意いたします』

どうやら、両陣営ともやりやすいのは変わらないらしい

『転移された先が本陣でございます――リアス様の本陣が二階の東側、ソーナさまの本陣は一階西側でございます、兵士のかたはプロモーションをする際は相手の本陣まで赴いてください――今回、特別なルールがございます、陣営に資料が送られていますので、ご確認ください、回復品である「フェニックスの涙」は今回両チームにひとつずつ支給されます、なお、作戦を練る時間は三〇分です、この時間内での相手のとの接触は禁じられております、ゲーム開始は三〇分後に予定しております、それでは作戦時間です』

アナウンス後、すぐに集まる士郎たち

「バトルフィールドは駒王学園近くのデパートね…屋内戦ね」

部長がデパートの案内図を見ながら言う

「今回のルール、『バトルフィールドとなるデパートを破壊しつくさないこと』――つまり、ド派手は戦闘は行うなってことって意味ね」

「なるほど、私や、副部長、イッセーにとっては不利な戦場だな、効果範囲の広い攻撃ができない」

たしかにゼノヴィアの言うとおりだ

「困りましたわね、大質量による攻撃はほぼ封じられたようなものですわ」

朱乃さんが困り顔になる。そして、士郎が話し始める

「――だな――俺も約束された勝利の剣(エクスカリバー)などの広域殲滅宝具を封じられたか、それに部長、ギャスパーの眼使えないんでしょ?推測すると、眼の暴走でゲームがおじゃんになったら困るからですよね?」

「えぇ、そのとおりよ士郎、ちなみに今かけているメガネが神器封印メガネよ」

「わかりました――しかし、完全にイッセーの裏目に出たな、今回のゲームは最悪と言っても等しいだろう」

そう士郎が言うと

「それは士郎もじゃないのか?」

ゼノヴィアが言う

「確かに俺の十八番は封じられた、が――投影魔術や剣技で槍技なら十分対処できるし、それに、投影魔術にはこういう使い方もあるのさ――投影…開始(トレース・オン)!!」

士郎の手元に現れたのはキャレコM950と遠距離狙撃銃M24が現れた。黒い銃口が光りに照らされている

「まぁ、確かにそれもあるわね――その他に遠距離でフィールドに被害を及ぼさないのは?」

「あぁ、あとは自慢の弓がある」

「規格外ね…けど、今回ばかりはそれがたよりね――しかし、問題はこの吹き抜けのショッピングモールが問題ね、一階からでも二階からでも進行する姿が見て取れるわ――あちら側も同じでしょうけど」

「他には立体駐車場からの攻めも考えられますけれど、そちらはあちらも警戒するでしょうね」

「えぇ、同様に屋上からの行動もね、どちらにしても中央突破、屋上、立体駐車場からでないとね」

「そうだな――仮に今の装備で動くとしたら立体駐車場を市街地戦と見立てて…いやスタッフルームでも仕留められるな」

そうつぶやきながら話し始める

「ゲーム開始は、十五分後ね…十分後にここに集合、各自、それまでそれぞれのリラックス方法で待機していて頂戴」

部長の言葉により解散となった

 

 

 

 

「(さてと…)」

士郎は、とりあえず、近くのというか飲食フロアのとある一角にいたここは、このデパートの中でもかなり高級な居酒屋の中でちょっとしたバーになっているのだ。

「――どうするかな?」

空間が一部歪み、中から赤い液体の入ったものが現れ、それを注いで飲もうとした時だった。

 

 

「あ、士郎さん」

現れたのはアーシアだった

「あぁ、アーシア、どうしたのか?」

「いえ、どのようなことをしているのかと思いまして」

士郎の手にはガラスの器、士郎は手招きして自分のそばに座らせる、それと同時にアーシアにそれを注ぎ、差し出す

「――あの、これは?」

「あぁ、俺のは少しアルコールが入っているが、君のは入ってない、まぁ、ちょっと大人めの葡萄ジュースといったところかな?」

「へぇ~飲んでもいいですか?」

「もちろん」

黄金の器の中には赤色の液体、それに口を付けるアーシア

そして、口をつけた瞬間、アーシアの表情が変わる

「これは…」

「味をわかるか、それはファルツァー・トラウベンザフト・ロートというドイツのものだ、どうだい?」

「えぇ、とても美味しいです」

「それは、よかった――未成年でも飲めるものだからな、どうだい、落ち着いたかい?」

「えぇ、ものすごく落ち着きました」

トクトクと呑む二人――そんな中

「あの、士郎さん、一ついいですか?」

「なんだい?」

「あの、サツキさんとアルビスさんとどういう関係なのですか?」

アーシアの漠然とした質問に士郎の顔が驚いた顔になる。と同時に士郎の思考が停止する

 

「ちなみに、どこでその前を?」

「はい、顔合わせの時に…少し」

「見られていたというわけか――それで?サツキとアルビスがどうかしたかね?会場で鉢合わせして口喧嘩の一つでも?…まぁ、同じ年頃の友人を持つのは悪くないが」

明らかに話をそらそうとする士郎、アーシアの勘がサツキとアルビスを気を遣っている、あるいは関心があることではないかということを告げている。

「ちなみに、元々、サツキとは繋がりがあるが、アルビスとは最近の関係だ、あるとしたら、君の気のせいだ」

それを言われると、あまり言及できなくなるアーシア

「――そういえば、君の質問からそれていたな、答えよう、彼女たちとの関係を」

士郎の言葉からそんな言葉が出た、その言葉にアーシアの目が輝く

「あまり、口外しないでくれよ?彼女女たちと関係だが…少し過剰すぎかもしれないが、私は彼女たちから少なからず好意を抱いている――もちろん、私も彼女たちとは限りなく恋人以上の関係だからな…」

その顔は少し照れているように見える

「もしかしたら、少し押されればそちらに転がるのではないかと思っている」

士郎の顔がなにかを知っているような顔をする

「だから、この戦いは負けられないんだ――俺はな、これ以上の深い話をしたければ、そうだな、この戦いが終わったら色々と話そう、見るからに君も狙っている人がいるみたいだからな、可能な限りは手伝おう」

「あっ、ありがとうございます」

丁寧な礼を受ける士郎そして、立ち上がる――アーシアも時間をみるとそろそろ集合時間だった

 

「(――定刻だ)」

フロアに集まり、開始時間を待つ

 

「(――3・2・1)」

 

『開始のお時間になりました。なお、このゲームの制限時間は三時間の短期決戦形式を採用しております、それではゲームスタートです』

 

どうやら、短時間で決めなければならない。しかし、士郎にとっては不利な状況だ。このような状況でこそEX級宝具が絶大な威力を発揮する。しかし、限定空間で尚且つ不破壊が条件となれば、それは使えない。しかも、それも考えて英霊たちで物量戦で攻めようとしたが、これもまた人数制限がかかっている。対人宝具であり因果逆転の刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)は最終手段になるから、と部長からの指示で封印されている。最悪。無限の剣製(アンりミデット・ブレイドワークス)で一人ずつ葬っていってもいい。それに対匙の黒邪の龍王に対しては龍殺しの逸話を持つ無毀なる湖光(アロンダイト)でメッタ刺しにしてもいいだろう。

そんなことを考えながらいると

「指示はさっきのとおりよ、イッセーと小猫、祐斗とゼノヴィアで二手に分かれるわ、イッセーは店内から進行、祐斗たちは立体駐車場を経由、ギャスパーは店内の監視と報告、進行具合によって、私と朱乃とアーシアがイッセー側のルートを通って進むわ、士郎は状況に応じて的確に動いて頂戴」

「はい」

そういうと、士郎は通信用のイヤホンをつける

「さて、かわいい私の下僕悪魔たち!もう負けは見せられないわ!今度こそ、私たちが勝つ!」

『はい!』

全員の気合が入る

そして、先に動くのは木場とゼノヴィア、フロアを飛び出し、その後小猫とイッセーも動き出した。――士郎の作戦はこうだ。基本は部長が指示されたとおり、各人のカバーに動き出した。

 

「(さてと…読み通りに進めばいいのだがな)」

士郎は部長の読みを念頭に置きながら行動していく。部長の読みは、相手がこちらの動きを読んでると推測し、二段階で攻め込むという手はずになっている。

「(キーマンは、イッセーか…)」

そういいながら、士郎は後方からイッセーと小猫を監視しながら歩いていくと

「(二人か――あと十分ってところかな?)」

士郎は前方から来る二人を察知する。同時に

「(おいでなすったか――異界文書(ザ・コード・オブ・アーカシャ)!!)」

無毀なる湖光(アロンダイト)を握りしめ、後方から一気に跳躍する。

「――兵藤!!まずは一撃ッ!!」

膝蹴りの体勢のままイッセーめがけて攻撃しかけてくる匙だが

「そうは、させねぇよ!!」

無毀なる湖光(アロンダイト)で、ラインを一気にけり、そこに匙めがけて蹴りを入れこむ。

「ぐはっ!!」

一気に進行方向を変えられ、吹き飛ばされる匙。そして、生徒会の少女。

「ターザンごっこで奇襲とは考えたじゃないか、匙」

「丹羽――」

見ればそこまでダメージを食らっていなさそうだ。そんな中

『リアス・グレモリーさまの「僧侶(ビショップ)」一名、リタイヤ』

「やられたのは、おそらくギャスパー君だよ」

「ニンニクで遣ったってわけか、考えたな賞賛に値するな」

「やけに冷静だな――丹羽」

「いつだって状況を俯瞰するものが勝者となる、そういうものだよ――さぁ、遣りあおうか――匙 元士郎」

そういって、無毀なる湖光(アロンダイト)の刃を煌めかせると、

「士郎、待ってくれ、ここは俺がやる――いや、サシでやらせてくれ」

「……」

士郎は後ろを一瞥すると、そこには戦士の顔となったイッセーがいた。

「(見ない間に面構えがよくなったみたいだな)あぁ、まかせよう」

そういうと、士郎とイッセーの立ち位置が変わる。

「士郎先輩――行ってください、ここは」

「…そっちもか、いいだろう、ここは任せたぞ」

士郎は、その場から立ち去った。

 

side 木場・ゼノヴィア

 

「ゼノヴィア!チェンジだ!!」

木場の声と共に、ゼノヴィアは位置を交換し、お互いの相手を変える。そして、ゼノヴィアがアスカロンを振り上げ、トドめの構えとなる。そして

「これで――勝負を決める!!」

ゼノヴィアが剣を振り下ろした瞬間だった。

「――神器(セイクリッド・ギア)追憶の鏡(ミラーアリス)』」

副会長である神羅の前に装飾された巨大な鏡が出現する。そして、ゼノヴィアの斬撃は

 

「おっと、早とちりじゃないか――ゼノヴィア」

間一髪、士郎によって止められていた。

「「なっ!?」」

あまりにも唐突な登場に驚く士郎。

「おい、士郎戦闘中だぞ!?どういうことだ!?」

「落ち着けゼノヴィア、ミラーってついてる時点で反射は明確だろ?違うか?」

「…それは、そうだが」

「それに戦略的に考えれば彼女はカウンター使い、パワータイプのゼノヴィアをぶつけてくるのは明確だろ」

「そこまで、読んでいたのですか!?」

「まぁな」

冷や汗を垂らし始める副会長の真羅先輩

「まっ、あまり面倒なことになると大変なんであなたのそのアリス不能にさせてもらうぜ」

「えっ!?」

そういうと、周囲の空間が一気に暗くなり――次の瞬間、何かを殴りつける音と共に

「ソーナ・シトリー様の「僧侶(ビショップ)」「兵士(ポーン)」リタイヤ」

そうアナウンスが鳴るのであった。それから、ゲームも中盤に移った頃

 

士郎は、二人を真良先輩を倒した後、ゼノヴィアと木場と一旦離れて、自販機の扉を打ち破って中のペットボトルをあおって水分補給をしていた。そんな中

「おう、イッセーじゃん、おい大丈夫か!?」

「あぁ、何とか匙を倒したぜ」

「あぁ、よくやった」

そう言葉をかける。そんな中、士郎はイッセーの右腕についたラインを見る。

「これは?」

「あぁ、匙が消えてもこれが消失しないんだ」

「消失しない…ちょっと待て」

そういうと、士郎はそのラインに手を当て

構成…把握(トレース・オン)

構成を把握していると

「(そういうわけね)」

どうやら、イッセーの血液を抜いていたらしい。

「(人間は体に通う血液の半分を失えば致死量――それを狙ったわけか、流石会長、対等条件で敵に回したくないな)」

そんな中

「士郎先輩、何かわかりましたか?」

「あぁ、小猫ありったけの水を頼む」

「え、えぇ」

そういうと、近くの自販機から水を持ってくる。

「少し荒っぽくなるが、気を張れよ」

士郎は、そのラインに直接干渉し、中の液体をイッセーに戻す。

「――ッ!!」

いきなりのことに自分の胸を握りしめるイッセー。そして、ものの数分で士郎の作業が終わり、士郎は短刀でそのラインを切った。

切断されたラインから紅い血が床に飛び出す。

「BINGO正解だった」

「士郎先輩、これはまさか?」

「あぁ、イッセーの血だ、危なかったなイッセー」

「って、どういうことなんだよ?」

イッセーが聞いてくる。

「人間ってのは体に通う血液の半分を失えば致死量、つまりその時点でリタイヤさせることができるからな、匙はそれをやっていたんだよ」

「マジかよ――」

「あぁ、だから今シトリ―の方に行っている血を全部イッセーの身体に戻した、これで大丈夫なはずさ」

「士郎――すまんな」

「いや、いいさ」

そんな中、イヤホンに通信が入る。

『オフェンスのみんな?聞こえる?私たちも相手本陣に向けて進軍するわ』

「さてと、行きますか」

そういうと、最後の決戦に士郎は足を進めていった。

 

side イッセー

 

このショッピングモールの中心には中央広場のようなところがあり、円形のベンチに囲われたその中央には時計の柱が存在していた。そして、そこには

「ごきげんよう、兵藤一誠くん、塔城小猫さん、なるほど、それが赤龍帝の姿、すさまじいまでの波動を感じますね、誰もが危険視するのは当然です」

二人の眼前には、ソーナ会長が立っていた。そんな中

「……ソーナ、大胆ね、中央に来るなんて」

イッセーが振り返ると、そこには部長も来ていた。

「そういうあなたも『(キング)』自ら移動しているではありませんか――リアス」

「えぇ、どちらにしてももう終盤でしょうから、それにしてもこちらの予想とはずいぶん違う形になったようね――」

ある意味で厳しい表情をする部長。どうやら、木場とゼノヴィアで会長を倒す目的だったらしいが、その辺を読まれいたらしい。そんな中、グレモリー眷属面々の眼前を銀の何かが駆け抜けた。そして、その何かはソーナ会長を通り抜け、彼女の後ろの地面に突き刺さった。

「あれは…干将・莫耶」

木場が名前を言うと

 

「――ッ!?」

ソーナ会長の顔に衝撃が走った。

 

side end

 

チャキッ…

「動かないでいただこうか――シトリー・ソーナ会長」

士郎は、ソーナ会長に拳銃を突き付けていた。

「やはり、貴方でしたか」

「如何にも」

拳銃を突き付けながら言葉を交わし始める

「それで、なんのつもりですか――散々、怖がらせておいて」

「さぁ、牽制でしょうかね、貴方が勝てないようにする、けど、ここで私があなたをリタイヤさせたら、それこそ眷属にいられなくなるのでね、少し対策は練らせてもらいますよ」

そういうと、士郎は片手でもう一丁の散弾銃を取り出し、それで近くの床を打ち抜く。すると、打ち抜いたところから水が漏れだす。

「…何をしたんですか?」

「いずれわかります、貴方には部長達がここに来るまで大人しくしてもらいます――いいですね」

「あなた、ジュネーブ条約は守るのかしら?」

「もちろん」

「士郎君――聞いていいかしら?」

「なんでしょう?答えられる範囲で答えますよ」

「なんで、ミラーアリスや赤龍帝への作戦、わかったのですか?」

「ミラーアリスに関しては、もはや名前です。赤龍帝に至ってはイッセーの顔を見ればわかります」

「…そこで見破らていたのですか」

「私も伊達に人間やっていませんでしたから」

「つまり、見破られていたわけですね」

「身もふたもない言い方を――その通りですが、とはいえ、それにまんまと乗る部長もどうかと思いましたけどね」

「まさか…最初から?」

「考えられる手はすべて考えますからね」

「……貴方は、本当に何者なんですか?」

「さぁ、ただの悪魔ですよ」

言葉を交わすと、それから、数刻もたたずに部長達はデパートの屋上にやってきた。

 

「……やはり、士郎だったのね」

「お望み通り、前線に出てましたよ」

部長の視線は、拳銃を自分の親友の頭部に充てている士郎に向いていた。

「士郎、どうしてここだと?」

「それは企業秘密ですよ、それとどうしてソーナを生かしているのかしら?」

「そうですね、言葉が悪いですが面白くない…それだけですよ」

「なら、深くは聞かないわ――さあ、決着をつけましょう、ソーナ」

部長が一歩前に出る。士郎はソーナを開放する。

 

「危険を感じたら即時に助けに入ります、わがままは聞きません」

「……」

木場の一言に返事をしない部長。どうやら肯定のようだ。それから、会長の周囲に水のオーラが集まり始めるが、その形はいびつだ。

「(やはり、効いてきたか)」

部長の攻撃に会長は水を操り壁にするが、ようやくといった感じだ

「リアス、私の水芸――とくと披露しましょうか」

「望むところよ、ソーナ!!」

水を魔力で変化させるが、やはり、上手くいっていない。ぶつかり合う部長と会長の二人。そして、その結果は致命的なものになり

『投了を確認――リアス・グレモリーさまの勝利です』

 

 

アナウンスが響いた――課題を多く残し、グレモリーは勝った

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。