ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第五十三話 主催者の宴

戦いも開始から12時間程経ち、中盤に差し掛かっていた。士郎が現在いるのは、純和風建築でかなり広大な面積をもつ元武家屋敷だ。

現在、この屋敷の縁側では双子と思われる二人が寄り添うように寝ていた

 

 

「…ん~」

昼寝していた士郎は、身体に違和感を感じ意識がゆっくり覚醒し始める。

「――ふぁ~」

眠気眼であくびをする士郎のその姿は歳相応いったところかどこかあどけない。

 

 

昨日は、この屋敷の和室で布団を引いて寝ていたのだ。ちなみに、屋敷には基本的には誰も入ってこれないような結界を張ってあるため誰も入れない。しかし、士郎は眠気眼のまま何かを見た。

「うぇ・・・?」

しかし、それは士郎の判断を遅くさせるには十分なものであった。

目の前にはあどけない幼顔に長い黒髪。自然と視線が下の方に行ってしまい、その豊かな二つの谷間に行ってしまい、顔を赤らめる士郎。同時に心拍数も上がる。こうしている場合ではないと本能に言い聞かせるがなぜか体が言うこと聞かない。無理もない、少し視線を動かすと、どうやら自分は抱きしめらているみたいだ。

「…ま、いっか」

なぜから知らないが、自分でもそんなことを想ってしまう士郎。それから、ゆっくりと瞳を閉じ、再びまどろみに身体をゆだねていると。

「ん…ふぁ~士郎~」

眠気眼をこすりながらサツキが起きた。

「おはよ~」

なにごともなかったかのように寝ぼけて延びた声のまま言うサツキ。士郎もゆっくりと目を覚ます。

「なぁ、サツキ、どうしてここに?」

「え~それを聞く?」

「聞いたらだめか?」

「ダメです」

間延びした声のまま却下された。ちなみに、相変らず抱き付かれたままだ。

「なぜに?」

士郎が問う、そしたらサツキはかわいらしく自分の唇に指を当てて

「乙女のヒ☆ミ☆ツ」

「(ヒミツもくそもねぇだろ)」

と内心ツッコみながらいると、士郎は本音を切り出そうとしたとき、自分の頭上に何か存在を感じると

 

スタッ!!

屋上から目の前の庭に着地してくる二人の人影。相変わらずそれを見た感想はお転婆だと思った。

一人は、紅い外套に晒しを巻いたホットパンツの女性

もう一人は、こちらもホットパンツに黒いブーツ、それに水色のTシャツに黒のジャケットの少女。

「やっほー遊びに来ました~」

「右に同じく」

現れたのはアルビスとエルだった。

「う~ん、アルビスとエルか――今、訓練中だぞ?」

「だから、激励しに来たんだけど、というか、訓練本当にしているの~?サツキと一緒に寝ていたけど」

「うっ・・・まぁ、色々あるんだよ、立ち話もなんだし、入りなよ、玄関そっちだから」

「えぇ、そうさせてもらうわ」

玄関から入ってきて、縁側に沿った和室に4人が集まり丸い木のちゃぶ台の周りに座る。

 

「さてと、暑いし、ちょっと座って待っててくれ、飲み物出してくるから」

「ありがとう」

士郎は、和室の廊下を隔てて隣にある台所から冷やしてあった麦茶を持っていく。

「そういや、アルビスとサツキとエルは、麦茶でいいか?」

「えぇ、いいわよ」

それから士郎は3人のところに戻る。戻ると三人は、面々は涼しい格好をしていた。アルビスに至っては、もはや王女様ではなく一般人の服装と変わらない。

「ほれ、麦茶――まぁ、今朝作ったヤツだからちょっと薄いかもしれないけど、そこはまあ許してくれ」

「えぇ、いいわよ」

そういいながら、アルビスが麦茶を淹れると

チリンチリン~

風鈴の音がいい感じになった、風が来ている証拠だ。ちなみに、ここいら辺、一体の空は特殊なメディアの魔法で青空にしている。

「う~ん、風流だね~」

「えぇ、いい風だわ」

目の前の庭と青空を見ながらそういうサツキ。そんな中、何かを思い出したように思えるエル。

「どうかしたか?」

「あぁ、そういえば、ここに来る途中、佐々木小次郎という侍からこんなものを貰った」

とエルは背後の空間から、西瓜を取り出した。

「おぉ~これ西瓜じゃないか」

「西瓜?なんだ、食べ物か?」

「まぁ、食べ物だよ――「士郎、貸してみるから」おう」

そういうと、西瓜をサツキに回し、サツキが西瓜をコンコンと叩くと

「いい音ね、おやつの時間だし食べようか―」

「そうだな、けど、少しぬるくなっていないか?」

とどうしようか考えていると

「まぁ、見ていなさい、こう見えても五大属性(エレメンタル)は操れるからね」

アルビスが手をかざすと、西瓜の周りに冷気が渦巻いていき、数分後

「こんなもんかしらね」

「おぉ~さすがアルビス」

「ありがとう、んじゃあ、頼むわよ」

「あぁ」

それから、台所にもってその西瓜を4等分にし、さらに載せて持っていく。

「ほれ、キンキンの西瓜だぞ」

持っていくと、再び風鈴が音を鳴らすと、ふぅ~といった声を出すエル。

「これが風流というものか」

「そうだな~っと食べるか」

「えぇ」

「「「「いただきます」」」」

その声と共に食べ始める面々。それから、シャリシャリといい音がする。暑い青い空の下、風流を感じながら西瓜を食べる面々。

 

「それで、士郎今何やってるの?訓練ってさっき言ってたけど?」

「ん?あぁ、文字通りの訓練さ、といっても狐狩り同然のようなものだがな」

士郎がそういうのも無理もない。だって、やっているのは狐がり同然のことなのだから。それもそうだ、一介の悪魔と強力なバックアップ付きの英霊が戦う。あちらが負けを認めるのはほぼ必然的だからだ。

 

「ねぇ、士郎」

サツキと言葉を交わしているとアルビスが話しかけてきた。

「イギリスにこない?」

「イギリスに?いつ?」

「この合宿みたいなのが終わって、そっちのソーナ戦が終わってから」

そういうと、士郎は簡易的な予定を頭に浮かべる

「あぁ~もしかしたら、動けるかも」

「んじゃあ、来てよ、イギリスに」

あと少しで顔と顔がくっつきそうになる位までアルビスの顔が近づいてくる。その行動に士郎の心拍数が上がる

「――あぁ、わかった」

少しテンパってしまい、そうとしか言えない士郎であった。

 

 

 

数時間後――現在、よれよれのコートを纏った青年は、とあるビルの屋上にいた。そして、そのビルの屋上でかりそめの町の光を見下ろしている青年。その隣に音も立てずに現れたのは、骸骨面をつけた男性や女性たち。しかも、全員が夜になじむ服装でだ。

「――さてと…いけ」

そういうと、士郎の近くにいたその手に剣を引っさげた何者かの影が複数外に向かって飛び出していった。

 

 

side イッセー

 

「イッセー、時刻は?」

「えぇと、現在8時です」

そう言いながらいるのは、イッセーと朱乃さん、それに部長だ。信号弾により、ルールの変更が伝えられた。その内容は3人まで一緒に動いても良いということだった。

「それにしても、ここは以外にいい部屋ね」

「えぇ、シャワーもいい感じでしたわ」

そう言いながら、制服姿で戻ってくる朱乃さん。それから、いくらかベットに寝転んだり、座ったりして休養をとっている3人

「それで、朱乃どうなの?」

「えぇ、滞りなく終わっていますわ――客人にはこの私自らの仕掛けを徳利と堪能していただきたいものですわ――せっかく、結界24層、魔力炉3基、猟犬代わりの悪霊、魍魎数十体、無数のトラップ、廊下の一部は異界化させている空間を作ったんですから」

「朱乃…やりすぎだわ」

「これくらいやらないと」

この人は超が付くほどのドSだと理解している中。

ジリリリリリリリリリリリリリリ!

けたたましく警報がなり響く。

 

「あらあら、火災警報ですわね」

慌てずゆっくりと対処している姫島先輩

「「「(――なぜ、こんなことに?)」」」

それは3人が共通した思いだった。

「で、どうする朱乃?」

「ここで、穴熊を決め込んでいたほうがよろしいかと?」

「そうね、そうしましょうか?」

そういうと、静かに紅茶に口を付けるのであった

この時、士郎がふつうの人物だと3人は疑っていなかった

 

side 士郎

 

「(――さて、彼らは穴熊を決め込んでいるか…)」

ハイアットホテルの駐車場に士郎はいた

「(えぇ、32階に動きありません)」

鉄骨で組まれた櫓の上から暗視カメラで見ているハサンがそう伝えた。それから、念話をつなげ

「(そっちはどうだ?)」

「(準備完了です)」

「(わかった)」

 

そう言うと

 

「さて、穴熊の穴から熊でも追い出しますか…――壊れた幻想(ブロークンファンタズム)!!」

特定の魔力波がさきほど渡した武器に伝わった瞬間、巨大建造物のホテルが身震いした。そう、ホテルの要所に仕掛けられた投影された剣が一度に爆発したのだ。そして、150mの巨大なビルはそのまま沈んでいき始める。

「――そっちは?」

『はい、最上階に異常ありません…しかし、一部ガレキが不可解な動きをしていました』

しばらく監視するが動きはない。暗視装置でハサンたちが監視しているのが分かっているのだろうかと勘ぐる士郎

「そうか――わかった、そこで待機してろ」

『はっ』

 

それから、士郎は駐車場を後にした。

「150mからの自由落下――どんな魔術結界で防備していても防ぐすべはない」

その場を静かに立ち去る士郎であった。

 

 

side イッセー

 

相変らずの火災警報器の音は鳴りやまない。そして

ズドォォオォォンッ!!

「あら、爆発ですわね」

「えぇ、番犬がやられたのかしら?」

しかし、その変化にイッセーは気づいた。

 

「朱乃さん!?」

「あらあら、イッセー君、どうかしました?慌ててて?」

「爆発何回ありました!?」

「爆発ですか――今のいk「違います!!一回の爆発に何回の音がしましたか!?」えっ、たしか、7回です――」

そういうと、イッセーは構え

「ブーステッド・ギア!!」

『Boost!!』

イッセーが赤龍帝の篭手(ブーステッドギア)を装着する

「イッセーどういうこと?なにするの?」

「部長――さっきの爆発でこのビルの支柱が爆破されているはずなんです」

「支柱…どういうこと?」

「高層ビルの解体のひとつで、計算され尽くした爆弾の設置でビルの支柱を爆破、内部方向に向かって倒壊させる方法です」

「――まさか、士郎がここに来ないのって…」

「えぇ、士郎なら考えれます」

ズドォォォン!第二波が襲ってくる

 

「朱乃さん!とりあえず、姿の消せるなにかってあります!?」

「はい、ちょっとお待ちください」

そういうと、イッセー達になにか液体をふりかける朱乃さん

その途端、姿が消え、それから、念話が始まる。

「(――イッセー、それに朱乃、正直私もこの手の事態は前代未聞だわ、二人とも策はある?)」

「(ここは、イッセー君に頼るしか)」

「(わかったわ、イッセー指示を)」

「(はい、とりあえず、部長と朱乃さん、150m飛ぶことって出来ますか?)」

「(えぇ、私と朱乃は問題ないわ…イッセーはどうするの?)」

「(まぁ、みててください――下で合流しましょう――近くに駐車場があるのでそこで)」

そういうと、イッセーは外に飛び出した

 

 

「――ほぉ、それにしても、あいつなかなかだな…」

とある場所から眺めている士郎、視界の先には赤龍帝

「なかなか――やるわね~」

「ふん、これから手合わせ願おうとする相手に対してはなかなかやるな」

「まぁ、グレモリーの赤龍帝らしいわね」

士郎の後ろに、3人の人影

 

「――それで、時刻は?」

「終了時刻まで――あと4時間っていったところですね」

「わかった、さてと、そろそろ、出ますか…っと言いたいところだが?」

 

その後ろでは怪しく微笑を浮かべる少女が3人がいた。

 

 

戦は、終幕(Finale)に向かっていった。


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