ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
アサゼルの提案により、士郎とアサゼルと部長それに部長のお母さんと話し合いが始まった。ちなみに、これから話すことはすべてアサゼル先生は知っている。
「それでこのメンバーを集めてどうしたの士郎?」
士郎が集めたことになっているので、士郎が話し出す。
「修行のことで――いくつか頼みたいことがあります」
「あら?なにかしら?」
リアスのお母さんが聞く
「えぇ、8月11日の1日だけ――グレモリー領の一角でレーティングゲームを行なっていいでしょうか?」
「レーティングゲーム・・・?どうして、そんなまた?」
「実戦経験と言いましょうか・・・そんなところです」
そういって、視線をまずこの土地のオーナーである部長のお母さんに向けると
「私は構わないわ、リアスは?」
「えぇ、私もよ、それで士郎――レーティングゲームって誰と誰が戦うの?」
「――対戦相手は、私と部長達です」
「……えっ?」
「といっても、非公式試合です――」
「非公式とはいえ、レーティングゲームでしょ?」
「えぇ、レーティングゲームですね」
士郎の声が部屋に響いた。それから、リアスは少し考え始める。そして
「いいでしょう――士郎、その挑戦受けてあげる」
レーティングゲームというのは、少し語弊が生じるだろう。士郎が行おうとしているのは、万物の願いをかなえる「聖杯」を奪い合う争いを模したものだ。といっても、今回のマスターは士郎ただ一人。そして、サーヴァント達と戦うのはほかならぬ部長達だ。
「こちらこそ、全力で参らせてもらいますよ訓練の一環としてね」
「えぇ、全力でかかってきなさい」
それから、部長と握手を交わす士郎であった。それから一通り、ルール説明と打ち合わせも終わらせ、士郎はとあるところに向かっていった。
グレモリー邸某所
士郎は朱乃さんと小猫の部屋に来ていた。
コンコン…
ドアノックすると、部屋から小猫ちゃんが出てきた。
「士郎先輩、どうしました?」
「少し夜会をしたいと思ってな、君を誘いたいんだ、今空いているな?」
「え…?えぇ」
そういうと、士郎は小猫の手を掴み
「なら、行こう」
「ちょっと先輩?えっ?」
戸惑う小猫を後目に士郎は夜の冥界といっても、自分の領地に向かったのであった。
グレモリー領丹羽自治区――ソロモン歓楽街
「あの、先輩、いいんですか?」
「あぁ、部長達には許可をとっているさ」
とさらりといいながら歩いていく士郎。そんな中だった。
「士郎さーん!!お待ちしていましたよ~」
「おっ、いたいた、おーい、玉藻前~」
名前を呼びながら小猫の手を引っ張って歩いていく。視線の先にいるのは、和装の獣耳の少女だ。
「おう、玉藻前、待たせたな」
「いえ、士郎様のためなら百年でも二百年でもお待ちしますよ」
「そりゃ、ありがたい、それで見つかったか?」
「えぇ、どうします、メディアさんでも連れていきます?」
「いや、いいだろう」
それから、近くの焼き鳥やに入る。
「おっ、玉藻前の姉さんじゃないか――イケメンの兄ちゃん連れて、今日はどうしたんでい?」
「ちょっと、食事会ですよ、個室開いています?」
「おう、二階の座敷が開いているから使ってくれや」
「えぇ、そうさせてもらいますよ~」
そういうと、士郎は玉藻前に先導してもらい小猫を連れて、二階の座敷に上がった。ちなみに、店員の視線がどこかで見たことあるような顔で少しひやひやする。それから、店員が来たのでいくつか、玉藻前が注文する。小猫本人はというと、終始戸惑っている。
「士郎先輩」
「なんだい?」
「先輩はなんで、私だけを?」
「そうだな、心配だからだよ」
「えっ?」
「気付かないわけないだろ、俺を誰だと思っているのさ」
士郎は小猫の頭をうっすらと撫でてやる。そして
「内なる力を使いたくないんだろ?」
「どうして先輩はそれを?」
「小猫ちゃんがどういうものか位、わかっているさ――それでいうが」
少し士郎は言葉を溜め
「怖いんだろ、曝け出すのが――」
「先輩…軽く言わないでください」
「軽くは言っていないさ、俺が責任でも取れないとでも思うか?俺を誰だと思っているのさ、こう見えても滅神龍皇だぞ?暴走したら意地でも止めてやるよ」
そういうと士郎は、小猫をゆっくりと抱きしめるとボロボロと涙をこぼしだす。
「先輩、強くなりたいです――けど、うちに眠る力を……猫又の力は使いたくない…使えば私は…姉さまのように、もうイヤです、もうあんなのはイヤ……」
「小猫、誰だって超えなきゃいけない先があるさ、それに今は俺もいるんだ、それに朱乃さんだって抱えている、俺も過去は背負っている、誰かのためでいい、その力誰かを守るために振るうんだ――それで救われることもある」
「…先輩、今はないていいですか?」
「あぁ、思う存分な」
ゆっくりと体を抱きしめてやる士郎であった。そして、一しきり泣く小猫であった。