ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第四十三話 三大勢力和平会議

「――さて、行くわよ」

部室に集まるオカルト研究部の面々。そう、今日は三大勢力の会談の日だ。会場は駒王学園の新校舎の職員会議室だ。すでに、各陣営のトップたちは新校舎の休憩室で待機している。そして、メディアと玉藻前が特性の結界を強力な結界の上に重ねがけしているため、誰も中へ入れなくなっている。もちろん、外にも出れない。結界の外には、天使、堕天使、悪魔の軍勢がぐるりと囲んでいる。俗にいう一触即発の空気だ。何かあったり、協議が決裂したら即戦争だろう。

 

 

そして、会議室前

 

コンコン、部長が扉を叩く

「失礼します」

 

トップ会談だけあって、かなり緊張感に包まれていた。さすがの士郎でも冷や汗をかく。そして、イッセーの服の端をアーシアが不安そうに掴んでいた。

中に入ってに見えたのは、豪華絢爛そうなテーブル。それを囲むように見知った人たちと言ってもアサゼルぐらいなのだが

悪魔側には、装飾が施された衣装に身を包んでいる、サーゼクスとレヴィアタン、給仕係にはグレイフィアさんだ。天使側は、金色の羽のミカエルと思わしき男性と知らない女の子の天使さん。純白の翼が眩しい。そして、堕天使側は黒い十二枚の翼をはやした凝った装飾の黒いローブ姿のアサゼルと「白い龍」ヴァーリだ

 

「私の妹と、その眷属だ」

サーゼクスが部長たちを紹介する。それに応じて挨拶する部長

「先日のコカビエル襲撃で彼女たちが活躍してくれた」

「報告は受けています。改めて、お礼を申し上げます」

「悪かったな、俺のところのコカビエルが迷惑をかけた」

ミカエルが礼を言い、悪びれない態度でアサゼルがいう

「そこに座りなさい」

サーゼクスの指示で壁際の椅子に座る。会長の隣に部長が座り、その隣にイッセー、朱乃さん、木場、アーシア、ゼノヴィア、小猫ちゃんだ。

「全員そろったところで、会談の前提条件を一つ。ここにいる者たちは、最重要禁則事項である『神の不在』を認知している」

イッセーが視線をキョロキョロさせる、別段驚くようなことでもなかろう

「では、それを認知しているとして、話を進める」

こうして、サーゼクスの一言で、会談は始まった

 

 

 

 

会談は順調に進んでいく。

「さて、リアス。そろそろ、先日の事件について話してもらおうかな」

「はい、ルシファー様」

サーゼクスに促され、部長と会長と朱乃さんが立ち上がり、この間のコカビエル戦での全て冷静に淡々とを話し始め、それに聞き入る3大勢力の面々。

「――以上が、私、リアス・グレモリーと、その眷属悪魔が関与した事件の報告です」

「ご苦労、座ってくれたまえ」

部長にお疲れと言ってやりたいところだ

「ありがとう、リアスちゃん☆」

「さて、アサゼル、この報告を受けて、堕天使総督の意見を聞きたい」

全員の視線が黒髪の総督へ集中する、そして不敵な笑みを浮かべて話し始めた

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張るもの(グリゴリ)』の幹部コカビエルが、ほかの幹部及び総督の俺に黙って、単独で起こしたものだ。やつの処理は、『白龍皇』がおこなった。その後、組織の軍法会議でコカビエルの刑は執行された。『地下最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑だ。もう出て来られねぇよ。そのへんは資料にすべて書いてあったはずだが?」

「説明としては、最低の部類ですが――あなた個人が我々と大事を起こしたくないというのは知ってます。それは本当ですよね」

「あぁ、俺は戦争になんて興味ないからな」

 

そう言いながらも話は進んでいく

「次の戦争をすれば、三すくみは今度こそ共倒れだ。そして、人間界にも影響を大きく及ぼし、世界は終わる。俺らはもう戦争を起こせない」

真剣な顔で話すアサゼル

「神がいない世界は間違いだと思うか?衰退すると思うか?残念ながらそうじゃない、俺もお前たちも、こうして元気に生きているからな――まぁ、神がいなくても世界は回るのさ」

なにかを感じ取るイッセー、さしずめ神の不在についてだろう。その後、会談は、今後の勢力についての話にうつった。

先ほどよりも、緊張が若干弱まった感じだ。それもそうだ、どの勢力も戦争を望んでいないからだ

「――と、こんなところだろうか?」

お偉い方たちが、大きく息を吐く。一通りの重要話は終わったみたいだ

「さて、話し合いもだいぶ良い方向へ片付いてきましたし、そろそろ、滅神龍皇殿のお話を聞いてもよろしいかな」

士郎に視線が集まった。だが―

 

「まぁ、その前に、イッセー言いたいことがあるんだろ?」

イッセーの方に視線が集まった

「・・・いいのか?士郎」

「あぁ、問題無い」

「アーシア、いいな?」

「えぇ、構いません。イッセーさんを信じます」

 

そういうと、イッセーは立ち上がり

「アーシアをどうして追放したんですか?」

イッセーのミカエルへの質問に対し全員が驚きの顔をした

ミカエルは真摯な態度で答え始めた

「それに関しては、申し訳ないとしか言えません。・・・・・・神が消滅したあと、加護と慈悲と奇跡を司る『システム』だけが残りました。この『システム』とは、簡単に説明すると、神が行なっていた奇跡などを起こすためのもの。神は『システム』を作り、これを用いて地上に奇跡をもたらしていました。悪魔祓い、十字架等の効果は『システム』の力なのです」

「なるほど・・・つまり、神が居なくなって、『システム』に不都合が起きたんですね」

「えぇ、正直『システム』を神以外が扱うのは困難を極めます。私や熾天使全員でようやく『システム』を起動させていますが・・・全盛期に比べると、救済できるものは限られてきました」

「もしかして、信仰に影響を及ぼすから・・・ですか」

「えぇ、その通りです。一部の神器(セイクリッド・ギア)は『システム』に影響を及ぼしています。その例として、アーシア・アルジェントの『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』、それにあなたの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』、そして、『白龍皇の光翼(ディバインディバイディング)』などもです」

「もしかして、悪魔や堕天使を回復できるからですか?」

「はい、信徒の中に『悪魔と堕天使を回復できる神器』を持つものがいれば、周囲の信仰に影響がでます。信者の信仰は我ら天界に住む者の源です。そのため、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』は『システム』に影響を及ぼす神器となってしまいます。それと、影響を及ぼす例として」

 

ミカエルの言葉を遮って、ゼノヴィアが言った

「――神の不在を知る者――ですね?」

「えぇ、そうです。ゼノヴィア、あなたを失うのはこちらとしても痛手ですが、我々『熾天使』と一部の上位天使以外で神の不在を知ったものが本部に直結した場所に近づくと『システム』に影響がでるのです――申し訳ありません。あなたとアーシア・アルジェントを異端とするしかなかった」

ミカエルがアーシアと、ゼノヴィアに頭を下げた

その行動に目を丸くする二人

「いささか、理不尽を感じていましたが、理由をしればどうということもありません」

「あなたが悪魔に転生したこと。それはこちらの罪でもあります」

「いいのです。多少後悔もしましたが、今の私は、この生活に満足していますから」

「ミカエル様、私も今幸せだと感じております。大切な人たちがたくさんできましたから。それに憧れのミカエル様にお会いしてお話もできたのですから光栄です」

二人の言葉に安堵の表情を見せるミカエル

「すみません。あなたたちの寛大な心に感謝します。デュランダルはゼノヴィアにお任せします。サーゼクスの妹君ならば下手な輩に使われるよりも安全でしょう」

コクりと頷く士郎

「サーゼクス様」

士郎は、アイコンタクトを二人の魔王に取る。

 

「滅神龍皇の丹羽士郎さん、どうかしたんですか?」

ミカエルさんが真摯な態度で聞いてきた

「えぇ、少し天界のご意見が聞きたくて、よろしいですか?」

「はい、構いませんが、何用で?」

「エクスカリバーとデュランダル、それに『Document of Constantine』についてです」

ミカエルさんと隣にいた少女の顔が曇り、会議の空気が一気にまた重苦しくなった

「聖剣エクスカリバーとデュランダル、DOCですか」

「えぇ、まず一つ目に、神父フリード・セルゼンに対して、なぜDOCを使わなかったんですか?そのせいでコカビエル事件が起きたと思われるのですが、仮にも、神を信ずるものだったなら、それは行使できたはずなのだが、その辺のご意見が聞きたい」

「・・・『システム』が機能しなかった、それだけです」

「そうですか、では、先ほど、『システム』に神器で信徒の信仰に影響がでると言いましたけど、なぜ?」

そして、少し沈黙するミカエル

「あなたは、一体・・・そのような方法私たちでも思いつきませんでしたよ・・・」

士郎の真意をすぐに掴み取り驚いた顔になるミカエル

「こちらも、いろいろ頭の回路は早いと思っているんでね」

そういう士郎

 

「では、エクスカリバーについて話しましょう」

「えぇ」

ミカエルの表情が戻った

「――あなたの持っている、エクスカリバーはこちらの持っている聖剣エクスカリバーと全く違うものでという見解です」

「そうですか、では、こちら側の約束された勝利の剣(エクスカリバー)は、認められないと・・・」

「いいえ、あなたの持つその約束された勝利の剣(エクスカリバー)は、能力、威力共にこちらの聖剣エクスカリバーより、あなたの持つ約束された勝利の剣(エクスカリバー)のほうが上です。それ故に、あなたのそれを申し訳ありませんが、我々は認めるわけにはいかないのです・・・これは、デュランダルも同様です」

「そうですか、わかりました、ですが、一応、真名なので、名乗らせてもらっても結構ですよね」

「えぇ、それはかまいませんわ」

 

そういうと、士郎は下がった。

そして、会談は、続いていく、そして後半に入り、イッセーが精一杯の言葉を発していた。そんな中

ビキッーン!

瞬間的に、士郎は直感で対魔力のスキルSを起動させると、直後に周りの面々の時間が少し止まった


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