ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第四十話 ラウンズ

現在時刻 02:00 真夜中

 

士郎がいるのはマリーナ・べイサンズ・ホテル最上階スカイパーク、まだ水が張ってあるプールの上に立っている

現在、なぜここにいるのか、ひとえに監視、いや襲撃地点の索敵と大体の地形の把握も兼ねている

士郎の眼光はまるでこれから狩りを行う鷹のように鋭かった。その後ろでは、白い和服の前髪ぱっつんの女の子が手を組んで立っている

「相変わらず、君はすごいな」

「それはどうも、リアナ」

「それにしても、なぜ君は水面に立っているんだ?」

「この身は湖の乙女より加護を授かっている。何帳の水であろうとも、我が歩みを阻むことはない」

「ほお、それはまた稀有なやつだ」

「それで、どうだ?」

「今のところ、動きはナシだ」

「了解した」

そういうと、それを念話で伝えるリアナ。士郎は注意深くを港付近の橋を見つめる。

「しかし…なにやら、鴉の位置や動きが…おかしいな、魔術的な意味があるかもしれんな、気を付けるようにと伝えておけ」

「見えるのか?」

「あぁ、一応は目がいいのでな、あの大橋のボルトの数くらいならわかる」

そう言うと、少し遠くの橋をさす士郎

「ホントだったら、流石、士郎だ。鷹の目のそれと呼ばれるだけはあるな」

「フッ……君達は優秀だ。だから私を試しているようにしか聞こえないのだが?」

「気にさわったのなら申し訳ない」

そう言いながら、目標となるところを見ている

 

「――さて、わたしも向かうかな」

黒い外套が風にたなびき始める

「行くのか?」

「あぁ、少し現地偵察と行こうかな」

そういうと、リアナの前から士郎が瞬間的に消えた

それを確認すると、また彼女も影のように消えていった。

 

 

 

 

 

 

「――どう士郎?」

隣にいるのはレイだ。

「あぁ、特に動きはない」

「あの場所からなら、戦場がくまなく隅々まで見渡せるわ、どうする?」

 

隣に並んだレイが指差したのは岩壁の暗闇を背景にそびえ立つデリッククレーン、高さは目算で20メートル。確かにあそこの上ならば今夜の戦場を観察するのにうってつけだ。

 

「確かに監視や狙撃にはあそこが絶好だ。誰だってそう思うだろう」

「えぇ」

「レイは東側からレーンの上で狙撃準備、僕は先陣を切る・・・俺たちの戦闘と、それとあのデリッククレーンを両方を見張れるポイントにつくんだ」

「分かったわ」

「それと・・・」

「はい?」

即座に動こうとして、呼び止められた火鉢が振り向くと、珍しく考え込んでいる士郎がいた。

周囲を警戒しながら何かを探しているようだが。

 

「・・・少なくとも敵影が一つ、この近くにいる。確認できたのは黒い外套のようなものを着ているということだけだった」

「接触したの?」

「いいや、それらしき人物ということだけさ、とりあえず警戒を」

「はい」

そう言うと、音も無く動き出すレイ、それと同時に、士郎もまた動き始めた

 

代わり映えのないプレハブの並ぶ倉庫街、まばらな街灯が照らすそこは大型車両の運行も考慮された4車線のアスファルト

目の前にいるのは、黒い教会服をきた悪魔と、スーツを着た堕天使

その中の一人が

「おや、こんなところに子供がなんのようかな?子供はもう寝る時間ではないのかな?」

「私もそろそろガキと呼ばれたくはないのでね」

殺気をこめ、その男性に言い放つ士郎

「それにしても、もし襲撃をしにきたのなら、君は本当に頭が悪い、なぜなら」

そういうと、偉そうにポッケに手を入れていた堕天使が一歩前に出て

「もはや、君はカゴの中の鳥だからだ」

「カゴの中の鳥か――面白いものだ」

そういうと、その言葉に奥することもなく士郎は懐から一丁の拳銃を取り出し

バン!バン!バンッ!

その弾丸が、3箇所地面にめり込んだ

「ハッ!?トチ狂ったか、このガキ!?いいぜ、そんなに死にたきゃ、カゴの仕掛けで御陀仏だ!」

そういうと、魔方陣が浮かび上がって、術式が発動しようとしたそのとき

バチバチバチ!パリィィン!

音を立てて、その魔方陣がガラスのように砕けた

 

「――どういうことだ…?どういうことなんだよ!?」

慌て出す堕天使とその周りの悪魔たち

「さぁな、コレを使うのは二回目なんで説明はハブらせてもらうぜ――まぁ、どうやら発動が遅かったみたいだなぁ、俺がトリガーを引く前に発動するべきだったな」

パン!パンッ!瞬間的に現れた一丁の拳銃で、その男性の後ろにいた悪魔二人が頭から血を流して倒れた

 

「き、貴様は、なにものなんだ!?」

スーツを着た堕天使の男性があまりにも酷い光景と士郎から放たれるその圧倒的な威圧感にその場に尻餅を付いていた

躊躇いもなく、士郎はその男性に向かって引き金を引く、その直後、その男性も額から血を流し倒れた

「自分の心配が先じゃないのかい?まぁ、そこに座って俺から逃げられると思ったら大間違いだ」

そう言いながら、黒い外套をたなびかせ、その場から去る士郎

 

 

 

「なにが、どうなっているんだ!?どこのどいつが何重にも張り巡らした結界を突破してこちらにやってきているんだ!?」

「申し訳ありません、現在全力で調査中でございます」

頭を下げている男性、そして、豪華そうな椅子に座って怒鳴っている中年のすこし太った男性、その隣には護衛と思わしき男性二人

パン!パンッ!

その音と共に、護衛の屈強な二人も額から血を流して倒れた

 

「なんだ、聞いたことないのかよ――聞いたことくらいあるだろ?ラウンズって言葉くらいさ」

その男性の前方の暗闇から、少年のようでどこか大人っぽい声が聞こえた

「ラウンズ――」

 

「俺たちは貴様ら『禍の団』とつながる者たちのことを"協力者"と呼んでてな…その大掃除中ってわけさ、今、外じゃ二つのグループが貴様ら殲滅にせいを出しているのさ、まぁ、あいつらは基本貴様らを見つけたら、皆殺しにしても問題ないと考えているからな、しかも、徹底的な証拠隠滅、つまり、今お前の目の前にいるのは……」

そういうと、士郎は冷徹な目でその男性を見下した。直後、その場に倒れこむ男性。

 

「――あんまり、ためらう暇もないのでね」

そう言いながらその場を去る士郎。部屋には硝煙の匂いが充満していた

 

そして、外、周りはとこ闇に包まれていた、見えるのは敵影のみ

かなり近くに見えるホテル、といっても大きいだけで実際は遠い

ボスを失っても抵抗する"協力者"たち

 

『――士郎、聞こえるか?』

通信器からは、リアナの声が聞こえた

「あぁ、どうしました?」

『あと、そこにいるだけよ』

「了解」

そういうと、少し姿を変えて外に出た

 


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