ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第四巻 三大勢力和平会議暴動編
第三十五話 堕天使総督来襲


某日:夜――

 

士郎は依頼者の下へと急いでいた。その隣では同じ速度で兵藤一誠が自転車をこいでいた

「それにしても、おまえ早いな?」

イッセーが信じられないような顔をしながら、こちらを見てくるが、別段そんなこともないだろうと思いながらも士郎はただ走っている。

「そりゃ、昔走ってたからな」

「いや、それで俺は理解できないわ」

「なら、理解しろ、全力でな」

「はいはい」

今日も悪魔のお仕事、絶賛勤務中である。

 

「よー、悪魔くん。今日も悪いな」

それから、二人は今、とあるマンションの依頼者である彼の自室にお邪魔している。相手は、黒髪のワルそうな風貌の男、見た目から察するに20代、しかも外人なのに浴衣ばかり着ている。そして、全身からにじみ出ている悪党っぽい雰囲気。

「(まっ、コイツが誰だかってことはわかっているんだが、にしても、毎度毎度では困るな)」

隣のイッセーに視線を送ってみるが、知っているといった雰囲気は出していない。むしろ連日呼び出されガッカリさえしている。

無理もない二人は連日この依頼者に召喚されていた。しかも士郎とイッセーの指名でだ。どうやら二人が気に入ったらしい。昨日は二人でパンを買いに行かされ、その前は夜釣り、イッセーとその他の部員たちは知らないが、彼こそが『神の子を見張るもの(グレゴリ)』の頭で、総督アサゼルだということを士郎は知っている。

 

「悪魔君、今日はゲームでもやらないか?昼間にレースゲーム買ったんだ。相手がいなくてさびしくてな」

こんな感じの人だ。ろくでもないことに付き合わされている士郎とイッセーにとっては、文句言いたいところだが、そんなんも言ってられない。それに主に怒られるし。しかし、契約面ではいい客なのだ。こちらが要求する以上の物をくれたり、高級そうな絵画をはじめ、宝石や金塊まで代価でよこしてくれていた。

 

と考えながらも、ゲームをセットする依頼主

「よし、ゲームもセットできた。日本って国は時間つぶしのアイテムが多くていいな。悪くないところだ。ほら、コントローラー」

そういうと、士郎とイッセーにコントローラーを渡してくる

「あ、どうも。俺、この手のゲームに強いですよ?」

「俺もです(そういや、イッセーってレースゲームやけに強いよな)」

そう思いながらもコントローラーを握る士郎。

「へぇ、そりゃ楽しみだ。こっちは初心者だから軽く頼む」

「えぇ、お願いしますよ」

「了解っす」

とイッセーがいい気分になりながらも

 

『GO!』

レースがスタートしたものの、開始して数レースはイッセーが圧倒的に有利に展開していたが、

「一通り、覚えたぜ、そろそろ、追い抜くか」

アサゼルがイッセーの車を軽々と抜かしていった。

 

『WIN』

あっさりとゴールするアサゼル

 

「どうやら、俺の勝ちだな、悪魔君たち」

「まだまだ!」

強がっているイッセー

「おー、気合はいりまくりだねぇ。じゃあ、もうひとレースするか、なあ、悪魔君・・・・・・いや、赤龍帝、それに滅神龍皇」

男の口にした言葉に戸惑いを隠せないイッセー

「・・・・・・あんだ、誰だ?」

イッセーが彼に聞くが

「気付かなかったのかイッセー?」

「おや、お前さんは気づいていていたのか?」

「えぇ」

「そっか、俺の名はアサゼル。堕天使どもの頭をやってる。よろしくな、赤龍帝の兵藤一誠、滅神龍皇の丹羽士郎」

『WIN』

ゴールはるか手前で走行をとめていたイッセーの車を二周さで追う抜き、軽やかにアサゼルの車がゴールインする。そのわずか僅差で士郎の車がゴールする。その直後、彼の背中から十二枚の漆黒の翼が展開した。


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