ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第三十四話 予兆

帰国後――兵藤家

「(攻性の組織か・・・)」

兵藤家の豪華なソファで寝っころがりながら、天井をボーッと眺めていると。

「(戻ってこれなくなるな・・・俺)」

今いるイッセーや朱乃さん、それに部長たちとは一線を引いた存在になる。そうすれば今までどおり平和な任務とはおさらばになってしまう。しかし、手に入れるのも大きだろうと士郎は考える。そんな中

「・・・先輩」

私服姿の小猫がやってきた、相変わらずそのちっこさが愛らしい。

「おう、なんだ小猫?」

「いえ、なにやらぼーっとしていたの、大丈夫ですか?」

「・・・ん、ノーコメで頼むわ」

「何かあったんですね?」

「あぁ、少し今後に関わることでね」

「私は、お力になれますか?」

「ん、なれるかもしれないし、なれないかもしれないけどな」

「曖昧ですね」

「そんな問題なんだよ」

すまし顔で言う士郎。

「・・・」

なにか思いつめたことを感じる小猫だった。

 

 

 

数日後――東京某所のとあるカフェ。

 

カフェでおとなしく士郎はコーヒーを飲みながら、本を読んでいた。今日は、ソフィアさんの設立した特務3課の新人試験の日だ。課題は、まかれないように士郎を尾行することだが、これは訓練生にとってかなり厳しい課題である。いくら手加減したところで、右も左も分からない新人では尾行をまかれてしまうのは仕方ないだろう。しかし、今回の新人はそうはいかないみたいだ。

 

「(――早速お出ましかな)」

士郎がスカウトというよりかはヘッドハンティングした人材はもうすでに尾行を始めているみたいだ。士郎は本を閉じ、受付で会計を済ませ、そのまま歩き出す。そして、相手も歩き出す。

「(ここまでは問題ないっと・・・)」

カフェが入っていたビルを出て、路地裏に入る士郎。そして、手元のメモで、ある程度メモり

「(さてと、逃走でも始めますかね)」

士郎は、後ろを警戒しながらも都会の雑踏の中に身を紛らわせる。できるだけ多い人のところに進んでいく。しかし、どうやら巻かれていないようだ。一筋縄ではいかない麗人みたいだ。

「(こうさせてもらいましょうかね)」

そのまま、浅草や上野のアメ横などをまわる士郎。

「・・・」

バッ!!

士郎はアメ横の路地裏に入った直後、壁際を伝い、一気に屋上に出た。それから、屋根伝いに東京の空を翔んでいく。

そして、後ろもどうやらついてこれているみたいだ。それから、江東区に差し掛かった時だった。

 

Prrr!!Prrrr!!

士郎の通信機器が専用回線用の着信音を鳴らした。士郎は一旦試験を止め、それに出る。通信相手はアルビスだった。

『士郎、アルビスよ――付近に禍の団(カオス・ブリゲード)のアジトがあることがわかったわ、一応魔王政府が突入するけど、こちらが、その前に片づけるわよ』

「中にいるのか?」

『えぇ、捕縛されたイギリスの重役がね――いらぬ嫌疑はかけられたくないからね』

「了解――」

通信機器を止め、後ろにいる麗人に"試験中止、緊急任務発令"とサインを送る。サインを送ると、その麗人がとなりにやってきた

「それで、状況は?」

サングラスと変装用の変身を解く。長い黒い髪に、変装用の黒いサングラス、それに黒いコートを着たサツキだった。

「付近に禍の団(カオス・ブリゲード)のアジトがある、それで魔王政府の部隊が突入するけど、こちらが、その前にカタをつけろだとさ」

「あらあら、随分と簡単そうに言ってくれるじゃない」

「あぁ――さてと、んで、アルビス場所は?」

『港区港湾倉庫特別コンテナ郡の31-Aってところよ』

「ますます、きな臭いところだな」

『えぇ、まだ彼らは到着していないわ――到着しても数十分は待つみたいだから』

「地下通路か何かの情報は?」

『さっぱりだわ、けど、建設停止になった産業地下道路なら真下にあるわ』

「どこだそれは?」

『お台場、ゆりかもめの操車場のすぐ脇に建設用の実験通路から行けるわ』

「了解――状況を開始する」

『えぇ、開始しなさい』

 

 

――建設停止になった産業地下道路

 

「・・・ますますきな臭いわね」

「あぁ、さてと反応はっと」

魔力反応をもとに士郎とサツキは道路を進んでいく。それから、瓦礫や建築資材の間を隠れながら進んでいくと

「・・・いたわね」

「あぁ、間違いないな――」

(ウォンド)を持った魔術師が数人いた。驚いたことに、儀礼服など着ておらず、全員一般人が着るようなジャケットやジーンズを普通の服を着ていた。

「(一般服か・・・珍しいな)」

「(えぇ、どうする?)」

「(派手なことをやれば、地盤沈下や地震が起きて上で災害になりかねないからな、できるだけ隠密に運ぶぞ)」

「(了解)」

そういうと、士郎とサツキは機関銃を手に携え、光学迷彩を駆けて這いよる

「・・・」

人が隠れる位の大きな資材のところから隠れて様子を伺う

「(人質二名――…どうりであいつらを突入させたくないわけだ)」

士郎は、サツキに少し待機指示を出す

「(弾道計算・・・弾核形成――起源接続)」

頭上に数百発の弾丸が現れ――

 

「(いけ・・・)」

ヒュヒュヒュヒュヒュ!!

弾丸が目にも止まらぬ速さで射出され

 

『敵襲か!?』

ズダッダダダダダダダダッ!!

数万発の弾丸がテロリストの肉体を突き破り、地面に弾かくが突き刺さる音を響かせる。同時に機銃片手に士郎とサツキは走り出す。

 

ズガガガガッガガッ!!

魔術師めがけて掃射し、確実に仕留め、人質のところに走っていく。

「――大丈夫か、目と耳をふさいでろ」

士郎は、イギリスの重役の安全を確認したあと、彼に向かってそういった。その直後、まばゆい光と爆音を周囲へとばらまく。それが起こった瞬間、一気に制圧する

 

ジャキッ!!

残っていたひとりの魔術師の喉元に機銃を突きつける

「ご同行願おうか」

『ヒ、ヒィ・・・』

士郎は立たせて連行する。それから、サツキに物陰から様子を伺わせると

ダッダッダッダッダッ!!

どうやら、こちらが全て終わったあとにようやく来たみたいだ。

『どういうことだ――』

『なんで、死体が・・・』

禍の団(カオスブリゲード)か?』

『いや、そんなことないだろう』

『じゃあ――これは・・・』

戸惑い始める彼らをよそに士郎達は地上に戻った。

 

 

「・・・さてと」

士郎は地上に戻ると――先程確保したイギリスの重役に睨めつける

「あんたがイギリスの重役か――所属は?」

「が、外務省外交戦略課特殊秘匿部参事官です」

「・・・秘匿部か、なぜ日本に?」

「それは、機密事項なので・・・」

「――そういうことね」

そういうと、士郎は通信機器でアルビスに向けて一言や二言話しをすると

 

「さてと、これがわかるかな?」

「・・・それは」

とあるものを見せると、参事官の顔がひきつる

「そういうことだ、話してもらおうか、なんでここにくる必要があったのか」

すると参事官の若い男は少し沈黙した後に

「対日交渉の一環として、この国の特殊機関について調べていた」

「特殊機関か――わかった、今から大使館に貴様を転送する――いいな?」

「あぁ、わかった――あんたらは?」

「まだ試験は終わってないからね――ここから、再試験さ」

そういうと、彼の足元が光、彼らは次の瞬間、イギリス大使館にいた。士郎は通信入れる。

 

「状況終了――」

『了解、お疲れ様』

通信からアルビスの声が聞こえる。

「どうも、それで今後どうすればいい?」

『さてと、どうしましょっか?一応、大使館に連絡はいれておいたから問題ないわ』

「了解、んじゃあ、これから帰還する、そっちは?」

『いま、イギリスよ』

「大変だな」

『そっちもね、それでなんかあった?』

「日本国政府特殊機関をおっていたみたいだ」

『・・・聞き出したの?』

「まぁな」

『特殊機関ね・・・わかったわ、士郎たちは今日は一旦帰ってちょうだい、報告書で今回のことが欲しいわ』

「ん」

そういうと、士郎とサツキはそこから転移した。

 


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