ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第二十八話 嵐の前の休息と対話

 

ドサッ――

「――ちょ、士郎」

帰宅するなり否や士郎は、倒れ込んだ。それに気づいた同居人であるサツキが駆け寄る。

「ちょっと、何があったのよ!?」

「木場との戦いでな魔力を使いすぎた――」

「そんな、士郎が使いすぎるなんて」

というものの、流石に連続展開するのは、早かったらしい。士郎の身体は、かなり満身創痍状態だ。

「悪い、少し休ませてくれ」

「えぇ、わかったわ」

そういうと、サツキは士郎に肩を入れてくる。

「すまんな、サツキ」

「いいのよこれくらい」

士郎は、サツキに肩を貸してもらい、自分の部屋につき床についた。それから、士郎が眠りについて半日が経った。

 

「――来い、アルトリア」

「はっ、お側に」

そういうと、士郎の枕元に濃紺のドレスシャツにネクタイ、フレンチ・コンチネンタル風のダークスーツというようするに見た目麗しい男装の少女アルトリアが現れた。

「すまんな、見苦しい姿を見せて」

「いえ、それよりお加減は」

「問題ない、それよりオルタは?」

「以前所在不明です」

「そうか、非常事態体制を引く――最近、外部調査中のアサシンから、堕天使組織『神の子を見張るもの(グリゴリ)』のコカピエル一派が怪しいことをしているらしい、どうやら大規模みたいだからな―相手を油断させるためにも、一時警戒態勢にあたってもらう」

「了解しました、人選はこちらでよろしいですか?」

「頼む」

「はっ」

そういうと、その場から去るアルトリア。そして、士郎も再び休んだ。それから、再び半日が経った。

 

士郎は夜の街を歩いていると、あの二人組がいた。

「――シロウ…?」

少し涙を見せてるイリナ。

「おいおい……イリナ、そんな顔するなよ、せっかくの顔が台無しじゃないか」

ゆっくりと歩み寄り、そっとイリナの頬に触れる

「だって…だって…」

今にも泣きそうなイリナ。そんな中、ゼノヴィアが

「落ち着けイリナ、彼は悪魔だ、そんな慈悲などh「巫山戯ないで!!!」」

夜の道にイリナの叫び声が部屋に響いた

「ゼノヴィア、いくらあなたでも、いくら信仰が厚いあなたでもあの状況はわかってたでしょ!私たちを死ぬ気で守ってくれたのよ」

「だが、彼は悪魔だ」

「だからってなによ!悪魔だからって人を見殺しにして言いわけ?私たちを救ってくれたのに!?」

「……」

イリナのあまりの怖さに黙り込むゼノヴィア。そんな中

「申し訳ない――丹羽士郎、少し私たちは信仰を重んじるあまり根底のことを気づいていなかったようだ」

「そんなこと、気にするな、俺は気づいてくれるだけで嬉しい」

ゼノヴィアに冷静な口調でいう士郎。そんな中、イリナがコインをもって投げる。

「せっかくだし、あの時のお礼よ、なにがいい?」

「そうだな、緑茶でいいさ」

「私もそれでいい」

そういうと、イリナが自動販売機に飲み物を買いに行く。そんな中

 

「周りを警戒しなくていいのか?」

士郎は、ゼノヴィアに聞く。

「それなら大丈夫だ――仮にも聖剣エクスカリバーの使い手だ」

「そうだったな」

普通なら狂気の沙汰だが、その意見には頷けるものがある。それもそうだ、立派な信徒だからだ。本来、敵同士であるはずのこいつらに、こんな事を思うのは何だろうかと自問自答する士郎。そんな中

 

「まずはお詫びとお礼をを・・・すまなかった士郎、そしてありがとう?」

「・・・君は私に謝罪したり、お礼するような事を何かしたのかね?」

 

士郎はとぼける。とはいえ、心当たりが無いわけじゃない。

 

「――戦いの時守ってくれた話だ」

心当たりの、ど真ん中を貫いてきた。予想は確かに出来ていたが、話を振られて嬉しい話でもない。

 

士郎はゼノヴィアを振り返らず、空を見上げている。

 

「あれは未熟な私のせいであり、それ以外の誰のせいにする気もない。アレは私の罪だ」

「しかし、彼の目的は私達だった、私達がもう少し強ければ・・・」

「それこそ傲慢だな、見ていたのなら分かるだろう?あれは君達が強かろうが強かろうでなくともと、あそこにいたキミ達を殺そうとしていた。それを防げなかったのは、ひとえに私の力不足が原因だ」

 

ゼノヴィアは黙った。黙るしかなかった。目の前の男が、自分たちを完全に守れなかった事にどれだけ後悔し、自分を責めているかを理解したからだ。それを言い訳もせずに、自分の中に受け入れている。多分この男はこうやって生きてきたのだろう。

 

「(なんと・・・)」

 

「・・・不器用な人ですね?」

「生前何度も言われたよ。他にも馬鹿だとか偽善者だとかいろいろな・・・しかし、これも性分だ」

「そうですか・・・」

ゼノヴィアの声が、何か思いつめているかのように暗い。彼女(ゼノヴィア)なりに、あの戦いには思うところがあったのかもしれない。

 

「士郎、貴様は信徒についてどう思う」

「………は?」

 

士郎はすぐに問われた事が理解できなかった。士郎はたっぷりと時間をかけてゼノヴィアの言葉を反芻し、思考した上で口から出た言葉は疑問符だった。それだけ予想の上を行く質問だ。

 

「君がそれを聞くのか?」

 

信徒と言えば、信仰するものの代名詞のような存在だ。そして彼女はその代表でもある。それが信徒について他人に質問するなど、釈迦に説法もいいところだろう。その意図を測りかねても文句を言われる筋合いは無いはずだ。

 

「わ、分かっている。私がこんな質問をする事がどれだけおかしいのか・・・」

「なら、聞かない方がいい、本来、そのようなものは自らの力でそれは切り開いていったほうがいい――来るべき真実に対応できなくなるぞ」

「来るべき真実?」

「そうだ、いまは意味を知らないほうがいい」

「何を知っている」

「そう怖い顔をするな、私は何かを知ってるんだ」

そういうと、その場から立ち去るゼノヴィア。彼らが今知ってはならないこと信仰の対象に起きたことだ。そして三人分の飲み物を買ったイリナが戻ってきたのであった。

 


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