ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
第二十三話 二人の朝
朝――
Brrr…
「うーん…」
士郎の朝は、いつもと違い少し耳障りな騒音と共に目が覚めた。
「(こんな朝っぱらからとは、にしても、やけにエンジン音がでかいな――)」
時刻を確認する。時刻は朝の5時だった。
「(ちょうどいい時間か――)」
そういって、士郎はベットから起き上がり、少し気になるので、外に出る。すると、右から来たなにやら、アメリカの暴走族が乗りそうなバイクがこちらに近づいてきて、自分の家の前で止まった。そして、バイクから降り、ヘルメットを外す。現れたのは、見知った顔というより、同居しているサツキだった。
「――ぷはっ!あ、士郎、おはよう」
「おはよう、ってそのバイクどうした?」
「あぁ、これ?簡単よ、実家から持ってきた」
「もしかして、あの魔窟から?」
「そうね、とはいってもガレージにあったものをね、にしても、やっぱり、この時期にライダースとチャップスは蒸れるわ」
「そりゃそうだろ」
士郎は、ひとしきり背伸びをした後
「バイク止めて、風呂でも入って来いよ、六地蔵の実家まで手続きに戻ってたんだろ?」
「えぇ、そうさせてもらうわ」
そういうと、家の中に戻っていった。
「いただきます――」
朝食の時間。目の前には、幼馴染のサツキの姿。もはやここまで来ると幼馴染というより家族っぽくなっている。
はたから見れば夫婦にも見えない。内心幸せだなとと思いながら朝食の味噌汁を啜る士郎。士郎にとってこう当たり前の日常の中で誰かと味噌汁を啜るのはほとんどなかったからだ。
「さすが、士郎ね」
「だろ、今日はあさりさ」
楽しく談笑というわけではないが、不思議といやな感覚はしない。むしろ安心感の方が多かった。
同居するようになってから実感したことだが、改めて一人というのは寂しいということを実感した。そのほかにも、サツキは、和洋中とレパートリーが幅が広い。それに、普通の料理をいい感じにアレンジすると極上の逸品になる。とはいえ、士郎も負けておらず、お互い切磋琢磨した状況になっている。それから、ご飯も食べ終わると、士郎たちに"呼び出し"がかかった。
日本:東京都内――某所
「朝早くに申し訳ないわね――士郎、サツキ」
「いえ、仕事ですから」
某所にあるオフィスに行ってみると、そこには"社長の椅子"と呼ばれる椅子に座ったサファイアさんがいた。
「それで――どうして俺とサツキだけなんですか?」
「ん、まぁ、貴方達が駒王に住んでいるからってところね」
「――なかなか情報が早いですね」
「えぇ、まぁ、本題に入るわ――さっき、こっち側のバチカン筋から、カトリック教会本部ヴァチカンおよびプロテスタント側正教会側に保管および管理されていた聖剣エクスカリバーが強奪されたわ、それで教会側は、特使二人を駒王の地に派遣することを決定したわ」
サファイアは、目を細め難しい表情をする。同時に士郎とサツキに衝撃が走る。
「つまり、俺の主であるリアス・グレモリーと交渉をってことですか?」
「そういうことになるわ、どうも、あちら側も切羽詰まっているみたいだわ」
「信徒にとって邪悪な存在である悪魔に依頼をしてきたってことは、相当厄介なことになりそうですね」
「話によると、そっちの街を訪れた神父が次々と惨殺されているみたいよ、そこいら辺も含めて調査を行ってちょうだい」
「わかりました」
そういうと、そのビルから出て駒王に戻るのであった。
士郎とサツキはお互い学校への支度をしていた。時刻は9:20分完全に遅刻だ。とはいっても、サツキの学校はこちら側なので休んでも特に問題ないが、士郎の方は今日は球技大会があるため、休むわけにもいかない。
「士郎、出るわよ~」
「ん~」
そういって、支度して玄関に降りると、そこには、制服をちゃんと着こなしたサツキがいた。その姿はとてもじゃないが同年齢とは思えない圧倒的な風格を漂わせていた。幼馴染とはいえ、その姿に見とれてしまう士郎。とはいえ、平然を装うが
「似合っているでしょ?」
「見惚れていたことが見抜かれていたか――」
「まぁね、士郎時間あるんでしょ?」
「まぁ、早くいった方がいいからな」
お互い玄関から出て鍵を閉める。
「んじゃあ、がんばって」
「そっちこそ」
そういうと、お互い学校に向かった。