ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
バチバチバチバチ…
「(ここは――)」
士郎は、燃え盛る火の中にいた。目を凝らせばそこいらへんに転がる焼死体。どれも白い羽が赤や灰色で汚れた天使だった。
「(夢…だよな)」
あまりにもリアルな夢だ。そんな中、ウェールを羽織った姿が特徴的な腰まである薄紫色の髪の少女が現れた。
「ジルニトラ」
『意識がハッキリしてきたか、大丈夫か?』
「あぁ、大丈夫だ、それより、ここは?」
『私の記憶の中じゃ』
「記憶の中――」
『そうじゃ』
そういうと、物凄い爆風と共に
『GYAAAAOOOOON!!』
耳を劈くような爆音が響く。同時に、
「――ッ!?」
本能的危機感を感じると共に、士郎の上空を人影と一頭の巨龍が飛んでいく。
「――ドラ…ゴン!?」
『何を驚いておる、あれは我じゃ』
「えっ!?」
あまりにもかけ離れた姿に少し驚く士郎。そんな中――
キュィィンンッ!!ババババババババアババババッ!!ズドォォンッ!!
龍の状態のジルニトラから放たれた蒼白い槍が、先ほど飛んでいった人影に直撃し爆発する。すると
「おい、ジルニトラ――これは」
『そうじゃ、我がジルニトラと名乗っている所以じゃ』
爆煙が病み、そこに現れたのは、金髪の男でも女でもないまして、少年や老人に見えない不気味で見るだけで恐ろしいのがそこにいた。後方には、光の軍勢がいる。士郎は、よく見てみると神の胸から紅い血が流れていた。
「まさか――あれが…」
『そうじゃ、聖書に記されし神じゃ』
「あれが」
『我が、あやつにとって最初で最後に傷つけたってことなのじゃ』
「つまり、蒼天に座す
『そうともいえるな――頃合いじゃろ』
そういうと、ジルニトラは、士郎の方を向き真面目な顔をして
『強くなれ丹羽士郎――遥か高見を目指せ』
そういうと、士郎の意識はそこで途切れた。
目を覚ました時、そこは士郎の家の天井だった
「ここは…俺の家――」
周りを見渡してみると、そこは、校舎の屋上ではなく、見慣れた家の天井だった。
「目覚めたみたいね――おはよ、士郎」
枕元から聞こえてくるのは、馴染みのある声だった。見てみれば、そこに居候というか、同棲というかナントいうか、この家に暮らしているサツキの声が聞こえた。
「俺の家――ってことは、負けたのか、俺ら」
勝ったのに負けた、そのことで頬に涙が流れる、悔しさ、情けなさ、弱さ、哀れさからでだ。
「えぇ、負けね――勝負はライザー・フェニックスの勝利、リアスさんが
「"したってさ"?」
「えぇ、私も聞いただけだからね――」
「…ん?」
「あれ、何も覚えてない…まぁ、無理もないか」
「状況を説明してくれるとありがたい」
「簡単よ、士郎は銀髪のグレイフィアさんって人に連れてこられたのよ、そのボロボロの身体で」
見れば、先ほどの戦闘服じゃなくパジャマになっていた。
「着替えさせてくれたのか?」
「まぁね、適当にってところよ」
「ありがとな」
「いえいえ、それで話戻すけど、ボロボロの士郎を受け取ると、色々と話してくれてね――ゲームのこととか」
「あぁ、そういうことね」
「それで、グレイフィアさんより"現在、お嬢様とライザーさまの婚約パーティーが行われています。グレモリー家が用意した冥界の会場です"ってさ」
「ってなると、姫島先輩も出向いているってわけか――」
「だれそれ?」
「部長の
「まぁ、それじゃー行っているでしょうね」
そういうと、サツキが士郎の方を見て
「納得してないんでしょ――」
「当たり前だ、あんなハンデをもってってこと自体に納得いかないね」
「けど、リアスって人は、お家の決定に従ったのですよ?」
「わかってるがな・・・けど俺は――」
嫌がったことを肯定させる権利は親同士でもそれはない、それにセクハラ野郎に部長を渡したくないという心境が多かった。
これは、確かに嫉妬だった。そして、ゆっくりと士郎は立ち上がる。
「行くんでしょ?」
「もちろん、意地でも行くよ」
近くのハンガーにかかっていたよれよれのコートに手を伸ばす。そして、身支度を整えると
「はい、これ」
差し出されたのは一枚の紙、そこには魔方陣が書かれていた
「これは?」
「グレイフィアさんに渡されたものよ、どうやら、この魔方陣は、グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティーの会場へ転移できるものですって、そして、私たちのボスであるサーゼクス様からの言葉を伝えるわ」
一拍あけ、サツキは真剣な面持ちで言う
「――『妹を助けたいなら、会場へ殴りこんできなさい』」
「ボスらしい言葉だ―なら、ボスの言う通り
――パーティーブチ壊し決定だ」
サツキから受け取った魔方陣で、士郎は見知らぬ場所へ転移した。