ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
夜:夜11時頃――
『ありがとうございました~』
店員の何も変わらない声とともに学生服のままコンビニの袋を下げながらコンビニから出る士郎。
帰り道を何事もなく歩く士郎。
『お主、何を買ったんじゃ?』
身体の中にいる奴が聞いてくる。
「2ℓの烏龍茶さ」
『そういや、お主よく飲んでおるの?なんでじゃ?』
「あれがうまいからだよ」
と話しながら歩いていく士郎。そんな中、急に周辺の空気が一変する。それはまさに朝から夜に変わるような空気の変化だ。
『士郎、ちと警戒しておいたほうがよいな』
「言われなくてもな――見に行くぞ」
状況を即座に判断した士郎は、自分の判断に基づき行動し始めた。
近づいていくとともに、濃密な殺意を感じる士郎。
――スタッ!!
『ぐ・・・あぁぁぁ・・・』
士郎の聴覚が呻き声を聞き取る。同時に、鷹の目が現場を捉える。それに目を疑う士郎。
鷹の目が捉えたのは、カラスの羽を持った人間が、光の槍を持ち、クラスメイトである兵藤一誠を殺しかけているのだ。
これは、流石に見捨てられない状況なので、すぐさま介入し始めた。
――◆
あまりの痛さに涙が止まらない兵藤一誠。相変わらず地獄へのいざないへのようにコツコツと近づいてくる靴音。その手には、光の槍。
「痛かろう?光はお前らにとって猛毒だからな、その身に受ければ大きなダメージとなる、光を弱めで形成した槍でも死ぬと思ったのだが、意外と頑丈だな――では、もう一度、これで最後だ!!」
そういって、カラス男は、兵藤一誠に攻撃をしようとしたとき――
シュパッ!!ギィィンッ!!
「なにっ!?」
突如、後方から飛んできた一本の刀に驚くカラス男と一誠。
「ったく、寄り道してみればこのザマとは大丈夫か、兵藤一誠?」
気怠そうな、とはいえ、どこかヒーローじみている声に、苦しみながらも視線を上げてみると、そこにはクラスメイトの丹羽士郎がいた。
「・・・士郎」
「今は、休んでろ――こいつは俺がやる」
と自分では見たこともないような剣を構えている。
「貴様、『悪魔』でも魔術師でもないな・・・何者だ?」
「そんなことはどうでもいい、クラスメイトを傷つけられた礼――きっちり返してもらおうかね」
と
「貴様・・・そのオーラ何者だ!?」
カラス男が士郎に詰め寄る。そんな中――
「何者でもいいでしょ――堕ちた天使さん?」
鮮やかな紅色の髪の女性と黒髪ポニーテールの大和撫子の美少女と銀髪小柄な体型の一見小学生にしか見えない女の子が現れる。
「・・・紅い髪、グレモリー家の者か」
憎々しげそうに紅色の髪の女性を睨みつけるカラス男
「リアス・グレモリーよ、ごきげんよう、堕ちた天使さん」
「……ふふっ、これはこれは、その者たちはそちらの眷属か、この街もそちらの縄張りというわけだな、まあいい、今日のことは詫びよう、だが、下僕を放し飼いにしないことだな――うっかり狩ってしますぞ?」
「ご忠告痛み入るわ、この街は私の管轄なの、私の邪魔をしたら、そのときは容赦なくやらせてもらうわ」
「そのセリフ、そっくりそちらへ返そう、グレモリー家の次期当主よ、我が名はドナーシーク、再び見えないことを願う」
黒い翼をはためかせながら、夜空へ消えていく。
「あら、気絶してしまうの?確かにこれは、少しばかり危険な傷ね、仕方ないわ、あなた自宅は――」
行ったことを確認し、というと士郎はグレモリー先輩をよそに一誠に駆け寄り
「まぁ、応急処置ってことだ――
緑色のスカーフが一誠を包んでいく。同時に、一誠の容態が安定し始める。
「こんなところか――」
と立ち上がり立ち去ろうとしたとき
「あなた、待ちなさい」
「えぇ、待ってください」
帰ろうとしたところをグレモリー先輩と、銀髪の少女、搭城小猫の二人に止められる。
「あなた、ここまでやっておいて、何も聞かず帰れると思ったのかしら?」
「いんや、帰ろとしたのではなくて、こっそりと立ち去るつもりでした」
「あらあら・・・」
黒髪ポニーテールの大和撫子の美少女である姫島先輩がこちらを笑いながら見てくる。
「まぁ、一誠のこともあるし――今日、ここで話すのはやめましょう…明日使いを出すわ」
「わかりました、グレモリー先輩、では、おやすみなさい」
スタッ!!
と
朝――
「(昨日のアレは、夢ってことにしておくか…)」
昨日の深夜あったことを半ば見ていない介入していないことにして、自分の頭の中でケリをつける士郎。相変わらずの気怠そうな顔は気のせいということにしておこう。とはいえ、頭の中を占めているのは、あの現場に学園の有名人が現れたことだ。
それから、ふと顔を上げると学園のアイドルであるグレモリー先輩とその隣にカバンを持っている兵藤一誠がいる。
「(夢じゃないといったところか)」
『まぁ、そうじゃろうな?』
「にしても、グレモリー先輩と姫島先輩とはな、まったく面白すぎるだろ」
『おや、人外だということに気づいておらんかったのか?』
「人外ってのは見た目で判断するものだ、といっても人の皮をかぶった化物もいるがな」
『まぁ、そうじゃな――そんで、おんし目を付けられたみたいじゃがどうするのじゃ?』
「さぁ、なるようになるさ」
と半ば現実と決別するような気分とともに、校舎に向かって歩いていった。
そして、相変わらず三馬鹿がとんでもなく煩かった。