ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
士郎とイッセーは、木場の待つ運動場まで移動している
『ライザーフェニックスさまの「兵士」三名、リタイヤ』
戦況報告のアナウンスが流れる。状況的にみて、木場がやったのだろう。これであと相手は九名だ
先頭を走っていたイッセーの腕を誰かが掴む。
「ッ!?」
士郎は後方に飛びのいて確認すると、イッセーを掴んでいたのは木場だった。
「なんだ、おまえか」
「うん」
死角になっている体育用具を入れる小屋の物陰から木場は運動場の様子を窺っていたようだ。
「相手の『兵士』をやったのはおまえか?」
「まあね、運動場の部室棟は重要なポイント。敵が多くなるのは当たり前だからね」
「んで、一網打尽にしたと」
「うん、そういうこと」
言葉を交わすイッセーと木場
「OK,んで、ここの状況は?」
「ここを仕切っているのは『
「合計三名、、結構厳重じゃないか」
「まぁ、それだけこちらからの侵入を警戒されているのさ、たたでさえ、体育館を消し飛ばされたわけだから、こちらの力も集中するよ」
そんな中、木場は、イッセーの顔を見て
「緊張しているのかい?」
「あ、当たり前だ!こちらと戦闘経験なんて無いに等しいんだぞ。それでいきなり本番だ。戦闘経験豊富そうなお前に比べたら俺は雑魚もいいところさ」
「まぁ、気にするなイッセー、見たところ木場もレーティングゲームに関しては、初陣だからな、そこいら辺では一緒だ」
フォローを入れるようにいうイッセー
「つか、一番はお前だろ、レーティングゲームやってるんだし」
「おいおい、あれはゲームじゃない、一方的な狩りだ」
「狩りねぇ、随分と的確な表し方だな」
「第一、前と違ってこれはチーム戦だ、チームで勝たなきゃ意味ないしね、この緊張も、この張り詰めた空気も、全て感じ取って自分の糧にする。お互いに強くなったほうがいいしな」
驚いている二人
「んじゃ、女子が見て興奮するようなコンビネーションでも展開すっか」
「ハハハ!僕が『攻め』でいいのかな?」
「バカ!『攻め』なら俺だ!って、違ーう!死ねイケメン!」
完全に木場のペースにはまってしまっている
そういうと、士郎は立ち上がる
「――そうなら、この戦場を蹂躙をしましょうかな」
「おいおい、あまりド派手なことをするなよ」
「そうだよ、シロウくん、あまりね」
「大丈夫だ、真の兵たる姿を見せつけてやらんといけないな・・・」
其の時、勇んだ女性の大声が聞こえてきた
「私は、ライザーさまに仕える『騎士』カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのも飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』よ!いざ尋常に剣を交えようではないか!」
野球部のグラウンド、その中心で甲冑を装備した女性が堂々と立っている
「ずいぶんとまぁ――大胆な奴だな」
「そうだね、名乗られてしまったから、『騎士』として、剣士として隠れているわけにもいかないか」
「だな、どうやら隠れられそうにもないしな」
用具小屋の物陰から出ていく木場と士郎
「あのバカども」
イッセーも文句を言いつつも木場のあとを追って真正面から出ていく
「僕はリアス・グレモリーの眷属『騎士』木場裕斗」
「俺は『兵士』の兵藤一誠だ!」
「同じく、リアスグレモリーの眷属悪魔、『兵士』丹羽士郎だ」
口の端を吊り上げるライザーの女騎士
「リアスグレモリーの眷属悪魔にお前たちのような戦士がいたことを嬉しく思うぞ。堂々と正面から出てくるなど、正気の沙汰ではないからな――だが、私はお前たちのようなバカが大好きだ。さて、やるか」
「木場――任せる」
「わかったよ、シロウくん、『騎士』同士の戦い――待ち望んでいたよ。個人的には尋常じゃない斬り合いを演じたいものだね」
木場が生き生きとした笑みを浮かべている
「よく言った!リアス・グレモリーの『騎士』よっ!」
カーラマインが踊るように斬撃を繰り出し、木場が戦闘を始めた
「ヒマそうだな」
「ッ!」
イッセーが声をした方を振り向く
「まったく、頭の中まで剣剣剣で塗りつぶされた者同士、泥臭くてたまりませんわ。カーラマインったら、『兵士』を『犠牲サクリファイス』にするときも渋い顔していましたし、主である『王』の戦略がお嫌いなのかしら?しかも、せっかくかわいい子を見つけたと思ったら、そちらも剣バカだなんて、ついてませんわね」
現れたのは、西欧のお姫様みたなドレスを着た頭の両側に縦ロールをしたお嬢様。レイヴェルだった。
「ブーステッド・ギア!スタンバイ!」
『Boost!!』
イッセーのパワーアップが始まる。
「ちなみに、私は戦いませんわイザベラ、お相手をしてあげなさい」
レイヴェルがそう言う。
「もとからそのつもりさ。さ、お互い手持ち無沙汰ならば戦い合おう――では、行くぞ!リアス・グレモリーの『兵士』よ!」
イッセーとイザベラの戦いが始まった
「士郎!行け!」
「もとから、そのつもりだ!」
士郎は二人の間を走り出す。直後、野球のグラウンドが炎の渦に包まれ、テニスコートが吹き飛ばされた
それから数分後
『ライザー・フェニックスさまの『戦車』一名、リタイヤ、リアス・グレモリー様の『兵士』、『騎士』、『女王』、『戦車』、リタイア』
最悪の知らせが、校内アナウンスから流れた
「―そんな、馬鹿な…」
士郎は、あまりの事実に言葉を失った